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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百二話 黒い翼の少女

              第百二話 黒い翼の少女
「ところでだ」
ダイゴウジが不意に口を開いた。
「グラヴィオンのことはわかった」
「納得できねえものはあるけれどな」
リョーコがそれに応える。
「わかることはわかったな」
「しかしあの胸の戦闘機は何だ?」
「あのステルスですよね」
「あれにも人が乗っている筈だが」
ダイゴウジは今度はヒカルに応えて言った。
「しかし。あれに乗っているのは一体」
「影」
イズミがふと言った。
「影はかっけえーーーー・・・・・・」
「イズミさん、もう駄洒落にも何もなってませんよ」
ジュンが唖然としつつ突込みを入れた。
「もう何が何だか」
「話を続けていいか?」
ダイゴウジがそのジュンに問うた。
「それで」
「ええ、どうぞ」
「とにかく人が乗っているのは間違いない筈だ」
「そういやあのサンドマンさん言ってたっけ」
サブロウタがここであることを思い出した。
「マシンは人が乗ってこそだってな」
「そういえばそんなことも言っていたな」
ダイゴウジはサブロウタの言葉で彼も思い出した。
「確かな」
「だとすれば誰かが乗っているのは間違いない」
ナガレは言う。
「問題はそれが誰かだが」
「誰なんだ?だとすると」
ジョナサンも首を捻る。
「またぞろとんでもないのが出てきそうだな」
「そうだな」
シラーはその可能性を否定できなかった。
「あのサンドマンさんだからな」
「けれどそんな滅茶苦茶な人は出ないんじゃないかしら」
カナンはこう述べた。
「流石にこれ以上は」
「いや、わからないですよ」
「そうだな」
カナンのその言葉にカントとナッキィが言った。
「今でさえ全員メイドさんなんて」
「不自然な状況だからな」
「じゃあ何が起こってもおかしくはないか」
勇はぽつりと呟いた。
「グラヴィオンの六人目のパイロットも」
「そう思うべきか」
ヒギンスも呟いた。
「私もそんな予感がする」
「おそらく女だ」
クィンシイは言った。
「その六人目はな」
「そうだね」
ヒメもそうだと思うのだった。
「だってサンドマンさんだから。間違いないよ」
「間違いないんだ」
アキトはそこにどうにも引っ掛かるものを感じた。
「それで」
「そうじゃないのか?やっぱり」
そのアキトに対して勇が言ってきた。
「お城の中にいた男の人はサンドマンさんと斗牙だけだっているからな」
「そう。それじゃあ」
「やっぱり?」
「後は仮面を被ったこれまた変な人だしよ」
リョーコはレイヴンをそう見ているのだった。
「何かあの城って変態の巣みてえだよな」
「一人がそうじゃないのかね」
ジョナサンはあからさかにサンドマンのことを言っていた。
「あの人の趣味でしょ」
「ううん、本当にあの人って」
「何者なんだろう」
「ですが頼りになる人です」
ルリはそれでサンドマンをかなり許していた。
「あの人は悪い人ではありません」
「それはわかるけれど」
「それでも」
「確かに半端ではなく変わった方です」
ルリもそれは認めた。
「ですがそれでもです」
「悪い人じゃないっていうのか」
「そうです。完全に私達の力になってくれる人です」
こう言うのだった。
「ですから。御安心を」
「まあそれはわかってるけれどさ」
「それでも。何か」
それがわかっていても勇もアキトも納得できないものがあるのだった。
「何か特撮の司令みたいだし」
「メイドさん侍らしているし」
「あれは私も驚きました」
ルリでも驚くことがあるのだけでも凄いことである。
「まさかメイドさんをあそこまで」
「やっぱり変態だな」
「完全にな」
最早誰もがサンドマンをそうだと思っていた。
「さて、その変態さんが今度の戦いで何をするか」
「考えるだけでな」
最早その行動そのものが警戒の対象となっているサンドマンだった。彼等があれこれと話すその横であのオルガ達がいるがその彼等は。
「あれ、あんた達よ」
アポロが三人に対して声をかけていた。
「何か普段は」
「ああ、何だ?」
アポロの声に気付きオルガが顔をあげた。
「案外静かなんだな」
「悪い、気がつかなかった」
彼は本を読んでいたのだ。
「ちょっと本を読んでてな」
「本か」
「この本がまた面白いんだよ」
見ればジュブナイル小説だった。
「それに熱中しててな」
「へえ、あんた読書家なんだな」
「誰だ?」
今度はシャニがアイシャドーを外して出て来た。耳にはヘッドホンがある。
「何だ、あんたか」
「あんたは音楽か」
「俺音楽好き」
こう言うのだった。
