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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百三十六話 決着の時!マスターアジア暁に死す!

  第百三十六話 決着の時!マスターアジア暁に死す!
マスターガンダムに向かって行くドモン。その横に彼が来た。
「シュバルツ=ブルーダー!?」
「いいか、ドモンよ」
彼はドモンの横を駆けながら言う。
「まずはデビルガンダムだ」
「デビルガンダムに」
「そうだ、それを倒してからだ」
彼は言う。
「マスターアジアを倒すのは」
「しかし」
「はやる気持ちはわかる」
彼はまた述べた。
「だが今はデビルガンダムを倒さなくてはならない。いいか」
「その通りだ、ドモン君」
ミカムラ博士も言ってきた。
「デビルガンダムはこの世にあってはならないものだ。だからこそ」
「じゃあ」
「そうだ。その為に皆戦っているのだからな」
その通りであった。今ロンド=ベルは遂にデビルガンダムを包囲し攻撃を仕掛けようとしていた。
「主砲発射!」
ヘンケンがラーディッシュの主砲を放たせる。だがそれを受けてもデビルガンダムはびくともしなかった。
「一撃では駄目だ!」
ヘンケンはそれでも言った。
「さらに攻撃を続ける!いいな!」
「了解!」
アデレアがそれに応える。ラーディッシュだけでなく他の艦艇やマシンもデスアーミーと戦いながら攻撃を仕掛け続けていたのである。
「見るのだ、ドモン」
シュバルツはまたドモンに語り掛けた。
「仲間達の姿を。だからこそ」
「わかった」
ドモンも彼等の姿を見て遂に頷いた。
「なら」
「行くぞ!」
シュバルツは跳んだ。
「相手は手強い!容赦は無用だ!」
「よし!」
そこに来たガンダムヘッドを蹴りで砕く。
「ならば!」
「私に続け!」
シュバルツは手裏剣を放つ。それでデビルガンダムにダメージを与える。
「幾度も攻撃を浴びせていけば!」
「必ず!」
「フハハハハハハハハ!無駄なことを!」
マスターはそんな彼等を見て笑っていた。
「デビルガンダムを倒すにはそれではまだまだ役不足よ!」
「そう思うんなら黙って見てなさいよ!」
アスカが彼に叫ぶ。
「やってやるんだから!うおおおおおおーーーーーーーっ!」
ATフィールドを持って放つ。それをブーメランのようにしてデビルガンダムを切り裂くのであった。
「おいおい、また派手にやるな」
ディアッカはそんな彼女を見て声をあげる。
「熱くなり過ぎじゃねえのかねえ」
「そう言うディアッカこそ」
ニコルの通信が入ってきた。
「さっきからひっきりなしに攻撃仕掛けてるじゃないですか」
「ああしたデカブツはドカンとやらないと駄目なんだよ」
彼はそうニコルに返した。
「で、見つかったか?」
そのうえで彼は問うてきた。
「あのグラサンの胡散臭いおっさんは」
「はい、おおよそのところは」
ニコルは答えてきた。
「おお、流石だな」
「どうもです。ただ」
「ただ!?どうした?」
「場所が。デビルガンダムの側ですので」
「近寄れないってわけか」
「はい」
「まずいな、それは」
「いや、それはそれでいいよ」
キラが言ってきた。
「どうするつもりなんだ?キラ」
「デビルガンダムを倒せば」
そう言いながら総攻撃を浴びせる。
「こうやって皆で」
「まあそれが一番か」
ディアッカもそれに頷く。
「地道にな。じゃあ」
「来てますよ、また」
ニコルが声をかける。ガンダムヘッドがディアッカのバスターのすぐ側まで来ていた。
「おっと」
それをかわす。そしてミサイルで潰す。
「危ないところだったぜ。悪いな」
「いえ。じゃあ僕もそちらへ合流します」
「了解。宜しく頼むぜ」
ロンド=ベルはデビルガンダムに総攻撃を浴びせる。だがそれでも魔物は健在であった。
まるで山の様に聳え立っている。とても倒れそうにない。
「まだだ!」
しかし皆それでも攻撃を続ける。アムロもフィンファンネルを放つ。
「これだけの数で攻撃を浴びせれば!」
「幾らデビルガンダムでも!」
「ふふふ、無駄なことを」
ウォンはそんな彼等を見てほくそ笑んでいた。
「デビルガンダムがその程度の攻撃で倒れるものですか」
「そのことでは同意だな」
マスターもそれに頷く。
「だがウォンよ」
彼はそのうえで言う。
「どうやら貴様とは後で決着をつけねばならんな」
「おやおや、剣呑な」
ウォンはその言葉を聞いて肩をすくめさせてきた。
「そこまでにはならずともよいでしょうに」
「黙れ、最早見過ごせはせん」
マスターは述べる。
「貴様の腹黒さも陰謀もな」
「まあそれは後でゆっくりとお話しましょう」
彼は相変わらず慇懃な態度を崩さない。
「ゆっくりとね」
