スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
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第百三十八話 愛の勝利!!石破ラブラブ天驚拳
第百三十八話 愛の勝利!!石破ラブラブ天驚拳
「さて、と」
ジュドーはラー=カイラムの中で腕を組んで仲間達と話をしていた。
「何か話がすげえことになってるよな」
「確かにね」
それにモンドが頷く。
「ちょっと訳がわからなくなってきてるよ」
「そうよねえ」
それにルーが応える。
「気が着いたらネオ=ジャパンに向かってるし」
「それもレインさん救出か」
ビーチャが言う。
「囚われのお姫様ってわけか」
「それでそのお姫様を助け出す王子様はさ」
今度はエルが口を開いた。
「今どうしてるのかな」
「普通は来れないよね」
イーノが普通の常識を述べてきた。
「けれどガンダムファイターだからね。何があっても」
「おかしくはないか」
勇がそれを聞いて呟いた。
「まあドモンだからな」
「彼はきっと来るわ」
カナンが太鼓判を押す。
「それは間違いないわ」
「間違いないか」
「ええ」
ラッセに答える。
「きっとね。どうにかしても」
「しかしよ」
ジョナサンがそれに対して言う。
「単独で宇宙に出られるマシンは無い筈だ。幾らドモンでも」
「アルテリオンとベガリオンは?」
「あれは元々宇宙船なんだ」
ヒメにアイビスが言う。
「だから可能なんだ。それでもちゃんと打ち上げなきゃいけない」
「そうか」
「そうよ。はいそうですかで宇宙には出られないわ」
ツグミもそう説明する。
「流石にね」
「そうだな。普通は」
シラーがその言葉に頷く。
「どう考えてもな」
「そうだ」
ナンガも同じ考えだ。
「ドモンはそれがわかっていたのか」
「わかっていなかったんじゃないのか?」
ナッキィの言葉はきつい。
「ドモンさん無鉄砲だから」
「ナッキィ、それはちょっと」
カントが彼を嗜める。
「きついですよ」
「そうか」
「どちらにしろこのままドモンが来ないと戦力ダウンだな」
ヒギンズは冷静に述べてきた。
「ウルベ少佐を倒さなければならないというのにだ」
「あたし達だけでやるしかないのね」
プルがそれを聞いて呟く。
「ドモンの分まで」
「そうだな」
プルツーがそれに答える。
「二人で三人分頑張るか」
「そうだね」
「ああ」
「いや、待て」
しかしここでクインシィが言ってきた。
「どうした!?」
それにスレイが問う。
「窓を見ろ」
「窓!?」
「そうだ」
彼女は部屋の窓を指差す。皆そこに顔をやる。
「窓って言っても」
「どうせ星ばかりで」
「よく見ろ」
クインシィはそれでも皆に言う。
「いるぞ」
「いるぞって・・・・・・。えっ」
皆流石に今見ているものを疑った。
「おい、マジかよ」
ジュドーも言葉もない。
「こんなことってよ」
「すげえなんてもんじゃねえぜ、おい」
トッドも唖然としている。
「バイストンウェルでも見たことがない」
ニーの言葉であった。
「あんなのはな」
「というよりは」
ショウも唖然としたままであった。
「まさかあれで大気圏を」
「どうやらそのようだな」
ガラリアも呆然として述べる。
「恐ろしいことだ」
「ガンダムファイター・・・・・・。信じられぬな」
さしものバーンもまた。彼等は今信じられないものを見ていたのであった。
そこにはドモンのゴッドガンダムがいた。彼は馬を駆って銀河を走っていたのであった。
何はともあれドモンは到着した。そこで意外な者もやって来た。
「やあ、お久し振りです」
「またおめえかよ」
マサキが彼を見て不快な様子を見せた。来たのはシュウであった。
「一体どうしたってんだ?」
「何、デビルガンダムが復活したと聞いて」
シュウはいつもの慇懃な様子でマサキに返した。
「お邪魔させて頂いたのですよ」
「確かに邪魔だぜ」
マサキは実に率直に言った。
「今度は何の魂胆だ?」
「魂胆?さて」
シュウはそれにはとぼけてみせる。
「何のことでしょうか」
「ふざけるんじゃねえよ。おめえが動くといつも何か大事になる」
マサキは言う。
「今度は何だ?何を持って来たんだ?」
「強いて言うなら情報です」
シュウは平然としてこう言った。
「情報!?」
