スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百一話 空に浮かぶ城
第百一話 空に浮かぶ城
サンドマン達を加えたロンド=ベル。だが彼等はすぐに戦場に向かうということにはならなかった。
今彼等はマクロス7のプールに集まっている。そこは海をイメージしたかなり巨大なプールである。そこで交流を深めているというわけだ。
「しかしね」
赤を基調に所々にピンクのフリルが着いたワンピースのミレーヌがぼやいていた。
「皆がいるのはいいけれど」
「どうした?」
「サンドマンさんって」
また彼のことであった。
「何もかもが凄過ぎるんだけれど」
「そうか?」
バサラが彼女の言葉に応えた。
「俺はそうは思わないけれどな」
「あんたはね」
ミレーヌは内心バサラに言ったこと自体が間違いだと思った。
「はっきり言ってレベル的には同じだからね」
「同じって何がだよ」
「あんたには言えるけれどサンドマンさんには言えないことよ」
「何だよ、それって」
「気にしないで。とにかくよ」
ここでミレーヌはプールを見るのだった。砂浜に水面のプールをだ。
「あの人って。凄過ぎるわ」
「さあ、諸君」
そこには意外にも見事なプロポーションで派手な柄のビキニパンツのサンドマンがいた。
「泳ごうではないか」
「泳ごうかって」
「あの人の格好って」
「何て言うか」
ロンド=ベルの面々はサンドマンのその格好にまず驚いているのだった。
「まさかビキニパンツなんて」
「有り得ねえ・・・・・・」
「そうですか?」
それに紫のビキニパンツのアズラエルが応える。
「僕は何とも思いませんが」
「いや、アズラエルさんが言っても」
「やっぱり」
「いや、サンドマン氏」
バサラと同じくレベル的には同じであるアズラエルには皆あまり参考とするものはなかった。
「お見事なスタイルです」
「そうですか」
「はあ」
「それはそうとですね」
アズラエルは周りの呆れる声に構わず言葉を続けてきた。
「流石にビーチではメイドさんの格好ではないですね」
「まあそうですね」
「やっぱりそれは」
「私達だっていつもメイド服じゃないわよ」
ピンクのやたら露出の多いビキニのルナが言う。
「流石にね。普段着だってあるし」
「普段着あったんだ」
「あるわよ」
シンジに対して答える。
「ちゃんとね」
「そうだよね。考えてみればね」
「けれどあんたいつも学生服じゃないの?」
「言われてみればそうかも」
シンジはルナの言葉に頷いた。
「僕最近学生服とプラグスーツ以外着た記憶ないから」
「寝る時はどうしてるの?」
「まあ普通にパジャマですけれど」
白い、これまたやたら露出の多いワンピースのミヅキに答える。彼女も彼女でかなり派手なそのプロポーションが露わになっている。
「寝る時は」
「そうなの。寝る時は」
「はい。そうなんです」
こう答えるシンジだった。
「水着はまあこれで」
「下着もトランクスね」
「それもわかるんですか?」
「私達メイドを甘く見ないことね」
にこやかに笑って返すミヅキだった。
「それ位一目でわかるわ」
「そうなんですか」
「そうよ。ロンド=ベルは全員トランクスね」
「男の人はそうですけれど」
「そしてゼオラちゃんは熊柄」
「うっ」
話を振られたゼオラはギクリとした顔になった。
「何でそれがわかったんですか!?」
「顔に書いてあるわよ」
「顔に!?」
「可愛い下着穿いてるじゃない」
「そ、それは」
「プロポーションもいいし」
黒のビキニに覆われたその胸はさらに成長したようだった。
「アラド君には勿体無い感じね」
「わ、私は別に」
アラドの名が出たところで顔が真っ赤になった。
「アラドとは何も」
「ありますね」
「うむ」
クリフはラファーガの言葉に頷いた。二人も水着になっている。
「誰がどう見ても」
「わかるものだ」
「導師までそんな」
「人は素直にならなくてはならん」
クリフはその真っ赤になっているゼオラに対して言った。
「ゼオラ=シュバイツァー、そなたもな」
「素直にって」
「というか丸わかりです」