「だから普段はこれ聞いてる」
「あんたは音楽か」
「何なら貸すぞ」
今度はこうアポロに言ってきた。
「よかったら」
「ああ、それはいいさ」
それは断るアポロだった。
「ただ気付いただけだからな」
「そうか」
「まあ僕達は趣味にかけてるから」
クロトはゲームに熱中している。
「プライベートはね。だからお互い干渉しないんだよ」
「そうなのかよ」
「そう。必殺!」
ここで小さく叫ぶクロトだった。
「さて、これでまた一面クリアーだな」
「何か本当にお互いのことはいいんだな」
「とりあえず自分の趣味が解決できれいればよ」
「僕達満足なの」
「気にするな
「気にするなかよ」
「気にしてると禿げるよ」
こうまで言うククロトだった。
「気をつけてね」
「もう何が何だかよ」
アポロにもわからなくなってきたかというとそうではなかった。
「楽しくなってきたな」
「楽しいのかよ」
「ああ、このゴチャゴチャとした感じな」
かなり明るい感じになっている。
「これがいいよな、やっぱりな」
「そうか」
「そうさ」
彼は何かあればこう考える人間だった。
「このワクワクした感じがたまらないぜ」
「なっ・・・・・・」
「あいつ、あの三人とも普通に」
「何て人なの!?」
これは他の面々から見て驚くべきことだった。流石にここまでとは思わなかったのだ。
だがやはりアポロだった。さらに言うのである。
「よし、それじゃあ俺もな」
「今度は何するつもりだ?」
「全くわからないわね」
「ちょっとゲームでもするか。とい、クロト」
「何かな」
「ちょっとそのゲーム貸してくれ」
「二人用ならいいよ」
クロトはこうアポロに言葉を返した。
「二人用ならね」
「よし、じゃあ決まりだな」
アポロはクロトのその言葉に頷いた。
「じゃあ本読んでゲームして漫画読んでだ」
「おいおい、マジかよ」
流石のオルガも今のアポロの言葉には驚いた。
「三つ共いっぺんにやるのか」
「御前そりゃ欲張り過ぎだよ」
「ちょっとない」
三人はそれぞれそのアポロに対して言う。しかし聞く彼ではなかった。
「まあそれでもいいからやるぜ」
「まあやるんならやれよ」
「御前2Pね」
「ほら、CD」
こうして三つ同時にするアポロだった。シリウスはそんな彼を見て顔を顰めさせていた。
「全く。何という男だ」
「あら、面白いじゃない」
しかし麗花はそんな彼を見て笑っていた。
「ああいうのもね」
「そういうものか」
「私は嫌いじゃないわ」
「ううむ」
「何さ、あんな奴」
シルヴィアは兄以上に露骨だった。
「あんなの見たことないわよ」
「それは確かにそうだな」
ピエールも彼女の言葉のその部分には頷いた。
「確かにそうはいない奴だよ」
「珍獣ですか」
ジュンはそんなアポロをこう評した。
「だとすると」
「そうよね。確かに」
リーナもジュンのその言葉に頷いた。
「そうなるわよね」
「何はともあれだ」
シリウスはこれまた実に難しい顔で述べた。
「あの様な男がアポロニウスならばだ」
「うう、それは」
シルヴィアの顔がさらに苦いものになる。
「考えるだけで寒気が」
「御前はまた嫌い過ぎだっての」
ピエールがそんな彼女に言う。
「またな」
「そう言うけれどね」
「はいはい」
「はいはいじゃないわよっ」
「とにかくだ」
話を打ち切るようにしてシリウスが述べた。
「あの男がアポロニウスなのは間違いない」
「そうね」
麗花がその言葉に頷く。
「それはね」
「その力は今の我々には必要だ」
「それはそうだけれど」
それがわからないシルヴィアではなかった。
「けれどもあいつは」
「とにかくだ。戦力としては認める」
「戦力としてはかよ」
「他はともかくな。しかしだ」
「そうですね」
つぐみがシリウスの今の言葉に頷いた。
「何か人によっては馴染んでいますね」
「我々も早く馴染まないとな」
「その通りね。それはね」
まだ何処か浮いている感じのある彼等だった。しかしそんな話をしているうちにパキスタンに入ったところで偵察に出ているエルリッヒ達から報告があがった。
「モヘンジョ=ダロでか」
「はい」
ダイテツに対してエルリッヒが報告していた。
「そうです。そこにいました」
「ふむ。今度はドーレムか」
「どうしますか、艦長」
「それはもう決まっている」
こうテツヤに返すのだった。
「すぐにモヘンジョ=ダロに向かいドーレムに対する」
「わかりました。それでは」
「まさかここでドーレムが出て来るとはな」
「本当に神出鬼没ですね」
エイタはこう言うのだった。
「何か何時何処に出て来るのか」
「それがドーレムです」
遥は彼等に述べた。
「神出鬼没こそが」
「それで急に攻撃してきてですか」
「そうです。だからこそ今度こそ」
エイタに話すその目が鋭いものになる。
