ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十二話 帰宅
レーティングゲームが終了し数日後、怪我が回復した部員たちは人間界に戻るべく身支度を整えていた。そして家に帰るとやらなければならないことがあった。
小猫のホームステイの許可を両親から得ることだ。
闇慈は小猫ととの関係をもっと良くしたいとリアスに尋ねた所、ホームステイの案を出した。小猫も顔を赤らめながら闇慈の家にホームステイがしたいと頼んだ。
そして身支度が整うと闇慈は荷物を持ち、まずは執事のイロハを教えてくれた熟練執事・・・リグナスの元にやってきた。リグナスは黒髪で少し髭を生やした中年の男性だが、ダンディで中々イケメン執事である。
「失礼します、リグナスさん」
「お、アンジじゃないか。もう人間界に帰るのか?」
「はい。夏休みも終わりますし、それに・・・」
「お前の彼女さんの事か?」
図星を付かれた闇慈は顔を赤らめながら、「はい」と答える。それを見たリグナスはふっと笑うと・・・
「塔城小猫さんだったか?あの方は辛い思いをしてきたからな。お前ならその思いを取り除くことが出来ると思う」
「僕に出来るでしょうか?」
闇慈が疑問に思っているとリグナスがそれを答える。
「執事ってのは主にただ仕える者じゃない。その人達に仕え、幸福を与える者だ。お前にも教えた筈だが?」
「それは貴方が教えてくださったので覚えています。それに何か関係が?」
「それはまたここに来た時までの宿題とする。お前の答え・・・楽しみにしているぞ?」
そう言うとリグナスは仕事に戻っていった。闇慈も時間が迫ってきた事を確認すると急いでリアス達の元に急いだ。
~~~~~~~~~~~~
闇慈達はグレモリー家の家族や従者達に見送られ、再び来た時に乗った列車に乗った。
一誠は相変わらず小猫を除いた女子達に囲まれていた。
しかし闇慈はそんなことも目も暮れずにリグナスのあの言葉を考えていた。
(執事は主に幸福を与える者。それは知っているけど小猫ちゃんとの関わりにどう言った関係が?)
闇慈が1人でその答えを考えていると人の気配を感じ、闇慈がその方を向くと・・・
「ん?・・・あ、小猫ちゃん。どうしたの・・・」
「にゃ~ん♪」
猫耳と尻尾を生やした小猫が可愛らしい満面の笑顔を浮べながら立っていた。そしてチョコンと闇慈の膝の上に座った。
(これってもしかして・・・リアス先輩が言っていた猫又の副作用!?さっきまで出てなかったのに今頃出てくるなんて・・・でも)
「にゃんにゃん♪」
小猫は本当の子猫ように甘え声を出しながら頬擦りをしてくる。闇慈も子猫をあやす様に喉元や頭を撫でる。
「にゃふ♪」
(なに?この可愛い小動物は・・・?)
闇慈は小猫の一つ一つの反応で何かに目覚めそうな感覚に陥った。そして闇慈はその笑顔を見ていると彼も笑顔になっていった。
(小猫ちゃんは今とても『幸せ』なのかな?今まで見せた事無い笑顔を僕に見せてくれる・・・ん?幸せ?・・・・・・はっ!!)
闇慈はリグナスの言っていたことの意味が分かったのかハッとした表情を浮べた。小猫は気になったのか首を傾げるように闇慈を見た。
「にゃふ?」
「分かったよ。リグナスさんの言っていたことが。執事は主を思い、幸福を与える者。そして男性は女性の事を思い、幸せにする。・・・こんな簡単なことに気付かないなんて」
闇慈はそう呟くと小猫を優しく抱き締めた。
「ありがとう、小猫ちゃん。君のお陰で改めて気付く事が出来たよ」
「にゃん♪」
~~~~~~~~~~~~
そして列車は人間界の地下ホームに着いた。闇慈と一誠は背伸びをして体を伸ばしていた。しかし一誠がアーシアに振り返ってみると、アーシアは謎の優男に言い寄られていた。
「アーシア・アルジェント・・・。やっと会えた」
「あ、あの・・・」
「おいおいおい!アーシアに何の用だ!」
一誠はすぐに2人の間に割って入る。そして闇慈はその優男の顔を思い出していた。
「あれ?彼って現ベルゼブブが出た家の次期当主『ディオドラ・アスタロト』さん?」
その事を聞いた一誠は思い出したのか、ああ!!と声を上げる。
そしてアーシアは覚えの無いことを言っていたがディオドラの胸元にある大きな傷を見て思い出したのか目を見開く。
これではっきりした事は、ディオドラ・アスタロトは過去にアーシアが助けた悪魔でアーシアが教会を追放される切っ掛けとなった悪魔だった。
「アーシア、僕はキミを迎えに来た。会合の時、挨拶出来なくてゴメン。でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。僕の妻になって欲しい。僕はキミを愛しているんだ」
(なっ!!)
ディオドラ・アスタロトは闇慈達の目の前でアーシアに求婚した。
ページ上へ戻る