ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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奇跡も魔法もあるんだよ
「そう言えばキリト君とリン君は魔法スキル上げてるの?」
「あー、まあ、種族の初期設定のやつだけなら……。使ったことはあんまりないけど……」
「一応<<魔法耐性>>なら。……魔法って言えるのかわからんが。あとは<<回復>>をスロットに入れたぐらいか」
俺はSAOをしていた時に獲得したが、ALOで破損してしまったスキルを消し、新たに<<魔法耐性>>と<<回復魔法>>のスキルを入れたのだ。どちらも、剣を主に戦う俺には必要不可欠だと感じたからだ。SAOと違って遠距離魔法が多数あるALOでは被ダメージを緩和するために<<魔法耐性>>は必要だし、少しとはいえダメージを受けるのだから<<回復魔法>>は必須だろう。まあ、<<戦闘時回復>>のスキルがあればこと足りると思うが
「……すごいね。リン君。いきなりでスキル構成を考えられるとか、初心者とは思えないんだけど……」
リーファは疑いの目を向けてくるが俺はどこ吹く風と受け流す。それを見てリーファはため息をつく
「まあ、いいわ。それはいつか聞かせてもらうとして……洞窟とかはスプリガンの得意分野だから、灯りの術も風魔法よりはいいのがあるはずなのよ。だから聞いてみたの」
「えーと、ユイ、分かる?」
「もう、パパ、マニュアルくらい見ておいたほうがいいですよ。灯りの魔法はですね……」
ユイが一音ずつ発音したスペルワードをキリトは繰り返す。すると、視界が明るくなった
「わあ、これは便利ね。スプリガンも捨てたもんじゃないわね」
「あ、その言われかたなんか傷つく」
「うふふ。いやでも実際、使える魔法くらい暗記しておいたほうがいいわよ。いくらスプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だってひょっとするとないとも限らないし」
「うわ、さらに傷つく」
「傷ついてないで練習しろよ」
「うぇぇーと……アール・デナ・レ……レイ……」
「……へたくそ」
「う……うるさいよ」
そんなことを言い合いながら洞窟内を進んでいく俺たち。ユイがモンスターの接近を感知し、キリトがそれを凪ぎ払うので俺とリーファは全くすることがない。先程からリーファは考え事をしているのか、何もしゃべらなくなったので俺は暇だった
「あ、メッセージ入った。ごめん、ちょっと待って」
リーファはうつむいていた顔を上げるとメニューを操作し始めた
「なんだこりゃ」
目の前にメッセージが出たのだろう。それに目を走らせるとリーファは疑問の声を上げた
「どうした?」
「パパ、にぃ。接近する反応があります」
「モンスターか?」
キリトは背中の剣に手をかけるが、ユイは左右に首を振って言った
「いえ……プレイヤーです。多いです……十二人」
「じゅうに……!?」
リーファは目を見開いて驚く
「ちょっとヤな予感がするの。隠れてやり過ごそう」
「でも……どこに?」
「ま、そこはおまかせよん」
そう言うとリーファは俺とキリトの腕を掴んで手近な窪みに引っ張りこんだ。キリトが一番奥。それで俺が一番外側。引っ張り込まれたので向きは中を向いている。リーファは俺とキリトの間。向きは外向き。……つまりだ。俺とリーファは向かい合っていてしかも隠れているわけだからとても顔が近い。しかも、リーファの顔がほんのりと赤い……
「喋るときは最低のボリュームでね。あんまり大きい声を出すと魔法が解けちゃうから」
「……リーファ、近いんだが……」
「……しょうがないじゃない……」
「あと二分ほどで視界に入ります」
その瞬間俺とリーファが出していたピンク色?の空気を霧散し反対に真剣な空気が発生する
「あれは……何だ?」
「何?まだ見えないでしょ?」
「……」
反対向きで見れない……
「プレイヤーは見えないけど……。モンスターかな?赤い、ちっちゃいコウモリが……」
「……くそっ……きゃっ」
リーファはキリトが見ていたものを発見し、罵り声を上げる。そして、立ち上がろうとするが、俺がいるためバランスを崩して俺に抱きつく形となった
「ッ……り、リン君。ちょっと外に……」
「……わかった」
「イル、デナ……」
俺は振り返りながら外に出る。もちろん、剣に手を添えて。リーファは顔を真っ赤にしながらもスペル詠唱を開始。キリトは戸惑い顔だが外に出てくる
「お、おい、どうしたんだよ」
「……ウインデ、スピア!」
キリトが問いかけると同時にリーファの魔法が完成。掲げた手から無数の針が発射され、赤いコウモリに直撃した。コウモリはHPが無くなったらしく、赤い炎に包まれて消えた
「街まで走るよ、リン君、キリト君!!」
「え……また隠れるのはダメなのか?」
「さっき潰したのは高位魔法のトレーシング・サーチャーよ。トレーサーを潰したのは敵にももうばれてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれないよ。それに……さっきのは火属性の使い魔なの。ってことは、今接近しているパーティーは……」
「サラマンダーか!」
「行こう」
俺は無言でうなずき走り出した。しばらく走ると道は開け地底湖が目の前に広がった。俺たちはその地底湖にかかる橋を渡り始める。渡り終わればすぐに中立都市ルグルーに飛び込むことができる
……フラグを立ててしまったかな?