皆それに反応を示してきた。そしてシュウの顔を見る。
「どんな情報を」
「まさかデビルガンダムの」
「はい」
シュウはそれに応えて述べた。彼等の予想は当たったのだ。
「ウルベ=イシカワ少佐のいるコロニーはわかっていますね」
「ああ」
「今そこに向かっているところだ」
「そこにデビルガンダムもいるのですよ」
「そうだったのか」
「はい、一緒に」
シュウはそれを述べる。
「それでですね」
そう述べたうえで話を続ける。
「デビルガンダムは倒してはいけません」
「何故だ!?」
「核に使われているのがレイン=ミカムラさんだからですよ」
彼は今恐ろしいことを告白した。
「彼女を死なせたくないのなら。わかりますね」
「わかっている!」
それに合流したドモンが応える。
「だからこそ俺は今!」
「はい。ですから」
シュウはドモンに対して言う。
「それを覚えておいて下さい、いいですね」
「わかった。じゃあ何があっても」
「ドモン、諦めたら駄目だよ」
彼にアレンビーが声をかける。
「何があっても。いいね」
「わかっている」
ドモンもそれに頷く。
「レイン、俺が必ず!」
ロンド=ベルはウルベのいるコロニーへ向かう。ウルベは今ミカムラ博士と共にいた。
「さて、ミカムラ博士」
ウルベはその中の一室でミカムラ博士に声を掛けていた。
「いよいよですな」
「レインを・・・・・・」
「それがどうかしたのですか?」
抗議の目を向ける博士にしれっとした様子で返す。
「貴方は既に娘を裏切ったではないですか。違いますか?」
「あれは」
「貴方は全てを裏切った。親友を陥れ祖国を裏切った」
ドモンの父を陥れたことである。そのことで本国に収監されたのだがウルベによってここに連れて来られたのである。二人は何処までも共犯になっていた。
「今更娘なぞ」
「だが私はレインを」
「諦めなさい」
しかしウルベの言葉は冷酷であった。
「貴方も私ももう道はないのですよ。世界をこの手に収めるしかね」
「私は世界なぞ欲しくはない」
博士は苦い声で言った。顔を俯けて。
「ただ嫉妬していた。それだけだ」
「しかしその嫉妬が醜い罪を生んだ」
ウルベはそれがわかっている。わかっていてやったのである。だから彼には迷いがなかったのだ。そこがミカムラ博士と違っていた。
「違いますかな」
「それはわかっている」
俯いたままウルベから顔を背けさせた。
「だが私はそれでも」
「諦めなさい」
ウルベはまた言った。
「もうすぐ世界が手に入るというのに。この私の中に」
「勝手にすればいい」
そう吐き捨てた。
「それが君の望みならばな。それで」
そこまで言ってその場を後にする。一人残ったウルベは邪悪な笑みを浮かべていた。
「さあ来るのだロンド=ベル」
仮面を外す。するとそこにはDG細胞があった。
「この時の為に私も己を鍛えてきたのだからな」
全身をそのDG細胞が覆っていく。見る間におぞましい姿に変貌していく。
「フフフフフフフ」
彼はその中で笑っていた。
「フハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
哄笑がコロニーの中に木霊する。彼は今ロンド=ベルを待ち受けていた。
ロンド=ベルは程なくコロニーに到着した。すぐに周辺を押さえる。
するとデスアーミー達がコロニーから出て来た。ブライトはそれを見てすぐに指示を出した。
「すぐに攻撃にかかれ」
「了解」
皆それに応える。そして攻撃に入った。
まずは主だったメンバーがデスアーミー達を引き付ける。その間にシャッフル同盟はコロニーの中へ切り込んでいく。
「よし、行け!」
豹馬が彼等にエールを送る。
「行って囚われのお姫様を救い出すんだ!」
「わかっていますよ」
ジョルジュがそれに頷く。彼は微笑んでいた。
「そしてこの戦いを終わらせます」
「必ずな」
アルゴも言う。
「だからさ、豹馬の兄ちゃんも」
「側にいるお姫様を離すんじゃないぜ」
「!?」
しかし豹馬はそんなサイシーとヂボデーの言葉に目を丸くさせた。
「お姫様?誰のことだ、そりゃ」
「そりゃって御前」
「わからないの?」
ヂボデーとサイシーもこれは予想していなかった。
「あのよお」
「冗談だよね、やっぱり」
「いや、悪いけれどマジでわからねえんだが」
「なっ・・・・・・」
「まさかとは思ったけれど」
