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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百三十四話 石破天驚拳!師弟の最終奥義

                第百三十四話 石破天驚拳!師弟の最終奥義

香港へ向かうロンド=ベル。その話はウォンの元にも入っていた。
「また面白い趣向ですね」
彼は自身の高層ビルの執務室にいた。そこでチョコレートを食べながらマスターアジアと話をしていた。
「貴方らしい」
「そろそろだと思ってな」
「ほう」
マスターアジアの言葉に面白そうに眉をあげる。
「それはどういうことですか?」
「決着をつける時なのだ」
彼は言う。
「あ奴とな」
「まあ私にしてはいいことです」
ウォンにとってもこれはいい話であった。
「ロンド=ベルの力をそのまま己がものとできれば世界どころか宇宙を手に入れることも夢ではありませんか」
「宇宙をか」
「はい」
彼はニヤリと笑って答える。またチョコレートを食べる。
「そうです、宇宙を」
「わしには興味のない話だな」
「では貴方はやはり」
「そうだ」
毅然として答える。
「この地球を本来の美しい姿に戻したい。それだけだ」
「まあそれもいいでしょう」
これといって話に口を挟んだりはしなかった。
「綺麗にこしたことはないですからねえ」
「それでじゃ」
「何か?」
「あの二人の姿が見えぬが」
マスターの目が光った。
「どうしたのじゃ?」
「少し出張中です」
「出張じゃと」
「はい、ホーチミンにね」
かつてサイゴンと呼ばれた街である。
「そこに」
「何の用だ」
「宜しければ貴方も行かれてはどうでしょう」
ウォンは彼にも述べてきた。
「戦いまでにはまだ時間がありますし」
「ふむ」
「如何でしょうか」
「わかった」
マスターはその言葉を受けることにした。
「では今から少し遊んで来る。またな」
「ええ」
こうして彼もまたホーチミンに向かった。何かに導かれて。
ホーチミンはかつてはベトナムの経済の中心地であった。今は東南アジアで有数の大都市として知られている。今ロンド=ベルはそこでオーブ戦での整備と補給を受けていたのであった。
「ははは、どうだ!」
アルフレッドが一同に自分の手料理を振舞っていた。
「美味いだろうが!」
「ああ、これはかなりのものだな」
ナンガが生春巻きを食べて感想を述べる。
「美味い」
「そうだな」
それにラッセが頷く。
「このタレもな」
「そのタレが重要なんだよ」
アルフレッドの薀蓄がはじまった。
「ベトナム風に辛くやったんだ。それでナムプラーも入れてな」
「ナムプラーって?」
「タイの醤油さ」
勇がヒメに答えた。
「魚から造るんだ」
「そうなの」
「そうさ。匂いはきついけれど味はいいだろ」
「うん」
ヒメはその言葉に頷く。
「お魚さんから造る醤油、凄くいい」
「それはいいけれど凄い匂いだな」
ジョナサンはその匂いが苦手なようであった。
「この香草もな。味はいいんだが」
「コリアンダーも苦手か」
シラーが彼に問うてきた。
「味はいいんだよ」
ジョナサンもそれは認めた。
「けれどこの匂いがな。どうも」
「それも慣れると癖になるぞ」
アルフレッドは彼に言ってきた。
「それも最高にな」
「そうかね」
「そうだよ!それがいいんだよ」
彼は豪語した。
「味が気に入ったんならそのうち匂いもよくなってくるぞ」
「だといいんだけれどな」
「しかしだ」
クインシィも同じく食べていた。
「全体的にいい味だな。鶏料理も」
「ネム=ヌウンだな」
それは肉団子であった。
「大蒜を利かしてみたが。どうだ?」
「これもいいわね」
カナンはそれをかなり食べていた。
「それにこのビーフンも」
「ベトナム料理も美味いな」
ヒギンズはビーフンをすすっていた。
「病み付きになる」
「そうだろ。何かとな」
アルフレッドは上機嫌であった。
「バン=セオもあるぜ」
見ればお好み焼きであった。
「ほら、食え」
「これからまた馬鹿みたいな戦いだからな」
オリファーがそれを食べていた。
「栄養はとっておかないとな」
「そういうことだな」
「しかしこれ本当に美味いな」
オデロとトマーシュがそれをもっぱら食べていた。
「適度に辛くて」
「ああ。幾らでも食べられるぜ」
「ところでアルフレッドさん」
「どうした?」
カントに応える。
「ベトナム料理は何処で覚えたんですか?」
「そもそも料理なんて」
「柄じゃねえってか」
そうナッキィに返す。
「いや、そこまでは言わないけれどよ」
「これでも料理は好きなんだよ」
彼は言う。
「男の料理ってやつだ。これならわかるだろ」
