ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第六十四話 天使化
「紫藤イリナ。あなたの来校を歓迎するわ」
放課後、オカルト研究部メンバー全員を初め、アザゼル、そしてソーナが集まってイリナを迎え入れていた。
「はい!皆さん!初めまして・・・の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会・・・いえ、天使様の使者として駒王学園に馳せ参じました!」
イリナの自己紹介に部員全員が拍手を送る。その後はイリナが「主への感謝~」とか「ミカエル様は偉大で~」等と話し始め、皆は苦笑しながらも聞いていた。
ここで闇慈が疑問を浮べていた。
(イリナって神が死んでいる事は知っているのかな?もし知らなかったら教えてあげるべきなのかな?でも、それがショックで落胆しそうだし・・・)
闇慈が心の中で意見を噛み合わせていると、アザゼルが逸早くそのことを口にした。
「お前さん、聖書に記された神様が死んだ事は知ってるんだろう?」
それに一誠が突っ込みを入れる。
「先生ぃぃぃ!いきなりそれはいかんでしょう!!」
「アホか。ここに来たと言う事は、そういうのを込みで任務を受けてきた筈だ。いいか、この周辺の土地は三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の1つだ。ここに関係者が来ると言う事は、ある程度の知識を持って足を踏み入れている事になる」
「勿論です、堕天使の総督様。安心して、イッセーくん、私は主の消滅を既に認識しているの」
「イリナってタフなんだね。あれだけ神の事を信仰していたのにショックで倒れるんじゃないかって思ったよ?」
闇慈の言葉を聞いたイリナは涙を大量に流し始めた。
「ショックに決まっているじゃなぁぁぁい!心の支え!世界の中心!あらゆる物の父が死んでいたのよぉぉぉ!?全てを信じて今まで歩いてきた私なものだから、それはそれは大ショックでミカエル様から真実を知らされた時、あまりの衝撃で7日7晩寝込んでしまったわぁぁぁ!!あああ、主よ!!」
イリナはテーブルに突っ伏して大号泣し始めた。闇慈はこの時『口は災いの元』と言う言葉を大きく実感したみたいだ。
「分かります」「分かるよ」
信者のアーシアとゼノヴィアは共感し、3人で抱き合う。その光景は過去のわだかまりを消し去ってくれるようなものだった。
少し抱き合った後、力を読み取る事の出来る闇慈がイリナに質問する。
「イリナ。君は何時からそんな力を手に入れたの?初めて会った時とは比べ物にならない。そして君からはミカエルさんと同じような気配を感じるよ?」
その問いかけを聞いたイリナは立ち上がり、祈りのポーズをする。すると彼女の体が輝き、背中から白い翼が生えた。全員はその事に驚くが、アザゼルだけは顎に手をやりながら冷静に聞く。
「・・・紫藤イリナと言ったか。お前、天使化したのか?」
「天使化?そんな現象があるんですか?アザゼル先生」
闇慈がアザゼルに聞くとアザゼルは肩をすくめ、首を横に振る。
「いや、実際には今まで無かった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが・・・」
「はい。ミカエル様の祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いていた技術を転用してそれを可能にしたと聞きました」
三大勢力はここまで伸展させることが出来たみたいだった。そして今この場に悪魔、天使、堕天使が揃っていた。更にイリナが話を続ける。
「四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた10名の方々は、それぞれA(エース)からクイーン、トランプに倣った配置で[御使い]『ブレイブ・セイント』と称した配下、12名を作る事にしたのです。カードで言うキングの役目が主となる天使様となります」
「なるほど。[悪魔の駒]『イービル・ピース』の天使バージョンって所かな。これって将来は悪魔と天使におけるレーティングゲームみたいなものが完成されるじゃ?」
闇慈の考えと推測にアザゼルは共感の意を示した。
「お、それ良い考えだな。それが実現したら面白い事になりそうだ。しかし実現するのは10年か・・・もしかしたら20年後になりそうだな」
そんなこんなで話が盛り上がっているとソーナが話を切り替える。
「その辺りの話はここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」
そしてその後、他の生徒会のメンバーもオカルト研究部の部室に呼ばれ、イリナの歓迎会が執り行われた。
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