「・・・・・・・・・」
それを聞いて『何故か』ちずるが悲しい顔をしていた。豹馬はそれには気付いた。
「どうしたちずる。悲しい顔してよ」
「何でもないわ」
「脳波が乱れてるとかじゃねえよな。どっか悪くてよ」
「何処も悪くないわよ」
ムキになっていた。だが自分では言えなかったのである。
「何でわからないのよ」
「参ったわねえ」
マリューがそんな彼等を見て苦笑いを浮かべていた。
「豹馬君にもあれはナタルでもわかるわよ」
「ですよね」
カズイがそれに頷く。
「俺でもわかりましたよ」
「僕もだよ」
サイも言う。
「あれは普通にわかるんじゃないのかな」
「だよねえ。豹馬って何であんなに鈍いんだろう」
当然トールにもわかった。アークエンジェルの面々は皆はっきりわかっていた。
「ちずるさんも可哀相。あんなに鈍いんじゃ」
「キラ君より凄いわね」
マリューがミリアリアに応えて言うとモニターにそのキラが出て来た。
「僕でもわかりましたけれど」
「あら、御免なさい」
「カガリ位だな。わからねえのはよ」
「だからシン」
キラが彼を咎める。
「そうやって減らず口ばかり叩いているから駄目なんだよ」
「御前が大人しいだけだよ」
しかしシンはこうキラに返した。
「男だろうと女だろうとガツンと言わないとな」
「そうなんだ」
「そうさ。だから俺はカガリにもな」
「やれやれだぜ」
それを聞いたスティングがぼやく。
「こりゃこのお坊ちゃんはまだまだ敵が増えそうだな」
「ステラだけか?味方は」
アウルが突っ込みを入れる。
「困った奴だぜ」
「シン、友達少ない」
ステラにまで言われる。
「困っている?」
「ああ、困ってるさ」
シンはそうステラに返した。
「喧嘩する奴ばかりでな」
「だからそれは自業自得だろ」
「といっても喧嘩する相手は決まってるがね」
スティングとアウルはまた言った。
「それだけは救いか」
「カガリにアスカって」
「フレイに会わせたくないなあ」
トールがその中で呟く。
「二人が会ったら絶対喧嘩するよね」
「確実よね、それは」
ミリアリアがそれに答える。
「何か男版アスカだね」
「こら、そこ!」
そのアスカがシンジに反応してきた。
「あたしとこんなのを一緒にしない!」
「こんなのとは何だこんなのとは!」
「あんたのこと言ってるのよ!この瞬間湯沸かし器!」
「人のこと言えるのかよ!」
「あたしはレディーなのよ!そう言いなさい!」
「何処がレディーだ!このソーセージ女!」
「それはどういう意味よ!」
「ドイツ生まれだからだ!悪いか!」
「じゃあ俺はどうなるんだ?」
ライはそれを聞いて目を少し動かして述べた。
「ドイツ生まれだが」
「ソーセージ男ってとこかしら」
アヤがそれに応えて言う。
「やっぱり」
「何か全然捻りがないですね」
「捻ろうにも。シン君とアスカちゃんって同じレベルで言い合ってるだけだから」
「ですね」
「よく続くものだ」
レビがそんな二人を見て言う。
「いつもいつも」
「喧嘩する程ってわけじゃねえな、あれは」
「一触即発っていうかいつも即発してるし」
「だよなあ」
リュウセイはアヤの言葉に頷く。
「何か色々ややこしくなってきたぜ。それでさ」
「どうした?」
ライはリュウセイに声をかけられて彼に顔を向けてきた。
「怒ってるか?ソーセージ云々でよ」
「いや、別に」
ライはそれには首を横に振った。
「俺は悪口とは思っていない」
「そうか。ならいいがな」
「このお握り男!」
今度はアスカがシンに言った。
「さっさと撃墜されなさい!」
「何だと!」
「いっつもいっつも悪口ばかり言って!目障りなのよ!」
「御前こそ暴走しろ!」
「何ですって!?」
「つってももう暴走してるか!頭の中がな!」
「言ったわね!もう許さないから!」
アスカが本気になった。
「今そこに行ってやるわ!覚悟しなさい!」
「おお、来い!」
二人の気力が最高になった。あっという間にである。
「今日こそは!」
「決着をつけてあげるわ!」
「今度はお握りかよ」
リュウセイは呆れた声でその言葉を聞いて呟いた。
「また色々出て来るなあ」
「怒らないんだな」
「悪口じゃねえだろ、今のは」
そうライに返す。
「何かわからねえけれどよ」
「そうか」
「ああ。まあドモン達も行ったし」
「後は俺達がデスアーミーを倒していくだけだな」
「よっし!やるぜ!」
