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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡

作者:ブレイア
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第六話 グリフォンの試練ですよ?

「おんしらが望むのは挑戦か、もしくは決闘か?」

バタンという音と共に足元の畳が消え、世界が変わる
白い地平線を覗く丘
森林の湖畔。
5人が立っているのは白い雪原
その目の前には湖畔
そして、水平に太陽が廻る世界だった。

「なっここは…!?」

「特殊結界か!?」

その光景に十六夜達は息を呑んだ。
空にある星は、世界を緩やかに廻る白い太陽
唖然と立ち竦む4人に、再び白夜叉は問いかける。

「ここは、私が持つゲーム盤の一つだ」

白夜叉の笑みに、息を呑む4人。

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤……!?」

「私は太陽と白夜の星霊・白夜叉。箱庭に蔓延る魔王の一人」

「まっ魔王…!」

白夜叉の放つ覇気に言葉を失う一同

「して、今一度問う。おんしらが望むのは、試練への挑戦か? それとも対等な決闘か?」

「…へっ、降参だ、白夜叉」

「ふむ? それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」

「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。あんたには資格がある。―――いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

吐き捨てるように言った十六夜に白夜叉は笑う
十六夜の『試されてやる』という言葉に、白夜叉は笑い声を上げる
その後、白夜叉は笑いをかみ殺して他の3人にも問う。

「く、くく……して、他の童達も同じか?」

「……ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

「ああ、もしこれが特殊結界なのだとしてもコレだけのものを張れるんだ、俺も試されてやる」

「カカ、そうかそうか、おんしらも試されてやるか」

満足そうに声を上げる白夜叉。
一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。

「よかろう、おんしらにはあやつの相手をしてもらおう」

白夜叉は山の方へと扇子を向ける
その時、彼方に見える山脈から甲高い叫び声が聞こえた。
獣とも、野鳥とも思えるその叫び声に逸早く反応したのは、耀と修也だった。

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

「まさか…」

すると体調五メートルはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風の如く四人の元に現れた。
鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣を見、耀はと歓喜の声を上げた。

「グリフォン……うそ、本物!?」

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。ギフトゲームを代表する幻獣だ」

「このグリフォンで力、知恵、勇気の何れかを比べ合い、背に跨って湖畔を舞うことが出来ればクリア、という事にしようかの」

白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出す。
すると虚空から主催者権限にのみ許された輝く羊皮紙が現れ、ひらひらと落ち、十六夜の手に収まる
4人は羊皮紙を覗き込んだ。



ギフトゲーム名 鷲獅子の手綱
 
プレイヤー一覧 逆廻  十六夜
        久遠  飛鳥
        春日部 耀
        源   修也
 
クリア条件   グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

クリア方法   力、知恵、勇気の何れかでグリフォンに認められる。

敗北条件    降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

宣誓      上記を尊重し、誇りと御旗と、ホストマスターの名の下ギフトゲームを開催します。
           
                                     サウザンドアイズ


「私がやる」

読み終わると同時に真っ先に手を上げたのは耀だ
彼女の瞳はグリフォンをまっすぐ見つめている。
耀はグリフォンの前に歩み寄るが

「待て」

それを修也が止める

「やるよ、私は」

「違う違う、別にやめろと言ってんじゃない。ただこれを着ていけ」

「え?」

そう言って修也はどこからかコートを取り出し、耀に着せる

「がんばれよ」

「うん、ありがとう」

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


グリフォン
数多の動物と心を交わしてきた耀でも、幻獣と呼び称される動物を目の当たりにするのはこれが初めての経験だ
しかし、耀は若干の緊張はあるもののグリフォンに向かって話しかけた