「東京ジュピターを何とかしなければ」
「その為にはまずだな」
「ええ、そうです」
遥は今度はダイテツに対して答えた。
「今はモヘンジョ=ダロにいる彼等を」
「わかった。すぐに向かおう」
こうしてロンド=ベルはモヘンジョ=ダロに向かうことになった。既にそこではエルリッヒ達がドーレムの大軍を前に激しい戦闘に入っていた。
「くっ!」
エルリッヒがノウルーズの肩のビームを放ち手に持っているライフルからも攻撃を放つ。それでまずは三機程度のドーレムを倒した。
だがそれは今のドーレムの大軍から見れば微々たるものだ。彼等はそれこそ次から次に出て来てエルリッヒ達の前に立ちはだかるのだった。
「まだこんなに」
「無理はするな」
苦い顔になるエルリッヒにアークライトが述べる。
「既に本軍に連絡はしているのだろう?」
「ええ」
彼の言葉に対して頷く。
「それはね、もう」
「ならもう少しだ」
こう言ってエルリッヒを励ます。
「下手に攻めなくてもいい」
「そうだな。今はな」
リッシュは落ち着いて目の前のドーレムを斬っていた。両断されたドーレムが爆発し炎となって消える。
「俺達が撃墜されなかったらそれでいい」
「随分消極的ね」
セレインは果敢に攻めていた。
「それって」
「本格的な攻撃は本軍が来てからだ」
言いながらまた敵を両断する。
「それからだ」
「そうなの」
「それでもよ、おい」
「そうだ」
カーツとブラッドが言ってきた。
「この数は半端じゃねえぜ」
「東京の時よりも多いぞ」
「それに何か」
「そうね」
マナミとアイシャはあることに気付いていた。
「ドーレムの種類も増えてるし」
「後方には見たこともないのがいるし」
「あれは一体?」
「何なのかしら」
「んっ、そういえば」
「そうだな」
その後方のドーレム達にカーツとブラッドも気付いたのであった。
「どうも戦う度に未知のドーレムが増えている」
「そうね」
エルリッヒはアークライトの言葉に頷いていた。
「青い血を持つ奴等は」
「そのそも何者なのかしら」
「それもかなりミステリーだけれどね」
「おい、遂にだぜ」
彼等にミーナとヘクトールが言ってきた。
「来たわよ、本軍が」
「おでましってわけだ」
「そうか。早いな」
アーウィンはそれを聞いて述べた。
「思ったよりな」
「そうですよねえ」
グレースはここでも何か呑気な調子である。
「これで皆さん助かりましたよ」
「ええ。エルリッヒやったじゃない」
「私は別に」
エルリッヒは今度はパトの言葉に顔を少しだけ赤らめさせた。
「何も」
「いや、連絡をした」
その彼女にジェスが告げる。
「それで充分だ」
「そうなの」
「間に合ったようだな」
ハガネの艦橋からリーが彼等に通信を入れてきた。
「まずは全員生き残っているようだがな」
「心配していたのか?」
「こちらとしては戦力が残っていて何よりだ」
アークライトに対してこう返すリーだった。
「それだけだ」
「そうか」
「そういうことだ。わかったら我々と合流しろ」
「これでもリー艦長が一番急がせていたからね」
アカネが彼等に言ってきた。
「急げ急げって五月蝿かったんだから」
「余計なことを言うな」
今のアカネの言葉にすぐに言うリーだった。
「私はあくまで戦力の消耗を避けてだな」
「はいはい、わかったから」
「とにかくだ。こちらに一旦下がれ」
「わかった」
ジェスが一同を代表して答えた。
「それではな」
「うむ。それではこちらもだ」
ここで指示を出すリーだった。
「全機出撃だ」
「了解!」
「それではグランナイツの諸君」
当然ながらグラヴィオンもまた出撃するのだった。
「発進せよ!」
「了解!」
こうしてまたグラヴィオンが出撃する。しかしここでふとエイジは言うのだった。
「おい斗牙」
「何?」
合体を終えてから声をかけてきたエイジに対して顔を向ける。
「何かあったの?」
「また胸にもう一人来たけれどよ」
「うん」
「ありゃマジで誰なんだ?」
こう斗牙に問うのであった。
「本当に心当たりないんだな?」
「レイヴンさんのわけがないし」
その可能性は流石にすぐ排除したのだった。
「やっぱり僕にもわからないよ」
「そうか」
「ちょっとね」
「ならいいんだけれど」
こうは言ってもまだ言うのだった。
「だとしたら一体何なんだろうな」
「興味あるの?」
「誰かが乗ってるのは間違いないんだよな」
「うん」
今のエイジの言葉に対して頷いた。
「それはね」
「リナはここにいるしな」
「あたしは一人よ」
そのリナがモニターに出て来て述べた。
「言っておくけれど」
「わかってるさ。じゃあ一体」
「検索はいいけれどエイジ」
「んっ!?」
今度はモニターのミヅキの言葉に応えた。
「どうしたんだよ、一体」
「敵が来てるわよ」
