スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
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第百三十七話 いざ!囚われの乙女の救出に
第百三十七話 いざ!囚われの乙女の救出に
「アレンビー、怪我はもういいの?」
「うん」
レインがアレンビーに声をかけていた。彼女は至って平気な様子であった。
「あれ位はね。何でもないわ」
「そう、よかった」
「流石はガンダムファイターだな」
「ああ、全くだ」
真吾とキリーはそんな彼女を見て感心していた。
「身体は強くても心は乙女ってね」
「ちょっとレミー」
アレンビーはレミーにクレームをつけながらも悪い顔はしていなかった。
「そんなのじゃないよ」
「あら、そうなの」
「そうよ。あたしは別に」
「おやおや、その割には」
真吾が言う。
「顔が赤くなってるぜ、お嬢様」
「えっ!?」
キリーの言葉に動揺を見せる。
「そうかな。それは」
「まあまあ。それがいいんだから」
レミーがフォローを入れる。
「何はともあれ無事で何よりだったわ」
「そうだな。一時はどうなるかと思った」
「全く。スリル満点なんてものじゃなかったぜ」
真吾もキリーも真顔になった。
「無事で何よりよ。それでね」
レミーはレインに話を振ってきた。
「どうなの?ドモンのお兄さん達は」
「シュバルツさんは身体の怪我だけだったしサイボーグだからそんなには」
「そうなの」
「ってあの人サイボーグだったのか」
「何か異様に納得できるな」
真吾とキリーはそこに驚いていた。
「ただ。キョウジさんは」
「かなり弱ってたからね」
「もう少しで本当に命がなくなるところだったわ」
レインは俯いて述べた。
「皆お父様のせいで」
「まあまあレイン」
キリーが彼を慰めてきた。
「ミカムラ博士はミカムラ博士、御前さんは御前さんだぜ」
「キリー・・・・・・」
「そういうことだ。だから気にするな」
「私達なんかそんなこと気にしていられないしね」
レミーも言った。
「そうだな。グッドサンダーチームは何時何処に行くかわからなかった」
真吾も述べる。
「そんな俺達だ。だからな」
「そうね。私忘れるわ」
レインは顔を上げてきた。
「お父様は許せないけれど」
「そういやあれだろ?」
アキラが言ってきた。
「ミカムラ博士は本国に送り返されるそうだな」
「ああ、裁判にかけられることになった」
ケンジが彼に述べる。
「おそらく死刑は免れないな」
「死刑か」
「自業自得だ」
ナオトの言葉は辛辣だった。
「嫉妬で親友を陥れて多くの犠牲者を出したんだ。最低の下種野郎だ」
「ちょっとアキラ」
ミカがレインを気遣って彼を注意する。
「そんなこと言ったら」
「いいのよ」
だがレインはそれを咎めたりはしなかった。
「私も同じことを思っているから」
「そうなの」
「それでウルベ少佐も死刑なのか」
「当然だな」
ナオトはアキラにそう返した。
「間違いない。既に本国ではその身柄を拘束されている筈だ」
「そうだな。これで一件落着だ」
「何だ、ネオ=ジャパンに向かう必要はないんだ」
ナミダがそれを聞いて言った。
「じゃあこのままザフトだね」
「ああ、そうなる」
タケルが言う。
「いよいよか。宇宙での戦いがまた」
「今度もかなり激しい戦いになるぞ」
ケンジが皆に対して言った。
「ザフトにネオ=ジオン」
「そしてティターンズ」
ミカがそれに続く。
「彼等との最後の戦いだ。皆用意はいいな」
「おいおい、何を今更」
イサムがそれに対して言い返す。
「俺達は何時だって臨戦態勢だろ?」
「そうだ。だから」
ガルドも言う。
「敵に向かう。それだけだ」
「そうだな。じゃあ宇宙に行く準備が出来たなら」
「総員出撃だな」
「そういうことね」
グッドサンダーチームの面々がしめる。彼等はいよいよ宇宙に向かおうとしていた。
その時デビルガンダムはネオ=ジャパンの作業班により回収されていた。レインはそこにロンド=ベルの立会人として来ていた。
「デビルガンダムもこれで全部ですね」
「はい」
作業員の一人がそれに応える。
「後はこれをコロニーに戻して処分します」
「そうなの」
「それでですね」
作業員は言う。
「最後にチェックをお願いできるでしょうか」
「私が?」
「はい」
彼は答えた。
「ロンド=ベルの代表として。いいでしょうか」
