遊戯王GX 輪廻に囚われし赤
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光と闇の竜
「今日は皆さんの実力を測る為に相手とデッキを交換してデュエルを行なってもらいます」
初日の最初の授業はいきなりのデュエルから始まった。しかも相手とデッキを交換してとは。中々考えられているな。自分のデッキをどれだけ把握していているのかとプレイングを見るのだろう。ということはシンクロを使わないデッキの方が良いだろう。いきなりではどうしようもないはずだ。一番単純な『バニラ』で良いだろう。
「組み合わせはこちらで既に決めてあります」
教師がそう言うとモニターに顔写真が表示されていく。オレの相手は丸藤翔か。丸藤ということは丸藤亮の弟か?
「えっと、よろしくっす。東雲君」
「こちらこそ。それから遊矢で構わない」
丸藤亮とは似ても似つかない丸藤翔とデッキを交換して互いにディスクを構える。
「「決闘」」
今回は後攻か。手札を確認してデッキがビークロイドであることが分かる。そこそこ強力なカードもあるし、これなら十分戦えるな。
「僕のターン、アレキサンドライトドラゴンを召還してカードを2枚伏せてターンエンドっす」
丸藤翔 LP8000 手札3枚
場
アレキサンドライトドラゴン ATK2000
伏せ2枚
「オレのターン、ドロー。サブマリンロイドを召還、サイクロンで右側の伏せカードを破壊する」
破壊されたのは神の警告か。使っておいて正解だな。
「バトルだ。サブマリンロイドはダイレクトアタックが出来る。サブマリンロイドでダイレクトアタック」
サブマリンロイドが水に潜る様に消えたと思うと、少しした後に丸藤翔目掛けて地中から魚雷が発射される。
「うわっ!?」
丸藤翔 LP8000→7200
「そしてサブマリンロイドの効果、戦闘を行なった後守備表示に出来る。カードを1枚伏せてターンエンド」
「うぅ、僕のターン。ジェネティック・ワーウルフを召還して二体で攻撃」
「甘い、罠発動。聖なるバリアーミラーフォース」
丸藤翔のモンスターの攻撃をミラーフォースが反射して全滅させる。
「そんなぁ」
全滅するモンスターを見て丸藤翔が落ち込む。しかも座り込んでのの字まで書き始める。本当に兄と似ていないな。
「それで終わりか?」
「……カードを2枚伏せてエンドっす」
「はあ、オレのターン」
あまりのやる気の無さにこちらまでやる気を無くしてきた。もう終わりにしよう。
「手札から大嵐を発動」
破壊されたカードは神の宣告、ジャスティブレイク、凡人の施し。一応凡人の施しを発動しとけよ。
「手札からパワーボンドを発動。手札に居るスチームロイドとドリルロイド、フィールドに居るサブマリンロイドを融合、来いスーパービークロイド-ジャンボドリル。パワーボンドの効果で攻撃力は倍だ」
スーパービークロイド-ジャンボドリル ATK3000→6000
「ジャンボドリルでダイレクトアタック、この瞬間に手札よりリミッター解除を発動。攻撃力を更に倍にする」
スーパービークロイド-ジャンボドリル ATK6000→12000
「そ、そんな、うわあああああ!!」
丸藤翔 LP7200→0
かなりガッカリな結果に終わった。龍亜よりもひどいプレイングだった。もう少し頑張れよ。というかなんで合格出来たんだ?