「おっと、そうだったな」
「気をつけて下さいね」
エイナが彼に言ってきた。
「グラヴィオンはドーレムとも戦えますけれどそれでも油断大敵ですから」
「それはわかってるさ」
エイジもそれは理解していた。
「それでもな。やっぱりな」
「気になるのね」
「けれどエイナの言う通りだな」
リナに応えて述べた。
「今は戦いにだよな」
「そうだよ。それじゃあ」
斗牙が彼に応えそうして。
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
その巨大な剣を古いドーレム達を薙ぎ倒していく。これが彼等のここでの戦いのはじまりだった。
ロンド=ベルは取り囲もうとしてきたドーレムの陣の中央をまず攻撃した。そうして忽ちのうちにその敵陣を突破してしまったのであった。
「!?やはり」
シリウスはここでまた異変に気付いたのだった。
「脆いな。あまりにもな」
「脆いって何がだよ」
「どうしたの、兄さん」
「いや、何でもない」
シルヴィアの問いにも答えはしなかった。
「だが」
「だが?」
「これがドーレムの本当の力ではないだろう」
「ドーレムの」
「そうだ。そして青い血の者達の」
彼等のことも言うのであった。
「まだな。本気ではない」
「じゃああれか」
ピエールが彼に言ってきた。今アクエリオンに乗っているのはこの三人である。
「これは小手調べか何かか?」
「おそらくはな」
その鋭い洞察力で述べてきた。
「そうなのだと思う」
「そうなの」
「へっ、じゃあ本番はやっぱりあれかよ」
ピエールはシリウスのその言葉を聞いて述べたのだった。
「東京ジュピターでかよ」
「おそらくはな」
真面目な顔で答えるシリウスだった。
「そのつもりだろうな」
「まああそこはかなり派手になるよな」
ピエールもそれはわかっているのだった。
「決戦になるのはな。間違いないさ」
「東京ジュピターでなのね」
シルヴィアも言う。
「それだけ激しい戦いに」
「とりあえず今はただテストになるの」
「そういうことだ」
「その割には随分激しい戦いじゃねえかよ」
ピエールは目の前にまた迫って来るそのドーレム達を見て言った。
「この数。何なんだよ」
「へっ、数が多ければそれだけいいんだよ」
アクエリオンの横でフリーダムに乗るディアッカが不敵に笑っていた。
「こうやってな!」
「んっ!?」
「派手に潰せるってもんだぜ!」
その不敵な笑みのままフリーダムで一斉射撃を浴びせる。七色のビームが放たれそれぞれドーレムを貫く。まるでキラのそれを思わせる見事な攻撃だった。
「ディアッカ、フリーダムに随分馴れてきましたね」
「ああ。バスターあっただろ」
「はい」
ニコルはディアッカのその言葉に頷いた。
「あれも遠距離用だしな。それと同じだからな」
「戦い方は一緒だからですね」
「そうだ。おいイザーク」
ここでディアッカは自分の横にいるイザークに声をかけた。二人共ミーティアを装備して派手に攻撃を仕掛け続けている。
「そっちはどうだ?」
「ふん、俺を誰だと思っている」
イザークはいつもの強気のままであった。
「ジャスティス。使いこなしている」
「大体デュエルと同じだよな」
「そうだな。遠距離はシヴァか」
自分でこう分析しているイザークだった。
「そうした感じだな」
「ジャスティスは接近用の武器も多いしな」
「その通りだ」
流石にもうジャスティスの特性を見抜いてしまっていた。
「だからだ。これは」
「使いこなせるな」
「遠距離用の武器が充実しているのもいい」
このことにも安心しているイザークだった。
「おかげでまんべんなく戦えるということだ」
「そういうことですか」
「おい、それでニコル」
ディアッカがニコルに声をかけてきた。
「御前の方はどうなんだ?」
「凄いパワーですね」
ニコルは真面目な顔でディアッカに答えた。
「このパワー。しかも」
「しかも?」
「姿は消せませんが回避性能が尋常ではありません」
動かしながらデスティニーのパワーを感じているニコルだった。
「これだけのパワーがあるなんて」
「いけるか?」
「いけます」
その自信はあるのだった。
「ブリッツと似ている部分もありますから」
「しかし気をつけてくれ」
アスランはニコルだけでなく三人に対して言うのだった。
「その三機の出力は尋常じゃない」
「ああ、確かにな」
「それはな」
「感じています」
真剣な顔で彼の言葉に頷く三人だった。
「伊達に一機で何十機も相手にできるわけじゃねえな」
「このパワー、最初は俺も戸惑った」
「ですが。使いこなせばそれだけ」
「力になる。頼むぞ」
「それはいいけれどよ、アスラン」
ディアッカは今度はアスランに声をかけてきた。
「そっちはどうだ?」
「俺か」
