ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
武器屋
「ここがガンショップ……。なんかものものしいな」
「まあ、リアルの日本じゃ絶対あり得ない光景だもんね」
シノンの先導でようやく迷子からのジョブチェンジに成功した俺とキリトは現在ガンショップで銃の物色中だ
ちなみにキリトは光剣に貼りついている(誤字にあらず)。キリトの武器メイキングが終了したので俺の武器を選んでる途中だ
「どんな銃がいいの?」
「連射性能に優れていて軽い銃がいいかな」
「うーん……だったらグロック17とかいいかな?」
シノンが一つの銃の名前を口にするが正直わからない。その時一つの拳銃が目に留まった
「これは?」
「それにするの?それはコルト・シングル・アクション・アーミー。通称ピースメーカー。結構古い銃で早撃ちに適してるけど……弾数は六発だし威力も低いよ。……あまりオススメできないかな」
早撃ち。俺にぴったりだな
「じゃあ、これにする。あとシノン」
「なに?」
「ナイフってどこにある?」
「え?えっと何に使うの?最近アップデートされた銃は軒並み命中率が高いからあたる距離まで行くのは相当難しいと思うけど……」
通常フィールドならともかく大会に出ようというプレイヤーがナイフを買うのはかなり珍しい。そもそもガンゲイル・オンラインにおいてナイフの位置付けというのは弾代も払えない時の緊急用というものだ。まだ銃の少なかった第一回大会ならまだしも最近の大会で戦えるとは思えない。だからシノンは疑問の声をあげたのだ
だが、俺は微笑み片目をつぶって口元に人差し指を当てて言った
「禁則事項です」
これは絶対桜ちゃんの容姿だから様になってるよな。そう思いつつもナイフを品定めし始めた。店にいた何人かが俺を見て頬を染めていたがおそらく紳士に目覚めたのだろうな
「えっと……でもコンバートしたばかりだよね?」
その言葉でシノンの言わんとすることがわかった。金がない
「そうだった……」
キリトの方を見ると崩れ落ちてるし
「あのね、もし、よかったら……」
シノンの言おうとしていることがわかった。だが、キリトも俺もそれを享受するのにはすごい抵抗がある。……今回は諦めざるを得ないかな
そしたらキリトがカジノのことを言い出した。……現実でもそうだろうが、ギャンブルゲームは運営側が必ず勝てるようにできている。わかりやすい例を出すと宝くじなんかの一枚あたりの期待値は100ちょいがせいぜい。一枚300円なのにな。同じ結論に達したシノンも呆れたような笑みを浮かべた
「ああいうのは、お金が余ってるときに、スるのを前提でやったほうがいいよ。そりゃあ、あちこちに大きいのも小さいのもあるけどね。確か、この店にだって……」
キョロキョロと見回したシノンはお目当てのものを見つけたのか指差した。するとすぐにキリトが寄っていく
幅三メートル、奥幅二十メートルほどか。一番奥に趣味の悪い西部劇のガンマンのようなNPCが。ゲームの名前は《Untouchable!》
触れることはできない……でいいのかな?
「手前のゲートから入って、奥のNPCの銃撃をかわしながらどこまで近付けるか、っていうゲームだね。今までの最高記録が、ほらそこ」
シノンが指差した床には赤く発光する細いラインが
「へえ。……いくら貰えるんです?」
「えっと、確かプレイ料金が五百クレジットで……って、え?」
「ん?」
シノンの話の途中から俺はすでに動いていて、今参加料金を払ったところだ
「リン……ギャンブルはダメだって……」
「こんなのギャンブルじゃねぇよ。ただの弾幕ゲーだ」
ルナシューターの俺に敵はいねぇ(関係ない)
NPCガンマンが英語で何かを喚くが俺の意識にはなかった。集まってきた野次馬の声も耳には入らずガンマンだけを見つめる
そして、カウントが0になると同時に走りだす
即座に三ヶ所、体の真ん中高めと右肩、それに右腕を弾道予測線が貫こうとした。だが、すでに俺の体はそこにはない。右肩を引き、軽く下げているからだ。ソードアート・オンラインのシステム外スキル"見切り"。ガンマンの目線、指にかかる力、体の強ばり、そこから攻撃の軌道を読む。弾道予測線ですら俺の体には当たらない。三発の弾丸が後ろに飛んでいくが無視
次にガンマンの目線が足、膝、腰と動く。俺は狙われた方の足とは逆の足で踏み込むと、その足を軸に一回転。スピードを殺さずそのまま走る
短いSEが響くがそれも無視。ガンマンは回転式弾倉を即座にリリースし、新しい弾を装填。即座に撃ち放つ。狙いは足、地面すれすれの弾道。前に飛び込むようにして回避。地面に両手がつくと同時に即座に横に飛び退く。俺の頭があった場所に銃弾が
足のバネを利用して再び斜め前に跳ぶ。ガンマンの目線が俺を追う。左右にさまよった後俺にピタリと狙いを定める。二発の銃弾が俺の退路を断つように左右に飛来。続けて俺の体の真ん中を狙って一発
だが、当たらない。フックスライディングのように軽く足を曲げて地面を滑る。弾は肩のすぐ上を通過
再びガンマンがシリンダーをリロード。今度は同時に六発もの弾丸を放つ。距離が近いが、まだ穴はある。体を横にして首を傾けることで全てをかわす
あと二歩ほどの間合い。この距離ならばリロードの間に触ることができる。だが、俺は上に跳ぶ。なぜなら視線がそこを狙っていたからだ。するとそこにノータイムで六本のレーザーが飛来した。弾をリロードせずにノータイムとか元攻略組でなければかわせないのではないのか
「やっぱりな」
そう呟きながらガンマンを触る。するとガンマンはオーマイガッとか叫ぶ。そして、ガンマンの背後が崩れ金貨が流れ出てきた
それも消えるとゲームはリセットされた
……案外楽しめたな
そう思ってふりかえると人の山。少々気圧されながらもキリトとシノンの元へ向かう
「……あなた、どういう反射神経してるの……?最後、目の前……二メートルくらいのとこからのレーザーを避けた……あんな距離だともう、弾道予測線と実射撃の間にタイムラグなんてほとんどない筈なのに……」
シノンが目を丸くして話しかけてくる。キリトは普通だ
「いや……俺は最初っから弾道予測線なんて見てないよ」
「じゃ、じゃあ何を見てたのよ」
「相手の重心とか力の入れ具合。後は視線かな?」
普通に答える。こんなこと明かしても別にマイナスにはならないからな
「そんなものでわかるものなの?」
「訓練すれば誰でも」
な、とキリトの肩を叩くと苦笑いをしながらうなずいた。シノンを含めるギャラリーの皆さんは開いた口がふさがらないようだがな
「金は手に入ったから武器をさっさと買おうぜ」
「おう」
シノンの手を引き再び武器を買いに戻った
余談だが、シノンが我に返った時、俺が手を握っていることに気付いて顔を赤く染めるのはまた別の話
後書き
蕾姫「まあ、唖然とするよな。見た目桜みたいな女の子が銃弾の雨をくぐり抜けるのをみたら……」
リン「いや……まあ分かるが……」
蕾姫「とりあえず武器購入〜。キリトは原作通り光剣とファイブセブン。リンはピースメーカーを二丁(・・・)に銃剣をお買い上げ」
リン「まあ、じゃあ次回」
蕾姫「銃での戦闘、うまく書けるかな……」
では感想その他お待ちしています
ではでは〜
ページ上へ戻る