デッキを元に戻して教師の指示を待つ。丸藤翔は放っておく。自らの意思で努力しようとしない奴に手は差し伸べない。デュエルが終わった後、あいつは不満を口にするだけでアドバイスを聞こうともしなかった。おそらく1学期持つかどうかすら分からん。
しばらく待っていると再び教師から新たな組み合わせが発表される。相手はブルーの万丈目準か。
「来たか」
「よろしく頼むよ」
見た感じとデッキから伝わる力からかなりの実力者だと分かる。ああ、こいつは強い。おそらくだが、シンクロも使いこなせると思われる。ならば『フルモンスター』を渡そう。
「良いデュエルにしよう」
「来い、東雲遊矢」
「「決闘」」
今度は先攻か。手札を確認してドラゴン族のデッキだと判断する。
「オレのターン、ドロー。モンスターをセット、カードを1枚セットしてターンエンド」
東雲遊矢 LP8000 手札4枚
場
セットモンスター1枚
伏せ1枚
「オレのターン、手札より星見獣ガリスの効果を発動。このカードを公開し、デッキトップを墓地に送り、それがモンスターの場合レベル×200のダメージを与える。デッキトップは邪帝ガイウス、レベルは6、よって1200のダメージだ」
東雲遊矢 LP8000→LP6800
「更にこの効果を発動したガリスは特殊召還出来る。そしてガリスをリリースし、人造人間サイコ・ショッカーをアドバンス召還」
人造人間サイコ・ショッカー ATK2400
「バトルだ。人造人間サイコ・ショッカーでセットモンスターを攻撃」
「セットモンスターは仮面竜だ。効果により、デッキからミンゲイドラゴンを特殊召還」
「ターンエンドだ」
万丈目準 LP8000 手札4枚
場
人造人間サイコ・ショッカー ATK2400
初ターンでサイコ・ショッカーは辛いがなんとかなる。
「オレのターン、ドロー。ミンゲイドラゴンはドラゴン族のアドバンス召還に使用する際、二体分となる。ミンゲイドラゴンをリリースし、ダークエンド・ドラゴンをアドバンス召還」
ダークエンド・ドラゴン ATK2600
「そしてダークエンド・ドラゴンの効果を発動。攻撃力・守備力を500下げて相手フィールド上のモンスター1体を墓地に送る。人造人間サイコ・ショッカーを墓地に送り、バトルだ」
ダークエンド・ドラゴン ATK2600→2100
万丈目準 LP8000→6900
「この瞬間トラゴエディアの効果発動。このカードを手札から特殊召還する。このカードの攻撃力・守備力は手札×600となる。オレの手札は3枚、よって1800だ」
トラゴエディア DEF1800
トラゴエディアか。自分のデッキながら厄介なカードだ。ここは無理にでも除去したいがどうする事も出来ない。
「オレはカードを一枚伏せてターンエンド」
遊矢 LP6800 手札3枚
場
ダークエンド・ドラゴン ATK2100
伏せ2枚
「オレのターン、ドロー。よし、トラゴエディアの効果を発動する。手札よりレベル8の古代の機械巨人を墓地に送りダークエンド・ドラゴンのコントロールを奪う。オレの元に返って来い」
「そうはさせん。罠発動、竜の輝鱗。場のドラゴン族一体を手札に戻し、同じレベルのドラゴン族一体を特殊召還する。光と闇は表裏一体、現れろライトエンド・ドラゴン」
ライトエンド・ドラゴン ATK2600
「躱されたか。ならばトラゴエディアのもう一つの効果を発動。自分のレベルを墓地にいるガリスと同じレベル3にする。そして手札のモンスターを墓地に送りクイック・シンクロンを召還。レベル3トラゴエディアにレベル5クイック・シンクロンをチューニング、シンクロ召還。打ち砕けジャンク・デストロイヤー。効果によってライトエンド・ドラゴンを破壊する」
ジャンク・デストロイヤー ATK2600
「クソっ!!」
「更に手札からマシンナーズ・ギアフレームを召還。効果によりマシンナーズ・フォートレスを手札に加える。バトル、ジャンク・デストロイヤーとギアフレームでダイレクトアタック」
マシンナーズ・ギアフレーム ATK1900
「喰らってたまるか!!罠発動、攻撃の無力化」
「ターンエンドだ」
万丈目準 LP6900 手札1枚
場
ジャンク・デストロイヤー ATK2600