「ああ。インフィエットジャスティスの力も半端じゃないだろ」
「ああ」
真面目な顔でディアッカの言葉に頷くアスランだった。
「このパワー。確かにな」
「やれるか?」
「やっと馴れてきたというところか」
言いながら彼もミーティアを使ってドーレム達に総攻撃を浴びせている。少し違うのはドラグーンまで使って攻撃を浴びせているということだ。
「俺もな」
「そうか」
「やはりどうも」
ここからは自己分析だった。
「俺はキラやシンには劣るな」
「ふん、弱音か」
アスランの今の言葉にあえてこう返すイザークだった。
「アカデミーで首席の実力はどうした?」
「それはそうだが」
成績の総合ではアスランがトップだったのだ。パイロット能力ではシンは他の誰にも負けなかった。だから彼はザフトでその時ただ一機のガンダムであるインパルスを授けられていたのだ。
「だがそれでも」
「まああいつもキラもそっちにかけちゃ天才さ」
ディアッカは軽い調子で二人を認めたのだった。
「パイロットっていうのじゃな」
「そうだ。だから」
アスランはまた言う。
「俺はあの二人程満足には戦えてはいないな」
「ですがアスラン」
自己分析しつつ己を責めるアスランにニコルが声をかけてきた。
「今はそれよりも」
「戦う方が大事か」
「そうです。アスランはアスランです」
こう言うのだった。
「ですから今は」
「俺のできる限りで戦うことか」
「その通りです。キラはキラ、シンはシンです」
「そして俺は俺か」
「その通りです」
ニコルが言うのはこのことだった。
「ですから今は」
「わかった」
ニコルの言葉に頷いた。
「なら俺は俺のベストを尽くす」
「そういうことです」
「何時までも蝿じゃないからな」
「御前それは言うな」
「言ったら何か落ち込むだろ」
イザークとディアッカが今の言葉に突っ込みを入れる。
「幾ら何でもそれはな」
「忘れた方がいいぜ」
「しかし。何であの作品は」
それでもまだ言うアスランだった。
「あそこまであれだったんだ」
「それは蝿のせいではない」
「主役だろ?主役」
「僕もあれは」
ニコルもまた言うのだった。
「やはり。問題があると思いますので」
「そうか」
「それに御前は龍になっていたな」
「ああ、そうだったよな」
「あれはいいじゃないですか」
「私もそう思うぞ」
何故かここでシリウスが話に加わってきた。
「アスラン=ザラ。このことに関しては君と仲良くやっていきたい」
「シリウスさん」
「最初はどうかと思った」
何故かここで前置きしてきた。
「しかしだ。共に戦う者として」
「そうですか」
「君と上手くやっていきたいと思っている」
「はい。それは俺も」
何故かここで馬が合う二人であった。
「宜しく御願いします」
「こちらこそな」
「何か知らねえが俺はこのことに関しちゃ妙にあんたに反感抱くんだがな」
「何で俺なんだよ」
「いや、何となくな」
今度はピエールとディアッカが話をしていた。
「妙な感じがするんだよな」
「わかんねえ話だな、おい」
「ちょっと待ってくれないかね」
今度はメリッサが話に入って来た。
「あまりそのことでディアッカに言うんじゃないよ」
「何でメリッサさんがここに?」
「ああ、何となくだよ」
メリッサがニコルに対して答えた。
「何となくね。そういえば最近ハンガリーって国が好きになってきたよ」
「はあ」
「俺はフランスだよ」
「俺はオーストリアかな」
二人もここで言うのだった。
「何でかわからないけれどよ」
「最近な」
「何かよくわからないが皆色々あるんだな」
アスランはこのことを察して考える顔になった。
「どうもな」
「そういうことだよ。それでな」
「どうしたんだ、シン」
「いや、俺だけれどよ」
今度の声の主はエイジだった。
「声は確かに似てるけれどな」
「ああ、済まない」
ついつい間違えてしまったアスランだった。
「どうしたんだ?それで」
「ああ。斗牙が言いたいことがあるそうだ」
「斗牙が?」
「はい、そうです」
今度は斗牙が出て来たのだった。
「実はですね」
「ああ」
「こちらのポイントが空きました」
「そちらが?」
「はい。それで一気に攻勢に出ますので」
こうアスランに話すのだった。
「ですからそちらからも援護を頼みます」
「わかった」
そうした話なら異論はなかった。アスランはすぐに頷いたのだった。
「それではこちらからも」
「御願いしますね」
「ここで一気に勝負決めたいからよ」
エイジも言う。
「お互い派手にやろうぜ」
「ちょっと待ちなさいよ」
何故かここでルナがエイジに言ってきた。
「何であんたが言うのよ」
「俺が言ったら駄目なのかよ」
「そうよ。あんたは脚なのよ」
グラヴィオンのパーツでの話になる。
「それで何であんたが言うのよ」