「どうやら逃げ切れそうだな」
「油断して落っこちないでよ。水中に大型モンスターがいるから」
橋の中央にさしかかったとき背後から二つの光が頭上を通過した。それは目の前の地面に着弾し……巨大な岩壁となって道を塞いだ
「やばっ……」
「な……」
俺は翅を使って急制動をかける。キリトは勢いそのままに壁に剣を突き入れるがあっさり弾かれる
「……ムダよ」
「もっと早く言ってくれ……」
「言ってもそのままいっただろうが」
「これは土魔法の障壁だから物理攻撃じゃ破れないわ。攻撃魔法をいっぱい撃ち込めば破壊できるけど……」
「その余裕はなさそうだな……」
「リン君。まだ飛べる?」
「無理……だな。さっきの急制動をかけた時で時間切れのようだ」
俺の種族はインプ。暗闇の中で少しなら飛べるのだが、急制動に使ったため今は飛べない
「飛んで回り込む……は無理。湖に飛び込むのはアリ?」
「ナシ。さっきも言ったけど、ここには超高レベルの水竜型モンスターが棲んでるらしいわ。ウンディーネの援護なしに水中戦するのは自殺行為よ」
「じゃあ戦うしかないわけか」
そう言ってキリトは自身の剣を構える
「それしかない……んだけど、ちょっとヤバいかもよ……サラマンダーがこんな高位の土魔法を使えるってことは、よっぽど手練のメイジが混ざってるんだわ」
「キリト。前衛頼めるか?」
「もちろん」
「じゃあ、リーファ。下がるぞ」
「え?」
「ここは道幅が狭い。キリトがおもいっきり戦うには一人のほうがいい」
リーファはキリトの武器に目をやりうなずいた。そして俺とリーファは壁に背中が触れるぐらいまで下がった
そして、サラマンダーの前衛三人がキリトのレンジ内にはいる。キリトは体をひねり剣を横に一薙ぎした
「セイッ!!」
「えっ……!?」
「なるほどな」
サラマンダーの前衛三人は武器を振りかぶりもせず、持っていた盾を前方に押し出しその陰に身を隠したのだ。対攻撃力の高い敵モンスター用の布陣。タンク型プレイヤーを抜くのはいくらキリトでも難しいだろう
次の瞬間、盾の後ろからスペル詠唱音が響き前衛三人を包む。その三人のHPバーが全快する。さらに多数の火球が現れキリトに直撃し爆発を引き起こした
「キリト君!!」
リーファの回復魔法でキリトのHPは回復する。そして、キリトは再び突貫する。だが、盾の前には無意味だが無駄と知りつつも向かっていくキリトの姿を耐えられないといった風にリーファは叫んだ
「もういいよ、キリト君!またスイルベーンから何時間か飛べば済むことじゃない!奪られたアイテムだってまた買えばいいよ、もう諦めようよ……!」
「諦める?生きるのをか?たかがゲーム……。だがな、俺がいる限りパーティーメンバーは……絶対に死なせない!これは譲れない。……キリト!」
俺はキリトに向かって走りだす。振り返ったキリトと視線が交錯する。アイコンタクトでキリトに合図を送る。キリトは事前に打ち合わせもしていないのにも関わらず俺の意図通り軽く上に飛ぶ
「やっぱりお前は……」
キリトと地面の間に剣を突き入れる。そして、キリトが上に乗った瞬間
「最高のパートナーだ」
剣をおもいっきり振る。キリトの体は宙を舞い相手パーティーの後ろに着地した。どんなパーティーでも同じことだが、後ろには防御力の低いメイジ、ヒーラーがいる。このパーティーも例に漏れずそうだった。その防御力の低いところに高攻撃力のダメージディーラーを送りこむとどうなるか。結果は火を見るより明らかだろう
「うおぉぉぉ!」
相手のパーティーのせいで見えないが、キリトの気合いと相手の断末魔、そしてポリゴンの爆散音が断続的に響く。相手の前衛は驚きのあまり固まっているし……まあ、俺もいらいらがたまっていることだし、全力全壊で行きましょうか
後書き
蕾姫「タイトルふざけました(笑)」
リン「……観てないだろお前」
ユイ「……観てないんですか?」
蕾姫「ほっとけよ。それよりさ、ユイ。"あたしの友達に手ぇ出すなぁ!!"って言ってみて……これ持って」←金属バット
ユイ「えっと……あたしの友達に手ぇ出すにゃあ!!……うぅ……噛みました」
蕾姫「涙目!佐天!最高!」
リン「死ね、ロリコン」
蕾姫「そういえばリンの声優どうしよう?俺的には諏訪部順一さんがいいと思う」
リン「……誰?」
蕾姫「ググれかす」
リン「ガキか貴様」
蕾姫「……リンの声優について意見をください……これだ!っていうのを是非」
リン「結局他人任せなんだな……次回もよろしくお願いします」
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