「フン」
戦いは続く。ドモンもその中にいる。
「うおおおおおおおおおっ!」
拳を激しく浴びせる。それでも悪魔は倒れない。
「くっ、まだなのか!」
「いや」
それにシュバルツが応える。
「もう少しだ」
「そうなのか」
「そうだ、見ろ」
デビルガンダムを指差す。見ればあちこちから火を噴いていた。
「間も無くだ、決着の時は」
「そうか。なら」
ドモンは跳んだ。そしてデビルガンダムに蹴りを入れる。
「いいか、ドモン」
シュバルツはまた言ってきた。
「次の総攻撃の後で」
「止めを刺すというのか」
「そうだ、時は来た」
彼は言う。
「遂にな」
「わかった、では」
ドモンは身構える。そして跳んだ。
その時だった。その総攻撃が仕掛けられた。
「撃て!」
またしてもデビルガンダムに一成攻撃が加えられる。それでさしもの悪魔もその巨体を揺るがせた。
「よし!」
「今だ!」
まずはシュバルツが跳んだ。攻撃に入る。
「シュツルム=ウント=ドランクゥッ!」
自ら竜巻となり攻撃を浴びせる。それで右腕を砕いた。
「ならば俺は!」
次はドモンであった。拳に渾身の力を込める。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーっ!」
ゴッドスラッシュタイフーンであった。それで左腕を砕いた。
「やったか!」
「まだだ!」
しかしデビルガンダムはまだ立っている。それを見てシュバルツはデビルガンダムの頭部についた。
そのうえでドモンに対して言ってきた。
「ドモン!」
「どうした!」
「今ここで石破天驚拳を放て!」
「何っ!」
ドモンはそれを聞いて思わず驚きの声をあげた。
「それならば御前まで!」
「構わない!」
しかし彼は言った。
「私に時間はもうないのだからな!」
「どういうこと!?」
アスカはそれを聞いて眉をひそませてきた。
「あんなのが時間がないですって!?」
「死にそうってこと!?」
シンジも首を傾げさせた。
「まさかとは思うけれど」
「いえ、そうね」
レイが二人に応える。
「あの言葉は」
「まさか」
「いえ、これは」
ミサトがここで言ってきた。
「どうなのかしらね」
「彼、不死身なんでしょ?」
リツコの言葉は科学者としては実に投げやりなものであった。
「そんな筈が」
「あんた彼嫌い?」
「理解できないだけよ」
これがリツコの返事であった。
「あんまりだから」
「そう」
「そうよ。そうしたところはアスカと同じよ」
自分でもそれを認める。
「あれはちょっと」
「まあそうね」
実はミサトも同意である。
「あんなのはね」
「それでも」
リツコは言う。
「いきなりどういうことかしら」
「気になるわね」
「ええ。何なのか」
「ブライト」
アムロがブライトに声をかけてきた。
「どうする?」
「困ったな」
ブライトも判断を下しかねていた。困った顔になっている。
「どうしたものか」
「ここは様子見か?」
「そうだな。いいか」
指示を出してきた。
「今は周辺の敵を掃討しろ。デスアーミーをだ」
「了解」
「それじゃあ」
「しかし」
ブライトは指示を出した後でまた言った。
「気になる。彼に一体何が」
「いいのだ、ドモン」
シュバルツはドモンに対して言っていた。
「何故なら私は」
「御前は」
「キョウジ=カッシュだからだ」
「何っ!?」
「えっ!?」
「馬鹿な、そんな筈がない」
何故かミカムラ博士まで驚きの声をあげていた。
「奴は・・・・・・あの男は確かに」
「!?何だ」
最初に気付いたのはシンであった。
「あのおっさん、おかしかねえか」
「どうしたの、一体」
それにルナマリアが問う。
「いや、何か異様に驚いてないか?狼狽して」
「そりゃそうでしょ」
ルナマリアは何を今更といった口調で彼に述べる。
「だってあれよ。あの忍者がキョウジ=カッシュなんて言い出したから」
「いや、違うな」
だがレイもそこに入ってきた。
「それにしては何かおかしい」
「おかしいかしら」
「ああ、見てみなよ」
シンがまた言ってきた。
「狼狽してよ。悪事がばれたみたいにな」
「悪事って」
ルナマリアはその言葉に首を傾げさせる。
「ミカムラ博士が!?まさか」
「シン君、幾ら何でもそれはないよ」
「ユウナさん」
ここでいつもの宥め役としてユウナが出て来た。
「ミカムラ博士はネオ=ジャパンきっての良識派だよ。親切で紳士だし」
「そうです。それにドモン君の後見人でもあります」
キサカも言う。
「そのような方が悪事なぞ」
「まあ僕ならともかく」
アズラエルも流石にノーマークといった感じである。
「あの博士に限ってそれはないでしょうね」
「そういうことだよ。それはね、やっぱり」
ユウナがまた述べた。
「ないよ、それは」
「そうですかね」
「ははは、可能性で言うとだね」