エイナが申し訳なさそうだがそれでも言ってきた。
「私にもわかりました」
「そんな、エイナさんここに来たばかりなのに」
「申し訳ないですけれど」
エイナは白のビキニだ。童顔だが胸はかなり大きい。
「だっていつもアラドさん御覧になられていますし」
「うう・・・・・・」
なおそのアラドは向こうで男組と一緒に焼きそばを貪っている。彼女だけがいじられているのだった。
「まあ悪いことじゃないわね」
「悪いことじゃないって」
「恋せよ乙女よ」
ミヅキは優しく笑ってゼオラに告げた。
「そういうことだからね」
「そうですか」
「そうよ。女は恋をすれば奇麗になっていくのよ」
こうも言うミヅキだった。
「少しずつだけれど確実にね」
「そうなんですか」
「アイビスも」
ミヅキは今度はシルバーのビキニのアイビスに声をかけた。
「奇麗になってるんじゃないの?」
「私が!?」
そういう相手のいないアイビスには驚くべき言葉だった。
「どうして!?私は何も」
「恋は男だけじゃないのよ」
「男だけじゃない」
「ツグミちゃんにスレイと。いい恋してるみたいね」
「えっ、それって」
「まさか」
周りの女組は今のミヅキの言葉に顔を赤くさせる。
「三人で」
「そんな・・・・・・」
「わ、私はそんな」
アイビスも顔を真っ赤にさせてそれを否定する。
「ノーマルで。そんなことは」
「恋は色々よ」
ここでミヅキはまた言った。
「パートナーとしての恋もあるのよ」
「それですか」
「そう、それよ」
彼女が今言うのはそういうことであった。
「だからね。今のアイビスは恋をしているのよ」
「そういうことだったのか」
話を聞いたアイビスはここで納得した顔になった。
「だから私は恋をしているのか」
「そういうことよ。わかったかしら」
「ああ」
ミヅキの言葉に対して頷く。
「そういうことならな」
「それにしてもですね」
淡いピンクのビキニのテッサが言ってきた。顔は幼いが胸も腰もいい感じになっている。
「サンドマンさんは」
「どうしたの?」
「一人で物凄い勢いで泳いでおられますけれど」
「ははははははははははは!」
テッサの言葉通りサンドマンは物凄い勢いで一人プールの中をバタフライで泳いでいた。
「気持ちいいな!楽しいか諸君!」
「な、何でバタフライなんだ!?」
「余計に変態に見えるぞ」
遂にこの言葉が出て来た。
「あの腰使い・・・・・・」
「何処まで・・・・・・」
「あの調子なんですか?いつも」
「そうですよ」
濃い青のワンピースのメイドの一人であるテセラが彼女に答えた。
「それが何か」
「そうですか」
テッサは彼女の言葉を聞いてまずは頷くだけだった。
「いつもですか」
「おかしいですか?」
「何が」
「いえ」
さしものテッサもこれ以上言えなかった。
「わかりました。それは」
「これこそが水の楽しみ!楽しむのだ!」
「よし!俺もだ!」
バサラもそれに続いてプールに飛び込んだ。
「泳ぐぞ!うおおおおおおーーーーーーーーーーーーーっ!」
「何かロンド=ベルにも似たような人いるじゃない」
ルナはそのバサラを見て言った。
「いい感じでね」
「まああの人はあれだから」
黄色の鮮やかなビキニのリオが苦笑いと共に答えた。
「気にしないでくれたら助かるけれど」
「あの人もいつもなんですか」
「ええ」
エイナに対して答えた。
「いつも。はっきり言ってニュータイプとかコーディネイターとかより凄いから」
「ガンダムファイターと同じ位ですね」
「匹敵するわ」
こうまで言うのだった。
「あの凄さはね」
「もっともガンダムファイターもね」
ここで言うのはカーラだった。彼女は眩しいゴールドのワンピースだ。その小麦色の肌と見事なプロポーションに実によく似合っている。
「無茶苦茶な人がいるから」
「そのマスターアジア?」
「そう、その人」
彼のことであった。
「凄いから、もう」
「素手でモビルスーツを壊したりするのね」
「他にも向こうにはBF団とかいたけれどね」
「何か凄い世界なんですね」
シンルーも言葉を少し失っている。
「超人ばかりで」
「とりあえずBF団はいなくなったっぽいけれど」