リュウセイは本気になった。リボルバーを乱射する。
「今日もよ!大暴れしてやるぜ!」
彼等がデスアーミーを引き受ける。その間に五機のガンダムがコロニーに入りそのまま奥へ進んだ。
「何か何もないね」
「そうだな」
「いや、ある」
サイシーとヂボデーが言ったところで声がしてきた。
「君達の部屋のさらに奥に。レインがいるのだよ」
「その声は」
「ミカムラ博士!」
アルゴとドモンがそれを聞いて声をあげた。
「おい、出て来やがれ!」
ヂボデーがそれを確かめて顔を上げてきた。
「手前はドモン達を陥れた最低の下種野郎だ!手前だけは許せねえぜ!」
「そうだ!」
サイシーも言う。
「あんたのせいで多くの人が犠牲になったんだ!それを今償わせてやる!」
「私の罪はわかっているつもりだ」
だが博士はそれを認めてきた。
「むっ!?」
「それはわかっている。だからこそ」
そのうえでの言葉であった。
「レインを救って欲しいのだ」
「レインを!?」
「レインは今デビルガンダムのコアになっている。娘をその呪縛から解き放って欲しいのだ」
「そんな、どうしてレインが」
「全てはウルベ少佐の仕業だ」
博士はドモンにそう述べた。
「私は愚かだった。つまらない嫉妬の為に君達親子を犠牲にした。救いようのない卑劣漢だ」
今時分で己の罪を噛み締めていた。
「だがレインには罪はない。こんなことを言えた義理ではないのはわかっているが」
「だから俺はここに来た」
それに対するドモンの言葉である。
「レインを助ける為に。それだけだ」
「ドモン君・・・・・・」
「だから聞きたい。レインは何処だ」
彼はそのうえで博士に問う。
「何処にいるんだ」
「君達が今いる場所の奥だ」
博士は言った。
「そこにいる。そのまま行ってくれ。だが」
「だが!?」
ジョルジュがそれに反応した。
「一体何が」
「ウルベ少佐がいる。彼を倒さなければ先には」
「なら倒してやる!」
やはりドモンは迷わなかった。
「奴を助け出しレインを!」
「そうだ」
それにアルゴが頷く。
「では行くぞ」
「頼む、そしてレインを」
「博士、確かに貴方の罪は許せない」
ドモンは彼に対して言う。
「しかしレインには罪はない。俺はレインを救い出す!」
「そうか・・・・・・」
「それだけだ」
「わかった。それではな」
それを託した博士にはもう何もなかった。後は自らで決するだけであった。
「さらばだ」
「博士、何を」
ジョルジュがそれに声をかける。
「私は自分で罪を償う。それだけだ」
そう言うと自分の部屋にあるボタンの一つを押した。
「これでいい。ではな諸君」
「博士、貴方は一体何を」
「言い忘れていたがここには君のお父上の冷凍カプセルがあったのだ」
「父さんの!?」
「そうだ」
そうドモンに答える。
「今それをネオ=ジャパンに向けて放った。聞こえるだろう」
大気が抜ける音が。今ドモン達にも聞こえていた。
「さらばだ。そして私は」
「馬鹿な、このままでは貴方が」
「私はもう助からないさ」
「何っ!?」
「撃たれたのだよ」
声に自嘲が入っていた。
「ウルベ少佐にね。さっき止めようとしたら」
「そうだったのか。それで」
「ドモン君」
博士はドモンに声をかけてきた。
「何だ?」
「君には本当に済まないことをした。そして」
博士は言う。
「レインを頼む。いいね」
「わかっている」
ドモンはそれに応える。顔を上げて。
「レインは必ず俺が」
「頼むぞ。では」
博士の言葉が消えた。シャッフルの戦士達はそれを確かめてから顔を見合わせあった。
「行こう」
「ええ」
ジョルジュがドモンの言葉に頷く。他の者達も。こうして彼等はレイン救出に向かったのであった。
ミカムラ博士は今宇宙に出されようとしていた。既に傷は深く命は尽きようとしている。
「なぁカッシュよ」
彼はその中で呟いた。
「君は今眠りの中で私のことをどう思っている?馬鹿な男と笑っているのか、それとも」
薄れ行く意識の中で。彼は裏切った親友のことを思っていた。その中で最期を迎えていく。
「私はとうとう最期まで御前さんには勝てなんだな」
そして姿を消していった。己の弱さの為に命を落とした男の最期であった。
ドモン達は巨大な格納庫に出た。一見そこには何もなかった。
しかし彼等は感じていた。その巨大な気を。
「ウルベ!」
ドモンが叫ぶ。