またしてもユウナは言わなくていいことを言い出した。
「カガリがおしとやかな大和撫子になるような」
「おいこら!」
やはりそのカガリが出て来た。
「何でそこで私が出るんだ!」
「あっ、聞こえてたの」
「聞こえている!御前は何でいつもそこで私を出す!」
「いやあ、例えだよ例え」
「ならもっと他に例え出せ!シンのシスコンが治るとかな!」
「おい待て!」
そしてシンがそれに反応してきた。
「俺がシスコンだと!」
「そうだ!」
カガリは言う。
「そう言わずして御前を何と言うんだ!」
「マユは大切な妹だ!」
彼は主張する。
「それだけだ!」
「何処がだ!」
「けれどさ、シンって」
「ああ」
ジャックとミゲルが彼等を見て話をする。
「いつも携帯で」
「聞いてるしな。そういえばステラも」
「妹みたいな感じだし」
「まず間違いないな」
「そうだね」
「御前みたいに男っ気ないのには言われたくない!いや」
「何だ!?」
シンの言葉に顔を向けてきた。
「御前が男か」
「何だと!」
「そんな性格で男と言わないで何だって言うんだ!」
「相変わらずシン君は鋭いですねえ」
「全くです」
アズラエルとユウナが彼の言葉に感心していた。
「ただ惜しむらくは」
「はい」
そのうえで話を続ける。
「空気を読まないことですね」
「困ったことです」
「貴方達もですよ」
彼等の後ろでキサカが溜息をつく。
「何でいつも火に油を注ぐのか」
「胸もないしな!」
「貴様ァ!」
「ああ、シン」
ここでメイリンが呆れながら話に入ってきた。
「どうした?」
「カガリは胸は大きいわよ」
「そうなのか」
「意外とね。スタイルもいいんだから」
「そうなのか。しかし」
それでも彼の減らず口は終わらない。
「それでも色気は全然なんだな」
「御前はここで死ね!」
ストライクルージュがデスティニーに向かおうとする。
「デビルガンダムに食わせてやる!」
「何を!」
「だから二人共」
「やめるんだ、戦闘中だぞ」
キラとアスランがまた二人を止める。この二人は相変わらずであった。
「一体何を」
ドモンはシュバルツに問う。
「何を言っているんだ」
「信じられないか」
シュバルツはそんなドモンに対して言った。ドモンは今呆然としていたのだ。
「私の言葉が」
「そんな訳がない」
彼は言う。
「キョウジはデビルガンダムの中に今」
「そうだ、それは確かにそうだ」
シュバルツもそれは認めた。
「しかしだ」
彼はその上で述べる。
「私もまたキョウジ=カッシュなのだ。今その理由を言おう」
「ああ」
「うう・・・・・・」
何故かここでまたミカムラ博士は顔を顰めさせていた。
「妙だな」
それに大文字も気付いた。
「ミドリ君」
「はい」
そのうえでミドリに声をかけた。
「彼から目を離さないでくれ」
「何か?」
「うん。何かおかしい」
「ですね」
それにサコンも応えてきた。
「様子が変ですね」
「そうだ。だからだ」
「わかりました。それでは」
ミドリはここで頷いてきた。そしてミカムラ博士に声をかける。
「ミカムラ博士」
「何だね?」
ミカムラ博士は不審な目を向けてきた。やはり様子がおかしかった。
「ここは危険ですので」
「しかし」
「いえ」
ここで大文字が言う。
「博士を危険な目に遭わせるわけにはいきませんので。宜しいですね」
「・・・・・・わかりました」
止むを得なくといった感じでそれに頷く。やはりおかしかった。
「おかしいですね」
それを見てボルフォッグが述べた。
「ミカムラ博士の御様子」
「そうだね」
それに炎竜が頷く。
「何か隠している感じだ」
「では何を?」
「そこに何かありそうだが」
氷竜に風龍が述べる。
「しかしどうにも」
「もしかしてデビルガンダム!?」
雷龍に続いてマイクが言ってきた。
「博士ずっとデビルガンダム見ていたよ」
「まさか」
それは光竜に否定された。
「博士はデビルガンダムの開発には関わってないわよ」
「そうですね」
それに闇竜が頷く。
「ミカムラ博士はゴッドガンダムの開発です」
「そうよね。それなのに」
「いや」
しかしここでルネが言ってきた。
「怪しいね、どうにも」
「怪しい!?」
「そうさ。ちょっと注意が必要だね」
「どういうことなんだよ、それ」
ゴルディマーグが問う。
「剣呑だけれどよ」
「そのままさ。あの博士ひょっとすると」
「ああ」
凱がそれに頷いてきた。
「何か隠している。そうだな」
「そうさ。まさか」
そう言った時であった。原種が突然姿を現わした。
「あれがデビルガンダムか」
腕原種であった。同志達も連れている。
「どういうわけか知らぬが我等に似ているな」
「そうだな」
「取り込めるか?」
「おそらくは」
彼等は話をする。
「やれる」
「ではな」
「あれを我等の力に」