「マスターアジアはいるし」
「もう一人シュバルツ=ブルーダーっていうのもいるわよ」
リオがまた言う。
「物凄く常識を無視したのが」
「奇人変人大会!?」
ルナにはそうとしか思えなかった。
「そっちの世界って」
「一応そういう人がいるだけで」
「まあ大抵は普通だから」
「そうなの」
「あの人クラスになると流石にいないから」
ここでまたサンドマンを見るのだった。
「ロンド=ベル以外には」
「じゃあアズラエルさんやバサラさんみたいなのは滅多にいないのね」
「いたら怖いぞ」
スレイが真顔で答えた。彼女は今は赤のビキニだ。
「ああした手合いが山みたいにいるとな」
「まあ確かに」
「言われてみれば」
「しかし。こっちでもまた色々な人が入るね」
アイビスはそんな彼等を率直に受け入れたうえで言った。
「少なくとも退屈はしないね」
「そうですね。それは」
黒のワンピースのクスハが答える。水着は大人しめだがプロポーションははっきりとわかる。何故ならそのワンピースは競泳水着だからだ。
「楽しいです」
「それはそうとクスハさん」
「はい?」
「あのジュースですが」
ルリが彼女に言ってきたのだった。
「先程作られたあれはどうされました?」
「サンドマンさんにあげました」
こう白のワンピースの彼女に答える。
「それで」
「それで?」
「美味しそうに飲んでおられました」
「そうですか」
「はい。とても」
にこりと笑ってルリの問いに答えるのだった。
「他にもラクスさんやマリューさんのお食事も」
「凄いですね」
ルリは表情を変えずに述べた。
「それはまた」
「オルガさん達と楽しく」
「ううん、どうやら本当に」
「凄い人なのね」
皆今度は感嘆する目でサンドマンを見つつ述べた。何はともあれ彼の凄さは瞬く間に皆の間に広まったのであった。噂はすぐに広まるものだから。
とりあえずロンド=ベルはバグダットを発ち東京に向かうことにしていた。しかしここで一つ問題が起こっていた。その元はやはり彼であった。
「えっ、それは一体」
「どういうことですか!?」
「言った通りだ」
サンドマンは驚くロンド=ベルの面々に対して平然と答えていた。
「それはな」
「その城から動かれないとは」
「それでは」
「安心していい」
驚く彼等にまた述べるのであった。
「心配は無用だ」
「ですがその城におられたままでは」
「グランナイツは我々とは」
「すぐにわかることだ」
彼等の言葉は平然としたままであった。
「何故なら」
「何故なら?」
「またバグダットに彼等が来る」
こう言うのだった。
「すぐにな。彼等がな」
「彼等が!?」
「というと」
「ガルラ帝国だ」
今度の敵もまた彼等であった。
「その彼等がまた来ているのだ」
「何っ!?」
「まさか」
「大変です!」
ここでナタルが驚く彼等に報告に来た。
「ガルラ帝国がバグダット東部に出現です!」
「なっ!?」
「何時の間に!?」
「そしてここに大挙して来ています」
「それではサンドマンさん」
「貴方は」
「私が調べていました」
サンドマンの傍らに控えているレイヴンが答えてきた。
「それで。わかったのです」
「そうでしたか」
「それで」
「この城にもまたレーダーがあります」
彼は言った。
「それに一時間程前にかかっていました」
「では貴方達も」
「ここで」
「そうです」
また答えるサンドマンだった。
「その時にお見せしましょう。我々のもう一つの力を」
こう言って今は動かないのだった。だがグラヴィオンは出撃していた。バグダット郊外に出てそこで他のロンド=ベルの面々と共にガルラ帝国軍と対峙していた。
「おい斗牙」
「どうしたの?」
斗牙はエイジの問いに応えた。
「何かよくわからねえが俺はここにいるからな」
「そうなんだ」
「姉ちゃんはあの城にいるんだ」
そのことはわかっているのだった。
「それならな。絶対にな」
「探し出すんだね」
「ずっと二人で生きてきたんだ」
懐かしむような声になっていた。
「だからな。絶対に」
「お姉さんのことが。好きなんだ」
「当たり前だろ?家族だったんだぞ」
エイジの言葉が強くなった。
