ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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控え室にて
シノンに続いて控え室に入る。中はやや狭いロッカールームふうの空間になっていた
「……全く……お調子者ばっかり」
「それには同感だな」
「そ、そうだな」
……冷や汗が出てるぞ、キリト。誤魔化してもバレバレだぞ?軽く気圧されてたのは
「リンはわかってると思うけど、武器は試合直前に装備したほうがいいよ。……えっと、じゃあ着替えるから……」
シノンの言わんとすることがわかったので俺は即座に後ろを向く
「え?」
が、キリトは察することができなかったようで動かない
「え、じゃねぇよ」
再びキリトに回し蹴りがジャストミート。ノックバックによりキリトがぶっ飛びロッカーの角に頭をぶつける
現実なら死んでるな。バーチャルでもそれなりにダメージがあったらしくキリトはしばらく頭を押さえてうずくまっていたが、しばらくして俺に涙目で文句を言ってきた
「何をするんだよ!!」
「もうちょっと鋭くなれ、キリト」
そう言うとキリトは首を傾げた
「?鋭い方だと思うが?」
「感覚の方じゃねぇよ。いいか、鈍いおまえのために順序だてて言ってやる」
俺はキリトを部屋の隅に連れて行く。シノンには先に着替えてて、とジェスチャーを送る。わかるか不安だったが、うなずいたから大丈夫だろ
「まずは、ここは更衣室。更衣室は何をやるところだ?」
「着替えだろ?」
なんでわからないんだろ?……アスナに報告かな
「シノンは女で俺たちは男。そこで問題だ。この更衣室で女であるシノンが男である俺たちに後ろを向け、と言った。……どうだ?」
キリトが目を見開いてるからわかったんだろうな。自分がアホだったことを。俺は静かにため息をつく。ようやくわかってくれた
「もう、いいわよ」
シノンから許可が出たので振り向く。シノンは戦闘服に着替えていた。その姿は気性の荒い山猫を思い起こさせた
「じゃあ、私は外に出るけど最後に言っておくわ」
シノンはメニューを操作すると名刺のようなものを二枚実体化させこちらに投げてくる
「どちらと当たっても……」
闘争心を剥き出しにした鋭い目線をこちらに向けた
「手加減はしないから」
その闘争心には応えないとな。俺は自分の名刺のようなものをシノンに投げる
「ああ。相対したらその時は」
キリトも同じくシノンに投げる
「お互い全力で戦おう」
そう言うとシノンはふっ、と微笑み更衣室をあとにした
「シノンと戦うためにはまずおまえを倒さないといけないよな」
メニューを呼び出し装備全解除のボタンを押しながらキリトに声をかける
「楽しみだ。おまえと戦うなんて久しぶりだからな」
「二人の双剣使い、ねぇ」
「感慨深そうだな」
俺がボソッと呟いた言葉にキリトは反応した。どうやら自分でも予想外なほど懐かしむ雰囲気を出していたようだ
「本当は一人にしか与えられないはずの勇者の如き力。それが二人に与えられた」
「俺はおまえなら背中を安心して預けられるぜ?」
そのキリトの言葉に軽く笑う
「俺はおまえの背中を守るんじゃねぇよ。おまえの背中を守るのはおまえのヒロイン(アスナ)の役目だ。俺はただ、おまえらが進むのを導く道しるべにしか過ぎない。でも……」
そこで言葉を切りキリトを見る。……ったく勇者っぽい顔をしてるよな
「今回だけは譲れない。譲らない。なぜなら俺の、俺だけのヒロインが苦しんでるんだ。だったら道しるべだとしてもそいつのヒーローとして助けてやらないといけないだろ」
「リン……」
キリトがつぶやくように俺の名前を呼んだ
「だからって手加減するなよ?」
キリトのことだから何も言わないと手心を加えそうだからなぁ
「……わかったよ」
ちょっと罰の悪そうな顔をする。やはりな
「もう、そろそろ第一試合が始まるぞ。出ようぜ」
「了解」
更衣室を出ると再び視線の波が襲ってくるが先ほどのシノンのものに比べれば軽い。いや、比べるのも酷か
シノンは……壁の隅で腕を組み目を瞑ってじっとしている
目線を向けると薄く目を開けたシノンと目が合う
「静かな闘志や殺意が一番怖い」
「……どうした、リン?」
「なんでもない」
誰にも聞こえないように言ったつもりが隣にいたキリトには聞こえたようだ。首を傾げたキリトに目を瞑って首を横に振ってやる
「もうすぐだな」
もう残り時間があと一分もない
「準決勝まで来いよ?」
「当たり前だろ。おまえこそ、途中で負けるなよ」
そう言った途端視界が光に包まれた
「……ふーん……」
視界が回復したとき、そこはニュートラルコーナーとも言える場所だった。対戦相手の名前は、LOVE&PIECE。……愛と平和って書こうとしたんだろが……なんでこの世界来てるんだ?どう考えてもこの世界に愛はともかく平和は無いだろ。それと綴り間違ってる。そのPIECEは欠片って意味になるぞ?
おっと、対戦相手の名前について思考してたら時間が危なくなってた
俺は急いでピースメーカーを二丁とサブ装備と弾丸を実体化させ服にある複数のポケットに分けて入れる
ちなみにフィールドは林
「隠れるところ、多そうだな」
某LOVE&PIECEさんがどんな武器を使うのか知らないが負けるわけにはいかないんでね
……悪く思うなよ
後書き
蕾姫「いろいろと満身創痍な蕾姫です」
リン「まあ、気にしてやるな」
蕾姫「今回、残念ながらバトルに入れませんでした……」
リン「入る気がなかっただけだろ」
蕾姫「……」
次回はようやくバトルに入れそうです。ではよろしくお願いしますね
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