ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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悪意ある視線
「さてと……」
武器や防具、その他のもの(時計等)を買った俺たち。買った腕時計を見るとちょうどいい時間だった
「そろそろ行こうか」
「ん……もうそんな時間?」
「今、二時半ぐらいだよ。三時じゃなかったか?」
俺がいなくてキリトだけだったら待ち合わなかったことは想像に難くない
「そうね。じゃあ、行きましょうか」
NPCやプレイヤーの波を縫うように歩く
「そういえばあなたたち。なんでガンゲイル・オンラインに来たの?」
唐突にシノンがたずねてくる。それにキリトが答える……
「それはちょっと銃での戦闘に興味が……」
……のを遮って俺が答えた
「仕事だよ。仕事でこの世界に来たんだ」
「おっ、おい!?」
キリトがあわてる。だが、俺はキリトを目線で制した。どうせ隠したところでばれることは必死。ある程度情報を出してやれば協力関係を築き安くなるだろう
「仕事ねぇ……。バレット・オブ・バレッツに出場するってどんな仕事よ」
そういう切り返しが来るのは予想できていた。だからあらかじめ容易しておいた答えをシノンに言う
「本選まで出てきたら教えるよ」
予選ではまず危険はないだろう。やつはなるべく目立ちたいようだから本選で何かやる可能性が高い
「絶対に教えてもらうわ」
シノンはかなり好戦的な笑みを浮かべる。それは生き生きとしていてかなり魅力的な笑顔だったが、シノン=詩乃とわかっている俺には複雑だがな
そんな話をしている間に総統府に到着。正面の扉から入るとそこは広いホールだった
「えっと……」
ホール内を見回すが見つからない。残り時間は十分ほど
「こっち」
シノンの誘導に従って行くと総統府のホールの一角に複数の端末があった。個室などは無く、隣が見えなくなっているだけである
「わからないことがあったら聞いてね。隣の端末で登録してるから」
真ん中にシノン。その両隣に俺とキリトが登録する形になった
「……名前……ね」
まず一番上に名前を打ち込む欄が。死銃はソードアート・オンラインからの生還者だということは知ってる。俺は……残念ながらかなりの有名プレイヤーだ。ソードアート・オンラインでの名前をそのまま使用してもいいのだろうか?
「いや……むしろそれでいい」
俺が狙われればその分狙われる人数が少なくなる
だから俺はソードアート・オンラインでの名前、"RIN"で登録する
名前以外にも住所や郵便番号など、打ち込む欄があったが、賞品がもらえなくなる可能性がある、ってだけで参加はできるみたいなので全キリ。三人の中で最も早く登録を終えた。登録を終了するとエントリーを完了した、という文章と予選トーナメント一回戦の時間が表示された。……約三十分後か
「終わった?」
隣からそういう声が聞こえたので思わず生返事をしてしまう
端末から離れるとそこにはシノンの姿があった。クスクス笑っている。恥ずかしいな
「相変わらず、女の子と仲良くなるスピードが速いな。リン」
キリトが茶化してくるがはいはい、と俺は流す。がシノンは流せなかったようで顔を赤くしている
「それより、お前何番だった?」
登録したときグループと番号が振り分けられたのだ
「俺か?俺はFの三十七番」
「グループは一緒だな。俺は四十二番」
「私も同じグループで十二番。……同じグループで本選に進めるのは二人。私はあなたたちと決勝まであたらないから……」
「俺とキリトはよくて準決勝で当たるわけだ」
先ほどトーナメント表を確認した。キリトはほぼ間違いなく勝ち上がってくるから、俺が勝ち抜けば準決勝で当たる
「……負ける気はないからな」
「俺もだ。今回だけは譲れない」
俺とキリトは笑い合う。目には闘志を燃やしながら
「私も忘れないでよね。どちらが上がってくるのかは知らないけど……」
そこでシノンは一度言葉を切ると微笑んだ
「予選だからって……手は抜かないからね」
なんとまあ好戦的な連中が集まったものだ。そのうちの一人である俺が言えた義理ではないが
「それにしても、洋ゲーにしてはこの端末の日本語はしっかりしてますね?公式サイトは英語オンリーだったのに」
「キリトが……公式サイトを見た、だと」
ようやく学習したか?