「それでどうして嫌いになるんだよ」
「家族だから好きなんだ」
斗牙の言葉が何故かあまり感情が見られないものだった。
「そうだったんだ!?」
「えっ、斗牙」
ここでエイジもあることに気付いた。
「御前まさか」
「僕には家族はいないから」
こう答える斗牙だった。
「生まれてすぐに施設にいてそれで幼い頃にサンドマンに引き取られたから」
「そうか。そういやそうだったな」
「うん。だから」
また言うのだった。
「そういうのはね。あまりね」
「だったな。済まねえ」
「何で謝るの?」
また感情の乏しい問いだった。
「どうしてなの?」
「どうしてって御前」
「僕には家族はいないのが当たり前だから」
こう言うのである。
「別に謝ることないじゃない」
「・・・・・・・・・」
「それよりもエイジ」
沈黙してしまったエイジに対してさらに言ってきた。
「来るよ」
「来る!?」
「だから。ガルラ帝国が」
そのことを言うのだった。
「だからそちらに」
「ああ、そうだったな」
その言葉にとりあえず頷いたエイジだった。
「それじゃあな。やるか」
「うん。ガルラ帝国は数で来るからね」
「それはわかってるさ」
エイジもまたその顔を引き締めさせていた。
「もうな。とっくにな」
「わかってるの」
「当たり前だろ?今までどれだけあいつ等が出て来たと思ってるんだよ」
「けれど君はずっと戦ってなかったよね」
「それでもわかるものはわかるんだよ」
少しムキになって答えていた。
「そういうのはな」
「そうなんだ」
「そうだよ。とにかくよ」
「うん」
「来たぜ」
今度はエイジが彼に対して言った。
「奴等がな」
「そうだね。数は六千かな」
「六千か」
「十倍位?」
感情のないその声でまた述べた。
「見たところ」
「そうか。十倍かよ」
「怖気づいてる?」
「馬鹿を言え」
それは真っ向から否定した。
「やってやるさ。相手が誰だろうとな」
「そうだね。サンドマンも来るしね」
「何っ!?」
「サンドマンも戦うって言ってたよ」
「それはいいけれどどうやるんだ?」
「僕もそこまではわからないけれど」
それは答えられない斗牙だった。
「それでもそう言っていたから」
「そうなのかよ」
「うん。だから僕達もね」
「ああ、そうだな」
斗牙の言葉に頷いた。
「行くぜ。姉ちゃんを見つけ出すまでな」
こう言って戦いに向かう斗牙だった。ガルラ帝国軍は相変わらず数を頼りに攻めて来る。しかしその彼等をまずはグラヴィオンの右腕が貫いた。
「よし、まずは一機だ!」
エイジが貫かれ爆発するその敵を見て叫ぶ。
そしてそれに他のマシンも続く。だがサンドマンはまだ動かなかった。
「あの、サンドマンさん」
「君は確か」
「はい。紫東です」
遥であった。
「先程のお話ですが」
「わかっている」
モニターの遥に対してこう答えるのだった。
「それはな」
「それでは一体」
「今からだ」
今度はこう言った。
「今からそれははじまる」
「一体何をするつもりなのだ」
クワトロは彼の今の言葉を聞いて考える顔になった。
「彼は。一体」
「さあ、今だ」
彼のその危惧をよそにサンドマンは言った。
「諸君、今こそ我等の城の真の姿を現わす時が来た」
「思ったより早いものでしたね」
「だがそれもまたよし」
レイヴンに対して答える。
「全ての戦いに勝利を収める為にはな」
「はい。それでは」
「超巨大宇宙戦艦グラヴィゴラス発進!」
「えっ!?」
「今何と」
驚いているのはメイド達だった。
「グラヴィゴラス!?」
「サンドマン様、それは一体」
「むっ!?」
ロンド=ベルの者達は驚く彼女達を見てあることに気付いた。
「どうやらそのことは彼女達は全く知らないのか?」
「知っているのは彼とあの」
「レイヴンという男だけか」
こう言うのだった。
「二人だけ知っているとなると」
「どれだけ重要な秘密なんだ、その超巨大宇宙戦艦は」
「それにしてもじゃ」
「どうしました?アスカさん」
イーグルがここでふと言ったアスカに対して問うた。
「何かありますか?」
「あのレイヴンという者」
彼女はいぶかしむ顔でレイヴンを見ていた。