そのままデビルガンダムに向かおうとする。それはシュバルツにも見えていた。
「まずい、このままでは」
「シュバルツ!」
ドモンが彼に声をかける。
「今の話はどういうことだ!御前が何故キョウジだと」
「では言おう」
「撃て、ドモン君!」
いきなりミカムラ博士が大空魔竜の艦橋から叫んできた。普段の物静かな博士の姿は何処にもなかった。
「なっ!?」
「その男を・・・・・・シュバルツ=ブルーダーごとデビルガンダムを!時間がない!」
「しかし」
「いい!私が許可する!」
「許可するっていっても」
「どうしたんでしょう、急に」
ブルーガーの中でマリと猿丸が目を丸くさせていた。
「ミスター、おかしいですね」
「ああ」
神宮寺はマリの言葉に頷いていた。
「あの様子、普段の博士じゃない」
「はい」
「何かあるっていうのか!?」
洪も何かを感じていた。
「ミカムラ博士に」
それは他の者達も同じであった。今の博士に何か妙なものを感じていたのだ。
だが博士はそれでも言う。人が変わったように。
「原種が来ているのだ!彼等が合わされば大変なことになる!」
「博士、落ち着いて下さい」
大文字がそんな彼に声をかける。
「原種に対しては今GGGが向かっていますので」
「しかし」
「指揮官は私です」
大文字は強い声で述べてきた。
「宜しいですね」
「うむむ・・・・・・」
「ドモン君」
博士を宥めた後でドモンに対して言う。
「まずは彼の話だ。いいな」
「ああ、わかった」
ドモンはその言葉に頷く。そしてシュバルツに対して言ってきた。
「言ってくれ。どういうことだ」
「あれはデビルガンダムが開発された時だった」
シュバルツはそれを受けて語りはじめた。
「キョウゾウ=カッシュ博士は最初はデビルガンダムを環境回復に使うつもりだった。しかし」
「しかし!?」
「くっ!」
「おっと!」
ミカムラ博士が大空魔竜のミサイルボタンを押そうとするとそこにルネが現われた。そして彼を抑えた。
「それ以上はさせないよ」
「うう・・・・・・」
「博士、何があるのかわかりませんが」
大文字がまたしても声をかける。
「お静かに。宜しいですな」
「ううう・・・・・・」
「ねえシン」
そんな彼を見てロンド=ベルの面々は疑念を深くさせていた。キラもシンに囁いてきた。
「やっぱりおかしいね、ミカムラ博士」
「そうだろ?何か引っ掛かるんだよ」
シンはそう彼に述べる。
「何かな」
「うん、そうみたいだね」
「しかし何だってんだ?」
バサラが言う。
「変に焦ってる感じだな」
「焦る必要があるってこと?」
ミレーヌがそれを聞いて呟く。
「それだと」
「まあ話を聞いてからだ」
レイが言ってきた。
「それから考えればいいな」
「そうね」
ミレーヌがそれに頷いた。
「それじゃあ」
「あいつも俺の歌で何とかできねえのか」
バサラはその中でデビルガンダムを見据えて呟いていた。
「どうしたらいい?どうしたら俺の歌で」
「だがそれを軍事利用、いや己の野心に使おうという者が出たのだ」
「誰だ、それは」
「ウルベ=イシカワ少佐、そして」
「そして!?」
皆次の言葉を待つ。時が止まった。その中でミカムラ博士だけが顔を背けていた。
「ミカムラ博士だ」
「何っ!?」
「何だって!?」
皆それを聞いて思わず声をあげた。
「ミカムラ博士が」
「馬鹿な」
「博士は親友であるカッシュ博士の天才を妬んでいた」
シュバルツは言う。
「だからこそウルベに協力したのだ。そして彼を反逆者として陥れてね」
「許せねえ!」
忍がそれを聞いて最初に激昂した。すぐにダンクーガを大空魔竜に向けようとしてきた。
「そんな奴はこの俺の手で!」
「そうさ!その通りだよ!」
沙羅も言う。
「何て話だい!じゃあ今までのことは!」
「待て」
だがダンクーガの前にアランが立ち塞がる。
「落ち着くんだ、ここは」
「アラン、どいてよ」
雅人が言う。
「あんな奴生かしておけないよ」
「それでもだ」
アランはそれでも言った。
「リンチはするな、いいな」
「法の裁きに任せろということか」
「そうだ」
亮にも答えた。
「わかったな。だから今は落ち着くんだ」
「・・・・・・へっ」
忍は渋々ながらもそれに従った。
「わかったぜ。じゃああいつをぶち殺すのは別の人間だ、それでいいんだな」
「そう考えてももらってくれたらいい」
「へっ、ガラじゃねえがな」
ダンクーガは元の場所に戻った。しかしそれはダンクーガだけでなく他の者達もほぼ同じ考えであった。ミカムラ博士は憎悪と侮蔑の目の中に置かれることとなった。
「その時に御前とキョウジの母は死に、そして父は反逆罪で氷づけにされ」
「そうだったのか・・・・・・」
「キョウジはデビルガンダムに乗り込みネオ=ジャパンを脱出した。その時に自身の意志をシュバルツ=ブルーダーに託したのだ。戦場に倒れていた彼にな」