「いるのはわかっている。出て来い!」
「ふふふ、わかっていたか」
ウルベの声が聞こえてきた。
「上手く隠れたつもりだったがな」
「ほざけ!」
またドモンが叫ぶ。
「その邪悪な気。隠せると思っているのか!」
「確かに。では出よう」
そう言うと格納庫に巨大なガンダムが姿を現わした。それは四天王をそれぞれ合わしたものであった。
「なっ、これは!」
「グランドマスターガンダム」
ウルベは語る。
「それがこのガンダムの名前だよ」
「グランドマスターガンダムだと」
「そうだ」
ウルベは言う。
「マスターガンダムなぞ比較にはならない力だ。今それを見せてやろう」
「言ってくれますね」
ジョルジュがそれに反論する。
「今まで姑息に隠れておいて今更」
「ふふふ、これも策なのだよ」
「へえ、その割には今まで善人ぶっていたね」
サイシーが言い返す。
「やましいところがあったってことなんだろ?」
「そうだよな」
ヂボデーが彼の言葉に頷く。
「男なら正々堂々としやがれ。汚いことばかりしやがって」
「どちらにしろ御前は許されない」
アルゴが述べる。
「覚悟はいいな」
「覚悟するのはどちらかな?」
だがウルベは彼等を前にしても動じてはいない。
「このグランドマスターガンダム、甘く見ないことだ」
「よし!じゃあやってやる!」
ドモンが言う。
「ガンダムファイト!」
「レェェェェェェェェディィィィィィィ!」
「ゴオオオオオオオオオッ!」
ドモンとウルベが言い合う。こうして今最後のガンダムファイトが幕を開けた。
グランドマスターガンダムは一歩も動かない。だがその攻撃は圧倒的であった。
「フハハハハハハハハハ!」
高笑いと共に爪を振り回しヘブンズダートを放つ。それはシャッフル同盟をしても防戦に回らざるを得ないものであった。
「どうした!その程度か!」
「くっ!」
「その程度で生き残ってきたというのか!」
「ほざけ!」
ドモンは爪をかわしながら言う。
「この程度の攻撃で!」
「では倒してみせよ!」
ウルベは言う。
「見事この私をな!」
「くっ・・・・・・!」
「ドモン」
そんな彼にアルゴが声をかけてきた。
「どうした?」
「一人では無理だ」
「しかしあいつは」
「聞け。何故俺達は五人いる」
「五人!?」
「そうだ」
彼は言ってきた。
「俺達は五人いる。それを忘れるな」
「じゃあ」
「五人で力を合わせるんだね」
サイシーが言ってきた。
「そうだ。そうでなければ倒せん」
「わかったぜ、じゃあやるか」
ヂボデーが来た。
「私達の全ての力を合わせた攻撃を」
「今」
「よし!ならば!」
ドモンが右腕をかざしてきた。
「やってやる!」
「では行くぞ」
「おおっ!」
まずはヂボデーが応えた。五機のガンダムにエンブレムが宿り黄金色に輝きだした。
「極限まで高めれば!」
ジョルジュが言う。
「倒せないものなど!」
そしてサイシーが。
「何もない!」
アルゴも。その中心にはドモンがいる。
「これでえぇぇっ!決まりだぁっ!」
「ばぁぁぁぁくねつ!」
五人が今同時に叫ぶ。
「シャッフル同盟けぇぇぇぇぇぇんっ!」
五人が同時に光を放つ。その瞬間凄まじい爆発が起こる。格納庫の中が光に包まれた。
それが消え去った時そこにはグランドマスターガンダムの残骸があった。そのまま崩れ落ちていく。
「くっ、こんなことが・・・・・・」
「見たか!正義は必ず勝つ!」
ドモンは今それを宣言する。
「それが今だ!」
「正義だというのか」
ウルベはそれに反応を見せてきた。
「貴様が正義だと」
「その通りだ!」
ドモンの言葉には迷いがない。
「少なくとも貴様は正義ではない!」
「ふふふ、それはどうかな」
だがウルベはその言葉に笑ってきた。
「私も正義であるかも知れないのだ」
「何を戯言を」
ジョルジュがその言葉に嫌悪感を見せてきた。
「貴方に正義なぞありはしませんよ」
「その通りだ」
アルゴも言う。
「御前に正義はない。ただ邪悪があるだけだ」
「寝言言ってるんじゃねえぜ」
「そうだそうだ」
ヂボデーとサイシーも言う。しかしウルベの冷笑は止まらない。
「違うな。力こそが正義なのだ」
「何っ!?」
「私は先のガンダムファイトのネオ=ジャパン代表だった」
これは事実だ。彼はこの時は天才とまで言われていた。元々格闘技の盛んな日本、ネオ=ジャパンにおいても彼はその強さを讃えられていたのである。