「果たして男なのか?」
「といいますと」
「妙な気配なのじゃ」
こう言うのである。
「どうもな」
「男の方ではないというのですか?」
「声は間違いない」
これは誰にもわかることであった。
「しかしのう。その気配は」
「気配ですか」
「あのエイジという者に似ておる。そして凛としておるが柔らかいものもある」
「柔らかいものもですか」
「おなごのようにな」
アスカはレイヴンをこう見ているのだった。
「妙なことじゃな。実に」
「姫様、それでは」
「あのレイヴンさんは」
「わらわの見間違いかも知れぬが」
さしものアスカも今度ばかりは己の目を疑ってもいた。
「若しや」
「むう、それはまた」
「おかしなことですね」
シャンアンとサンユンは誰よりもアスカの力を知っている。だからこそ彼女の言葉を疑うことはできなかったのであった。そして。
イーグルもまた彼女の力をよく知っていた。だからこそNSXの艦橋で考える顔になっていた。
「アスカさんのお考えですが」
「間違っていねえってんだな」
「イーグルはそう思うんだね」
「ですね。僕もアスカさんのお力は知っているつもりですし」
「そうだよな。だとするとな」
「あのレイヴンっていう人はね」
「何かあるかも知れませんね、やはり」
ロンド=ベルの中でもレイヴンとの素性について疑念が起こっていた。だがそれよりもまずは戦いであった。今城が大きく動こうとしていた。
「レイヴン」
「はい」
その渦中の人物であるレイヴンが今サンドマンの声に応えていた。
「グラヴィゴラス発進!」
「了解です。グラヴィゴラス発進!」
その言葉と共に城が大きく動いた。そうして城が大地から出、さらに巨大な艦影が姿を現わしたのであった。
「何っ、戦艦!?」
「本当に超巨大宇宙戦艦なのか!」
「これこそ我が城の真の姿」
サンドマンはその艦橋において言うのだった。
「超巨大宇宙戦艦グラヴィゴラスだ」
「何なのよ、またまた」
アスカはエヴァの中で呆然とした顔になっていた。
「世紀末の後で別の世界に出て来たと思ったら今度は変態紳士の乗る超巨大宇宙戦艦!?もういい加減滅茶苦茶もいいところじゃない」
「格好よ過ぎる・・・・・・」
しかしそのアスカの横でシンジはこんなことを言っていた。
「サンドマンさんって何処まで素敵なんだろう・・・・・・」
「あんた、あれの何処が格好いいのよ」
「凄いじゃない、ここで超巨大戦艦だよ」
二人の見方は完全に別のものになっていた。
「凄いよ、やっぱり」
「何処がよ。非常識極まりないじゃない」
「非常識って!?」
「何でお城が戦艦になるのよ!」
声を怒らせてシンジに対して叫ぶ。
「そんな話聞いたことないわよ!」
「あるけれど」
「僕もあるよ」
シンジにユウナが助太刀してきた。
「ほら、あの宇宙戦艦でね」
「そうですよね。白色彗星帝国で」
「そんな無茶苦茶な戦艦があったの」
「その通りだよアスカ君、あれには僕も心躍らせたよ」
ユウナはシンジよりも心を弾ませていた。
「是非共。何時かはやってみたいものだよね」
「あの、ユウナ様まさか」
「今度はオーブでそれを?」
「まあ流石にオーブをそれで破壊するつもりはないよ」
「当たり前です」
「ただでさえカガリ様という破壊兵器を備えているのですから、我がオーブは」
「ちょっと待て」
今のキサカとトダカの言葉には穏やかでないカガリだった。
「何故そこでいつも私が出て来るんだ?」
「それは気のせいです」
「御気になさらぬよう」
「そうなのか?」
「はい、何でもありませんので」
「空気と思って下さい」
こう言ってカガリをあっさりとスルーする二人であった。実に手馴れたものである。
「とにかくです、ユウナ様」
「ご趣味にこだわられるのはいいですが」
「わかってるよ。オーブも大変な状況が続いているからね」
「そうです」
「全てにおいて」
戦乱の爪跡は消えてはいないのである。
「ですからその様なことは決して」
「お考えになられぬよう」
「わかってるさ。それにしてもあのグラヴィゴラスって戦艦は」
完全にシンジと同じ輝きを持つ目になっているユウナだった。