「では御前はやはり」
「そうだ。ドモン」
シュバルツはシュピーゲルから出ていた。そしてデビルガンダムからキョウジを出してきていた。
「私を撃て。デビルガンダムごとな」
「駄目だ」
だがドモンは首を横に振る。
「俺には・・・・・・できない」
「ドモン!」
「俺には・・・・・・」
「このままキョウジの様な者をまた出すというのか!」
「!?」
「それでもいいのか!また犠牲者を!」
「シュバルツ・・・・・・兄さん・・・・・・」
「わかったのなら早く撃つのだ!撃て!」
「いいのか?」
「そうだ!それが私の意志だ!」
キョウジとなって言っていた。
「キョウジ=カッシュとしての!」
「わかった!」
その言葉にドモンは顔を上げた。そして構えを取る。
「行くぞ!兄さん!」
「来い!ドモン!」
二人は互いに言い合う。
「俺の究極奥義!石破天驚拳!」
奥義を放った。光がデビルガンダムに向かう。それで終わりだと誰もが思った。
シュバルツでさえも。彼は今笑っていた。
「これで・・・・・・」
だがその時だった。もう一つの光がそこに来たのだ。
「何っ!?」
それが凱だった。何を間一髪キョウジとシュバルツをデビルガンダムから救い出したのである。
後ろで大爆発が起こる。凱は二人に対して言ってきた。
「間に合ってよかったな」
「助けてくれたのか、我々を」
「そうだ」
凱は答えた。
「そのつもりだった」
「馬鹿な、我々はもう」
「DG細胞のことなら気にしなくていい」
ここでサコンが言ってきた。
「どういうことだ!?」
「我々が既に特効薬を開発している」
「何と」
「すぐに来てくれ、治療を開始したい」
「わかった」
キョウジとシュバルツはそれを受けて大空魔竜に向かう。既にミカムラ博士は監視態勢に置かれている。この話は今のところは終わりとなったのであった。
「まずはこれで一件落着か」
ディアッカは言った。8
「よかったよかったってな」
「それでですね」
「ああ」
そのうえでニコルの言葉に応える。
「ウォン首相も」
「どうなった?」
「さっきのデビルガンダムの爆発に巻き込まれたようです」
「じゃあ死んだのか」
「はい」
ニコルは答える。
「間違いないです。エネルギー反応がありません」
「またそりゃ随分呆気ないな」
「けれど自業自得ね」
アムが言ってきた。
「結局は」
「きついね、けれどそうなんだよな」
ディアッカは結局は彼女の言葉に頷いた。
「かなりなことやってくれたしな」
「ああした奴は何処にでもいるねえ、全く」
キャオがぼやく。
「どうにも」
「そうだな。けれど」
ダバは言う。
「結局は最後は同じだな」
「因果応報ってやつだ」
ディアッカは彼にも応えた。
「悪事をすれば何時か報いがあるってな。そういうものさ」
「深い言葉だな」
「けれどその通りだろ?」
またダバに返す。
「報いってあるぜ。やっぱりよ」
「ディアッカも気をつけないとね」
「おい、そうなるかよ」
アムの突っ込みに言い返す。
「俺は別に」
「いや、かなりのものじゃねえか」
またキャオが言ってきた。
「憎いねえ、この女ったらし」
「俺別にもててねえがな」
「そうだな」
「ってレッシィさんよ」
正直にそれを言われてもやはり不快である。
「もっとこうお世辞とかねえのかよ」
「私はそういうのは嫌いだ」
「そうか。そうだよな」
「そこで納得したら駄目じゃないんですか?」
ニコルが彼に言う。
「やっぱり」
「ああ、そうか。しかしなあ」
苦い顔をコクピットの中で見せる。
「まずい食い物食って怒られるのだけは簡便だな」
「精進しますか」
「ああ。つっても本当にこの部隊って料理作るの上手い人が多いしな」
「ディアッカもそうじゃないですか」
「いや、最近リィナちゃんもな」
ディアッカのアシスタントを最近している。
「かなり上手くなってきたからな」
「そうですね、確かに」
「俺も負けてはいられねえよ」
そんな話をしていた。そして今ドモンは最後の戦いに向かおうとしていた。
「ドモン!」
マスターは彼の前に立っていた。
「よくもデビルガンダムを!」
彼は怒っていた。その怒りをドモンに向けている。
「許さんぞ!」
「あのガンダムでは地球を救えはしない!」
「その通りだ」
獅子王博士が言ってきた。
「流派東方不敗マスターアジアよ」
「むっ?」
「残念だが君の思っている通りにはならない」
「何っ!?」
「デビルガンダムでは地球再生はでないのだ」
「何を馬鹿な」
「何故ならデビルガンダムがするのは地球改造だからだ」
「地球改造!?」
皆それを聞いて顔を顰めさせ首を傾げさせた。
「何だそりゃ」
「さあ」
誰にもわからない。少なくともパイロット達はそうでありロンド=ベルの科学者達だけが暗い顔を見せていた。