「私は優勝候補だった。だが」
「それは知っている」
ドモンが言ってきた。
「御前は最後で師匠に敗れた」
「そうだ、貴様の師匠であるマスターアジアにな」
それを自分でも述べる。
「呆気なくだ。その時わかったおだ、力が全てだとな」
「だからといって御前の言っていることが正しいとは限らない」
ドモンはそれでも彼を認めようとはしなかった。
「御前の悪は変わりはしない。そう、悪とは」
彼は言う。
「他の者を踏みつけにし、己のことだけを考えることだ!」
「フフフ、青いな」
やはりウルベはそれを受け入れようとはしなかった。またしても冷笑を浮かべる。
「ならばそのまま裏切られるのだな」
「俺は裏切られはしない!」
ドモンはまた叫ぶ。
「何者にも!」
「ふふふ、愚かな」
ウルベの身体が崩れていく。その中での言葉であった。
「精々甘い夢を見ていることだ」
ウルベは消えた。しかしドモンにはまだ為すべきことがあった。
「これからは貴方だけで行くのです」
ジョルジュが言ってきた。
「いいですね」
「レインの下へ」
「そうさ」
ヂボデーが背中を押してきた。
「行って来い、いいな」
「兄貴、兄貴じゃなきゃ駄目なんだ」
サイシーも彼の後ろにいた。そうして言葉をかける。
「レイン姉ちゃんにはな」
「俺にはレインが」
「救って来い」
アルゴの言葉であった。
「いいな」
「よし、なら!」
ドモンは毅然として顔をあげた。
「レイン!今から俺は!」
そして格納庫の奥へと向かった。仲間達に見送られて。
そこにはデビルガンダムがいた。だが何故か攻撃して来ない。
「レイン・・・・・・」
ドモンは声をかける。デビルガンダムの頭部にはDG細胞により固められ像になっているレインの上半身があった。彼女は何も語りはしない。
「来たぞ。御前を助け出す為に」
彼は一人で声をかけた。じっとレインを見据えている。
「多くは言わない。言えない」
彼は言う。
「俺は御前が好きだ。御前がいなくちゃ駄目だ。だから」
そしてさらに。
「俺は御前を救い出す!何があっても!」
「ド・・・・・・モン・・・・・・!?」
奇跡が起こった。レインがその言葉に反応してきたのだ。
「ドモンなの?」
「そうだ、俺だ!」
ドモンはここぞとばかりにさらに声をかける。
「御前を救い出しに来た!だから俺のところに!」
「戻っていいのね」
「御前じゃなきゃ駄目だ!だから今!」
「ええ、じゃあ」
DG細胞が崩れていく。今レインが解き放たれる。
その時だった。何処からともなくライジングガンダムがやって来た。レインはその中に入り今ドモンの横に来た。
「ドモン!」
「レイン!」
二人は互いの名を言い合う。ドモンの愛が今奇跡を起こしたのであった。
「後は!」
「ええ!」
二人は頷き合う。そして同時にデビルガンダムを見た。
「終わらせるだけ!」
「今二人で!」
「二人のこの手が真っ赤に燃える!」
まず言ったのはレインであった。
「愛を掴めと轟き叫ぶ!」
そしてドモンが。今二人の心が完全に一つになった。
「行くぞ!石破!」
「ラァァァァブラブ」
「天驚けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんっ!」
同時に空前絶後の攻撃を放った。それで全てが終わった。
キングオブハートの愛の心がデビルガンダムを消し去った。今レインはドモンと完全に一緒になったのであった。
「ドモン!」
「レイン!」
二人は抱き合う。そのままコロニーの壁を破って外に出る。こうして戦いを終えレインは無事救出されたのであった。
「グゥレイト!ハッピーエンドってやつだな!」
ディアッカがそれを見て叫ぶ。
「色々あったけれど最高の結末だぜ」
「そうですね」
それにニコルが頷く。
「何か見ていてこちらまで気持ちよくなります」
「まああの技の名前はあれだけれど」
ジャックは少し苦笑いも入っていた。
「それでもね」
「まあそれは言うな」
ミゲルはそれに注意を入れてきた。
「ディアッカも言っただろ。最高の結末だってな」
「それはそうだけれど」
「かえってあの技だからいいんだよ」
ディアッカはそう力説する。
「そうじゃなきゃここまではよ」
「最高の結末にはなりませんでしたか」
「ああ。ドモンさん達が帰ってきたら乾杯と行こうぜ」
「そうですね」
