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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百三十五話 強襲四天王!

                第百三十五話 強襲四天王!
ネオ=ホンコンのウォンの執務室。そこでウォンとマスターアジアが会っていた。
「どういうおつもりですか?」
まずはウォンが口を開いてきた。
「東方先生」
「ふむ」
マズターはそれに応えて述べる。
「どういうつもりとは何のことだ?」
「言うまでもありません」
ウォンはそれに対して述べる。
「この前のホーチミンでの一件です」
「あれか」
「そうです。あれです」
彼は言う。
「ドモン=カッシュに対するあの態度は」
更に言葉を続ける。
「少し頂けませんな」
「そうか」
「はい」
「ではだ」
マスターはそれに応えて言葉を返す。
「聞こう」
「何をですか?」
「御主の行動そのものだ」
彼はまた言った。
「何故あそこでデスアーミーを使った?」
「デスアーミーをですか」
「そうだ。あそこでデスアーミーなどを使えば街の被害はさらに大きくなる」
「あれですか」
「そうだ。あの二人だけでもよいだろう。奴等の小手調べならな」
ウォンを見据えて述べる。
「どうなのは」
「あれは事故です」
「事故だというのか」
「そうです。実はですね」
サングラスの奥に真意は隠している。
「あれは研究中だったデスアーミーが脱走、増殖してしまっただけですよ」
嘘だ。だがあえて方便を口にする。
「その点は東方先生に感謝しております」
「わしにか」
「そうです。私もどうしたらよいのかわからなくなっておりましたのでね」
「そういうことなのか」
「そうです」
皮肉な笑みを浮かべてきていた。
「おかげで助かりました。有り難うございます」
「わかった」
(この狸め)
心の中では違う言葉を呟くがそれは言わなかった。ウォンはそれを意に介さずにさらに述べる。
「さて」
顔が余裕に満ちた笑みになった。
「ランタオ島に運びこんだデビルガンダムも、計画通りロンド=ベルに見つかったようですし」
「ランタオにか」
「そうです。頃合いです」
彼はまた述べる。
「それでは詰めということにいたしましょうか」
「ウォン」
マスターは彼に顔を向ける。
「貴様何を企んでいる」
「さて」
その問いにはとぼけてみせる。
「何もありませんが」
「嘘をつけ」
「いえいえ、本当に」
これも嘘である。だがそれはあえて口にはしない。
「私が嘘を言ったことがありますか?」
「それ自体が白々しいわ」
「やれやれ。しかしですね」
彼は平気な顔で言葉を続ける。
「東方先生こそ」
「わしが!?何だ」
「私に何か隠していらっしゃるご様子で」
「さてな」
「まあ詮索はしません」
お互いに弱みを握っていると言外に言っていた。
「それはいいでしょう。私は人に無理強いはしない主義なので」
「余計なお世話だ」
マスターは憮然として述べた。そのうえでまた述べる。
「わしは行くぞ」
「お待ちください」
だがウォンはそんな彼を呼び止めた。
「どうした?」
「準備は完全ではありませにょ」
「あの二人は既にいるであろう」
「違います。彼女ですよ」
彼はここでもう一人出してきた。
「まだ彼女の準備が終わっていません」
「いらん」
しかしマスターは不機嫌な顔でその言葉を振り切る。
「あの娘は連れてはいかん」
「何ですと」
「連れていかんと言っておるのだ」
マスターは彼にまた言った。
「必要ない」
「それでは話が」
「黙れ」
それ以上ウォンに言わせるつもりはなかった。
「わしにはわしのやり方がある」
「左様ですか」
「そうだ。わしを誰だと思っておる」
ここで彼は言った。
「東方不敗マスターアジアぞ」
「では貴方だけでも勝ってみせると」
「楽なものだ」
彼にしか言うことが許されない言葉であった。
「わかったら黙って見ておれ。よいな」
「やれやれ。まあいいでしょう」
ウォンも呆れながらもそれに応えることにした。
「ではこちらはこちらでやらせてもらいますので」
「勝手にせい」
遂に部屋を後にした。だがここで不意に咳き込む。
「くっ・・・・・・」
口を押さえる。それから呟く。
「時間はあまりないか。ここが正念場だな」
彼もまた戦っていた。そして今最後の戦いに向かうのであった。
結局アレンビーはまだ見つからない。皆香港の前のマカオに辿り着いても不安は残っていた。
「どうなってるんだ!?」
勝平が言う。
「一体全体よ」
「御免なさい。私もいたのに」
「いや、それはいいよ」
だが彼は恵子は責めない。
「ほんの一瞬だったんだろう!?」
「ええ」
恵子はその言葉に答える。
「本当に。気付いたらもう」
「有り得ないな」
宇宙太がそれを聞いて呟いた。
「あのアレンビーさんが一瞬でさらわれるなんてな」
「そうだよな」
それは勝平にもわかる。
「あの人がな。そう簡単に」
「さらうには無理があるわよね」
恵子も言う。
「やっぱり」
「無理があるなんてものじゃない」
それにタケルが応えた。
「アレンビーをさらえるなんてそれこそかなりの超能力者か戦闘力の持ち主だ」
「超能力」
「戦闘力」
ここでロンド=ベルの面々の顔色が一斉に変わった。
「そうなると」
「いるのは」
「BF団は壊滅している」
京四郎はまずは彼等の可能性を打ち消してきた。
「だから奴等じゃない」
「一番怪しいんだがな、いたら」
宙がそれに述べる。