「そんなに驚かなくてもいいだろ?」
ブスッとした表情で言ってくる
「いや、猪突猛進を地で行くおまえが下調べをするなんて、な」
「俺だって下調べはするよ!!」
思わず大声を出すキリト。うるさい……
「ああ……うん。話を戻そうか。運営体のザスカーっていうのはアメリカの企業なんだけど、このJP(日本)サーバーのスタッフには日本人もいるみたい。でも、ほら、GGOって日本でもアメリカでも法律的には結構グレーらしくて」
「通貨還元システムのせいですね」
キリトの言葉にわずかに苦笑を滲ませるシノン
「そう。ある意味、私営ギャンブルだもんね。だから表向きのホームページとかには最低限の情報しかないんだ。所在地も載ってないんだから徹底してるよね。キャラ管理とか、通貨還元用の電子マネーアカウント入力とか、ゲームに関する手続きはほとんど中でしかできないの」
「何て言うか……凄いゲームですね」
キリトがそう思うのも無理はないだろう。そこまで情報管理に徹底しているゲームはガンゲイル・オンラインを除いて皆無だろう
「だから、リアル世界とはほぼ完全に切り離されてるんだけど……でも、そのせいで、今の自分と、現実の自分も、まるで別人みたいに……」
シノンの瞳に一瞬影が差す
「……?」
キリトはわけがわからなかったみたいだが、シノンの現実……朝田詩乃を知る俺にはその意味が完全に理解できた。だから、次の言葉が自然と口に出ていた
「リアルとバーチャルを完全に切り離すことなんて出来はしない」
「え?」
「どんなに取り繕っても、どんなに猫を被っても本質は変容しない。だってその人は、その人だから。俺は俺だし、キリトはキリト。もちろんシノンもシノンだ」
「……考えておくわ」
俺のその言葉はシノンには届かなかったようだ
「……そろそろ、予選の会場に行かないと。って言っても、ここの地下なんだけどね。準備はいい?」
「ああ……」
俺とキリトがうなずくとシノンはこっち、とエレベータのところまで先導してくれる
エレベータに乗り込むとシノンは迷わずB20Fのボタンを押した。エレベータは架空の落下する感覚を与えてくる。待つこと数秒。エレベータが開く。そこは広く薄暗いホールだった。天頂部の多面ホロパネルには【BoB3 preliminary】の文字とカウントを続ける数字。そして壁際に存在するテーブルや椅子。そして、そこに座るプレイヤーたち
「……はぁ……」
新しく来た新参者に向けられる粘っこい視線。悪意は感じないが測るような、試すような視線に嫌気が差す。そういうあからさまな視線は怖くない。わかっているなら対処できるし、軽くひねりつぶせる。だが、その逆。そういう視線をコントロールできるやつが怖いのだ
微弱な視線。粘っこい視線の中で消えてしまいそうな視線だが、俺は確かに感じた。そちらに視線を向けると壁の隅の暗がりでこちらを見つめるギリーマントで骸骨を模したであろうゴーグルをつけたプレイヤーが一人
「……どうしたの?」
「なんでもない」
シノンが肘でつついてくる。俺はそいつから視線を切るとシノンに微笑む。……シノンにむいていた視線の半数がこちらに来たんだが……(熱っぽい視線が複数)
「まず、控え室に行こう。あなたたちも、さっき買った戦闘服に装備替えしないと」
「そうだな。……キリト?」
キリトの方を見ると微妙に腰が引けている。……本当なら回し蹴りを打ち込むところなんだが、自重して頬をつねる。……なんか生暖かい空気になったんだが
「はい、行くぞ」
「……わかったよ」
後書き
蕾姫「骨もくっつき全力全壊の蕾姫ですw」
リン「全壊したらいかんだろうが……」
蕾姫「えっ……心配してくれるの?」
リン「いや……お前が更新をやめたら俺が動けなくなるだろうが」
蕾姫「そんなことだろうと思ったよ!!」
リン「大丈夫。お前の弄られキャラはもうすでに周知の事実だから」
蕾姫「ぶつぶつ……」
リン「地面に"の"を書くとか古いなお前……」
今回は移動回。つか武器屋から総統府まで何キロあるんだろ……。20分で着けるのだろうか?健脚だったんだな、皆。うん←
視線の正体は皆わかってるよね?ん?病院弟?知らんよそんなやつ
原作と違ってあれには詩乃は恋愛感情を持っていません。あくまでお友達です
なんで視線がわかるって?攻略組の皆さんがバグキャラだから。だから俺が悪いのではないと言っておく
更衣室は皆一緒に。会話せにゃならんからな。だが、いくらキリト君でもシノンの下着姿をみたら……殺るよ?
では感想、妄想、空想、幻想、理想……お待ちしてますw
質問も、あればどうぞ
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