問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡
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第5話 お決まりですよ?
前書き
場面の変更に
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を使うことにしました
「な、なんであの短時間にフォレス・ガロのリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」
噴水広場で修也たちと合流した黒ウサギは耳を逆立てて怒った。
思いもよらなかった展開に嵐のように説教と質問が飛び交う。
「「「腹が立って後先考えずに喧嘩を売った。反省はしていない」」」
「黙らっしゃい!このおバカ様達!」
まるで口裏を合わせていたかのような言い訳に激怒し、ハリセンで3人の頭を叩く
その後、ジンの目の前に移動する黒ウサギ
「でも、どうしてこんな事に?」
「ゴメン、僕もどうしてもアイツが許せなくて」
「お気持ちは分かりますが…まあ、いいです。フォレス・ガロ程度なら十六夜さん一人でも…」
「俺は参加しないぜ」
「あら、分かってるじゃない
「もう好きにしてください」
ガックリとうなだれる黒ウサギ
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「サウザンドアイズ?」
「YES。サウザンドアイズは特殊"瞳のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」
「ギフトを鑑定すると何かメリットがあるのか?」
「自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出所は気になるでしょう?」
同意を求める黒ウサギに、十六夜、飛鳥、耀、修也の4人は複雑な表情で返す
4人と黒ウサギの一行は各々のギフトを鑑定すべく町並みを歩く
中世ヨーロッパのような町並みを黒ウサギを除いた全員が興味深そうに眺めていた。
「桜? 箱庭の季節は春なのね。私の世界では真夏だったけど」
「私のところは秋だったよ」
お互いの季節の違いに首をかしげる2人
「クスッ皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのですよ。時間軸以外にも歴史や文化にも違いがあるはずです」
「パラレルワールドってやつか?」
「そうか次元世界か」
「どちらも違います。正しくは、立体交差並行世界論というものなのですけども……今からコレの説明を始めますと一日二日では説明しきれないので、またの機会ということに」
「簡単で良いから次元世界との違いを教えてくれるか?」
「あの……その次元世界とやらはこの黒ウサギは存じませんが」
「そうだな、簡単に黒ウサギの耳で説明するとだな…ここをこうして──」
「って、痛いです! 黒ウサギの素敵耳をその説明に使わないでください!」
黒ウサギは十六夜の手から逃れ肩で息をする。
「ねえ、ひょっとしてアレ?」
耀がいくつも並んだ建物の中に一建だけ桜色の壁に、蒼い生地に互いが向かい合っている2人の女神が記されている旗が立っている商店を指差した。
「はい。アレがサウザンドアイズの商店です」
そのとたん
「いぃぃぃぃやほぉぉぉぉぉぉ! 久しぶりだ黒ウサギィィィィ!」
いきなり店内から爆走してくる着物風の服を来た白い髪の少女が黒ウサギに抱きつき、その勢いで2人一緒に空中を何回転もして街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。
「きゃあ───」
遠くなっていく黒ウサギの悲鳴を聞きながら一同は呆然とそれを眺めていた。
そして黒ウサギにたいあたりを決めた少女は黒ウサギの胸に顔を埋めてなすりつけていた。
「し、白夜叉様!? どうしてあなたがこんな下層に!?」
「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに! フフ、フホホフホホ! やっぱりウサギは触り心地が違うのう! ほれ、ここが良いか! ここが良いのか!」
これまでもかというくらい黒ウサギの胸に頬を擦りつける少女の行動に黒ウサギは真っ赤になり
「し、白夜叉様! ちょ、ちょっと離れてくだ、さい!」
白夜叉と呼ばれた少女を黒ウサギに無理やり引き剥がし、店に向かって投げつける。
その軌道上にちょうどいた十六夜は足で受け止める
「お、おんし! 飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様じゃ!」
「十六夜様だぜ。以後よろしく、和装ロリ」
「うぅ……まさか私まで濡れることになるなんて」
濡れて水路から上がってきた黒ウサギを見ると耀は修也に耳打ちをした
「黒ウサギ、そこに立て」
「はい?」
パチン
例によって例のごとく。黒ウサギから水滴が飛ぶ
それに対し濡れても全く気にしない白夜叉は、店餌木で十六夜達を見回してニヤリと笑った。
「ふふん。おんし達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということは…………遂に黒ウサギが私のペットに──」
「なりません! どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」
「へえ、お前ってこの和装ロリのペットだったんだな」
「ち・が・い・ま・す! 修也さんまで何を言っちゃってるんですか!」
修也がからかい、ウサ耳を逆立てて黒ウサギが怒鳴る
「まあよい。話があるなら店内で聞こう」
和装ロリこと白夜叉に連れられ、黒ウサギご一行様は店内に入った
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「さてと、改めて私は4桁の外門、3345外門に本拠を構える“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」
「はいはい、お世話になっております本当に」
投げ遣りな言葉で受け流す黒ウサギ。
その隣で耀が小首を傾げて問う。
「その外門、って何?」
「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心に近く、同時に強力な力を持つ者達が住んでいるのです。箱庭の都市は上層から下層まで7つの支配層に分かれており、それに伴ってそれぞれを区切る門には数字が与えられています。ちなみに、白夜叉様がおっしゃった3345外門などの4桁の外門ともなれば、名のある修羅神仏が割拠する人外魔境と言っても過言ではありません」
「おんしも、恩人に対して言うな」
苦笑しながら言う白夜叉に慌てて頭を下げる黒ウサギ。
手を振って白夜叉が気にしていないと態度をで示すと、黒ウサギは紙に上空から見た箱庭の略図を描いた。
それは、
「……超巨大タマネギ?」
「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」
「いや、次元航行戦艦の駆動炉だろ」
「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」
「けど、真ん中ほど高くなっているようだったからタマネギじゃね?」
うん、と頷きあう四人。
その変わった感想にガクリと肩を落とす黒ウサギ。
対照的に、白夜叉はカカと笑いながら二度三度と頷いた。
「ふふ、うまいこと例えるが、私はバームクーヘンに一票だ。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番皮の薄い部分にあたるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は“世界の果て”と向かい合う場所になる。あそこはコミュニティに属してはいないものの、強力なギフトを持ったもの達が住んでおるぞ―――その水樹の持ち主などな」
白夜叉は薄く笑って黒ウサギの持つ水樹の苗に視線を向ける。白夜叉が指すのは世界の果てで十六夜が素手で倒した蛇神のことだろう。
「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」
「知り合いも何も、あれに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」
小さな胸を張り、笑う白夜叉。
「へえ、あの蛇に神格を与えたってことは、オマエはあの蛇より強いのか?」
「ふふん、当然だ。私は東側の階層支配者フロアマスターだぞ。この東側の4桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者だからの」
最強の主催者―――その言葉に、十六夜、飛鳥、耀、修也の4人は一斉に瞳を輝かせた。
「そう……ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」
「無論、そうなるのう」
「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」
4人は剥き出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。
白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声を上げた。
「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」
「え? ちょ、ちょっと御4人様!?」
慌てる黒ウサギを右手で制す白夜叉。
「よいよい、黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」
「ノリがいいな、そういうの、悪くない」
修也の言葉に白夜叉は更に笑いを深くする。
「そうそう、ゲームの前に確認しておく事がある」
「なんだ?」
白夜叉は着物の裾からサウザンドアイズの旗印である向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、一言だけ放った
「おんしらが望むのは“挑戦”か―――もしくは、“決闘”か?」
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