「ええ。それでしたら」
パイロットでもあり博士号も持つレインはかなり地位が高いとされているのである。だからこうして声をかけられたのである。
「デビルガンダム回収後に」
「はい」
こうしてデビルガンダムが回収され皆巨大シャトルの中に入った。レインはその中でデビルガンダムの残骸を見上げていた。周りには作業員達がいる。
「こうして見ると本当に」
作業員の一人が言う。
「でかいですね」
「そうですね。これは成長する兵器だから」
「ええ」
レインの言葉に頷く。
「あってはならない兵器だから。それは」
「そうかも知れませんね」
「それでお父様・・・・・・いえミカムラ博士は」
「既にこのシャトルの中に収監しました」
別の作業員が言ってきた。
「本国で裁判を受けます」
「そうなの」
レインはそれを聞いて少し寂しげで悲しげな顔をしたがそれは一瞬で消えた。
「そしてウルベ元少佐にも追っ手が向けられています。拘束は時間の問題です」
「そうね。これで全部終わりなのね」
そう言った時であった。異変が起こった。
「いや、まだ終わりではないのだ」
「!?」
「誰だ!?」
「フハハハハハハ!私だ!」
突如として高笑いが起こった。そして作業員達が次々と薙ぎ倒されていく。
「誰!?」
「私だ!」
何とそこにはそのウルベがいた。軍服のままでそこに不敵な笑みと共に立っていた。
「何故貴方がここに」
「真相がわかるのは予想していたのだよ」
彼は言う。
「だからこそここに潜んでいたのだ」
「貴方はもう逮捕されることが決定しているのよ」
レインは彼に対して言う。
「それでどうしてまたここに」
「逮捕!?私をか」
だが彼はその言葉に冷笑を以って返した。
「戯言を言う」
「戯言ですって!?」
「そうだ、私は今から全てを超越する力を手に入れるのだからな」
彼は断言してきた。
「今からな」
「それはまさか」
レインの顔が強張る。
「そう、そのまさかだ」
言いながらデビルガンダムの残骸を見上げていた。
「このデビルガンダムを。今こそ手に入れるのだ。そして」
さらに言葉を続ける。
「世界を。全てを手に入れるのだ」
「無駄よ!」
レインはそれに反論する。毅然として彼と向かい合っていた。
「このガンダムはもう動かないわ。コアももういないわ」
「コアか」
しかしウルベはその言葉にも冷笑を以って対してきた。
「コアなら既にいる」
「それは一体」
「デビルガンダムのコアには本来男は不向きだったのだ」
「どういうこと!?」
「このガンダムは何もかも生み出し増殖する」
彼は言った。
「そう、生み出すのだ。すなわち」
言いながらすすす、と前に出る。それは熟練の格闘家の動きであった。
「うぐっ!」
レインの腹に当身を浴びせた。それでレインは気を失った。
「それは女だ!女こそがデビルガンダムのコアとなるべきなのだ!」
ウルベの狂気の高笑いが中に響き渡る。悪魔は今悪魔の手に渡った。
「何だって!?」
「ウルベが!?まさか」
その話はすぐにロンド=ベルに伝わった。だが既にシャトルは出ていた。
「そうだ。既にネオ=ジャパンの廃棄コロニーの一つに移り」
「くっ、何てこった!」
シーブックがブライトの言葉を聞いて呻いた。
「折角全てが終わったと思ったのに!」
「ウルベの奴!」
カミーユも怒りの声をあげた。
「どうしてあんな奴が!まだ!」
「我々はすぐにそのコロニーに向かう」
ブライトはまた言った。彼はやはり冷静であった。
「いいな。そして彼を倒す」
「わかった」
それにアムロが頷く。彼もブライトと同じく冷静であった。流石は歴戦のエースであった。
「では皆すぐに向かう、いいな」
「了解」
「しっかしよお」
忍が言ってきた。
「往生際の悪い野郎だぜ。結果は同じだってのによ」
「向こうはそうは思っていない」
それにアランが答えた。
「あくまでな。自分の勝利を確信しているのだ」
「そうなのかよ」
「そうだ。だから油断はできないぞ」
「わかってるぜ、それはな」
それは忍もわかっていた。頷く。
「じゃあ忍、宇宙でも頼むよ」
雅人が彼に声をかける。
「その力見せてよね」
「ああ、わかってるぜ」
忍もそれに応える。
「迷うこたぁねえ。どいつもこいつもぶっ潰してやる」
「やれやれ、本当にこいつだけは変わらないね」
沙羅がそんな彼を見て言う。
「まっ、それがかえってやり易いんだけれどね」
