ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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邂逅そして確信
「ここか……」
数日後、俺とキリトは千代田区にある大きな都立病院の前に立っていた
「菊岡の話だと入院棟の三階だったよな?」
「ああ……」
指定された病室に入るとかなり元気な声が聞こえた
「おっす!桐ケ谷君、お久しぶり!そして、初めまして、鈴木君」
ニコニコと微笑んでいるのは長身でスタイルのいい看護師。名前は安岐さん。キリトに関わる女性ってのはなんでこんな美人が多いのかねぇ
「あ……ど、どうも、ご無沙汰してます」
そう言って頭を下げるキリト。あわせて俺も頭を軽く下げる。キリトの体を見回していた安岐さんはやがてキリトの肩からわき腹にかけて握り始めた
「わ……わぁ!?」
「おー、けっこう肉ついたねぇ。でもまだまだ足りないよ、ちゃんと食べてる?」
「キリトには自慢の彼女がいるからねぇ……。っと、この事は報告が必要かな?」
俺が茶々を入れると安岐さんの目がキラリと光った
「へぇー、桐ケ谷君、彼女いたんだ」
「ええ、しかもかなりの美人です」
キリトをそっちのけでアスナについて話し合う俺と安岐さん。……安岐さんとは気が合いそうだ。主にキリトをいじることについて
「今はそんなこと、どうでもいいでしょう!!それよりなんで安岐さんがここに……」
話をそらすキリト。案の定というかなんというか菊岡の手回しだった
「そういえば伝言、預かってるよ」
安岐さんが茶封筒を渡してくる。そこには菊岡からのメッセージがあった
『報告書はメールでいつものアドレスに頼む。諸経費は任務終了後、報酬と併せて支払うので請求すること。追記……美人看護婦と個室で一緒だからといって若い衝動を暴走させないように』
…………
「……あのやろう……」
追記を読んだ俺たちの行動は早かった。俺が安岐さんに苦笑い。その隙にキリトが封筒ごと手紙を握り潰しポケットに突っ込む。一秒に満たない早業だった
「あー……それじゃあ、早速ネットに接続しますんで……」
キリトと俺は安岐さんに心電図モニター用の電極を貼ってもらい(キリトが赤くなっていた)アミュスフィアをかぶる。そして、仮想空間へ飛び込むためのキーワードを唱える
「「リンク・スタート」」
そして、俺たちはガンゲイル・オンラインの世界に降り立った
降り立ってから横を見た俺は仰天した。GGO世界の首都SBCグロッケンの威容もそこに立つメタリックな高層建築群も目に入らない
「すげぇな……」
「ああ……」
キリトのセリフはGGOの世界を見て言った言葉だろう。正直俺は笑いをこらえるのに必死だった。だって、アインクラッドで最強の剣士の一人であるキリトのアバターが……こんなに中性的だなんて
「お前……キリトだよな?」
「ん?なにいってやが……」
初めてこちらを向いたキリトが固まった。……まさか
俺はあわてて近くのガラスを見る。そこには俺のアバターが写っていたのだが……小っせ
「まさかのショタ化かよ……」
この姿で銃をぶっぱなしたりするのか……シュールとしか言いようがないな
「小さいな」
キリトがその中性的な顔を近付けて言ってくる。ニヤニヤ……と笑っているんだろうが、優雅にほほえんでるようにしか見えないぞ?
「そっちこそ、TSでもしたか?」
「へっ!?」
俺の言葉に近くのガラスに顔を向けて現状確認をするキリト
「な……なんだこりゃ!?」
ここで、俺とキリトの容姿について説明しよう。キリトは透き通るような白い肌に真っ黒な長い髪。瞳は大きめでまつ毛も長い。まあ、いわゆる美少女というやつだ。初見でこいつを男だとわかるやつはいないだろう。俺はというとALO時代よりも縮んだキリトよりもさらに小さい身長(140ぐらい?)。長めの髪。Fate/Zeroの桜みたいな容姿をしている(どっちかというと容姿が少女っぽいんだよ、ちくしょう)
二人して男っぽくない、むしろ美少女と呼ばれるであろうアバターを手に入れて肩を落としていると向こうから男が一人あわてて走ってきた
「おおっ、お姉さんたち運がいいね!そのアバター、F1300番系、そしてF1500番系でしょ!め〜〜ったに出ないんだよ、そのタイプ。どう、今ならまだ始めたばっかだろうしさあ、アカウントごと売らない?二メガクレジット出すよ!」
ぼーっとして胸のあたりをまさぐっているキリトは無視して俺が応える
「コンバートだからな。残念ながら譲れない」
女発言は華麗にスルーして答える。どうせもう会うことはないだろうからな
「うーん、そうか……。ま、気が変わったら連絡してくれ」
そう言って透明なカード型のアイテムを押しつけてさって行った。キャラ名、性別、所属ギルド名などが書かれた、せい名刺のようなものだろう。すぐに消えたがアドレス帳にでも記載されたのだろう。と、そんなことよりも……