「けれどいないんだったら仕方がないぜ」
「そういうことだ」
BF団の異常な戦闘力は彼等も知っていた。しかしその可能性は消えた。
「次は」
「俺と同じ位の超能力か念動力の持ち主になる」
タケルが言ってきた。
「俺の知る限りじゃ兄さんか副官のロゼだ」
「しかしそれも」
輝がそれに顔を向けてきた。
「バルマーは地球から撤退したから」
「そうだ、ないんだ」
タケルはそれに応えて述べる。
「絶対に」
「絶対にか」
「うん、それはまず考えられない」
「あの女の力はかなりのものだ」
凱がここで言ってきた。
「あいつならできるかも知れないが」
「いないなら」
「それはないな」
「原種は」
「最近動きを聞かないね」
一矢にルネが答えた。
「とんとね」
「じゃあ一体誰なんだ?」
「待て」
マサキにヤンロンが述べた。
「心当たりがあるのかよ、ヤンロン」
「ならば答えは一つしかない」
「一つしか」
テュッティがその言葉に普段はおっとりとした顔を鋭くさせる。
「その一つって何?」
次にリューネが問う。ヤンロンはそれに応えて述べた。
「同じ戦闘力なのだな」
彼はそこをタケルにまた問うた。
「そうとしか考えられない」
彼もそれに応える。
「相手になるのは」
「ならわかった」
彼はその言葉に頷く。そして述べた。
「犯人はガンダムファイターだ」
「ガンダムファイター」
「じゃあ」
皆それでわかった。アレンビーをさらったのが誰か。
「あいつ等か」
「それじゃあアレンビーは」
「おそらくはな」
ヤンロンはそれに応えて述べる。
「アレンビーもまた香港にいる」
「ランタオ島に」
「なら」
「だが待て」
ヤンロンはここで彼等を制止した。
「ここでいきなり乗り込んでもかえって駄目だ。やはり」
「総攻撃か」
「そうだ」
彼は頷く。
「それがいいと思う。どうだ」
「そうですねえ」
デメクサがそれに応えてきた。
「少数で乗り込んでもあの人達は格闘戦とか半端じゃないですから」
「私の剣をもってしもな。勝てはしない」
ジノですらそれを認めるしかなかった。
「だからここは総攻撃で行くべきだな」
「まあ皆で乗り込んだら何とかなるってね」
「ベッキーの言う通りだね」12
シモーヌが左目を瞑って悪戯っぽく述べる。
「派手に行こうじゃない、ここは」
「わしとしてもそれがええな」
ロドニーは戦術面から同意であった。
「あの連中をしばき上げるのはな。そうあるべきや」
「将軍、その表現は少し」
エリスが彼に注意する。
「どうかと思うのですが」
「あっ、こりゃすまん」
「けれどこれで決まりね。それじゃあ」
プレシアが言う。
「皆でランタオ島にあがってマスターアジアを倒して」
「アレンビーも救出だ!」
「よし!」
こうして彼等の行動は決まった。そのまま予定通りランタオ島に向かうのであった。
その中で。サコン達は何かを見ていた。
「やはりそうですか」
「ええ」
レインはサコンに対して真剣な顔で語っていた。
「本来の自己進化の形と現在のDG細胞のものでは」
「違いますね、明らかに」
「ええ。やっぱりあのガンダムは」
「あってはならない」
「そう思うわ。放置していくと」
「環境の保護どころか」
「大変なことになってしまいかねないわね」
レインはデビルガンダムに恐ろしいものを見ていた。今そのガンダムとの戦いがはじまるのであった。
ランタオ島に到着した。そこには既にデスアーミーの大軍がいた。
「フハハハハハハハハ!待っておったぞ!」
「待たなくてもいいわよ!」
アスカがそれに言い返す。
「この変態!今日こそは!」
「今日も素敵」
レイはレイで頬を赤らめさせている。
「凛々しいお姿」
「ええと、ドモンさん」
シンジはそんな二人を端に置いて話を進めに入った。
「どうぞ」
「東方不敗ッ!」
ドモンは言われるまでもなく既に彼を見据えていた。そして叫ぶ。
「デビルガンダムを使って世界を我がものにせんと企む悪党が!」
「馬ぁ鹿者めがっ!」
しかしマスターはそれを聞いて叫び返す。
「わしがいつそんなものを欲しいと言ったッ!」
「黙れ!」
しかしドモンはそれを否定する。
「わしはただ地球の再興を願うだけ!デビルガンダムをその為に復活させるのだ!」
「ほう、よく言ってくれましたね」
それを聞いてウォンがモニターに出て来た。
「私もなめられたものです」
「この声は?」
「ウォンか」
マスターがその声に応える。
「貴様の目論見もここまでだ」
「ウォン!?」
ノインがその名を聞いて顔を顰めさせた。
「ウォン=ユンファ、ネオ=ホンコンの首相のか!?」
「ご名答」
ウォンはにこやかな仮面の笑みで彼女に答えてきた。
「ネオホンコンの首相が何故デビルガンダムを必要とする?」
ヒルデが問うと彼は答えてきた。
「首相だからですよ」
「首相だから」
「そうです。今世界は混沌に包まれています」
彼は言う。
「ですがそれも何時か終わる。その時にデビルガンダムという力があれば」
「野心家だとは聞いていたがここまでとはね」
万丈がそれを聞いてシニカルに述べてきた。
「下らん!」
少なくともドモンには興味のない世界であった。
「東方不敗!貴様もそんなことのためにデビルガンダムを!」
「見損なうでないわ!」
そもそもドモンは人の話を聞いていない。
「わしが何時そんなことを言った!」
「なら何故デビルガンダムを必要とするっ!」
「貴様も見た筈!地球の裏の姿を!」
「地球の裏の姿」
「ですね」
アキトにルリが答える。
「まだ戦乱の後が残っていますし今の戦争でもまた」
