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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第六十三話 転校生


小猫のホームステイが始まって数日後二学期が始まり、闇慈のクラスは賑わいを見せていた。
一誠は悪友の松田と元浜と一緒に何やら集まって夏休みの間に何かあったのかを話し合う、集会みたいなものを開いていた。
闇慈はその集会には入らなかったが聞き耳を立てていた。内容は夏休みの間に何人の男子が童貞を卒業したかと言うものだった。

(不味いな・・・。あの事がバレたらクラス全員の男子を敵に回すかもしれない・・・いや。マスコットキャラとして人気の高い小猫ちゃんと知ったら、学校全体になりかねないかも・・・)

闇慈は表には出さなかったが心の中で苦笑を浮べていた。因みに小猫と交わったことはリアスしか知らなかった。ここで一誠が闇慈に話しかける。

「なあ闇慈!お前はどう思う!?」

「えっ?何が?」

「お前はやっぱりエッチしてみたいって思うだろう?」

一誠の言葉と同時に松田と元浜も闇慈に詰め寄っていた。闇慈は少し間を空けると・・・

「・・・まあ。一応男子だからね。憧れたりはするよ」

と答える。一誠はそれを聞くとうんうんと頷き続ける。

「だろう?だからさ昼休みにある紳士の集まりにお前も参加しろよ」

「それは、断らせて貰おうかな。昼休みには小猫ちゃんと一緒に昼食を取る約束をしているからね」

「くぅぅぅ!!エッチは無くてもリア充してるってか!!もう良いぜ!お前なんか知らねえよ!こんちきしょう!!」

闇慈の返答に一誠は相変わらず血涙を流していた。松田と元浜も闇慈の言葉に一誠と同じ羽目になっていた。ここで一誠が爆弾を投下する。

「しかもお前、今は小猫ちゃんと一つ屋根の下だからな!羨ましいぜ!!」

「イッセー!それは!!」

「あ・・・やべっ」

一誠が慌てて口元を押さえたが遅かった。

『何っ!?』

その言葉に男女問わずに反応した。そして濁流のようにクラスメイトが闇慈に押し寄せてきた。

「黒神!どう言う事だよ!?」

「黒神君と小猫ちゃんが一緒に住んでるって本当なの!?」

「何でお前なんだよ!?イケメン死ねぇぇぇ!!」

「と言う事は黒神君と小猫ちゃんはもう・・・」

「ちょっと待って!そんなにいっぺんに言われても答えることなんか出来ないよ!!」

闇慈がクラスメイトの質問に答えることが出来ずにアタフタしていると担任の教師が入って来た。

~~~~~~~~~~~~

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな仲間が増えます」

ホームルームが始まってまず最初に行われたのは転入生の紹介だった。

「じゃあ、入ってきなさい」
そして先生の呼びかけと共に入室してきたのは栗毛のツインテールの美少女だった。

『おおおおおおおおお!!!』

大半の男子は歓喜の声を上げるが、闇慈を初めに一誠、アーシア、ゼノヴィアにはその娘に見覚えがあった。首から下げている十字架を見て間違いないと感じた。

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

転校生の正体はエクスカリバー強奪事件の時にゼノヴィアと一緒に居た『紫藤イリナ』だった。

~~~~~~~~~~~~

「ちょっと来てくれ」

休み時間、一誠が男子や女子から質問攻めを受けているイリナの手を引き、闇慈、アーシア、ゼノヴィアと共に人気のない場所へ連れ出した。
ここで彼女の事を説明に入るが、紫藤イリナは一誠の幼馴染みで、幼少時に外国へ引っ越し、プロテスタント専属の聖剣使いになったらしい。以前のエクスカリバー強奪事件以来会っていなかったが、こんな形で再会するとは誰も思っていなかっただろう。

「おひさ~、イッセー君、アンジ君、それにゼノヴィアも!」

そしてガバッとイリナがゼノヴィアに抱きついた。

「ゼノヴィア!元気そうで良かった!立場上複雑だけど、素直に嬉しいわ!」

「ああ、久しぶりだね、イリナ。元気そうで何よりだよ。イリナが胸に下げた十字架がチクチクと地味なダメージを与えてくるのは天罰だろうか・・・」

元聖剣コンビの再会にゼノヴィアも笑みを見せていた。
しかし1人だけ顔をしかめている人が居た。それは闇慈だった。闇慈はイリナがアーシアを侮辱したことをまだ根に持っているらしく、さらに勝手に名前で呼ばれたことに少し苛立ちを覚えたようだ。

「紫藤さん・・・でしたね?神の事しか頭にない貴女がどうして悪魔の学び舎にいるんですか?そして僕は貴女から名前で呼ばれる程親しくはないですよ・・・」

闇慈の少し殺気立っている言葉にイリナは少し怯えているようだった。ここで一誠が闇慈に促す。

「お、おい、闇慈。そんな言い方って少し言い過ぎだと思うぜ?それにもう天使と悪魔はもう協力しあってるんだぜ?名前で呼ばれる位いいじゃねえか」

「確かに。でも僕は『仲間』の事に関することはどうしても見過ごす事が出来ない性格だから」

そして再びイリナを見る。

「紫藤さん。転校早々こんな事言われて嫌かと思いますけど、アーシアに謝ってもらえませんか?」

「・・・そうね。確かに私もあの時は言い過ぎたもんね」

そう言うとイリナはアーシアの方を向き、頭を下げる。

「ゴメンなさい、アーシアさん。私は貴女の心を侮辱してしまいました」

その言葉を聞くとアーシアはイリナの手を取り・・・

「これから、よろしくお願いしますね」

と笑顔を浮べながらイリナと挨拶を交わした。アーシアがイリナを許したのを聞くと闇慈は土下座をしてイリナに謝った。

「ゴメンなさい、紫藤さん。あんな事を平然と言ってしまって」

「ちょっと、頭を上げてよ!私が悪いんだから!」

イリナのアタフタしている行動を見て、闇慈は立ち上がり、イリナと向き合った。

「・・・なら、これでおあいこですね。僕の事は『アンジ』って呼んで下さい」

「うん。なら私のことも『イリナ』って呼んでよ、アンジ君」

その言葉に闇慈はイリナに右手を差し出す。

「分かった。これからよろしくね?イリナ」

「うん♪アンジ君」

さっきの緊迫した空気は何時の間にか無くなり、闇慈とイリナは握手を交わした。そしてそれを確認した一誠がイリナに尋ねる。

「なあ。どうして駒王学園(ここ)に転入したんだ?」

「ミカエル様の命により使いとしてここに転校してきたの。詳しくは放課後に。場所は噂の旧校舎で、ね?」

イリナはウィンクをしながら一誠に答えていた。
 
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