「どういうことなんだ?父さん」
「DG細胞、デビルガンダムの三大理論を具体化したこの細胞だな」
「ええ」
獅子王博士は凱に述べる。凱もそれに頷く。
「デビルガンダムに任せては地球全てがDG細胞に冒される」
「成長しきってしまえばその問題は解決されるわ!」
マスターはそう主張する。
「だから問題はない!」
「いえ、駄目なのよ」
レインがそれを否定した。
「それができるのはドモンの、ドモンのお父さんのカッシュ博士が造り上げたUG細胞」
「UG細胞が!?」
「そうよ」
皆に答える。そしてさらに言う。
「アルティメットガンダム細胞なのだから!」
「何っ!?」
「何だと!?」
レインのその言葉にドモンもマスターも言葉を失った。ここでリツコが言う。
「デビルガンダムは自分を維持するために他の生き物をDG細胞で取り込まねばならないの」
「そうだったのか」
「そしてその結果がゾンビ兵よ」
「なっ!?」
「ジーザス、そうだったなんて」
さしものメリーもジャックも驚きを隠せない。ジャックに至ってはあの独特の喋りさえも消えていた。
「マスターアジア、君やろうとしていることを僕は否定はしない」
獅子王博士は一旦はそれを認めた。だがそのうえで言う。
「だがやり方には賛成できない」
「何故だ」
「君は科学者ではない。だからDG細胞の弊害に気付いていないのだ」
「それが全ての生物を取り込むってわけですね」
「そうだ」
万丈に答える。
「だからこそデビルガンダムはこの世にあってはならない。まさに悪魔のガンダムなのだ」
「そうだったのか」
「じゃあやっぱりあのガンダムは」
「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れえええいっ!」
しかしマスターはそれを認めようとはしない。一人になっても叫ぶ。
「そんな悠長なことを言っていては手遅れなのだ!聞け!」
そして彼は言う。
「人類は今まで幾つコロニーを落とした!?幾つ核を使った!?」
必死にそれを訴える。
「そしてこれからどれだけ使うのだ!?」
「だが!」
それにドモンが言い返す。
「だからといって地球上の人間を抹殺していい筈はないっ!」
「まだわからんのか!」
しかしマスターはその言葉も認めようとしない。さらに言う。
「何が人類の革新だ!?何がニュータイプだ!?新しい人間の可能性も所詮は戦争の道具、戦争を正当化する理屈に使われるだけだ!」
「・・・・・・・・・」
皆それを聞いて沈黙する。とりわけニュータイプ達は。
「コロニー落としやマスドライバーを使った勝利が何だ。我が身を痛めぬ勝利が何をもたらすというのだ!」
彼はさらに叫ぶ。
「再び同じことが繰り返されることは必定ぞ!」
「東方不敗!」
そんな彼にドモンが叫ぶ。
「確かにそうだ!人間は過ちをおかす!」
「その通りだ!」
「だが!」
それでもドモンは言った。
「それでもあんたは間違っているッ!」
「まだわからんかっ!」
しかしマスターはその言葉も認めようとしなかった。
「だから御前はアホなのだァッ!」
「アホはあんただ!」
ドモンも負けてはいない。
「何故ならば!」
「言ってみよ!」
「あんたが抹殺しようとする人類もまた天然自然の中から生まれたもの・・・・・・いわば地球の一部ッ!」
「何ぃっ!?」
「それを忘れて何が自然の、地球の再生だッ!!」
彼はそう主張する。
「そう、共に生き続ける人類を抹殺しての理想郷など愚の骨頂ッ!」
「ぬううっ!」
もう言葉がなかった。後は戦いだけであった。
「ならば!」
マスターは言う。
「わしが正しいか御前が正しいか、決着をつけてくれるわッ!」
「おお!」
そしてドモンもそれに応える。
「キング=オブ=ハートの名にかけて!」
「ガンダムファイト!」
「レェェェェェェェェディ!」
「ゴオオォォォォォォォッ!」
今戦いがはじまった。師弟の最後の戦いが幕を開けたのであった。
「遂にか」
「ああ」
戦いがはじまった。皆それを見守る。
「おい」
甲児が仲間達に声をかける。
「皆、ここはやっぱりよ」
「ああ」
「わかっているさ」
皆それに応える。言うまでもなかった。
「手出しは無用」
「そうだろう?甲児君」
「ああ、その通りさ」
鉄也と大介に返した。
「やっぱりここはな」
「彼等だけの戦いだ」
「僕達はそれを見守ろう」
「けれどな」
ここで甲児は言う。
「あいつに何かあれば」
「うむ」
「その時こそ僕達の出番だ」
二人はそれに応えて言う。
「しかしそれまでは」
「彼の戦いを見守ろう」
「頼むぜ、ドモン」
甲児は言う。
「きっと勝て。いいな」
「いい雰囲気ですね」
ルリが戦いを見ながら述べてきた。
「この感じ。とても」