「え、えーと。初めまして、春日部耀です」

「!?」

グリフォンは驚いたように耀を見つめた
その僅かに戸惑いの色が浮かぶ
それは、耀のギフトが幻獣にも有効であることを示していた

「ほう……あの娘、グリフォンと言葉を交わすか」

『お前のような娘一人振り落とせねば、私の名誉は失意するだろう』

「その心配はいらねえぞ、グリフォン」

『何?』

「ほう、そこの坊主もか」

「そいつを背に乗せて空をかけてみな、それが分かるはずだ」

『そうか…娘、私の誇りの対価として、お前は何を賭ける』

グリフォンの言葉に耀の答えは

「命を賭けます」

即答だった
あまりに突飛な返答に黒ウサギと飛鳥から驚きが上がった。

「だ、駄目です!」

「か、春日部さん!? 本気なの!?」

「貴方は誇りを賭ける。私は命を賭ける。
もし転落して生きていても、私は貴方の晩御飯になます。……それじゃ駄目かな?」

『……ふむ。坊主、お前の言うこと。あながち間違いでは無さそうだな』

「だろ?」

グリフォンの言葉に修也は眉を上げて答える
その一方、耀の提案にますます慌てる飛鳥と黒ウサギ。
それを十六夜、白夜叉が制す。


『乗るがいい、若き勇者よ。鷲獅子の疾走に耐えられるか、その身で試してみよ』

耀は頷きグリフォンの背に乗る

「準備は良いなー!」

白夜叉が扇子を広げ、真上に掲げる
それに耀とグリフォンは頷く

「よーい……スタートだぁ!」

白夜叉が扇子を振り下ろすと同時にグリフォンは空へと飛び上がる


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「大丈夫でしょうか?春日部さん」

山の向こう側へと消える耀とグリフォンを見つめながら黒ウサギは言う

「さあな。あの速度だと体にかかる衝撃は尋常じゃないし、山脈から吹き掛かる氷点下の風が更に冷たくなって、体感気温はおよそマイナス数十度ってところか?」

「あっ山の陰に」

耀とグリフォンの姿は山陰に隠れ、見えなくなった

「あとは、春日部しだいだ」

修也はそう言った
それからしばらくの間、全員は無言だった
そして、その沈黙を破ったのは飛鳥だった

「あっ耀さん!」

「何!」

山の陰からグリフォンとその背に跨る耀の姿が見えた。
だが、耀の足が既にグリフォンの体から離れ、耀の体はほとんど浮いた状態だ
それでも決してグリフォンから手を放すことはなかった。

「やっぱあいつのギフト……動物と会話できることだけじゃねえな」

「え?」

「あんだけ激しく動いているなら、体にかかる衝撃は相当だ。普通の人間ならとっくに失神してる」

「で、ですが、もう既に意識が飛びかかってますよ!」

「頑張って! 春日部さん!」

「頑張れ! もう少しだ!」

 ラストスパート辺りでグリフォンは本格的に耀を振り落とそうと激しく旋回を繰り返す。地平ギリギリまで急降下して大地と水平になるように振り回す。

 それを何度か繰り返すと山脈を超え、残るは純粋な距離となると激しい動きを止め、グリフォンは体勢を戻し勢いをそのままにしてゴールに向けて疾走する。

湖畔の中心まで疾走し、耀の勝利が確定となった
耀の手がグリフォンから離れた。

「春日部さん!?」

「春日部!」

落下する耀を受け止めようと修也は飛んだ(・・・)
その時、耀が首から下げていた木彫りのペンダントが光り耀は空中で回転し、空中に立つ

「春日部」

「修也?何で浮いてるの?」

耀の隣に浮く修也に耀は小首をかしげながら聞く
しかし、修也はそれに答えず耀に抱きつく

「しゅっ修也!?」

「良かった…本当に良かった…」

少しの間だけ空中でそうしていると
修也は耀を放し、少しだけ距離をとる

「グリフォンの試練を乗り越えし勇者、共に地上まで参りませんか?(寒いなこのセリフ)」

修也はそう思いながらも耀に手を差し出す

「うん。じゃあ、エスコートよろしくね」

耀は修也の手を取る
そして耀は空中を階段のように下りながら、修也は空中に浮くように2人は地上へと降りた

「春日部さん!」

飛鳥たちが耀と修也に走りよる
そんな中、十六夜だけが呆れたように笑いながら歩いてくる

「やっぱりな。お前のギフトって、他の生き物の特性を手に入れる類だったんだな」

「……違う。これは友達になった証」

その時、バサッバサッと羽音が聞こえる

『見事だ。友よ、お前が得たギフトはこの私に勝利した証として使ってほしい』

「だってさ。良かったな、この世界で出来た初めての幻獣の友達だ」

「うん。ありがとう、グリフォン。大事にする」

『それと坊主』

「俺?」

『ああ、お前だ、これからお前達には様々な試練が待ち受けているだろう。坊主、これから我が友を守ってやってくれ』

「いいぜ、約束する」

「いやはや、大したものだ。このゲームはおんしらの勝利だの。……ところで、おんしの持つギフトだが、それは先天的なものか?」

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげ」

「木彫り?」

「これ」

そう言って耀は首にかけているペンダントを軽く持ち上げる

「ほほう……円形の系統樹か」

「よければ鑑定していただけますか?」

「なに!鑑定じゃと!…もろに専門外なのじゃが」

ヒョイと効果音がつきそうな感じで白夜叉に鑑定を依頼する黒ウサギ
しかし、白夜叉にとって鑑定は専門外のようだ
しかし、なにか閃いたような顔に変わり

「よかろう!受け取るが良い!」

そう言って手を叩く
すると、十六夜、飛鳥、耀の頭上にそれぞれ一枚ずつカードが落ちてきた

「まさか!ギフトカード!?」

ジンが驚いた声を上げる

「何それ、お中元」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「あれ?俺のは?」

「ち、違います! というかなんで皆さんそんなに息が合ってるのです!? このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ! 耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

「つまり、素敵アイテムってことでオッケーか?」

「俺はスルー?」

「だからなんで適当に聞き流すんですか! あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

「へえ? なら、俺のはレアケースなわけだ」

 ん? と、白夜叉は十六夜のギフトカードを覗き込む。すると白夜叉の表情が強ばった。

「……いや、そんなバカな」

 白夜叉が十六夜からカードを取り上げて真剣な眼差しでカードを見る。そこにはギフトネーム、”正体不明コード・アンノウン”と書かれていた。

「”正体不明コード・アンノウンだと? いいやありえん、全知である”ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど…(ふふ、面白いのう)」

 
 

 
後書き
ギアスロールの書き方がグラグラしてる

分かりましたよね?ヒロインは耀です 
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