「凄いね。浪漫を感じますよ」
「ではそれは特撮かアニメだけで」
「御願いします」
釘を刺すことを忘れない二人であった。何はともあれ今その巨大戦艦が姿を現わしたのである。
「さあ、今こそこのグラヴィゴラスの力を見せる時だ」
「はい」
レイヴンはサンドマンの言葉に頷いていた。
「前進せよ」
「は、はい」
「それでは」
メイド達はここで自分達の目の前にそれぞれレーダーなり舵なりが出ていることに気付いた。
「前進!」
「わかりました!」
「主砲発射用意!」
サンドマンの指示は続く。
「目標前方!目の前の敵軍に一斉射撃を浴びせる!」
「了解です。てーーーーーーーーーーーーっ!」
その指示に従い攻撃が放たれる。それでまず多くの敵が薙ぎ倒され光になり消えたのだった。
「すげえ・・・・・・」
「物凄いのは外見だけじゃねえのか」
「何て攻撃力なんだ」
「それだけではない」
サンドマンは驚くロンド=ベルの面々に対してさらに述べた。
「このグラヴィゴラスはただ砲撃を行うだけではない」
「というか!?」
「まだ何か」
「丁度いい」
ここでまた彼は言った。
「敵軍に戦艦がいるな」
「はい」
またレイヴンがサンドマンに対して答える。
「それでは」
「艦首のドリルの用意を」
「わかりました」
今度はそれだった。艦首のドリルが機械音を立て回転をはじめたのだった。
そしてその回転を見せたまま。一直線に前方にいる戦艦に対して突き進んだ。
「行け!」
「了解です!」
こうしてそのドリルによる体当たりにより前方のその戦艦を貫いた。まるでクロガネのそれを思わせる果敢かつ見事な突撃であった。
貫かれた戦艦はそのまま真っ二つになり空中で爆発して消え失せた。またしても鮮やかな戦いぶりであった。
「何なんだよ、まさかあの城によ」
エイジは呆然としながら述べている。
「あんな秘密があったなんてよ」
「僕も知らなかった」
斗牙も言う。
「城が戦艦だったなんて」
「御前もか」
「うん。そして」
斗牙はさらに言う。
「あれだけの戦闘力があるなんて」
「御前が知らないだけじゃなくてか」
「あの力、それがあれば」
「ああ。また違うな」
どれだけ頼りになるのかはもう言うまでもないことだった。
「ロンド=ベル。そして」
「人類にとっても」
これが二人の言葉であった。
「では諸君」
サンドマンは敵艦を沈めてもまだ満足していなかった。
「総攻撃だ。いいな」
「了解!」
「それじゃあ!」
グラヴィゴラスの参戦とその戦いに勢いを得たロンド=ベルはここで一気に攻勢に出た。それは成功しロンド=ベルはバグダットの戦いでも勝利を収めた。こうしてグラヴィゴラスの初陣は見事な勝利でその幕を下ろしたのであった。
「成程、だからだったのですか」
「それで同行されると言われたのですね」
「その通りだ」
戦闘が終わりグラヴィゴラスの中でサンドマンは彼に声をかけるロンド=ベルの面々に対して普段と変わらないその落ち着き払った態度で述べていた。
「これこそがグラヴィオンと並ぶ我がアースガルツの切り札なのだ」
「そうでしたか、やはり」
「この戦艦こそが」
「そう。そして」
「そして?」
「この艦はこれから諸君等と共にある」
こう言うのである。
「安心してくれ。私は何があろうとも倒れることはない」
「そうなのですか」
「全ての戦いを終わらせるまで」
サンドマンの目が光った。
「私は君達と共にある!」
この言葉は最後の決め手になった。今この巨大な城もまたロンド=ベルの頼りになる味方となったのだった。そうして彼等は意気上がりつつ日本に向かった。
「そういえばエイジも日本人だよな」
「ああ、そうさ」
エイジは楯人の問いに答えていた。
「それは名前でわかるだろ」
「まそれはな」
「もう一人エイジさんがいるがな」
弾児が言い加えてきた。
「それで少し混乱するところがある」
「ああ、あの人か」
それが誰のことなのかはこのエイジにもわかった。
「けれどあの人と俺はまた違うぜ」
「それはわかってるさ」
楯人が答えた、
「それはな」
「だったら別にいいよな」
「まあ顔も性格も全く違うからな」