「左様、一年戦争を皮切りとした数多の戦争によりな」
「じゃあパナマでのあれは」
タリアはその言葉で気付いた。
「それを防ぐ為に」
「そうだ。やっとわかったか」
「唯好き勝手に暴れてるだけじゃなかったのかよ」
「シン、幾ら何でもそれはないよ」
キラが彼に突っ込みを入れる。
「やっぱり」
「ドモンよ」
マスターはドモンに対して言う。
「貴様は地球の断末魔の光景を前に何も学ばなんだのか!ならば地球をこんな目にあわせているのは誰かということも気付くまい!」
「それはどうかな」
だがクワトロは一人呟いた。
「それでも人類は・・・・・・」
だがそれはえてマスターには聞こえないようにした。彼の考えがあってのことである。
「わしはそれに気付いた時こんな地球の姿を傍観してはおれんようになった。そこで、ある誓いをたてたのだ」
「誓いだと!?」
「何があろうとこの地球を自然のあふれる元の姿に戻してみせるとな!」
またドモンに言った。
「デビルガンダムを使って、ということか」
「なんだよ、若しかして」
鉄也は思慮の目を向けた。甲児は思ったことを延べた。
「いい人なんじゃねえのか!?」
「そうかも知れない」
大介はその甲児の言葉を受けた。
「しかしそれは」
(何を今さら)
ウォンはそれを聞いて内心失笑していたがそれは隠している。そして言うのであった。
「先生、東方先生!いや、地球再生とは御立派なお志し!」
「ん?この悪党めが」
だがマスターは彼を信用してはいなかった。結局こういう関係であったのだ。
「今更抜け抜けと!今度は何を企んだ!」
「これはまた手厳しいお言葉ですな」
だがウォンも面の皮が厚い。平気であった。
「しかし私もまたそれに賛同しているのですよ」
「ネオ=ホンコンウォン=ユンファ首相」
ブライトが彼に対して言ってきた。
「わかっているのでしょうね。貴方は政府反逆罪として」132
「反逆罪!?」
しかし彼はその警告を一笑に伏す。
「何処に対してのです?そんなものはじきになくなるというのに」
「じきになくなるだと?」
「東方先生提案がございます」
ノインの言葉をスルーして言ってきた。
「このまま連邦を倒し我等に勝利をもたらして頂きたいのです。そしてデビルガンダムを人と地球に優しいガンダムに!」
「地球に優しいガンダムですって!?」
ニナはそれを聞いて眉を顰めさせた。だがマスターは言う。
「笑わせるな!」
ウォンを一喝する。
「貴様優しいという言葉を勘違いしておるのではないか、この政治屋めっ!」
「うっ!?」
「よいか、わしの目的はな」
彼はさらに言う。
「この地球人類の抹殺なのだぞッ!」
「!!」
「なんと!」
皆それを聞いて絶句した。ユリカがその中で問う。
「ほ、本気で言ってるんですか!?」
「何を・・・・・・何を考えているっ!東方不敗!」
「ドモンよ、デビルガンダムが元々地球再生の為に作られたものだということは知っておろう」
彼はドモンに対して問う。
「そしてデビルガンダムはある答えを導き出した」
「それが人類抹殺だというのか!」
「わからぬか!地球を汚す人類そのものがいなければ」
マスターは言う。
「自然はおのずと甦る。そして最強の力を持つデビルガンダムさえいればもう誰も地球へ降りられなくなる!」
「地球を閉鎖しようというのか!?」
「地球へ降りられなくなってしまう?」
絶句するしローとアイナにもマスターは言う。
「そうよ、誰もだ!地球人も異星人も・・・・・・誰も地球に手出しできなくなる!」
「東方不敗!」
しかしドモンは彼の言葉に臆してはいなかった。
「人間はこの宇宙のいたる所で生きているんだ!今さら地球をどうこうしようだのとそれでは異星の侵略軍と変わらん!」
「馬鹿者があ!」
それに対してマスターの言葉が炸裂した。
「だから御前等はアホなのだッ!」
「何だと!」
「宇宙に浮かぶ大地、森、山、そして湖・・・・・・。全てが偽物の世界の中で生きていることも気付かぬ愚か者ども!」
彼は言葉を続ける。
「コロニー落とし、マスドライバーに核兵器!どれだけ地球を傷つければ気が済むのだ!代わりが見つかってしまえば、あとはもういいというのか!?」
「そうでありながらアースノイドとスペースノイド。地球にしがみつく者と重力から魂を解放しようとする者達」
言いながら赤い髪の女をクワトロはその脳裏に思い浮かべる。
「その間で戦いは絶えん」
「わかるか、これは償いだ」
マスターは宣言する。
「犯した罪は償わなければならん。この手でな。わしは貴様等のような愚か者共からこの地球を取り戻す!」
今その右腕が翻った。
「そして、その為にはッ!」
右腕が翻るとデスアーミー達が姿を現わした。その中には彼等もいた。
「ヒャハハハハハハハハ!」
ミケロと。
「さあ、戦いのはじまりだ」
チャップマンがいた。彼等もまた戦場に姿を現わしたのだ。
「貴方達ね」
レインが彼等に問う。
「アレンビーをさらったのは」
「さらったのは俺さ」
ミケロがそれを白状してきた。
「ジュースに眠り薬を忍ばせてな」
「くっ、何と卑劣な」
キメルがそれを聞き顔を顰めさせる。
「それが御主達のやり方というのか!」
「悪いのかよ!」
だがミケロはそれを言われても平気であった。
「俺にはそのやり方がいつもなんだよ!」
「何処までも腐り果てた男だ!」
「許せない・・・・・・!」
レインは己の怒りが高まっていっているのを感じていた。
「そうだからなのですよ」
ウォンがここで言ってきた。
「彼女も呼んであります」
「何っ!?」
「やっぱり」