「いい加減目を覚ませや!!」
胸のあたりをまさぐっているキリト(端から見るとただの変態)に回し蹴りを決める。武道の経験者が見ればうなるレベルの綺麗な回し蹴りだった
「ぶふっ!?」
街中なのでダメージはないが衝撃で吹き飛び壁に叩きつけられるキリト。まわりの人は驚いて動きを止める。まあ、見た目幼女(不本意だが)の俺が見た目美少女(笑)のキリトを回し蹴りで吹き飛ばしたのだから無理ないか
「な、なにしやがる……」
「お前……端から見ると変態だったぞ……」
まあ、顔がいいから絵にはなってたがな
「ま、まあ目立つし、こんな容姿も悪くないかな」
「俺は嫌だが」
キリトは髪を指先でかきあげ後ろに払う。実に様になっている。それに気付いたキリトが肩を落とす
……そーだなぁ……
「お姉ちゃん、元気出して」
音符マークが語尾についているかのような甘い声を出してみると、周囲のプレイヤー(キリトを除く)が前屈みになる。……変態率高いな……。何人かは目が血走ってるし
「お前、それ、マジでやめろ……」
「……まあ、キャラじゃないからな」
まわりに聞こえないようにキリトに話しかけるとキリトは呆れたような声を出した
「お前……男としてのプライドはないのか……」
「無いけど?」
プライドなんてあるわけないだろ。利用できるものはなんでも利用する。守るためには、な
「はぁ……とりあえず大会にエントリーしようぜ」
「了解」
まあ、普通に話すことにしてSBCグロッケンの街を練り歩く
……案の定道に迷う俺たち
「キリトに先頭を任せたのが悪かった」
「……すまん」
キリトに任せていたらおもいっきり道に迷った
「あのー、すいません、ちょっと道を……」
キリトが話しかけた相手はペールブルーの髪を持った少女。猫のような瞳。……俺より大きいな……身長
ふと視線をキリトに向けるとどこかを見ている。その視線を辿ると少女の胸へと
「この、変態が!!」
「ぐはっ!?」
本日二撃目の回し蹴りがキリトに炸裂。再び壁に叩きつけられる。もちろん、目の前でアクション映画さながらの光景を見せられた少女は目を丸くしている
「すみません、キリトのやつが。えっと……」
VRMMOでも現実と同じようにいきなり話しかけるのはナンパととられかねない
でも、飛んでいったキリトを見て警戒も薄れたらしい。俺の容姿が女の子っぽいのも+したのだろう。やがて少女は笑み(微妙に引きつってるが)を浮かべると口を開いた
「……このゲーム、初めて?」
キリトのことはスルーすることにしたようだ
「総督府ってところに行きたいんだけど」
「総督府?何をしに行くの?」
「バトルロイヤルイベントのエントリーに、ね」
まあ、ニュービーがこんなことを言うのもなんだけど、と自分でも思う。案の定少女もそう思ったのか目を丸くする
「え……ええと、今日ゲームを始めたんだよね?その、イベントに出ちゃいけないことはぜんぜんないけど、ちょっとステータスが足りないかも……」
「コンバートキャラだから大丈夫です。あいつも、俺も」
正直に答える。少女はちょっと首をかしげた
「俺?」
「こんななりをしてるけど男なんだよ。あいつも。……正直驚いたよ、小さくて」
苦笑混じりに言う。男と言った途端警戒色を滲ませるが、その後の言葉に対して小さく吹き出す
「警戒してたのがバカみたい。いいよ、案内してあげる。私もどうせ総督府に行くところだったんだ。その前にガンショップだったね。好みの銃とか、ある?」
「見て決めたいかな。……それじゃあ、お願いします」
倒れているキリトの襟首をつかんで引っ張る。グェって聞こえたが気にしない
「うん。……ところで彼、大丈夫なの?」
「いつものポジションだから大丈夫」
見た目美少女が白目むいてるけど気にしない。それよりも……
「そういえば名前聞いてなかったよな?」
「私はシノン。……改めてよろしく」
「リンだ。こっちはキリト。こちらこそよろしくな、シノン」
俺とキリトの名前を聞いて少しシノンは目を見開く。でもすぐに首を左右に振って微笑んだ
今ので確信した。シノンは朝田詩乃であると
後書き
蕾姫「というわけでシノンとの邂逅、ならびに正体の看破でした。ちなみに逆は気付いてません(笑)」
リン「おいこら、てめえ……容姿桜ってどういうことだよ」
蕾姫「ミニマム化。桜ちゃん可愛いよね〜。五次だとヤンデレ化するけど……」
リン「だからって使うなよ……」
蕾姫「俺にその常識は通用しねぇ」
リン「帰れ、メルヘン野郎!!」
蕾姫「次回、拳銃選び。……拳銃どうしよう」
リン「決まってないのかよ……」
蕾姫「連射性に優れた拳銃がなかなか……。説明読んでもちんぷんかんぷん。というわけで詳しい方おすすめをお願いします」
感想その他、お待ちしています!拳銃は連射性、軽量、速射性、重視で。お願いします
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