「それはいい」
「ていうか俺自身はよ」
エイジはまた言ってきた。
「何かシンと似てる気がするんだよな」
「呼んだか?」
ここでそのシンが出て来た。
「俺も御前とは他人の気がしないんだがな」
「ああ、やっぱりそうか」
エイジも彼の言葉に頷いた。
「お互いな。そうだよな」
「全くだ。アムロさん達の気持ちがやっとわかった」
「実は俺もだ」
楯人も二人の話に頷くのであった。
「何かあのカイ=シデンさんとな」
「だよな」
「似ているというかな」
「同じにも聞こえるぞ」
シンもエイジもこう彼に対して言うのだった。
「エイナはエイナでナタルさんやユリカさんと意気投合しているしな」
「!?そういえばステラともだ」
シンもここで気付いた。
「あの人は。個性も全く違うのに」
「何でだろうな」
シンは彼のその言葉に首を傾げるのだった。
「全然似てねえ筈なのに似てるものを感じるんだよな」
「不思議といえば不思議な話だな」
カミーユがここに来て言う。
「俺もそうしたことがあったしな」
「カミーユさんもですか」
「どうも誰にでも大なり小なりあるものらしい」
こう一同に話すカミーユだった。
「だがマサキやヒイロはあのレイヴンさんには違和感を感じているがな」
「それはまたどうしてですか?」
シンは今のカミーユの言葉に眉を顰めさせた。
「声そっくりじゃないですか」
「何故か似たものを感じているのはメリッサさん達だ」
「あの人達ですか」
「そうだ。何故かはわからない」
カミーユの直感でもそれは察するころはできなかった。
「しかし」
「しかし?」
「あのレイヴンという人からはやけに女性的なものを感じる」
「女性的な?」
「俺の気のせいかも知れないが」
奇しくもアスカと同じことを言っている。
「ちょっとな」
「そうなんですか」
「とにかくだ。またこうして新たな力が加わった」
「はい」
「あの戦艦ですね」
「こっちの世界での戦いはどうなるかはわからないけれど貴重な戦力が手に入ったのは間違いない」
カミーユは戦力の加入として素直に喜んでいた。
「俺もサンドマンさんには多分に驚かされているけれどな」
「そうですね」
「まあそろそろ時間ですし」
「ああ、お風呂の時間だな」
「はい、それです」
「グラヴィゴラスには凄い風呂があるんですよ」
エイジが言う。
「もう温泉みたいなのが」
「つくづく訳のわからない戦艦だな」
「全くだ」
楯人も弾児も温泉と聞いて言う。
「マクロスにもあんなプールがあるし」
「凄い部隊だな」
「兵器も個性派揃いだからな、うちは」
こう二人に返すカミーユだった。
「だからどうしてもそういうふうになってしまうんだ」
「そうなんですか」
「そうさ。とにかくお風呂に行くか」
「ええ、それじゃあ」
「俺達も」
楯人と弾児もそのグラヴィゴラスの風呂に向かった。するとそこではもうメイド達が待っているのであった。しかも何と脱衣場にである。
「なっ!?」
「っておい!」
カミーユもこれには唖然としシンが驚きの声をあげる。
「どうして君達がここに!?」
「何だよこれ、どういうことなんだよ!」
「それは決まっている」
ここでサンドマンがガウンを着て腰に手を当てもう一方の手に牛乳瓶を持ちながら出て来た。どういうわけかこの格好も実に絵になっている。
「メイド達は何の為にいるか」
「何の為!?」
「な、何なんだこの人は」
カミーユとシンは今のサンドマンの言葉を聞いて頭がおかしくなりそうになった。
「何の為と言われても」
「メイドっていやあやっぱり」
「その通りだ」
シンは答えてはいないがサンドマンは言った。
「御主人様にお仕えする為だな」
「言い切ったよ、この人」
「恐ろしい人だ・・・・・・」
楯人も弾児も唖然としている。
「まあ確かにそうだけれどよ」
「今この状況で言い切るとは」
「だからだ。彼女達がいて当然ということだ」
「おいおい、ちょっと待ちやがれ!」
そこに来た甲児が叫ぶ。
「俺は自分で着替えるからな!あんた達はどっかに行ってくれよ!」
「いえ、そういうわけには参りません」
「これが私達の仕事ですので」