マスターとレインはそれを聞いてそれぞれ声をあげた。
「さあ、アレンビー=ビアズリー」
ウォンはその名を今呼んだ。
「おいでなさい」
そこにノーベルガンダムが現われる。乗っているのは彼女以外有り得なかった。
「うう・・・・・・」
アレンビーがその中で呻いていた。
「うううううううう・・・・・・!」
「アレンビー!?」
ドモンがそれを見て驚きの声をあげる。
「ウォン!」
マスターはモニターのウォンを睨み付けていた。
「貴様、まだ!」
「東方先生、あなたのやり方は生ぬるい」
ウォンはいつもの慇懃な態度で彼に返す。
「乗るつもりがなくても乗せる方法など幾らでもありますからな」
アレンビー「うおおおおおおおおおっ!!!」
「ウォン!機械で能力を引き出した者など!」
「よいのですよ、それでも」
彼はしれっとしたものであった。
「勝利の為にはね。違いますか?」
「何て野郎だ」
宙がそれを見て言葉を失っていた。
「あいつをこのまま置いておくと大変なことになるぜ」
「その考えには賛同できるものもありますが」
「おい」
カガリがアズラエルに突っ込みを入れる。
「御前はそこで何を言うんだ」
「しかしです」
だが彼は言う。
「彼の行動には賛同できませんね、僕としても」
「御前があいつの立場だったらどうだ?」
「世界征服には興味がありませんから」
「そうか」
「そうです。僕はあくまで企業人ですよ」
「企業でも世界征服を企む連中だっていたぞ」
「ドクーガは違うぞ」
「そうじゃ。わし等は儲けがあればいいのじゃ」
「そして美しさもまた」
カットナル、ケルナグール、ブンドルのいつもの面々が反論する。
「そこまではな」
「うむ」
「いや、ユウナの特撮ものだ」
「あのね、カガリ」
ユウナがそれに突っ込みを入れる。
「特撮と現実は違うから」
「わかっている」
何故か反論がムキになる。
「そんなことは私だってなあ」
「わかってると思う?」
「凄い疑問」
ミスティにレトラーデが答える。
「カガリちゃんだから」
「そうよね、彼女だから」
「御前いつも特撮もので自分がやっつけてやるとか騒ぐからな」
そしてシンも出て来た。
「漫画と現実の区別がつかないだろ、御前」
「御前にだけは言われたくはない!」
カガリはシンに反論する。
「御前何だ!いつもいつもテレビの前に変身シーンばかり練習して!」
「それは御前もだろう!あと時代劇の真似も!」
「あれをやらずしてどうする!」
「それで酒飲んで上着脱いで桜がどうとか言っていたのは誰だ!」
「あの時も大変でしたねえ」
「カガリはお酒飲むと。脱ぎますから」
アズラエルとユウナにとってはいい思い出ではない。
「刺青の替わりが白いブラだっただろうが。その後ズボンまで脱いでな!」
「そういう御前は赤いトランクスだっただろうが!あれは何だ!」
「洗濯でなくなっていたお気に入りだ!」
彼は反論する。
「やっと見つけたのを履いているんだよ!悪いか!」
「御前も飲んだら脱ぐだろうが!」
「五月蝿い!」
彼等は彼等で言い合いに入る。
「赤いトランクスの何処が悪い!」
「女の子の下着は白が一番だろうが!」
「ああ、もう静かにしてくれ」
見かねたアスランが間に入った。
「デビルガンダムまで出て来るんだからな」
「おっと」
「そうか」
二人はそれを聞いてやっと喧嘩を止めた。
「遂にか」
「話には聞いていたが。どんな化け物なんだ」
「地下から熱反応です」
ミドリが言ってきた。
「けれどこれは」
「うむ」
大文字がそれに頷く。
「これは・・・・・・尋常な大きさではない」
地響きがする。そして今悪夢のガンダムが姿を現わしたのであった。
「・・・・・・・・・」
「デビルガンダム・・・・・・」
ドモンはそこに聳え立つようにしているデビルガンダムを見て言う。
「キョウジ・・・・・・!!だがその姿は!?」
「どうだ、ドモン」
マスターはドモンに対して声をかける。
「兄の真の姿を見た感想は」
「生命反応殆どありません」
ルリが言う。
「簡単に言えば死に掛けています」
「どういうこと!?」
アスカがその言葉に眉を顰めさせる。
「あんな化け物でも死に掛けるっていうの?」
「貴様がギアナ高地でデビルガンダムを倒した代償がこれだ!」
マスターはドモンに対して叫ぶ。
「さしものデビルガンダムもパイロットがこれでは鉄クズも同じ」
「そう」
ウォンも言う。
「だからパイロットが必要なのですよ」
「ドモンよ。貴様が新たなパイロットとなりデビルガンダムを完全復活させよ」
マスターはまた言った。
「それが兄に対するたむけとなるのだ!」
「なんだと!?」
ドモンはその言葉に気付いた。
「東方不敗!それではこの間のも!」
「奥義を授けたことか」
「そうだ、まさかそれは」
「そうよ。わしはな、ギアナ高地でボロボロになった生体ユニット・・・・・・キョウジ=カッシュの代わりを探しておったのよ」
「それがドモンだと!?」
レインはそれを聞いて悟った。マスターの返答はそれをはっきりと述べたものであった。
「如何にも!」
彼は言い切った。
「皮肉にも最高のマシンであるあのデビルガンダムを永遠に生かすためには最高の肉体が必要っ!」
「どういうことだ?」
「わからない。どういうことなんだ」
万丈が一矢に応えるが彼をもってしても理解できなかった。
「いや」
だが彼はふと気付いた。
「まさか」
「そうだ」
ここでランタオに一機の航空機が姿を現わした。
「デビルガンダムはパイロットの生命力をも吸っているのだ」
「貴方は!?」
「お父様」