「ではそれで」
フィリスとエルフィがそれに頷く。
「私達ケーキ作りますんで」
「ディアッカさんはいつもの料理を」
「よし、任せておきな。腕によりをかけてよ」
「俺もやらせてもらうか」
アルフレッドも名乗りをあげてきた。
「こんな凄い話を見せてもらったんだからな」
「そういえば貴方は料理も上手かったな」
「おうよ」
彼はハイネに答えた。
「そういうのも得意だぜ。他には書道もやるしな」
「あのおっさん意外と繊細?」
「みたいですね」
柿崎とマックスがそれを聞いて囁き合う。
「あんな顔で」
「ですよね」
「ああ、そうなんだよ」
それに対してキースが答える。
「キース」
「あの旦那悪ぶっているけれどな。あれで意外と繊細なんだよ」
「そうなんですか」
「想像できないだろ?とても」
「嘘だって言いたくなるよ」
フィジカがそれに言う。
「そりゃやっぱり」
「だろうなあ。まあ俺はクリスマスもバレンタインも一緒にいたしな」
「そうだったんだ」
フィジカはそれを聞いて目を少しぱちくりとさせた。
「キースはまだ彼女いないんだ」
「何となくな」
返事が少し切なくなった。
「色々あってな。今はフリーなんだ」
「ふうん」
「誰かいてくれたらいいんだけれどな」
「そのうちできるさ」
ネックスが慰めてきた。
「だからな」
「ああ。落ち込むなってことだろ」
「そういうことさ。いいな」
「わかったよ。それに落ち込んでるのはこの部隊には似合わないしな」
「そういうこと。じゃあ」
ヒビキが言う。
「皆でドモンとレインを祝福するか」
「よし!」
「勝利と救出成功だ。皆騒ぐぞ!」
「私も料理作りますんで」
「いや、それはちょっと止めて」
ゼオラがクスハを止める。
「他のことして欲しいから」
「はあ」
「なあブリット」
その後ろでアラドがブリットに囁く。ビルトファルケンが近寄ってきていた。
「クスハの料理ってやっぱりまだ」
「パワーアップしたぞ」
「パワーアップしたのかよ」
「ああ、戦略兵器になった」
「なっ・・・・・・」
「ユリカさんの料理並にな」
「嘘だろ、おい」
「俺が証拠だ」
一言だが絶対の説得力のある言葉であった。
「わかったな」
「ああ、わかった」
頷くしかなかった。
「じゃあやっぱりクスハだけは」
「止めておいた方がいいか」
「そういうことだ」
彼等はこの時まだ知らなかった。世の中というものは実に広く、人の交わりは案外狭いということを。すぐに彼女に匹敵する存在が出て来るということを。
ドモンとレインの祝いは部隊を挙げて行われた。未沙も今回は何も言わなかった。
「いいものね」
それどころか笑みを浮かべてこう言う程であった。
「一時はどうなるかって思ったけれど」
「そうですよね」
レトラーデがそれに頷く。
「デビルガンダムの核になって大変だったから」
「けれどそれも終わって」
ミスティが言う。
「二人はハッピーエンドね」
「そうね。本当によかったわ」
未沙はその言葉にまた頬を緩めさせる。
「何よりよ」
「早瀬さんもこういうのはいいんですか」
「私は別に誰が誰を好きになろうと構わないわ」
レトラーデに応えて言う。
「それどころか。それはとても素晴らしいことだと思うから」
「そうなんですか」
「この娘はね。案外純情なのよ」
「クローディア」
ここでクローディアが出て来た。
「生真面目だけれどね。そこも」
「ちょっと。私は」
「まあまあ。皆わかってるでしょ」
「まあね」
霧生がクローディアの言葉に頷く。
「早瀬さんは真面目なしっかり者。皆頼りにしてるんだよ」
「おばさんってこと?」
「いや、お姉さん」
霧生は笑って述べた。
「厳しいけれどしっかりした風紀委員の」
「結局おばさんじゃない」
未沙はその言葉を聞いて苦笑いになった。
「けれど。悪い気はしないわ」
「そうなんだ」
「ええ。それに見て」
パーティーの中央を指差す。
「あの二人。本当に嬉しそう」
ドモンとレインがいた。レインは今は紅のドレスであった。
「これからあの二人も心から幸せになるのね」
「はい」
それに頷いたのはロンド=ベルのもう一人の風紀委員であるベンであった。よく考えれば未沙も彼もどうにも優しい風紀委員である。
「色々ありましたがこれで」
「そうね」
「ミカムラ博士は罪を償ったしね、自分で」
ダイアンが言ってきた。
「彼も」
「そうね」