「ルリルリも乗ってきた?」
「はい」
ハルカに答える。
「一矢さんとエリカさんを見てもそうでしたけれど今回も」
「燃えちゃうわよね、やっぱり」
「ええ」
こくりと頷いた。
「ドモンさんもまた」
「そういうことだな」
ヂボデーがそのルリの言葉に頷く。
「私達の出る幕はありません」
「ここは黙って見ないとな」
ジョルジュとサイシーも述べる。
「かつての師匠と弟子が死力を尽くして雌雄を決しようとしている」
アルゴも動こうとはしない。
「これはもう俺たちが入れる世界じゃないってことだな」
フォッカーはバルキリーを旋回させているだけだ。やはり出ては行かない。
「ここは何もするな」
京四郎が皆に言った。
「俺達に出番があるとしたらドモンが負けた時だ」
「あいつは負けない!」
一矢はドモンを信じていた。
「だから」
「そうだ!」
竜馬がそれに頷く。
「だから俺達は!」
「おいリョウ」
隼人が熱くなる彼に対して声をかけてきた。
「チームメイトの意見は聞かないのかよ」
「聞かなくてもわかってるからだろ?」
武蔵がここで言う。そして弁慶も。
「隼人、おめえはどうなんだ?」
「決まってるだろう」
隼人はそれに返してきた。
「皆と同じさ」
「そうか、やっぱりな」
「ミスマル艦長どうでしょうか」
ルリが彼女に声をかける。しかし彼女はそれどころではなかった。
「ドモンさん!そこよ!」
しかし彼女はそれどころではない。派手にドモンに声をかけていた。
「いけっ!そこそこ!」
「もう答え出ちゃってますね」
ヒカリが言ってきた。
「そうだな」
リョーコがそれに頷く。
「見守るしかねえだろ、この戦いはよ」
「ドモンさんが手に入れるのは勝利」
「おいおい、イズミが駄洒落言わないぜ」
サブロウタが驚きの声をあげる。
「こりゃかなり」
「皆燃えて見ているということだな」
それがナガレの意見であった。彼も同じであるが。
「よし!これこそ男の勝負だ!」
特にダイゴウジはそうであった。
「やれ!ドモン!今こそこの拳で!」
「そうです、ダイゴウジさん」
「あれっ」
ジュンはここでふと気付いた。
「ルリちゃんが今ヤマダさんをダイゴウジさんって」
「確かに呼んだね」
アキトがそれに頷く。
「何かまた意外な」
両者は何百回となく凄まじい速さで拳と蹴りを繰り出し合う。その中でドモンはあるものを感じていた。
「これは」
マスターアジアの拳を受けて言う。
「拳から深い悲しみが伝わってくる」
それを今感じていたのだ。拳を受けながらも。
「東方不敗の拳が、拳が泣いているっ!?」
「ドモン、まだわからんのか!」
マスターアジアはその中でドモンに対して叫んでいた。
「わしの気持ちがぁっ!」
「俺の心に、哀しみが響く・・・・・・・。そうだ!」
彼はここで思い出した。
「己の拳は己の魂を表現するものだと教えてくれたのはこの人だ。ならば」
彼はさらに思う。
「これが東方不敗の魂の叫びなのか!?」
「そこまでか。貴様それでもキング=オブ=ハートかッ!」
マスターは攻撃を繰り出しながら言う。
「そんなことでは悪党のわしひとり倒せんぞ!この馬鹿弟子がぁっ!」
「うるさいっ!」
ドモンはまずは彼に叫び返した。そしてあらためて構えを取る。
「いいか、マスターアジア!」
彼は構えを取りながらマスターアジアに対して言う。
「今日こそ俺は」
彼は言う。
「あんたを超えてみせる・・・・・・っ!」
「面白い!では見せてみよ!」
マスターもそれに応えて言う。
「貴様のその力!わしにだ!」
「よし!行くぞ!」
ドモンは攻撃を繰り出してきた。
「流派東方不敗の名にかけて」
マスターも叫んでいた。彼もまた構えから攻撃を繰り出そうとしていたのだ。
「最終奥義!」
「石破!」
「石破!」
何と繰り出す技は同じであった。二人の拳が同時に輝く。
「天驚けええええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーんっ!」
「うおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーっ!」
二人の最終奥義が炸裂する。島全体が光に包まれる。そしてその中に残っていたのは。勝利であった。
「おおおっ・・・・・・!」
ドモンはその中で叫んでいた。マスターガンダムは満身創痍になっていた。
「東方不敗ッ!これで・・・・・・う!?」
「ようし・・・・・・」
マスターはその中で微笑んでいた。今までにない優しい微笑みであった。
「今こそ御前は本物の・・・・・・」
そして言う。
「キング=オブ=ハート・・・・・・」
「し、師匠」
ドモンは前のめりに崩れ落ちる彼に声をかける。
「師匠ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
