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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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八俣大蛇

「よし……」

全員縛ったあと、満足げに息を吐くミユに少し引きつつ俺たちは体力の回復を行っていた

「どっちにせよ、君たちには勝ち目は無い……」

レオンがそう言った

「そんなことはやってみないと……!!」

「クライン」

クラインが激昂しレオンに掴み掛かろうとしたが、俺はクラインを止めた

「それはなぜだ?」

「行けばわかる。そこで絶望した姿を想像するだけでニヤニヤが止まらないよ」

縛られながらニヤニヤしているレオンは変態にした見えなかった

……実際に変態なのだが

「どんな状況になろうとも絶望なんてしないさ。希望は絶望的な状態から生まれるものだ。あきらめなければ……な」

「……そうか」

レオンはニヤニヤ笑いと引っ込めると真顔で呟いた

「じゃあ、行こうか……」

ボス部屋の前で振りかえるとレオンはまだ俯いていた

「さあ……いよいよ最終決戦だ」

「ああ……」

「キリト、シオン、ミユ、クライン、エギル、朱雀、白虎、青龍、玄武、ユージーン、ライア……。いまさらだが、俺に力を貸してくれ」

「当たり前だろ?」

「もちろん」

「……当然……」

「ここまで来て引けるかよ」

「無論だ」

「当たり前だぜ!」

「ふぅん、いいだろう」

「当然だにゃー」

「わかっている」

「……そのためにここに来た」

「か、勘違いするなよ?俺はお前ともう一度戦いたいから協力するだけで……」

全員が言葉は違うが協力を約束してくれた。泣きそうになってくるが、それはボスを倒すまでとっておかないとな

「じゃあ、行くぜ!」

ボス部屋への扉に手をかける。そして、一つうなずくと扉に力をかけ押し開く











中は暗かった。全員が中に入り扉が閉めると完全な闇になった。だから少し開けて気休めとも言えるが光を確保する。俺らSAO組はこんな状況も以前あったので周囲に気を配っているが他の面々は狼狽していた

その時、ボッという音を立てて部屋の入り口にあった松明に火がつく。続いて扉に近い松明が二つつく。その光は徐々に向こう側まで行き、八俣大蛇の姿を明々と照らしだした

「でっけぇ……」

クラインが呟いたその言葉はここにいる全員の気持ちを代弁したものだった

かなり高い天井だというのにその頭はそこまである。八つの頭に赤い瞳。鋭い歯。そして、凄まじい威圧感

八俣大蛇は俺たちの姿を見ると首を後ろにそらし……咆哮。威力は無いはずのそれによって発生した風により服がバサバサとなびく

「っ!?散開しろォォォ!!」

そのキリトの言葉に近くにいたシオンを抱え横にとんだ。今までいた場所に振り落とさせる太い影。それが叩きつけられた場所は深くへこんでいた

キリトはミユを。クラインとエギルは自力で。朱雀、青龍はそれぞれ白虎、玄武を抱えて横にとんでいた

「くっ!!」

第二撃が放たれる。さっきとはまた別の尻尾。さっきかわしたせいでかわす余裕は無い。ならば……受けとめる!!

「はぁぁ!!」

能力を全開で使用し蛇の尻尾を受けとめる。手に鉄をたたいた様な衝撃が走るが、無視し全力で押し返す

八俣大蛇については多少勉強した。うちにあった八俣大蛇の伝承に描かれていた八俣大蛇の尻尾は八本

第三撃、第四撃と来る前に俺は八俣大蛇の目に向かってナイフを投げる

どうやら少しはダメージを与えたようで八俣大蛇の動きが止まる。その隙をついてエギルと玄武がその手に持った巨大な武器で八俣大蛇を叩きつけた、が

「嘘だろ?こんだけしかダメージが無い!?」

「バカ野郎!下がれ!!」

玄武は自身の攻撃が全く効かなかったことにショックを受けて数秒間動きが止まる。すでに下がっていたエギルの言葉に再び動き出すが、八俣大蛇の方が早かった

「ぐはっ!!」

縦に振るわれた尻尾に吹き飛ばされ玄武の体は光と消える

「くっ……」

「どうする、リン!!こっちの攻撃はまるで通らないが、あっちの攻撃は一撃。このままじゃ!!」

「八俣大蛇……強い酒……十拳剣……天叢雲剣……」

記憶を探るが、この状況を打開できる策が見当たらない

「キリト!!なんとか尻尾を斬れないか!?」

「速くて硬い!正直不可能に!!」

「だが、それしか無い!!直接八俣大蛇を倒すより現実的だろ?」

「……そうだな」

「俺が受けとめるから近接武器組はそこを攻撃してくれ!!補助組は全員の攻撃と防御をブースト!!頼むぞ」

俺の指示に従いまわりが動き出す。そして

「はぁ!!」

八俣大蛇の尻尾を俺は受けとめる。そこに走り込んで来て様々な攻撃を放つ近接武器組

「すまんがマーキングを頼む!」

俺の言葉を聞いたシオンがすぐさまマーキング魔法を弓矢に付与し放つ。その矢は弾かれたがしっかりと印が刻まれた

上を見ると新たに尻尾が振り下ろされようとしていたので、受けとめていた尻尾を弾き返すと横に飛ぶ

「マーキングを着けた尻尾だけ受けとめるから、それ以外は回避だ!!」

続けて続けてとんで来た尻尾をさらに横にとんでかわす

「どうやら……復帰はできないみたいだな」

復帰するためラグが過ぎても玄武が復活することは無かった

「くっ……。マズいな……」

どう考えても分が悪い。集中力が切れたらまず死亡。躱しきれなかったらそれでも終わり。例えかわしていたとしても余波でジリジリと削られるHP

「ヤバっ……」

そう考えていたからできた決定的な隙。地面にあったへこみに足をとられ転倒してしまう。そこに振り下ろされてくる巨大な尻尾

「全く……」

「なっ……!?」

目の前に人影が割り込み、尻尾を受けとめた。もっと正確にいえば体をはって止めた

「その程度か、リン。まさか、君の言う希望とやらに自分がなるとは思ってもみなかったけど……」

その人物はレオンだった

「ほら、持っていけよ」

左手に持っていた剣をこちらに投げてくる。あわてて受け取るとレオンに視線を戻す

「これは?」

「十拳剣。……本当に柄でも無い。誰かを助けるなんて。勘違いするなよ?リン。お前を切り刻むのはこの僕ってことさ」

HPが0になったらしく、レオンのアバターは砕け散った。十拳剣を残して

「……倒すぞ、皆」

胸には新たに決意を。手には新たな剣を八俣大蛇戦は第二ラウンドに突入した
 
 

 
後書き
蕾姫「ふう……」

リン「AMOも残すところあとわずかだな」

蕾姫「まー、あとは駆け抜けるだけだよ。……コラボもあるし」

リン「そうか……」

蕾姫「次で八俣大蛇戦は終了!AMO編エンディングまで!」

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