こう答えるメイド達であった。
「御気になさらずに」
「気にするに決まってんだろ!」
甲児は思わず彼女達に叫んだ。
「そんなのよ。何でなんだよ!」
「困ったな、これは」
大介もこれには閉口していた。
「これではここのお風呂に入れないぞ」
「そうですね」
さしもの鉄也もいささか冷静さを失っている。
「まさかこんなことになっているなんて」
「ですからお気遣いの必要はありませんので」
「私達の仕事ですので」
「諸君、遠慮することはない」
サンドマンはここでまた言うのだった。
「風呂は美学だ。さあ、今こそ湯で身体を温めるのだ」
「くっ、この人は・・・・・・」
「何処まで変態なんだよ」
カミーユ、シンをもってしても言い返すことは不可能だった。
「幸い今日の俺のトランクスはお気に入りだが」
「けれど。ここでこの娘達のお世話になったら」
「やっぱりそう思うか」
エイジが彼等に対して言ってきた。
「んっ、エイジ」
「どうしたんだ?」
「俺なんかな、大変だったんだぜ」
うんざりとした顔で皆に対して言うのであった。
「グラヴィオンに入ってすぐな」
「ああ」
「何があったんだ?」
「この連中に全部脱がされたんだよ」
そのうんざりとした顔で語るのだった。
「全部な」
「全部というと」
「トランクスもか」
「そうさ」
そのことも言うのだった。
「それこそ全部な。脱がされたよ」
「そうか」
「じゃあやっぱりなんだな」
「向こうは全然気にしねえけれどな」
「そういう問題じゃねえだろ」
甲児が額に汗をかきながら述べる。
「こりゃよ。さやかさん達には言えねえぜ」
「そうだな。これはとてもな」
「ジュン達には」
大介も鉄也も彼の言葉に頷く。しかしここでサンドマンがまた言ってきた。
「安心し給え、諸君」
「まだ言うのか、この人は」
「恐ろしい・・・・・・」
最早誰も言うべき言葉がない。
「中は混浴だ」
「・・・・・・もう何が何だか」
「何処までとんでもない城なんだ」
「それぞれ隔てはしてあるがな」
一応それはあるというのだ。
「だがほんのすだれだけだ。お互い恥ずかしがることはない。
「ってことは」
「向こうも!?」
「そうだ」
はっきりと一同に答えるサンドマンであった。
「女子更衣室にもメイド達が待機している」
「何時の間に」
「そんなものまで」
「実はこの更衣室はすぐに造らせたものだ」
ここで内実も語ってきた。
「君達に参加するにあたりだ」
「ああ、そういえばそうか」
エイジがここで気付いた。
「この城にいる男ってあんたと斗牙しかいないんだったな」
「その通りだ」
サンドマンはエイジのその言葉に答えた。
「だからだ。それは」
「そうか。それでか」
「というとこの城ってまさに」
シンはあることに気付いた。
「この人のメイドのあれだったのか」
「もう滅茶苦茶じゃねえかよ」
甲児も唖然とするしかなかった。
「聞いていて考えていて頭がおかしくなりそうだぜ」
「とりあえずだ。諸君」
「ええ」
「何ですか?」
「身体を清め温めるのだ」
何でもないように言うのであった。
「そして次の戦いに備えるのだ」
「そうですよ、皆さん」
ここで風呂場の扉が開きそこから斗牙が出て来た。
「いいお湯ですよ」
「って斗牙おい!」
エイジが今の彼の姿を見て思わず叫んだ。
「御前何だよその格好!」
「僕の格好!?」
「そうだよ。裸じゃねえかよ」
「裸って当たり前じゃない」
その全裸のままで何でもないように返す斗牙だった。
「今までお風呂に入っていたんだし」
「風呂の中ではタオルは使わず一糸まとわないもの」
またここでサンドマンが言うのだった。
「それがルールだ」
「ルールなのはわかるけれど」
「それでも」
皆が言いたいのはそういうことではなかった。
「何がもう何だか」
「わからなくなってきたな」
こうしてまたしても騒動が起こるのであった。ロンド=ベルト騒動は最早切ってもキレにア関係になってしまっているのであった。
第百一話完
2008・12・26
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