夕陽の中。かつての師弟は本来の姿に戻っていた。マスターは弟子に抱かれてそこに横たわっていた。
「・・・・・・なぁドモンよ」
マスターアジアは夕陽の中彼に対して声をかける。
「御前には教えられたよ。人類も自然の一部・・・・・・。それを抹殺するなど自然を破壊するも同じ」
「はい・・・・・・」
ドモンはその言葉にこくりと頷く。
「わしはまた同じ過ちを繰り返すところであった」
「師匠・・・・・・」
「わしをまた師匠と呼んでくれるのか?」
「俺は今の今になってはじめて師匠の哀しみを知った」
ドモンは言う。
「なのに俺は貴方と張り合うことだけを考えていた。話を聞こうともしなかった!」
「ドモン・・・・・・」
「なのに貴方は最後まで俺のことを・・・・・・!」
「何を言う」
マスターは微笑んで彼に言う。
「わしは大罪人よ。それでどうして」
「それでも」
ドモンそれでも彼に言った。
「貴方は俺の師匠だッ!」
「そうか」
「ええ」
二人は頷き合う。それから夕陽に二人して顔を向けた。
「ならば!」
ドモン「はいっ!」
「流派東方不敗は!」
「王者の風よッ!」
彼等はそのまま叫び合う。渾身の力で。
「全新!」
ドモン「系裂ッ!」
「天破侠乱・・・・・・!」
「見よ」
ドモンは最後に言う。
「東方は赤く燃えているぅぅぅぅッ!」
これが師弟の和解の叫びであった。マスターアジアは何処へと姿を消した。こうしてランタオ島での戦いは完全に終わったのであった。
「終わったな」
キョウスケはそれを見届けて言った。
「何もかもが」
「凄い戦いだったわね」
エクセレンも珍しく真面目な様子であった。
「今回は特に」
「そうだな。だが得たものは大きい」
「ええ」
「これで宇宙に行ける。気兼ねなくな」
「そういえばですね」
アクアが横から言ってきた。
「どうした?」
「シュバルツさんとキョウジさんはどうなるんでしょうか」
「今サコンや赤木博士達が診ている」
「そうですか」
「キョウジはかなりのダメージらしいな。当分回復は無理らしい」
「当分って」
「助かることは助かる。ドモンにとってはいいニュースだな」
「そうですね」
「シュバルツも怪我がなおったらネオ=ドイツに戻るらしい。一件落着だ」
「ええ」
「しかしだ」
ここでヒューゴが言ってきた。
「どうしたの、ヒューゴ」
アクアが彼に顔を向けてきた。
「これで予定が変わりそうだ」
「予定って?」
「ウルベ少佐を逮捕する必要があるからだ」
「彼ね」
その名を聞いたエクセレンの目が鋭くなった。
「そうだ。あの男を野放しにしてはいけないだろう」
「それじゃあ」
「そうだ、まずはネオ=ジャパン」
彼はまた言う。
「そしてそれからザフトになる。戦いは長い」
「まあ予定変更は付き物ね」
エクセレンはいつもの調子に戻っていた。
「ぼやかないで行きましょうよ」
「そうだな。デビルガンダムも倒れた」
キョウスケは言う。
「落ち着いて行こう。いいな」
「了解」
エクセレンがそれに頷く。こうしてまずはネオ=ジャパンに行きウルベを逮捕することになった。
東方不敗と別れたドモンは一人だった。一人で物思いに耽っていた。
皆そんな彼をそっとしていた。バサラも彼には近寄らない。
「何もしないの?」
「ああ」
バサラはミレーヌに応えた。
「今はな。あいつは俺の歌を望んじゃいねえ」
「いつもだったら無理矢理にでも聴かせてるのに」
「今日は特別だ」
彼はまた言った。
「だからだよ」
「そうなの」
「そうだ。今はな」
彼は動こうとはしない。
そう言ったうえでまた口を開いてきた。
「後だ」
「何かあるの?まだ」
「レインのことだ」
彼は言う。
「あいつも問題だ」
「そうか、そうよね」
「今はそっとしておいてやんな」
イサムがミレーヌに声をかけてきた。
「今はな」
「そうですね」
「その通りだ」
ガルドも述べる。
「今一番辛いのはレインかも知れないからな」
「はい」
ミレーヌもそれに頷く。
「じゃあそっとして」
「ああ」
「あとネオ=ジャパンから兵器の回収が来たそうだ」
レイが彼等に述べてきた。
「あのデビルガンダムをな」
「そうか」
「これでこの件は完全に終わりだな」
イサムとガルドはそれを聞いて述べた。
「やっと」
「そうだな」
「さて、後は宇宙だな」
バサラはここで上を見上げた。そこには果てしなき大空が広がっている。
「いよいよだ」
彼は笑い出した。
「銀河に俺の歌を聴かせてやるぜ!」
だがそれはまだ先であった。熱気バサラ。彼の名は今は只のシンガーでしかなかった。

第百三十六話完

2007・1・18
 
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