レインがその航空機に顔を向ける。そこにはミカムラ博士がいた。
「どうしてここに」
「デビルガンダムが復活するという話をウルベ少佐から聞いてここまで来たのだ」
事情を述べる博士はどういうわけか俯いていた。
「そうだったのか」
「それで少佐は?」
「彼は宇宙にいる」
博士は言った。
「忙しいらしくてネオ=ジャパンから離れられないらしい」
「そうなのか」
「それで」
「けれどお父様、今のお話は」
「うん」
博士は沈痛な顔で頷いた。
「だからこそあのガンダムは」
「左様!」
マスターも言ってきた。
「だからこそ、だからこそデビルガンダムのパイロットには強い生命力が必要!」
彼は言う。
「その為にわしはお前に最終奥義を授け、鍛え上げたのだっ!」
「美味い七面鳥を食べようと思ったらたっぷりと太らせてからということか」
「悪くない例えだ、破嵐万丈よ」
マスターはその言葉に笑みを浮かべる。
「石破天驚拳を撃てぬ輩では最高とは言い難いからな!そしてドモン!」
またドモンに対して言う。
「御前はわしの理想通りの最高の生体ユニットとなったのだ!」
「き、貴様ぁ・・・・・・!」
「成程」
ウォンはそれを聞いて納得した。
「そういうことだったのですか」
「そうよ!」
「わかりました」
(ですが)
彼は応えながら別のことを考えていた。
(その結果地球人類を滅ぼされてはたまりませんな)
「どうもおかしいと思ったぜ」
隼人が言う。
「敵に必殺技を授けるなんてな」
「そうだな」
それに弁慶が頷く。
「巴先輩が俺に大雪山おろしを教えてくれたのとは事情が違うからな」
「マスターアジア、やはり恐るべき男だな」
「ああ、こんな恐ろしい爺さんははじめてだぜ」
竜馬に武蔵が応える。彼等も今最大の戦いがはじまろうとしているのを感じていた。
「さあ乗り込め、デビルガンダムに乗り込め!」
マスターはドモンにまた叫ぶ。
「その素晴らしき身体をデビルガンダムに!」
「ふざけるな!」
ドモンはそれに叫ぶ。
「誰がそんなことをするものか!」
「無理にでもそうさせてやるわ!」
「断るッ!」
「よし、諸君!」
大河が指示を出す。
「総攻撃!アレンビー嬢を救い出しデビルガンダムを破壊する!」
「アレンビーを!?」
「おい、そりゃ無理じゃねえのか!?」
マーベルとトッドがそれを聞いて言う。
「無茶苦茶だぜ、それはよ」
「為せば成る!」
これが大河の答えであった。
「やろうと思えばできないことはないのだ!」
「おいおい」
これにはトッドも言葉を失う。
「そう来たか」
「けれどその通りよ」
チャムが彼に言ってきた。
「今までだってそれでやって来たじゃない」
「そうか」
「そうよ」
「じゃあ決まりだ」
ショウが言う。
「アレンビーを救い出す!そしてデビルガンダムを倒す!」
「その通り!」
また誰かが姿を現わした。
「・・・・・・出たわね」
アスカが彼の姿を見て顔を顰めさせる。
「何としても救い出さなければならん!」
「シュバルツ=ブルーダー!」
そこにシュバルツとガンダムシュピーゲルも姿を現わした。
「私も協力しよう。そして!」
彼は言う。
「デビルガンダムを倒す!いいな!」
「当然だ!」
ドモンはそれに応えて叫ぶ。
「東方不敗!そして今日こそは!」
「うむ!決着をつけてくれよう!」
「ガンダムファイト!」
それが今はじまった。
「レェェェェェェェェェェディ!」
「ゴオオオォォォォォォ!」
ランタオ島での決戦が今遂にはじまった。デスアーミー達がロンド=ベルに殺到する。
「HAHAHA!邪魔デーーーーーーース!」
ジャックが銃を乱射する。それで彼等を撃ち抜いていく。
「どきなさーーーーーーイ!」
「そうよ!その通りだわ!」
アスカもかなりテンションが高くなっていた。
「あんた達!ゾンビはさっさと死になさい!」
ライフルをあちこちに放つ。それで敵を破壊していく。
「ほい、次!」
ライフルが空になるとそれを放り投げ次のライフルを出す。
「容赦しないからね!今日は!」
「アスカって何か」
マリューがそんな彼女を見て呟く。アークエンジェルもゴッドフリートにバリアントを始終放っている。
「マスターアジア絡みになると変にテンション高くなるわね」
「まあ気持ちはわかります」
カズイが答えた。
「合わないんでしょうね」
「合わないって問題かなあ」
トールがそれを聞いて呟く。
「あの拒絶反応は」
「認めたくないんだろうな」
それにサイが述べる。
「ああした特異な人は」
「パナマでのあれ凄かったしね」
ミリアリアが言ってきた。
「一瞬何だって思ったわよ」
「あっ、それ俺見ていないんだよ」
トールがここで言う。
「凄かったのは聞いたけれど」
「まあね。我が目を疑ったわ」
ミリアリアはトールに説明してきた。
「いきなり出て来てザフト軍を一撃だったから」
「映像とかあるかな」
「あるぞ」
ノイマンが答える。
「後で見るといい」
「わかりました。じゃあ」
「ユウナさんが保管している」
「またユウナさんですか」
映像と言うと彼が出て来る。
「そうだ。興味深い映像だからという理由で。アズラエルさんも持っておられるぞ」
「あの二人かあ」
サイはそれを聞いて眉を顰めさせる。
「結局特撮か何かと思ってるみたいだなあ」
「多分そうね」
マリューがここで述べる。
「絶対に」
「そういえば艦長」
「何かしら」
カズイの言葉に顔を向ける。
「この前ユウナさんから携帯貰ってましたよね」
「ええ、まあ」
「あの携帯ってまさか」
「ナンバー打ち込んで使うものよ」