「そうだな。しかし」
亮はここでドモンを見てきた。
「いけるな」
「ああ」
ドモンは彼の問いに頷いてきた。
「心配するな。いいな」
「わかった。では信じるぞ」26
「ああ」
こうしてロンド=ベルは香港から宇宙へ向かうことになった。すぐに総員打ち上げ体勢に入る。
「今回は何もなしか」
コウがその中で言った。
「いつもはここで敵が出て来るんだけれどな」
「そうだよな。まるで見計らったみたいに」
チャックがそれに応える。
「出て来てなあ。大変だよな」
「けれど今回は流石にねえな」
モンシアはそう言って笑った。
「デスアーミーはこれで一匹もいねえんだからな」
「気楽って言えば気楽か」
「そうですね」
ヘイトとアデルが続く。彼等は安全を確信していた。
「ではもうすぐだぞ」
バニングが彼等に声をかけてきた。
「用意はいいな」
「了解」
「さてと、また宇宙か」
「バーニィ、感覚は覚えてる?」
「うん、まあ」
バーニィはこうクリスに答えた。
「よくね。何だかんだで宇宙での戦いも多いし」
「そうね。何か今回は地球と宇宙を行き来しているわよね」
「ラ=ギアスもね」
そこでマサトが言葉を入れてきた。
「行ってますよ」
「あっ、そうか」
「御免なさい、私達そちらは行ってないから」
「あっ、そうでしたね」
美久がそれを聞いて言う。
「それ考えるとロンド=ベルって何か結構色々なところを各自言ってるんだな」
「そうよね。若しかしたらまた別なところにも行くかも知れないわね」
「他の場所って?」
マサトは美久に問う。
「何処になるの?」
「そこまではわからないけれど」
「それもそうか」
言った側で自分で納得した。
「そうだね」
「ええ。とにかく今度はネオ=ジャパン」
「激しい戦いになるだろうけれど」
「マサト君、用意はいいわね」
「ああ。行こう、僕達も」
「ええ」
こうして皆宇宙へ向かおうとする。その時だった。
「レーダーに反応!」
「何っ、やはりか」
シナプスはジャクリーンの報告を聞いて述べた。
「そして敵の数は」
「一機です。ですが」
報告をする彼女の顔は曇っている。曇ったままの言葉であった。
「ウォルターガンダムです。ランタオ島からこちらに向かってきています」
「生きていたのか!?しかしパイロットは」
中に乗っていたアレンビーは既にこちらに復帰している。それで何故だと思ったのである。
「ハーーーーーーーッハッハッハッハッハッハ!!」
そのウォルターガンダムから高笑いが聞こえてきた。
「ロンド=ベルの諸君!私なのだよ!」
その声はウォンのものであった。何と彼が中に乗っていたのである。
「なっ、ウォン=ユンファ!」
「死んだ筈では!」
「デビルガンダムの力を得て復活したのだよ!」
彼は言う。ウォルターガンダムの中で吊り下げられるようにしていた。
「貴様等に全てを失ったがデビルガンダムの力を得て復活した!」
「何ィ!」
ドモンがそれを聞いて声をあげた。
「それでは今の御前は!」
「そうだ!私は最早ウォン=ユンファではない!」
彼はそう主張する。
「グレート=ウォンだ!その私が貴様等を倒す!」
「くっ、こんな時に!」
洸が彼の姿を見て歯軋りする。
「どうすればいいんだ、誰か出るにしろ」
「心配するな」
しかしここで声がした。
「俺が行く」
「ドモン!?」
「兄貴」
ヂボデーとサイシーが彼を見て声をあげた。
「いいのですか?貴方が出れば」
「ここに残ることになるぞ」
「いや、大丈夫だ」
ジョルジュとアルゴに答える。
「俺は必ず宇宙に出る。安心しろ」
「そうか、では信じていいのだな」
「ああ」
アルゴに対して頷く。
「ではネオ=ジャパンで待っています」
「最後の見せ場は残しておくからよ」
「そいつの相手は頼むよ」
「よし!ゴッドガンダム出る!」
ゴッドガンダム一機が出撃した。
「さあ来いウォン!俺が相手だ!」
「ハハハハハハハ!無駄なことを!」
ウォンは彼を見てもまだ高笑いを続けていた。
「貴方だけで何ができるというのか!今の私に!」
「ほざけ!俺は貴様を倒し宇宙に行く!」
しかしドモンは彼に対して毅然として返す。
「そしてレインを!」
「えっ、ちょっと今」
アスカが今のドモンの言葉を聞いて言う。
「ドモンさん凄いこと言ってるじゃない」
「おいそこの猿女」
そこにシンが言う。早速アスカが彼を殴り倒す。
「誰が猿女ですって!!」
「人の話は最後まで聞け!」