「だから何で俺が言ったら駄目なんだよ」
「それは斗牙のやることよ」
こう言うのである。
「だからよ」
「おい、またそれかよ」
「そういうことよ」
むっとした顔でエイジに告げていた。
「わかったらね。黙っておきなさいよ」
「そういう手前だってあれこれ言ってるじゃねえかよ」
「何ですってぇ!?」
売り言葉に買い言葉になっていた。
「もう一度言ってみなさいよ」
「ああ、何度でも言ってやらあ」
「ちょっと止めて下さい」
「はいはい、そこまでよ」
エイナとミヅキがここで二人の間に入った。
「今は戦闘中ですから」
「そういうのは後でね」
「ちっ、わかったよ」
「覚えてらっしゃい」
これで何とか離れた二人だった。だが火種をまだ残したままであった。
しかしここでアスランは。あることに気付いたのだった。
「しかし」
「どうしたの?アスラン」
「いや、あのグラヴィオンだが」
今度はキラの言葉に応えるのだった。
「六人だな」
「うん、そうらしいね」
「だったら最後の一人は誰だ?」
いぶかしむ顔で言うのだった。
「最後の一人は。誰なんだ?」
「あの胸の戦闘機だよな」
「そうだ」
今度はシンの言葉に答える。
「あの胸の戦闘機のパイロットは一体」
「女性なのは間違いないですね」
シホが言ってきた。
「それは」
「女性か」
「はい。斗牙君はお城の中にいた男性は彼とサンドマンさんだけって仰っていましたから」
「ああ、そうだったわね」
シホの今の言葉にルナマリアが頷いた。
「そういえばそんなことを言ってたわよね」
「はい。ですから」
「じゃああれか」
ジャックも言う。
「あの胸の戦闘機にいるのは」
「女の人ですね」
「そうですね」
フィリスとエルフィも述べた。
「間違いなく」
「けれど。一体誰が」
「またおかしな人かな」
「トール、ちょっとそれって」
「だってさあ」
アークエンジェルの面々でも話になっていた。トールとミリアリアが言う。
「あの人だから」
「確かにサンドマンさんはああした人だけれど」
「ミリアリアも今言ってるよ」
カズイが突っ込みを入れる。
「そりゃ俺だってあの人はあからさまに変だって思うけれど」
「けれど女の子なのは間違いないね」
サイはかなり冷静に述べた。
「それはね」
「問題は誰かなのだけれど」
マリューも考える顔になっていた。
「サンドマンさんに直接尋ねても答えてくれる人じゃないし」
「そうですね」
ノイマンも同じことを感じていた。
「あの方は」
「変わった人だから」
あえて変態とは言わないマリューだった。
「何しろね」
「とりあえずその謎解きは今後ですか」
「そうなるわね。じゃあ今は私達も」
「はい」
作戦の話に戻った。
「グラヴィオンを援護しましょう。いいわね」
「わかりました。それでは」
こうしてアークエンジェルもグラヴィオンの受け持つポイントから攻勢を浴びせてそれによりこの戦いでの流れを決めた。ドーレム達は一機残らず倒され後には何も残らなかった。ロンド=ベルはこうしてモヘンジョ=ダロでの戦いを終えたのであった。しかしであった。
「さてと、だ」
「ああ、あれですね」
「そうだよ、あれだよ」
ディアッカがニコルに対して答える。
「それな。問題は誰が乗ってるかだよ」
「そうなのよね。果たして誰場乗っているのか」
ルナマリアも言う。
「それが問題よ」
「で、俺達も参加ってわけでな」
「それでいいわよね」
ジュドーやルーもディアッカ達と一緒であった。皆でグラヴィゴラスに潜入している。
「メンバーは多い方がいいしな」
「ニュータイプの勘。任せておいてね」
「頼りにさせてもらう」
イザークも今回は素直だった。
「おそらく俺達だけでは謎は解けない」
「嬉しいこと言ってくれんじゃないの」
「そこまで言うんだったらね」
ビーチャとエルもその言葉に乗ってきた。
「機嫌よくやらせてもらうぜ」
「そういうことでね」
「けれどそれでも」
「そうだよね」
ここで言うのはモンドとイーノだった。
「広いお城だよね」
「戦艦にしてもかなりだよ」
城の廊下を見回しながらの言葉であった。
「それは確かにな」
「下手をすれば迷ってしまうな」
ハイネとミゲルもここにいた。
「じゃあここはあれだよな」
「下手に分かれずにだよな」
「そうだな」
ケーンにタップ、ライトも一緒にいた。
「皆で固まってだな」
「いた方がいいよな」
「分かれたらそれだけ迷ってしまうからな」
「何か物凄い人数なんだけれど」
「それでもまともに歩けるこのお城の廊下って何なのかな」
サイとカズイはそこが密かに不思議であった。
「サンドマンさんといいこのグラヴィゴラスといい」
「よくわからないよね」
「全くだよ」
「もう何が何だか」
やはりトールとミリアリアもいた。
「わからないしその最後のパイロットも」