マリューは答えた。
「それがどうかしたの?」
「ただのおもちゃですよね」
カズイはさらに尋ねた。
「やっぱり」
「勿論よ」
何を言っているのかといった顔を見せてきた。
「本当に変身できたら凄いわよ」
「ですよね」
「それにしてもあそこの人は」
トールはシュバルツを指差す。
「その特撮のヒーローみたいなことを平気でやってるよね」
「ライオンに変身したりしてね」
ミリアリアが冗談めかして言った。
「ひょっとしたら」
「それ以前にね」
マリューは少し目を鋭くさせていた。
「人間なのかしら、普通の」
「多分違うと思います」
サイが答えてきた。
「それだけはないです」
「そうね。ただそれを言ったらガンダムファイター全員がそうなのよ」
最早言うまでもないことである。
「その中でもね。何かマスターアジアと並んで飛び抜けているじゃない」
「はい」
これも言うまでもないことであった。
「とても普通のガンダムファイターとも思えないし」
「何者なのか、ですか」
「ええ」
彼女はシュバルツに何かを感じていた。それは勘でしかなかった。だが今目の前で戦う彼を見ればそれは無理もないことであった。
「甘いっ!」
デスアーミーの攻撃を分身でかわしていた。
「その程度の攻撃なぞっ!」
次に空を飛ぶ。そして下に向けて手裏剣を放つ。
手裏剣がデスアーミー達に刺さると爆発した。それで敵を屠ったのであった。
「相変わらずだな」
凱がそれを見て言う。
「頼りになる」
「全くです」
それにボルフォッグが頷く。
「是非GGGの隊員に迎えたいです」
「そうだな。しかし」
「しかし?」
「何か似ているな、俺と」
「隊長と」
「そうだ、あの動き」
シュバルツの異常なまでの機動的な動きを見て述べる。
「ただの筋肉の動きじゃない。あれは」
「我々と同じですか」
「ああ、そんな感じだ」
彼は言った。
「そう思わないか」
「確かに」
ボルフォッグはその言葉に頷く。
「そんな感じですね」
「ムンッ!」
畳返しで敵の攻撃を避けていた。
「所詮はその程度っ!」
左右に剣を出して斬り抜ける。それでまた多くの敵を倒していた。
「今の動きにしろだ」
「私に近いものがありますね」
「考え過ぎか?」
凱は思った。
「俺達と同じ筈がないしな」
「ですね」
戦いはデスアーミーの大群を集中攻撃で退けたロンド=ベルに傾いてきていた。既にミケロ、チャップマンにはシャッフル同盟が近付いてきていた。
「ドモン=カッシュ」
ジョルジュがその中でドモンに対して言う。
「ここは私達に任せて下さい。貴方はデビルガンダムに」
「わかった!」
ドモンはそれに頷く。
「では行く!」
彼はデビルガンダムに向けて駆けていく。その間に四人は二機の怪物と対峙していた。
「よおよお、また出て来たのかよ」
ミケロが彼等を見下ろして笑っていた。
「今度は負けねえぜ」
「私もだ」
そこにはチャップマンもいた。巨大なガンダムが聳え立っている。
「ここで終わりにさせてもらう」
「へっ、相手にとって不足はねえぜ」
ヂボデーは威勢よく拳を構えて言ってきた。
「うむ、ここで終わりにさせてもらう」
アルゴがゆっくりと前に出た。
「そうだね。おいらもそうさせてもらうよ」
サイシーもいる。
「サイシーとアルゴはヘブンズソードをお願いします」
ジョルジュが言う。
「ヂボデーと私でグランドガンダムを倒します」
「あいよ!」
「わかった」
「じゃあ行くぜ!」
「ガンダムファイト!」
「レェェェェェェェェデイーーーーーーッ!」
「ゴオオオオオオオオーーーーーッ!」
ここでもガンダムファイトがはじまった。戦いはやはり終わらない。
レインはアレンビーのノーベルガンダムと対峙していた。彼女に呼び掛ける。
「アレンビー!」
「うおおおおおおおおっ!」
だがその言葉はアレンビーの耳には入らない。彼女は叫んでいた。
「う・・・・・・ううう・・・・・・」
呻きながら何かを言っていた。
「ド・・・・・・」
「!?」
「ドモ・・・・・・ン・・・・・・」
「えっ!?」
レインは今確かに聞いた。彼女がドモンの名を呼ぶのを。
「ドモン・・・・・・ドモン、ドモンは何処なの!?」
彼女は辺りを見回す。その真っ赤な目で。
「あたしだって・・・・・・あたしだって!」
「しっかりしてアレンビー!」
レインはそんなアレンビーに対して語り掛ける。
「ドモンが、ドモンがなんなの!?」
「ドモンのことが!」
「アレンビー、まさか貴女・・・・・・」
「うおおおおおおおっ!」
そして異変が起こった。突如としてノーベルガンダムが変形し禍々しい樽の様な姿になった。
「このガンダムは!?」
「ウォルターガンダムです」
ウォンが述べてきた。
「ウォルターガンダム!?」
「はい、デビルガンダム四天王の一人です」
「馬鹿な」
これは何とマスターアジアの声であった。
「あれは乗る者がいないのではなかったのか」
「だからこその彼女なのですよ」
ウォンはマスターにそう答えた。
「おわかりですか?」
「クッ、御主という男は」
「さて、アレンビー=ビアズリー」
彼はアレンビーに声をかける。
「貴女の力、見せて差し上げなさい」
「うおおおおおおおおおおっ!」
「くっ!」
レインはそれに立ち向かう。しかしそこにもう一人来た。
「ドモン!」
「アレンビー!」
ドモンはアレンビーを見据えていた。
「目を覚ませ!」
「!?」
彼の言葉を聞いたアレンビーは動きを止めた。
「ドモン!?」
「そうだ、俺だ!」
彼は言う。
「俺はここにいる!そして皆も!御前は一人じゃない!