「聞いてあげるわよ、だから死になさい!」
今度は蹴りを入れる。シンに対しても容赦がない。
「わからないのか!ここはそっとしてやれって言うんだ!」
「あっ、そうなの」
その間にアスカはシンジとトウジに押さえられる。
「そうだ!ドモンさんの気持ちわかるるだろ?」
「ええ、まあ」
「そういうことだ。ったくいきなり殴りやがって」
「いや、今のはシンが悪いよ」
シンジが彼に突っ込みを入れる。シンは右の頬を押さえてた。そこにアスカの渾身の左ストレートをまともに受けたのである。これはかなり効いたのだ。
「幾ら何でもさっきの表現は」
「レディーに対して言う言葉じゃないわよ、猿なんて」
「じゃあ何て言うんだ。山猫か?」
「あんた一回死んでみる?」
アスカはまた彼に言う。
「よくもまあそんな減らず口が言えるわね、いつもいつも」
「御前程じゃねえよ」
「そうかなあ」
「どっちもどっちやな」
後ろでシンジとトウジが言う。
「ちゅうかアスカと口喧嘩できる男がおったなんてね」
「それ自体あれだよね」
「ユウナさんの特撮見て二人同時に変身ポーズしだすしな」
「似てるのかな、やっぱり」
「あんた達は黙ってなさい!」
アスカは彼等に対しても噛み付く。
「この光の巨人みたいな名前の奴が悪いんじゃない!大体あんたはねえ!」
「俺が何したってんだよ!」
「いつも減らず口ばかり叩いて!いい加減にしなさいよ!」
「御前にだけは言われたくない!」
「何よ!」
「御前だってどっかの特撮の親友みたいな名前じゃないか!」
「うっさいわね!」
「そういやさ」
シンジがまたトウジに言う。
「シン君の苗字ってアスカの名前と同じだよね」
「そういやそやな。あいつ日系人やしな」
「何か色々あるのよ、シン君も」
「性格的にはガキやけどな」
「困ったねえ」
「特にカガリやアスカに喧嘩売るのは止めた方がええ思うんやけどなあ」
「この山猫!」
「主役崩れ!」
二人はまた言い合う。
「今度という今度は許せないわ!来なさいよ!」
「おう!やってやる!」
本格的に喧嘩に入ろうとする。それを周りの者が止める。シンが喧嘩を売るのはキラやアスラン、カガリだけではなかった。とかくトラブルの多い彼であった。
彼等があれこれやっている間にロンド=ベルは宇宙に向けて出発していた。その頃にはシンとアスカも取り押さえられていた。
「猛獣みたいな奴等や」
取り押さえたトウジが言った。
「何でこんなんばっかりなんや、うちは」
「同感」
シンジがそれに頷く。彼等はあちこちに痣や引っかき傷、噛み傷を作っていた。全てシンとアスカの仕業である。
「見て」
そんな彼等にレイが声をかける。
「ドモンさんが」
「うん」
シンジがそれに応える。
「ここはあの人に任せるしかないね」
「ええ。けれど」
レイはさらに言う。
「きっと来るわ」
「そうだね」
「こいつだけは許さねえ!」
「それはこっちの台詞よ!」
後ろでくくられた二人がまだ言い合っていた。ロンド=ベルは何はともあれ宇宙に出た。
ドモンはウォンと対峙していた。しかしそこに助っ人が来た。
「ヒヒーーーーーーーーーン!」
「むっ!?」
「風雲再起!?」
そこに来たのはマスターアジアの愛馬風雲再起であった。彼もモビルファイターとなることができるのである。
「どうしてここに!?」
ドモンの声には言葉では応えない。そのかわり彼のすぐ側までやって来た。
彼の前で首を垂れる。ドモンはそれを見て言った。
「乗れというのか、俺に」
やはり答えない。だがその心はわかった。
「よし、わかった」
風雲再起に飛び乗った。しかしそこにウォンが来る。
「行かせん!行かせはしないぞ!」
「邪魔だ!」
だが今のドモンにとってはウォンなぞ。歯牙にかけるまでもなかった。風雲再起に乗ったまま天に駆け出して言う。
「人の恋路を邪魔する奴は!」
「ヒヒーーーーーーーーーン!」
風雲再起もいななく。
「馬に蹴られて地獄に落ちろおぉぉっ!」
そう言ってウォンを蹴り飛ばした。それで終わりであった。
下で爆発が起こるがもうドモンにはそれはどうでもいいことであった。彼は宇宙に向かって駆けていた。
「待っていろ、レイン」
彼は言う。
「必ず俺が救い出す!」
そのまま銀河へ駆ける。レインを救う為に。
第百三十七話完
2007・1・20
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