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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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交渉と交渉

「さあ、誰の命令とかあれこれ吐いてもらうわよ!!」

「こ、殺すなら殺しやがれ!」

「この……」

一人残したこの男から情報を引き出そうとしてリーファは男を問い詰めるが男はしゃべろうとしない。だがキリトが介入し、男を懐柔。おもいっきり裏切りだした

「マンダーの上のほうでなんか動いてるっぽいんだよね。俺みたいな下っぱには教えてくれないんだけどさ、相当でかいこと狙ってるみたいだぜ。今日入ったとき、すげえ人数の軍隊が北に飛んでくのを見たよ」

とのことだ

俺たちはその話を聞いたあと、ルグルーに入った。リーファはあの時来たメッセージが気になるみたいで一旦落ちた

「よく、俺の言いたいことがわかったな」

「当たり前だろ。一心同体ってやつ?」

「……これなのか、キリト?」

首の横に手をつける

「違えよ!!」

「まあ、冗談はさておき」

「冗談かよ!?」

「えっ、マジなのか?」

「違うって!」

恒例の漫才を繰り広げているとリーファがあわてた様子で再びログインしてきた

「お帰り、リーファ」

「おかえりなさい」

「お帰り」

「リン君、キリト君、ごめんなさい」

いきなり謝ってくるリーファ。主語なしだから全く意味がわからない

「あたし、急いで行かなきゃいけない用事ができちゃった、説明してる時間もなさそうなの。たぶん、ここにも帰ってこられないかもしれない」

「そうか。じゃあ、移動しながら……」

「目的地は?」

キリトの言葉に被せて俺は言った

「ルグルー回廊を抜けた<<蝶の谷>>なんだけど……」

「なら、走りながらでいいから説明してくれ。どうせその方向に行かなきゃならないんだ。ここまでリーファにとても世話になったし。力になれるならなりたいんだ」

「う、うん。ありがと。じゃあ行くよ!」

この天然ジゴロが!!by作者

「俺の言おうとしたこと……」

「ほら、さっさと走る、キリト君」

「わかった」

リーファの話によるとサラマンダーがシルクとケットシーが会談を行っている場所を襲撃し、同盟の邪魔及び資金の調達という魂胆らしい

「これは、シルフ族の問題だから……これ以上君たちが付き合ってくれる理由はないよ……。この洞窟を出ればアルンまではもうすぐだし、多分会談場に行ったら生きて帰れないから、またスイルベーンから出直しで、何時間も無駄になるだろうしね。……ううん、もっと言えば……」

「ストップ。理由ならたぶんあるぞ?」

「え?」

「リーファがどうしたいかによるけどな。リーファはどうしたいんだ?サラマンダーの計略を阻止したいのか?」

「そりゃ……あたしもシルフ族なんだし……」

「違う違う。俺が言ってるのは種族とか関係なしにリーファの気持ちを聞いてるんだよ」

「あたしは……助けたい。うちの領主とも友達だし」

「じゃあ、俺たちはリーファの手助けをする。な、キリト」

「もちろん」

キリトは大きくうなずいて肯定した

「ありがとう……でも、二人は世界樹の上に行きたいんでしょ?だったら……」

「サラマンダーにつけってか?例え仮想空間内の友達だったとしても……いや、仮想空間内の友達だからこそ裏切ったらダメだと思う。現実よりも犯罪に関する敷居が低い。だからこそゲームだからという理由に逃げて裏切る。でも、その敷居が低い状態だからこそ、その人の本質が出る。まあ、俺はその事をキリトから教わったんだが……」

「俺は大切な人に教わった。たとえどんな理由があっても、自分の利益のためにそういう相手を斬るようなことは、俺は、俺たちは絶対しない」

するとリーファは目に涙をためながら再び「ありがとう」と言った

「ユイ、走るからナビよろしく」

「りょーかいです!」

キリトの肩に乗って空気になっていたユイが存在をアピールするかのように元気に返事をした

「じゃあ、リン。リーファをよろしく」

「……わかった」

俺はリーファの手を握る。リーファが「え?え?」と戸惑いつつ顔を赤くした

「え、あの……」

「口を開けると舌を噛むぞ」

走りだしたキリトに続き、俺は走りだした。目的地まで一直線。途中モンスターのカーソルが見えたが全てを振り切り俺たちは走り続ける。リーファの悲鳴なんて気にしない

「ぶはっ!!」

洞窟を抜け、翅を広げ滑空体制にはいるとリーファは息を吐き出した

「寿命が縮んだわよ!」

「まあ、人間ジェットコースターだと思えば」

「……だったらもっと安全性を確保して……」

その後落ち着いてから辺りを見渡すと向こうのほうに巨大な樹が鎮座していた

「あれが……世界樹か……」

「あそこに……」

「あ、こうしちゃいられない。リーファ、領主会談の場所ってのはどの辺りなんだ?」

「あっ、そうね。ええと、今抜けてきた山脈は、輪っかになって世界中央を囲んでるんだけど、そのうち三ヶ所に大きな切れ目があるの。サラマンダー領に向かう<<竜の谷>>、ウンディーネ領に向かう<<虹の谷>>、あとケットシー領につながる<<蝶の谷>>……。会談はその蝶の谷の、内陸側の出口で行われるらしいから……」