マシンナーズ・ギアフレーム ATK1900
状況は最悪だ。ここまでフルモンスターを扱えるとは思っても見なかった。だが、負けるわけにはいかない。
「オレのターン」
デッキトップに指をかけた所で動きを止める。今指をかけているカード、こいつから力を感じる。そして戦いたくないという思いを感じる。おそらく精霊が宿っているカードだ。それを確認する為にデッキから引き抜く。
「ドロー」
引いたカードは『光と闇の龍』
手札を確認してオレが勝利する為に必要な行動が浮かび上がる。だが、光と闇の龍は万丈目と戦いたくないと訴えてくる。ならばオレに出来る事はこれだけだ。
「ミンゲイドラゴンの効果発動。オレの場にモンスターが存在しないのでこいつを墓地から攻撃表示で特殊召還する。ミンゲイドラゴンをリリースして再び現れろダークエンド・ドラゴン」
ダークエンド・ドラゴン ATK2600
「効果を使ってジャンク・デストロイヤーを墓地へ送り、マシンナーズ・ギアフレームに攻撃。カードを1枚伏せてターンエンド」
ダークエンド・ドラゴン ATK2600→2100
万丈目準 LP6900→6700
遊矢 LP6800 手札2枚
場
ダークエンド・ドラゴン ATK2100
伏せ1枚
手札の2枚は使い様が無い。そろそろ限界が近いな。
「オレのターンだ。スタンバイフェイズ、オレの場に魔法・罠が無い場合黄泉ガエルを墓地から特殊召還出来る。守備表示で特殊召還、そしてリリースして手札から邪帝ガイウスをアドバンス召還」
邪帝ガイウス ATK2400
「効果によりダークエンド・ドラゴンを除外する。さらに闇属性モンスターを除外した場合1000Pの効果ダメージを与える。ガイウスでダイレクトアタック」
「畜生!!詰みやがった」
遊矢 LP6800→5800→3400
「ターンエンドだ」
万丈目準 LP6700 手札1枚
場
邪帝ガイウス ATK2400
「何か来い。ドロー、モンスターをセットしてターンエンド」
遊矢 LP3400 手札2枚
場
セット1体
伏せ1枚
「オレのターン、ドロー。黄泉ガエルを蘇生してリリース、風帝ライザーをアドバンス召還」
風帝ライザー ATK2400
「効果によってセットモンスターをデッキトップへ。二体の帝でダイレクトアタック」
「負けたか」
遊矢 LP3400→0
手札の光と闇の龍に視線を落とす。
お前のご主人様の勝利だぞ。
それが分かっているのか嬉しいという感情が伝わってくる。やはりディスクを通さなければ実体化や精霊化は出来ないみたいだな。
デッキを元に戻して万丈目に手渡す。
「良いデュエルだった、万丈目」
「貴様、オレをバカにするのか!!」
「何の話だ」
「貴様の手札には、光と闇の竜が居たはずだ。なのになぜ召還しなかった!!」
「万丈目、お前は本当に光と闇の竜を信頼してるんだな。だからこそオレは召還出来なかった。こいつはお前とは戦いたくないと訴えかけてきたからな」
「カードが訴える?何をバカな事を」
「本当にバカな事だと、言い切れるか万丈目?」
「それは……」
「信じられないのなら放課後に着いて来ると良い。信じさせてやるよ」
「いや、遠慮させてもらう。本当は分かっているさ。こいつには力があると、昔に一度だけ見た事がある。だけど、自分が情けなかった。一度しかこいつの力を発揮させてやれなかった事に。だから封印しようとすら思った。あの竜を見るまでは」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンか」
「ああ、オレも、いや、オレ達も何時かあの場所まで上り詰める為に、今も共にしている」
万丈目や周囲の人間には見えていないだろうが、オレには見える。万丈目の背後に寄り添う様に光と闇の竜が翼を広げているのを。何か切っ掛けがあれば万丈目は精霊を認識出来る様になるだろう。そう確信した。
「万丈目、お前とは良いライバルに成れそうだ」
「次こそはお互いに自分の最高のデッキで決闘がしたいものだ」
オレが差し出した右手を万丈目が握り返す。
ここに新たな絆が芽生える。
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