「ドモン、本当にそこにいるの!?」
「そうだ!」
彼は叫んだ。
「だから戻って来い!皆のところに!」
「皆・・・・・・そこに」
「むっ」
だがそれを見たウォンが声をあげた。そして手に持っているリモコンのスイッチを入れた。
「これはいけませんねえ。危険ですが」
そのうえで言う。
「バーサーカーシステム出力最大!バーサーカー=フルモード!」
「うおおおおあああああああっ!」
アレンビーはそれを受けて叫ぶ。
「はああああああああああああっ!」
「アレンビー!」
「さぁ戦いなさいアレンビー!」
ウォンは邪な笑みを浮かべながら言う。
「戦うのです私の為に、私のデビルガンダムの為にね!」
「うわああああああああああっ!」
「くっ、あのおっさん」
「何で野郎だ」
ケーンとタップはウォンを見て顔を歪めさせていた。
「これはまずいな」
そしてライトもいつもの三人の楽天さはそこにはなかった。
「あのおっさんを何とかするか」
「つっても何処にいるやら」
「わからねえぜ。香港じゃねえのか?」
「いや」
だがここでライトは言った。
「ここにいるな。それも近くに」
「いるのか」
「ああ、マギーちゃんが教えてくれている」
「そうなのか」
「ですね」
それにニコルが応えてきた。
「ブリッツもそれを知らせています。おそらくあの人はこのランタオにいます」
「それで隠れているというのか」
「卑怯な」
カールとウェルナーがそれを聞いて言う。
「だがいるとなれば対処のしようもある」
ダンは冷静にそう判断を下してきた。
「そういうことだな、ライト=ニューマン」
「御名答。しかしこうも敵がうじゃうじゃいるとねえ」
ドラグナーチームの周りはかなりのデスアーミーが展開していた。とても動けるものではない。
「どうしたものかね」
「旦那、敵中突破といくかい?」
ケーンがマイヨに声をかけてきた。
「どうする?」
「それも手だな」
マイヨもそれに応える。
「だがこの数だと。かなり時間がかかるぞ」
「そうか」
「まあ俺達が援護するけれどな」
「それでもこれは」
タップとライトもいる。だが数はそれ以上であった。
「我々が加わっても」
「これはかなり」
「大尉殿、申し訳ありません」
「いや、いい」
マイヨはプラクティーズの面々に対してそう返した。
「だが。どうするかだ」
「グン=ジェムの旦那達も今手が離せないみたいだしな」
「すまん!」
グン=ジェムが通信で謝ってきた。
「手が離せん!折角だが!」
「どうするよ」
タップが言ってきた。
「こりゃかなりよ」
「チェーンソーで血路を開くのもなあ」
「限界超えてるよ、この数は」
ミン本人から言葉が返ってきた。
「悪いけどね」
「じゃあ僕が行きます」
ニコルが名乗り出てきた。
「おっ」
「頼めるか?」
「はい、ブリッツのミラージュコロイドを使って」
彼は申し出てきた。
「それなら大丈夫ですよね」
「じゃあ悪いけれどよ」
「頼むぞ」
ケーンとライトが言ってきた。
「それでな」
「はい。じゃあ」
ブリッツは姿を消した。そしてウォンの捜索に向かうのであった。
「アレンビー!」
ドモンはその間もアレンビーに声をかける。だが彼女は相変わらずであった。
「う、うおおお・・・・・・」
一人叫ぶ。
「うおおおおおおおっ!」
「駄目か!?」
「兄貴!」
ジョルジュとサイシーがそれを見て声をあげる。
「どうするのだ、ドモン」
アルゴが彼に問う。皆ドモンの言葉を待っていた。
「倒すしかない!」
「なっ」
そのドモンの言葉に言葉を失う。レインとヂボデーがそれを聞いて彼に問うた。
「ドモン!?」
「見捨てようってのか!?」
「見捨てん!」
しかしドモンの決意は変わらない。それは強いものであった。
「俺が止める!」
彼は言う。
「皆は手を出すな!」
「いえ」
しかしここでレインが前に出て来た。
「私がやるわ」
「レイン!?」
「ドモン、貴方はデビルガンダムをお願い」
「しかし」
「私だってガンダムファイターなのよ」
だがここでレインは言う。
「弓と薙刀があるわ。だから」
「やれるのか」
「ええ」
そう答える。
「だから。貴方は行って」
「わかった」
ドモンはその言葉に頷く。そして先に向かった。
「やるわ!」
レインはライジングガンダムの中で身構える。そしてアレンビーと対峙する。
「アレンビー!きっと貴女を!」
「うわあああああああああああっ!」
「助け出してみせる!」
そこにウォルターガンダムの攻撃が来る。爪で襲い掛かる。
「こんなもの!」
レインはそれを薙刀で切り払う。意外なまでに見事な捌きであった。
「っておい」
勝平賀それを見て言う。
「レインさんってあんなに強かったのかよ」
「持って生まれたセンスというやつだな」
宇宙太がそれを見て述べる。
「あれは」
「そうなのかよ」
「けれど。相手の攻撃は」
恵子はウォルターの攻撃から目を離してはいなかった。
「かなりのものよ。大丈夫かしら」
「大丈夫だ」
しかし宇宙太は言い切った。
「ここはレインさんを信じろ、いいな」
「ええ、じゃあ」
「レインさん、頼むぜ」
勝平もまたレインの勝利を願っていた。
「そしてアレンビーさんをよ」
爪の猛攻をかわしながらレインは間合いを詰めていく。何かを狙っていた。
「もう少し」
彼女は呟く。
「もう少しの距離で!」
「はあああああああああああああっ!」
アレンビーは一気に接近してきた。押し潰すつもりのようであった。
「今!」
だがそれは好機であった。レインはすぐに動いてきた。
「いくわっ!これで!」
「!?」
「一体何を」
アレンビーとウォンは同時に声をあげた。そしてレインを見やる。