「本当に誰なのかしら」
「それだけれど」
キラが言う。
「このお城の地図ね」
「ああ、これか」
アスランがキラからそれを受け取った。
「また随分と広いな」
「で、現在地は何処なんだよ」
シンもその地図を見て言う。
「全然わからねえな、おい」
「ここだな」
レイがあるポイントを指差した。
「今はな」
「んっ!?」
エイジもその地図を見てふと気付いた。
「そういえばここは」
「どうした?エイジ」
「いや。この部屋あるだろ」
レイに応えてあるポイントを指差した。
「ここな」
「ここか」
「そうだよ。実はずっと誰も入っちゃいけない部屋なんだよ」
「塔になってるわね」
「そうね」
アサギとジュリが言う。
「ここは」
「塔も何か多いけれど」
「じゃあここ?」
マユラが問う。
「その謎のパイロットがいるのは」
「可能性としてはありだな」
「そうだな」
スティングとアウルが言う。
「というかあからさまに怪しいだろ」
「ということはだ」
「そこにいる?」
ステラも言う。
「それじゃあ」
「よし、じゃあ殴り込みだ」
シンは随分と過激だった。
「皆用意はいいな」
「よし来た」
カガリは何故かボクシングのグローブをはめている。
「何が出て来ても私に任せろ」
「カガリ、そのグローブ何処から持って来たのよ」
フレイが呆れながら彼女に問うた。
「またいきなり」
「気が着いたら手にはまっていたぞ」
「そんなわけないじゃない」
「まあとにかくこれはいいな」
とりあえずそのグローブは外したのだった。
「とにかくだ。その塔に行くか」
「それならここからだよ」
斗牙が先を指差す。
「警護のメイド達には気をつけてね」
「そんなのまでいるのかよ」
ジュドーがそれを聞いて呆れた声を出した。
「全く。何で城なんだ」
「おかしいかな」
「まあかなりね」
キラもこう言うしかなかった。
「普通はないと思うよ」
「そうなんだ」
「そうなんだじゃないわよね」
「そうよね」
ルナマリアとメイリンも言う。
「このお城ってやっぱり」
「かなり変よ」
「僕はそうは思わないけれど」
まだ言う斗牙だった。
「別に」
「滅茶苦茶変だよな」
「なあ」
「どう見てもどう考えても」
これが皆の意見であった。
「まあとにかくね」
「今はだ」
「その部屋を」
とにかく話を戻す一同だった。
「探して行って」
「中に誰がいるのか」
「そういうことね」
「よし、じゃあ急ぐぜ」
エイジが皆に声をかけた。
「こっちにな」
「了解」
「それじゃあ」
こうして皆その部屋に向かうのだった。そしてその塔に入りさらに登り部屋の扉を開けた。するとその部屋にいたのは。
白いフェレットだった。彼等の顔をぽつんと見ていた。
「イタチだよな」
「フェレットだよ、シン」
キラがシンに答える。
「これって」
「ああ、そういやそうか」
「って幾ら何でもイタチはないでしょ」
ルナマリアがそんなシンに呆れた声で述べる。
「それは」
「悪い悪い」
「確かにイタチの仲間だけれどね」
「これはフェレットだ」
レイがクールに言う。
「しかし。毛並みのいいフェレットだな」
「そうだね」
キラが彼の言葉に頷く。
「白い毛がさらさらとしてて」
「こりゃ随分いいもん食ってんな」
ジュドーはこう言うのだった。
「流石はこの城にいるだけはあるな」
「それはいいけれどよ」
シンはここでまた顔を顰めさせた。
「何かここにいるのはそのフェレットだけなのか?」
「いや、多分違うぜ」
ディアッカが彼に述べた。
「こりゃな」
「っていうと?」
「ほら、見ろよ」
ディアッカは今度は一緒にいる面々全員に声をかけたのだった。
「あそこをな」
「あそこ!?」
「あっ!?」
「あんたは」
ここで皆部屋にいる少女に気付いたのだった。薄紫の、白に近い髪のまだ幼い顔の少女だった。その彼女が部屋にいるのだった。
「誰なんだ?一体」
「あんたは」
「リィルです」
少女はこう名乗ってきた。
「私は。リィルです」
「リィル!?」
「じゃああんたが」
「はい。私がグラヴィオンの六人目のパイロットです」
こうして最後のメンバーもわかった。しかしこれはまたここで一つの話をはじめることになったのだった。
「全く」
レイヴンはリィルの部屋に入った一同を前にして呆れた声を出していた。
「あの塔は立ち入り禁止だと言った筈だがな」
「まあそれは」
「何と言いましょうか」
「何となくですけれど」
「若しもだ」
彼等に対するレイヴンの言葉は厳しい。
「若しもその立ち入り禁止区域に爆弾でもあったらどうするんだ?」
「その時は爆弾をどけてね」
「簡単な話だよな」
「簡単に爆死するのだな」
レイヴンの返答はきつい。
「それで何もかも終わりだ」
「まあレイヴン」
ここでアムロがレイヴンに対して言ってきた。
