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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第六十話 水芸と決着


「不味いですね。彼・・・黒神闇慈君がここまでやるなんて」

ソーナは屋上で眷属のナイトとルークをあっさり倒してしまうと言うその力に苦虫を噛むように表情を浮べていた。

「私も移動した方が良いかもしれない。ここもバレるのも時間の問題・・・」

「その必要はないですよ?ソーナ会長」

ソーナは声のした方を見ると闇慈が死神姿で扉にもたれ掛かりながら腕を組んでいた。そしてゆっくりとソーナに近寄った。

「どうしてここが?」

闇慈は近寄りながら自分の推理を口にし始めた。

「ソーナ会長・・・いや、キングの役割は駒達に指示を出す、言わば司令塔。戦闘があっているデパート内に姿を眩ませるのも良い戦法かもしれませんが、それだと巻き添えを喰らう事になるかもしれない。また本陣で指令を出している事も考えましたがイッセーの・・・ポーンのプロモーションの事を考えるとそれは悪手となる。ましてやロンギヌスを持っているポーンにはね」

闇慈の推理を聞いているソーナは驚いたのか表情は変えなかったが一筋の汗がこめかみを流れる。

「巻き添えを喰らわないで指令を出す絶好の場所・・・それは全てを見渡す事の出来る屋上(ここ)だと思いましてね。それにここは敵と遭遇しても逃げる方法も一通りではない。そしてこの少し広いスペースにより戦闘でも障害物の無い、全力に近い戦闘を行う事が出来る。どうですか?ソーナ会長」

「そこまで読んでいたなんて、流石ですね・・・黒神君」

「それともう一つ言って置きますけど・・・俺は『ルール』でやられるほど甘くは無いぞ」

闇慈は足を止め、声を厳しい口調に変えてソーナに声をかける。

「匙がアブソーブション・ラインを通してイッセーの魔力の他に、『血』を少しずつ抜いていた事は知っている。そして多くの血を失ったイッセーはリタイアせざるを得ない。・・・『力』で倒さずに『知識とルール』で倒そうとするその戦術には正直、恐怖心を抱いたが・・・」

闇慈はデスサイズ・ヘルを取り出すとその刃をソーナに向けた。

「倒された仲間のためにも俺は・・・貴様を倒す!!」

「・・・良いでしょう。ならば私も本気で相手をしましょう!!」

そう言うとソーナが水のオーラを操り始め、様々な形を成して行った。空を舞う『鷹』、地を這う『大蛇』、勇ましい『獅子』、群れを成す『狼』。

「さあ始めましょう!!私の水芸、とくと披露して上げましょう!!」

「これだけの水の(つわもの)を作り出すとは・・・相手にとって不足は無い!!さあ・・・貴様に『死』を見せてやる!!」

闇慈は背中に翼を具現させ、ソーナに斬りかかった。しかしまずは『狼』達が闇慈に噛み付こうと飛び掛る。闇慈はそれを一体一体、噛み付きを避けながら斬り裂いて行った。

「これで最後だ・・・っ!!」

闇慈が最後の狼を斬り裂いた途端、一匹の『大蛇』が闇慈を丸呑みにせんと噛み付いてきた。闇慈はそれを飛んで回避すると今度は『鷹』が闇慈目掛けて風のように飛んで来ていた。

「ぐっ・・・」

反応が遅れたせいか、口ばしが闇慈の腕を掠める。そして少し血が飛び散った。闇慈が一旦地面に着くとこれを狙っていたかのように『獅子』が飛び掛った。

「これで終わりです!!」

「まだだ!!・・・ダークネス・ハウリング!!」

闇慈は飛び掛ってきた獅子に向かって、倒せる位まで魔力を即座に溜めたダークネス・ハウリングを放ち、獅子を消し去った。

「流石と言った所だな。俺の行動の一つ一つを先読みし、兵を操っている。・・・戦術ならリアスより上だな」

「この布陣を掻い潜るなんて、貴方も『黒衣の死神』を名乗っているだけのことはありますね」

「伊達にコカビエルやカテレアを倒した名を語ってはいない」

しかし闇慈にとってはこれはジリ貧だった。例え相手の水の魔物を倒しても次々と復活してしまう。そしてあの布陣を何回も避けられるものではなかった。

(ソーナ会長は辺りに散らばっている水からあの魔物達を無限に作り上げ、僕が倒した所で何回も復活する!!となるとやっぱりソーナ会長自身を倒すしか無い。しかしそれをあの魔物達が邪魔する・・・攻守ともに隙が無い。流石戦略的キング、ソーナ・シトリー)

闇慈はデスサイズ・ヘルを消し、身持ちを軽くすると明鏡止水を発動させ、黒いオーラを両手足に纏わせる。

「ここからは格闘で戦う」

「それは無謀です。私の魔物達は『水』で出来ています。デスサイズ・ヘルの時はその能力のお陰で倒す事は出来ましたが、ただの『物理攻撃』は効きません」

「・・・試してみるか?」

闇慈がニヤリと笑みを浮べると足に魔力を溜め、光速に近いスピードでまずは『狼』の群れから蹴散らす。明鏡止水のオーラを纏っている拳と蹴りが狼の体を突き抜けると魔力が『無効化』され、狼達は唯の水へと帰っていった。

「そんな・・・私の魔物達が」

異様な出来事にソーナは動揺していた。そして指令を忘れている隙に『鷹』と『大蛇』も無効化させた。そして最後に先ほどとはとは比べ物にならないほどの魔力を練りこみ、小さな黒い球体を作り・・・

「・・・全てを深淵なる闇に引きずり込め!!ダークネス・ハウリング!!」

右の正拳を球体に当て、破裂させると極太のレーザーが無効化した水と『獅子』を飲み込んだ。その衝撃はソーナ自身にも届き、吹き飛ぶと地面に倒れ付した。

「ぐっ!!まだ・・・あっ!!」

チャキ・・・・

ソーナが立ち上がろうとするとデスサイズ・ヘルの刃を首元に突き付けていた。そして突き付けている闇慈の姿と真紅の魔眼にソーナは『死』の恐怖を抱いた。

「ここまでだな?」

「参り・・・ました・・・」

『ソーナ・シトリー様の投了(リザイン)を確認しました。このゲームはリアス・グレモリー様の勝利です』
 
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