未沙はその言葉に顔を暗くさせたがそれは一瞬であった。すぐにまた言う。
「けれどドモン君のお兄さんもシュバルツ=ブルーダーも助かったし」
「そういえばシュバルツさんはどうなったんですか?」
リンダがそれを尋ねる。
「あの戦いの後で」
「ネオ=ドイツに戻ったそうよ、手当ての後で」
「そうだったんですか」
「また何かあったら助けに来るって言って」
「来なくていいわよ」
アスカはその言葉を聞いて条件反射で言った。
「あんな変態」
「アスカは本当に素直じゃないわね」
ダイアンはこう言ってアスカを笑ってきた。
「本当は凄く心配していたのに」
「別に心配なんかしていないわよ」
アスカはそれに対して下手な嘘をついてきた。
「殺したって死にそうにない変態なんか」
「またまた。まあいいわ」
ダイアンはまたアスカに言う。
「さあ、ドモン君とレインちゃんのお祝いに行きなさい」
「ちょっと、何であたしが」
「いいから。歌でも歌ってきなさいよ」
「仕方ないわね。それじゃあ」
嫌々といった様子を作りながらアスカも行く。何はともあれ今は皆で愛の成就を祝福していた。
ロンド=ベルはデビルガンダムを倒した。だが敵はまだいた。
「そうか、遂にか」
「はい」
ジブリールはモニターでジャミトフ、そしてバスクと話をしていた。
「これでプラント本土を攻撃可能です」
「そして地球圏もな」
「その通りです。我々の手の届かないところはなくなりました」
ジブリールはそうジャミトフとバスクに語る。
「レクイエム」
彼は言った。
「これにより我等の大義は果たされます」
「だがジブリールよ」
バスクが問うてきた。
「何か」
「守りはよいのだな」
「はい、それは」
ジブリールはそれに答える。
「欧州で獲得した連邦軍の艦艇やモビルスーツを中心にかなりの数を配備させています」
「そうか」
「待て」
バスクは頷くだけであったがジャミトフは今のジブリールの言葉に問うてきた。
「何か」
「連邦軍の艦艇だったな」
「はい、それが何か」
「モビルスーツはもうわかっている」
ジャミトフはそれには特に何も思わなかった。あの三機のガンダムを中心としたものであることはもう知っていたからだ。
「だが艦艇は何だ」
「アークエンジェルです」
ジブリールはそれに応えて述べた。
「アークエンジェル」
「正確に言うならばその同型艦艇です」
「そうだったのか」
「ドミニオン」
ジブリールはまた言った。
「それがその艦の名前です」
「それを中心として守りを固めているといのだな」
「その通りです」
今度はバスクの問いに頷いた。
「ですから。御安心下さい。それだけではありませんし」
「それだけではないというのか」
「はい、積極的な防衛も考えています」
そうジャミトフに対して述べる。
「プラントの部隊にも攻撃を仕掛けますし無論ネオ=ジオンやロンド=ベルに対しても」
「引き下がるつもりはないということか」
「その通りです」
今度はバスクに答えた。
「おわかり頂けたでしょうか」
「わかった。では任せよう」
ジャミトフは決断を下した。そのうえでジブリールに対して言う。
「貴殿にな。兵も預ける」
「有り難うございます。では」
ジブリールはモニターから消えた。ジャミトフとバスクはそれを見てから二人で話をはじめた。
「さて」
最初に口を開いたのはバスクであった。
「そのレクイエム。成功するでしょうか」
「さてな」
ジャミトフは懐疑的な言葉をバスクにかけてきた。
「強力なことは認める。だがあそこまで大掛かりなものならば」
「付け込まれると」
「そう思う。マスドライバーでもよかっただろうに」
「確かに。どうもあの男は」
「何かがわかっておらぬな」
「はい」
バスクはジャミトフの言葉に頷いた。
「そこが問題です。やはり」
「そうだ。そこが限界か」
「有能な男なのは確かですが」
「どうにも視野が狭いな。だがよい」
しかしジャミトフはそれもよしとした。
「使えないわけではない。こちらも使わせてもらおう」
「わかりました」
ティターンズがまた動こうとしていた。戦いはまたはじまろうとしていた。ティターンズもザフトも風雲急を告げていたのであった。
第百三十八話完
2007・1・24
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