「この連中も反省しているし。これで」
「反省しているとは思えませんが」
実際に反省なぞしてはいなかった。誰も。
「とても」
「怒るのはこれ位にしてだな」
「そうだな」
ブライトも案外甘い。
「この位にしておいたらどうだ?」
「どうもロンド=ベルというのは随分規律の緩い組織のようですな」
「いや、私もそれで賛成だ」
「サンドマン様」
何とサンドマンも言うのであった。
「もうこれ位にしておけ」
「そうですか」
「そうだ。話は終わった」
こう言うのであった。
「それにだ」
「それに?」
「私も話をしなかったのが悪い」
「左様ですか」
「そうだ。そろそろ話そうと思っていたが」
彼は言う。
「話しそびれていた。それは申し訳ない」
「サンドマンさんも謝る!?」
「まさか」
「そのまさかだ」
レイヴンが言ってきた。
「サンドマン様は己の非はしかと認められる方だ」
「そうなんですか」
「ただの変態じゃなかったんだ」
「それでだ」
サンドマンがまた言うのだった。
「あらためて紹介しよう。彼女の名はリィル」
「はじめまして」
「グラヴィオンの第六のパイロットだ」
こう一同に紹介した。
「彼女がな」
「宜しく御願いします」
「そしてこれはロロット」
今度はフェレットのことを紹介した。
「フェレット。彼女の家族だ」
「家族ですか」
「動物も人も同じだけ重さを持っている」
サンドマンの言葉である。
「だからだ。家族なのだ」
「家族ですか」
「それはわかりますけれど」
ただでさえ普通の人間では全く違うメンバーが多々いるロンド=ベルだ。それはわかった。
「けれど」
「なあ」
「ねえ」
皆ここでどうしても考えることがあった。
「サンドマンさんが言うとね」
「物凄く」
「では諸君」
サンドマンは勝手に話を進める。
「今ここにまた新たな仲間のことがわかった。それは祝福しよう」
「かなり違うのでは?」
ソーマが今のサンドマンの言葉に首を捻る。
「サンドマンさんが今まで隠していたのですし」
「そうですね」
アンドレイもその言葉に頷くのだった。
「この場合は」
「いいのか?」
グラハムも釈然としないものを感じていた。
「この流れで」
「何かわからないけれどこれで話が終わったんならいいんでしょ」
エルフィはかなり強引にそう考えることにした。
「とりあえず祝福することになったし」
「じゃあパーティーね」
「そうだ」
サンドマンはパーティーという言葉には反応を見せてきた。
「今よりパーティーを行おう」
「ううん、やっぱり強引っていうか」
「何か無理矢理って感じだよな」
「既にワインに御馳走も用意している」
「何時の間に!?」
マリンもここで首を捻る。
「そんなものまで」
「それではだ」
「どうぞ」
「お持ちしました」
ここでメイド達が一斉に何処からともなく出て来て舞台のセッティングをはじめた。
「お料理もお酒も」
「存分にお楽しみ下さい」
「ジュースもありますよ」
「何かわからねえが楽しむことは楽しむぜ」
「ああ、そうするか」
エイジはシンの言葉に頷きながらワインとジュースで自分でカクテルを作る。
「気持ちよくやるぜ」
「折角の歓迎パーティーだからな」
「それはいいのですが」
だがモニカはここでふと呟くのだった。
「どうしたのではないのではあるでしょうか」
「相変わらず変な文体だけれどどうしたの?」
「増えた感じがありはしないのです」
こうセニアに述べるのだった。
「どうも。同じようでそうでなくてそうであるような」
「言っている意味がわからん」
シリウスもこれには絶句だった。
「何だ!?結局どういうことなのだ」
「ああ、あたしが通訳するわ」
「頼む」
セニアに対しても述べた。
「残念だが私ではわかりかねる」
「つまりね。メンバーが増えた気がしないってことなのよ」
かなり単刀直入に説明するのだった。
「あの娘のことがわかったけれどね」
「それはまたどうしては」
「あまりはっきりと完全にはいい感じにわからないわけではないのですが」
「あまりよくはわからないけれど」
ここでもセニアが通訳する。
「そんな感じがするっていうのよ」
「おかしな話だな」
セニアの通訳まで聞いてようやく言うシリウスだった。
「それは。どういうことなのだ」
「言っておくけれどモニカは予知能力もあるからね」
「それは聞いたが」
「だから。何かあると思っていいわ」
「わかった。問題はそれが何かなのだがな」
だがそれはまだよくはわからないのであった。何はともあれリィルのことはわかった。そのうえでまた新たな戦いに向かうのであった。

第百一話完

2008・12・30
 
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