ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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バカ四人衆(中編)
「それで……次は誰だ?」
正直バカ過ぎて呆れてきた……
「次は俺だにゃー」
前に出てきたのは青龍。ものすごく特徴的な口調だ
「じゃあ……行くぜい?」
武器は手甲と……
「杖?」
「そうだにゃー。俺は魔法も使うんだぜい」
極々短い杖を服のベルトに差している青龍。今までで一番まともだ。しゃべり方があれだけど
「じゃあ、始めるぞ」
と思ったが開始宣言をすると顔が引き締まる。それと同時に、さっきのへらへらした口調も真剣なものになる
「……あぁ」
俺はいつものように構える
そして、戦いの火蓋は切られた
「はっ!」
先手をとったのは青龍。手甲ならではのフットワークで懐に潜り込んでくる
「ふっ!!」
だが、俺は右手の剣で軽い突きを放って阻止する。レンジはこちらの方が長い。逆に言えば超近接状態ではあちらに分があるということだ
「チッ……。地鳴り!」
青龍は舌打ちした後、打ち下ろした足の衝撃を増幅する魔法が放たれ、その効果により地面が揺れた。それにより軽くバランスを崩され俺は追撃を断念する
地鳴り、強化系魔法であり足もしくは手で地面をたたくことにより一定範囲に揺れを起こすことができる。ただし、起こした衝撃により自分も少しの間動けなくなる。消費魔力は多い。だが詠唱は短い。とは言っても……
「詠唱が……無かった?」
至近距離にいたはずなのに詠唱が聞こえなかったのだ
「この杖の効果だ。消費魔力を1.5倍にする代わりに詠唱を省略できる。まあ、撃ったことの結果を明確にイメージしなきゃいけないがな」
「そんなこと、伝えてもいいのか?」
「嘘を言ったかもしれないだろ?」
ニヤリと笑うとそう言った
「……そうか……」
つまり、相手は動揺を誘っている。情報が少ない以上、とりあえず信じるしかないが
「俺は負けない……負けられないんだ!」
その言葉はもはや小遣い稼ぎとかそういう浮ついたことの一切含まれない感じのものだった
「それは金のためか?」
「そうだが……。……無駄話はここまでにしよう」
何かを話そうとする青龍。だが、口に出す前に首を振って話を打ち切る
「俺が勝ったら話してもらうぞ」
「いいだろう。負けないが、なっ!」
再びこちらに走ってくる青龍。俺は再び突きの構え
「治癒!」
「なっ!?」
そのまま突っ込んできて突きが青龍の体に突き刺さる。その感覚に顔をしかめながら治癒魔法を唱える青龍
「肉を斬らせて……」
とっさに俺は剣の重さを0に。そのまま飛び退こうとする
「骨を断つ!」
が、動きの速い拳をかわせるわけがなく、おもいっきりアッパー気味に入る。後ろにとんだ分ダメージは軽減されたが、青龍の手甲と俺の防具のグレードの差がすごいのでHPが六割ほどもっていかれる
「くっ……」
目の端で青龍が地面を蹴って追撃をしようとしているのをとらえる。視線から判断すると狙ってるのは被ダメージの最も多い頭。俺は空中に飛んでいる状態で、普通ならばかわせない。普通ならば
俺は意識を総動員して自身にかかる重力を強くする。それにより青龍の拳は俺の頭の上をかするにとどまる。青龍の顔が今度は驚愕に歪む。当然だろう。必殺の一撃をかわされたのだから。必殺の一撃とは言いかえせば本気の一撃。本気の一撃を放つのにあとのことを考える余裕などない。当然の帰結として青龍はバランスを崩す
「はぁぁぁぁ!!」
重力増加状態からの重力をほぼ0に変換する。するとどうなるか。まるで鞠になったかの様に地面を跳ねる。そして片足が少し浮き上がったところで能力を解除。その浮き上がった片足で強く踏み込みカウンターの"ダブル・サーキュラー"!
「ッ!!空せ……」
「遅い!!」
魔法を発動しようとした青龍を二本の剣閃が斬り裂いた
「最後に発動しようとしてた魔法は何なんだ?」
「空蝉。まあ、身代わりの術みたいなものだにゃー」
空蝉:強化型に属する魔法で消費魔力、詠唱の長さ、ともにトップクラスの魔法。その分効果は絶大で、一秒ほどその身を無敵にできる((攻撃はすりぬける。こちらの攻撃は当たる))。ただ、詠唱を唱え終わったらすぐ発動するため詠唱の長さと相まって異常にタイミングを計りにくく、使いづらい
「そうか……。とりあえず話してもらうぞ」
今、俺と青龍がいるのは少し離れた岩の上。他の面々には離れててもらった。((朱雀が勝負、勝負とうるさかったが、シオンのOHNASIにより静かになった))
シオン……。付き合ったら尻に敷かれるよな、俺
閑話休題
「俺の親は両方とも死んでいてな……。俺と妹の二人暮らしなんだ。最近妹が重い病気にかかってしまった。親のいない俺にその治療費が出せるわけがない。だから……浅ましいとは思っていても、このクエストに飛び付いたんだ」
「ならなんで正々堂々と来たんだ?」
「妹に言われた。私のことはいいから、お兄ちゃんは上を向いて歩いてってな。……妹を裏切れるわけない」
「そうか……。良い奴だな、お前」
「そんなこと言われる権利なんて無い。理由はどうあれ、お前に襲い掛かったのは事実だ」
「俺がそう思ったんだ、拒否権なんてない」
そう言うと青龍は目を丸くした。そんな理由を聞いて俺が怒る様なやつだとでも思ってたのか?
「強引だな」
「お前が素直じゃないから、これぐらいがちょうどいいだろ」
どちらからとなく笑い始める俺たち
「さて……。朱雀のやつがそろそろ待ってるから戦ってやってくれ」
「そういえばなんであいつらと組んでいるんだ?」
「それはな……あいつらといると楽しいんだよ。妹が病気になってから感じなくなっていた感情をあいつらは思い出させてくれた。……だから、俺はあいつらと組んでいる」
青龍は微笑を浮かべて言った
「この方法も間違っていたかもな……。今となっては逆に負けたことがせいせいするよ。……妹に怒られるな」
青龍は吹っ切れたような爽やかな笑顔を。目には光るものを
「最後の希望だったんだがな……」
「青龍……」
「気にするなよ、リン。勝者から敗者への言葉は憐れみになるだけだ」
そう言われると何も言えなくなる
「おまえにも守りたいものがあるんだろ?……早く行け。次は最後の朱雀と、だ」
俺はうなずくと朱雀たちのいる方へ歩いていった
後書き
蕾姫「真面目な回でした。それは置いておいて、そろそろ……AMO、ゴールしてもいいよね?」
リン「早いって……」
蕾姫「だったGGOが書きたいんだもん」
リン「だもん、じゃねぇよ」
蕾姫「はぁ……」
リン「はいはい、元気だせ。こんな駄文でも待っていてくれてる人がいればいいな?」
蕾姫「なんで疑問系!?」
ではまた次回。とりあえず、恒例の言葉を。感想、意見その((ry
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