ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第六十一話 戦乙女
ソーナとのレーティングゲームが終了し、結果は闇慈のキングテイクによりリアスの勝利となったが、陣営はギャスパー、ゼノヴィア、アーシア、一誠と半数を取られてしまい、ゲームに圧倒的と言われていたグレモリー眷属は評価を下げてしまった。
特に開始早々ギャスパーを失った事と、赤龍帝の力を宿した一誠がやられた事に上は評価を下げられたみたいだ。勝利を収めたものの、腑に落ちない結果となってしまった。
(ギャスパーは僕のせいだな。無理に徘徊させてしまったことによってすぐにやられてしまった・・・)
闇慈は歯ぎしりをしながら一誠達がいるであろう、病室に足を運んでいた。そしてその途中、身に鎧を包んだ銀髪の女性が立っていた。
(誰だろう?グレモリーの従者ではなさそうだし・・・。でも気品のある綺麗な人だな)
闇慈が疑問に思っているとその女性が闇慈に近づき、挨拶をし始めた。
「はじめましてですね。黒衣の死神」
「あ、はい。はじめまして。僕の名前は知れ渡っているみたいですね。貴女みたな『綺麗』な方が僕に何かご用ですか?」
「き、綺麗ですか?私が?」
「はい」
闇慈は紳士スマイルでその女性を褒めると何故かその女性は俯き、体を震わせ始めた。
(あれ?僕・・・変な事、言ったかな?)
「うわぁぁぁん!その様な事は・・・生まれて初めて言われましたぁぁぁ!」
「えっ!?ちょっ!!僕何か変なことを言いましたか!?それよりも、貴女は?」
「・・・すみません。取り乱してしまいました。私はヴァルハラ神族にお仕えする[戦乙女]『ヴァルキリー』の『ロスヴァイセ』と申します」
「ご丁寧にありがとうございます。僕は黒神闇慈です。どうぞお見知りおきを」
「はい。では後程お会いしましょう」
ロスヴァイセと名乗った女性は一礼するとその場を後にした。
(ヴァルキリーのロスヴァイセさんか、綺麗な人だったな。でもそれよりもヴァルハラ・・・確か北欧神話の最高神『オーディン』の住む城だった筈)
頭の中を一度整理すると一誠達がいる病室に辿り着いた。そしてノックをすると病室に入った。その中には一誠とリアスが居た。
「イッセー。大丈夫?」
「大丈夫だぜ。血を抜かれたけど、すぐに輸血されて今ではピンピンしてるぜ?」
「なら良かったよ」
「結局。またアンジに助けられてしまったわね。ソーナはどうだったかしら?」
リアスが質問すると闇慈は顎を右手に乗せ、真剣な表情を浮べた。
「手強かったです。ソーナ会長はパワーで攻めると言うよりも、チェスのように自分の手駒を自由自在に操り、敵を翻弄しつつ倒す。明鏡止水の無効化が無かったら、さらに厳しい戦いになっていたでしょうね」
「お前って次々と新技を生み出すよな?でもお前にも見せてやりたかったよ。俺の新必殺技を」
「新必殺技?」
闇慈は一誠の言葉の意味に首を傾げると一誠は新必殺技の内容を話し始めた。
一誠の新必殺技[乳語翻訳]『パイリンガル』。女性の胸の声を聞くと言う色んな意味で危険な技である。闇慈がソーナの相手をしている間に一誠達は椿姫率いるシトリー眷属3人と対峙し『パイリンガル』でソーナの策を見破ったらしい。
闇慈はやはりかと思わせるように右手で頭を抱えていた。
「それって・・・ある意味凄い技だね?イッセー」
「だろう?だろう!?」
「でもイッセー、ゲーム時には封印よ」
「えぇぇぇぇぇ!?何でなんですかぁぁぁ!?」
「確かに相手の戦術や考えている事を読み取るのは凄い事だけど、女性限定だしね。それにそのままだと女性悪魔と戦えなくなってしまうよ?」
一誠はガクっと落胆してしまうが闇慈が・・・
「実戦では大いに使えると思うよ?」
と言った所、何とか持ち直したみたいだった。ここで一誠が口を開く。
「でも勝てて良かったぜ」
「そうだね。でもこっちもイッセーやアーシア、ゼノヴィア、ギャスパーと半分も取られてしまった。いくら強力な眷属がいても本番で力を発揮出来なくちゃ意味が無い。幾らゲームで勝ったとは言ってもまだ僕たちには見直すべき点が何点かあるよ。それに・・・」
闇慈は真剣な眼差しでさらに続ける。
「僕は眷属じゃない。だからいつ出場出来なくなるか分からない」
「ええ。でも、朱乃と小猫、2人がこの試合で自身の壁を越えてくれた。こんなにも喜ばしい事はないわ」
朱乃は『雷の巫女』から『雷光の巫女』に、小猫は猫又の力を解放した。曖昧な勝利となったがこれは本当に嬉しい事だった。闇慈も小猫の猫又の力を解放し、受け入れた事は安堵していたみたいだ。3人が微笑みあっていると・・・
コンコン・・・
と病室のドアがノックされ、一誠が返事をすると入ってきたのは帽子を被った白いヒゲを生やした隻眼の老人だった。
「じいさん、誰っスか?」
(隻眼の老人で、この力の強さ・・・それにさっきのロスヴァイセさんと言い、もしかしてこの人は・・・)