「いくわよ!必殺必中!」
至近距離で弓を出してきた。それで狙いを定める。
「ライジングアローーーーーッ!」
弓を放った。何と至近距離で急所を貫いたのであった。
「があああああああああああっ!」
「やった!?」
動きを止めたウォルターを見やる。だがまだ安心はできなかった。
「がああああああああああっ!」
「バーサーカーシステムは破壊したけれど」
レインは言う。
「どうなるのかしら」
「アレンビー!」
遠くからドモンが声をかけてきた。
「バーサーカーシステムはレインが破壊した!後は御前の力次第だっ!」
「ド、ドモン!」
「脱出しろ!」
ドモンはさらに言う。
「アレンビー!御前もガンダムファイターなら」
そしてさらに言う。
「最後の意地を見せろぉぉぉぉぉっ!」
「くっ、うう・・・・・・」
アレンビーはそれに応えた。そして今動く。
「ドモォォォォォォォォォォン!」
脱出した。間一髪でウォルターが爆発したのであった。
「ドモン!」
レインが彼に声をかける。
「アレンビーは無事よ!」
「そうか!よくやった!」
ドモンはそれを聞いて言う。
「では後はデビルガンダムを倒す!それだけだ」
「そうですね」
ジョルジュがそれに頷く。
「そして私達も」
「おう、やるぜ!」
ヂボデーが応える。
「ここででかいのをな」
「そういうことだね!」
そしてサイシーも。
「いいかい、アルゴの旦那!」
「無論」
アルゴはその言葉に頷く。
「ならばここで!」
ミケロとチャップマンに向かう。すぐに攻撃態勢に入っていく。
「そんな・・・・・・こんな筈では」
ウォンはその中で一人呟いていた。
「こんな筈ではなかったのに!ええい、こうなれば全てを灰にしてしまえデビルガンダムッゥ!!」
「ウォン」
ドモンは彼に対して言った。
「後はデビルガンダム諸共御前の野望を叩き潰す!」
ドモンは突進する。その中で今シャッフル同盟の奥義が炸裂するのであった。
「では行きますよ!」
最初に動いたのはジョルジュであった。
「ローゼスハリケーーーーーーン!」
黄金色に輝くガンダムから無数の薔薇が放たれる。それでまずグランドガンダムを覆った。
「ムウッ!」
それはチャップマンをしてもかわしきれるものではなかった。忽ちのうちに無数の攻撃を浴びることになった。
「こ、これは!」
「これならかわしきれないでしょう!ジェントル=チャップマン!」
ジョルジュは言う。
「これだけの数!かわすことなぞ不可能です!」
「ヌウウ!」
「そして俺だっ!」
ヂボデーが攻撃に入った。
「くらえええっ!」
全身に渾身の力を込める。拳にも黄金色の光が宿った。
「俺の!」
今ありったけの力を込めてブローを放つ。最大最強の一撃を。
「豪熱マシンガンパァーーーーーーーーーンチ!!」18
拳から光の帯が放たれた。それがグランドガンダムを完全に貫いたのであった。
「ぐおおおおおおおおおっ!」
チャップマンは絶叫する。今その巨体が炎に包まれていく。
「馬鹿な、この私が」
チャップマンは断末魔の中で呟く。
「この私が」
「貴方は栄光の中で死ぬのです」
「栄光の中で!?」
ジョルジュの言葉で問う。
「馬鹿な、私は敗れた。それでどうして」
「戦士として最後まで闘った」
ジョルジュはそれを言う。
「だからこそです」
「戦士としてか」
「ええ」
彼は答えた。
「ですから貴方は」
「ふふふ、そうだな」
チャップマンはその言葉を受けて笑ってきた。
「私は誇り高きガンダムファイターだった」
今その心に戻っていた。
「そしてそれを今思い出した。ならば」
「それを胸に抱いて」
「去るとしよう。ではな」
グランドガンダムは爆発四散した。チャップマンもまた炎に消えたのであった。
「見事でした、ジェントル=チャップマン」
ジョルジュは最後にまた言った。
「やはり貴方は。私が敬愛する誇り高き戦士でした」
彼は最後の最後で彼への敬意を確認した。それは幸運であった。
アルゴの身体が黄金色に輝いていた。そして拳にありったけの力を込める。
「サイシー!まずは俺が仕掛ける!」
「わかったよ!」
サイシーもそれに応える。合わせた拳が光で輝いていた。
「行くぞっ!」
空に舞うガンダムヘブンズソードを見据えて言う。
「ぬおおおおおおおおおっ!」
ガイアクラッシャーを至近距離で放つ。舞い上がり叩き付けてきたのだ。
「チイイイッ!」
攻撃を受けたミケロはその衝撃で地に落ちた。そこに今サイシーがいた。
「少林寺が究極奥義!」
サイシーもまた黄金色に輝いていた。その中で構えを取る。
「目にもの見せるは最終秘伝!」
そして彼も技を放つ。それは。
「真!流星胡蝶けえええええん!」
今それを落ちてきたガンダムヘブンズソードに炸裂させた。輝く蝶の舞いが彼を吹き飛ばしたのであった。
「なっ!」
ガンダムヘブンズソードは完全に地に落ちた。アルゴはそのミケロを見て言う。
「終わりだ、ミケロ=チャリオット!」
「チイッ!俺がこんなところで!」
それが断末魔の声であった。ミケロもまた四散して果てたのであった。
「ほう、中々やるではないか」
「馬鹿な、四天王がこうも簡単に」
マスターアジアとウォンは四天王が倒れるのを見てそれぞれ言葉を発してきた。
「だが。わしを倒せるかな」
「無論だ!」
ドモンがそれに応える。
「見ていろ!今」
彼はデビルガンダム、そして己の師に対して向かう。遂に最後の戦いがはじまろうとしていた。

第百三十五話完

2007・1・12  
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