リーファは山脈の様子を見渡すとやがて北西の方角を指した

「あっちにしばらく飛んだとこだと思う」

「了解。残り時間は?」

「二十分」

「ギリギリ……リーファ、もしものときはキリトをおとりにして逃げるぞ」

「そういうのは普通自分をおとりにするんじゃないのか?」

「わかったわ」

「え、え……俺の意見は無視?」

「じゃあ、行くぞ。ユイ、サーチよろしくな」

「はい!」

「もういいよ……」







「……間に合わなかったね」

俺たちに出せる最高の速度で会場に向かったが、すでにサラマンダー軍は到着していた。今から警告したのでは絶対に間にあわない

「ありがとう、リン君、キリト君。ここまででいいよ。キミたちは世界樹に行って……短い間だったけど、楽しかった」

リーファは笑顔でそう言ったがキリトが止める。不敵に笑いながら

「ここで逃げ出すのは性分じゃないんでね」

そういうとキリトはサラマンダーとシルフとケットシーの間に向かって飛び出して行った

「ちょ……ちょっとぉ!!なによそれ!!」

どうやら感傷的になりながら言ったセリフらしく、それを台無しにされたためかるく涙目だった

「あきらめろ。キリトはああいうやつだ」

がくっと肩を落とすリーファ。あちらではキリトが間に入ることに成功し、大きく息を吸い込んで叫んだ

「双方、剣を引け!!」

「やかましい!!」

鋭角ダイブに入っていた俺はキリトに蹴りを決めた。キリトは、十メートルぐらい吹っ飛び、地面を転がった

「……なかなか刺激的な登場の仕方だな」

「あいつが叫んだのが悪い」

ふっと笑ったサラマンダーはまわりのサラマンダーとは装備のグレードがかなり上だろう。得物は大剣。それを背中に吊っている。何より他のサラマンダーと違うのは圧倒的なプレッシャー。久しくなかった強敵との対峙。俺は自分でも無意識のうちに唇を舐めた

「インプ……それにスプリガンか。こんなところで何をしている。どちらにせよ殺すには変わりないが、その度胸に免じて話だけは聞いてやろう」

「俺はリン。そっちに転がってるのはキリト。友達にお願いされたんだ。サラマンダーを止めて欲しいってな。それ以上でもそれ以下でもない」

「ふっ、そうか……ならば剣で示して見せろ。俺の名前はユージーンだ。俺にデュエルで勝てたならそちらの要求を認めよう」

ユージーンはそう言って背中の剣を抜く

「リン君!無理だよ……サラマンダーのユージーンっていったらALO最強のプレイヤーって言われてるんだよ!」

「心配するな。俺は負けないよ。約束があるからな」

俺も腰から剣を音高く抜く

「さて、久しぶりに本気で行くかな……」

「リン!まさかお前……」

「そのまさかさ。キリト!お前の剣を貸せ!」

「ふう……わかったよ」

キリトは自身の剣を背から抜くとこっちに投げる。回転しながら飛んでくる剣の柄をつかみ自分の前に……ユージーンに剣先を向ける。自分の剣は肩に担ぐように構える

「二刀流というわけか」

「そゆこと」

ユージーンから申し込まれたデュエル。現れた承諾画面はもちろんYESを選ぶ。オプションは全損モード。やがてカウントダウンが始まり、俺は意識をユージーン一人に集中させる。PVPによる久しぶりの高揚感。それが心地よく感じる。進んで行くカウント。それもだんだん遅くなり、意識が加速していく

やがてそれは0になった 
 

 
後書き
蕾姫「シグルド戦まで行けませんでした(笑)ちなみにリン君は忙しいのでここにはいないので。さっさとGGO行きたいんだけどねぇ」

シノン「それよりも誰?」

蕾姫「誰って?」

シノン「あのシルフの少女」

蕾姫「リーファのこと?まあ、簡単に言うと恋敵?」

シノン「……」ジャキッ

蕾姫「ヘカートに弾を込めないで!?リーファを殺す気!?」

シノン「……わかったわ」

蕾姫「凄く残念そうな……」

キリト「シノン!やっちまえ!」

蕾姫「キリト、性格変わってる!?そんなブラコンだったっけ?」

リーファ「お兄ちゃん……おはなしする?」

蕾姫「リーファ……声優が違うって!?田村さんじゃないだろ!?だったら魔王はやめろーー!!」

※なおこの後書きは本編とは関係ありません
 
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