一誠は何者か分からずに普通に接していたが、闇慈は正体が誰なのかすぐに分かったみたいだった。
「わしは北の田舎ジジイじゃよ。赤龍帝。お前はもう少し修行が必要みたいじゃな。まあ、精進せい。そして・・・」
老人がヒゲを擦りながらイッセーを励ますと今度は闇慈の方を見た。
「黒衣の死神。お前の頭のキレと良い、戦術はわしも興味深いぞ?これからもその力を失わせるようなことがないように精進せい」
闇慈はその老人に執事挨拶を交わし、言葉を発する。
「まさか北欧神話の最高神にお褒めの言葉が頂けるなんて思いもしませんでしたよ?・・・『オーディン』様」
「ほっほっほ。一目見てわしの正体を見破るとは、この先が楽しみじゃな」
「僕は世界神話を愛読していますので貴方のことはよくご存知です」
闇慈とオーディンらしき老人は会話を進めているがリアスが隣から入る。
「オーディン様ですね?初めてお目にかかります。私、リアス・グレモリーですわ」
「なあ、闇慈。このじいさん誰?」
「北欧神話は知ってるよね?それに登場する最強最高神、オーディン様だよ」
その事に一誠は驚愕の表情を浮べる。北欧神の中で最強と謡われるオーディンが目の前にいることに驚いたのかもしれない。
「サーゼクスの妹じゃな。試合見ておったぞ。お主も精進じゃな。しかし、ううむ・・・デカいのぉ。観戦中、こればかり見とったぞい」
オーディンはリアスの胸をいやらしい目付きで見る。その様子に気付いた一誠は猛抗議しようとしたが、いつの間にか入室していた銀髪の女性がハリセンで・・・
スパーン!!
とオーディンを叩いた。そのスピードは闇慈も賞賛するものだったみたいだ。
「もう!ですから卑猥な目は禁止だと、あれ程申したではありませんか!これから大切な会談なのですから、北欧の主神としてしっかりしてください!」
「まったく、隙の無いヴァルキリーじゃて。わーっとるよ。これから天使、悪魔、堕天使、ギリシャのゼウス、須弥山(しゅみせん)の帝釈天(たいしゃくてん)とテロリスト対策の話し合いじゃったな」
オーディンが頭を擦りながら半眼で呟く中、闇慈はその女性を思い出していた。
「あれ?貴女は・・・ロスヴァイセさん?」
「またお会いしましたね」
「なんじゃお主、死神の小僧と会っておったのか?」
「はい。オーディン様をお待ちしていた際に」
それを聞いたオーディンはロスヴァイセにエロい顔で問いかけた。
「ほうほう。お主はこう言った好青年を好むのかのぅ?しかし、お主のような生真面目で堅い奴には無理じゃな。数年かかっても勇者の1人、2人出来んじゃろうて」
オーディンが嘆息しながら言うと、ロスヴァイセは瞳を潤ませながら叫んだ。
「ど、どうせ私は彼氏いない歴=年齢の戦乙女(ヴァルキリー)ですよ!好きで処女やってる訳じゃなぁぁぁいっ!私だって、か、彼氏が欲しいのにぃぃぃっ!うぅぅ!」
ロスヴァイセはオーディンの攻め言葉にとうとう膝を付き、泣き出してしまった。それを見た闇慈はお人好しの性格が出てしまったのかロスヴァイセの元に跪くと手を取った。
「え・・・?」
ロスヴァイセは泣くのやめると手を取った闇慈の顔を見た。
「大丈夫ですよ、ロスヴァイセさん。貴女は清楚可憐なヴァルキリー。だからもっと自分に自信を持って良いんです。それに・・・」
闇慈は再びあの紳士スマイルでロスヴァイセにこう言った。
「僕は、真面目な女性は・・・嫌いじゃないですよ?」
それを聞いたロスヴァイセは闇慈の言葉が嬉しかったのか再び涙目になると・・・
「アンジさん・・・アンジさーーん!!」
「うわっと!?ロスヴァイセさん!?」
「うわぁぁぁん!!」
闇慈に飛び掛り、周りの人事関係なく、声を張り上げて泣いた。闇慈はしばらくの間、撫でるなどでロスヴァイセをあやした。
(やれやれ、あの生真面目ヴァルキリーにもようやく春の到来かのぅ?)
オーディンはそれをニヤニヤと見ていたそうだ。そしてオーディンとロスヴァイセはその病室を後にした。ここで一誠が闇慈に尋ねる
「なあ・・・闇慈」
「何?イッセー」
「お前・・・何時女を口説くの上手くなったんだ?」
さらにリアスが続ける。
「そうね。落ち込んでいる時にあんな事言われたら、誰だって落ちるわよ?」
「ちょっと待って!?僕は慰めているだけで、口説いているつもりはなかったよ?」
「「でもあれ・・・絶対に落ちたぜ(わよ)?」」
「えぇぇぇ!?」
「「ドンマイ」」
闇慈はorz状態に入ってしまったそうだ。
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(アンジさんかぁ・・・素敵な男性。私にも春が来た!!仲間にも自慢しないと!!)
ロスヴァイセは一誠とリアスの言う通りに落ちていた。
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