「確かに」
それにウッソが頷く。
「凄くわかりやすいです」
「男の料理は芸術だ」
彼は豪語する。
「だから凝るんだよ」
「だそうだぜ」
ビーチャがディアッカに言ってきた。
「そこんとこどう?炒飯の達人としては」
続いてエルが問う。
「ライバル心とかできたかな」
「ああ」
ディアッカはモンドの言葉に応えた。
「燃えてきたぜ。おっさんがベトナム料理で来るなら俺は」
「何作るの?」
イーノが尋ねる。
「よかったら教えてよ」
ルーも身を乗り出してきた。
「タイ料理だ」
ディアッカはこう宣言した。
「ベトナムと来ればやっぱりそれだろう」
「いいねえ、それ」
ジュドーはそれを聞いて顔を思いきり綻ばせる。
「タイ料理か。じゃあリィナ」
「わかってるわよ」
リィナもそれに応える。
「ディアッカさん、アシスタントでまた」
「おう、リィナちゃんは最高のアシスタントだぜ」
彼もそれを受ける。
「ジョドーには過ぎた妹だな」
「それだけ余計だよ」
「タイ料理ってお菓子あったっけ」
「かなり甘いらしいな」
プルろプルツーの関心はそこであった。
「しかしディアッカも」
ここでニコルが呟く。
「料理好きですね」
「いいことじゃないか」
ジャックとしては悪いことはなかった。
「アルフレッドさんといいレーツェルさんといい美味いもの作ってくれるし」
「ホウメイさんもいますよ」
「あとクローディアさんも」
フィリスとエルフィは二人も出してきた。
「それもかなり」
「そう思うと贅沢だな」
ミゲルが言った。
「この部隊の食事は」
「そうだな。アキトさんもいるしサイシーもいる」
これにはレイも賛成だった。
「しかし」
ハイネがここで言ってきた。
「地獄もある」
「地獄!?ああ、あれね」
「クスハのあれはね。ちょっと」
ルナマリアとメイリンが露骨に嫌な顔を見せてきた。
「カガリはちょっとましになったけれど」
「彼女のは」
「メイリンが言うと本人が言ってるみたいだな」
カミーユは彼女の声を聞いてついこう述べた。
「何か不思議な感覚だな」188
なお彼は料理には困っていない。ファもフォウも意外にもロザミアもそれはいけるからだ。何とエマは料理上手でもあったりする。そのエマが言ってきた。
「彼女はまた別なのよ」
「そうなんですか」
「あれは特別な味覚ね。食べたら」
「ステラ意識が飛んだ」
「俺も」
「俺もだ」
無謀なエクステンデッド三人組が答えた。
「あとユリカさんの料理も」
「何言ってるのよ、うちの艦長やミサトさんのあれだって」
トールに対してミリアリアが言う。彼女の料理はまあ普通だ。時々すこぶるまずいものが出るが。
「異次元よ」
「確かに」
カズイがその言葉に頷く。
「あれはちょっと」
「そういえばだ」
キースがここで言ってきた。
「ナタル副長はどうだったんだ?」
「ああ、そういえばな」
ムウがそれに応えてきた。
「あの人あれで結構甘いもの好きだったな」
「へえ」
「そりゃまた意外な」
皆これは本当に思わぬことであった。
「フレイの料理は酷いよ」
サイが言ってきた。
「あれもちょっと」
「そうか」
「何かねえ。結構酷い料理作る人は凄いね」
「それ考えるとシーブックはラッキーね」
ヒカルがシーブックに言ってきた。
「セシリーがいつも美味しいパンを焼いてくれるから」
「パンだけですけれど」
セシリーはそれを聞いて恐縮する。
「そんな」
「いやいや、そんなことはないよ」
シーブックがそれを訂正する。
「セシリーの料理は美味しいよ、それは俺が保障するよ」
「有り難う、シーブック」
「何かおのろけになっちまったな」
リョーコが笑いながら述べるとすかさずイズミの駄洒落が炸裂した。
「お惚気はお間抜け」
「・・・・・・イズミ、マジでスランプじゃねえのかい?」
「おかげで寒くなっちまったね、こりゃ」
サブロウタが笑いながら言う。
「旦那はそうじゃないみたいだけれど」
「こんな美味いものを前にしているとな」
ダイゴウジは豪快に食べていた。
「それはない」
「旦那らしいね、それ」
「食う!それだけだ!」
「このビーフン確かに凄く美味しい」
アキトは料理の研究に余念がない。
「これはいけるかも」
「それはそうとですね」
今度はジュンが口を開いた。
「一番料理が上手いのは誰なんでしょう」
「それは難しいな」
ナガレがそれに応える。腕を組んで瞑目する形だ。
「どれがどれとは言えない」
「そうですか」
「そうだ。同時に下手なのもな」
「それもかなり」
「私じゃないわよ」
ゼオラが何故かここでムキになる。
「私は普通に料理してるし」
「食べてるの俺」
「こら、アラド」
何故かアラドを注意する。
「余計なこと言わないの」
「だって本当のことじゃねえか、何隠そうとしてるんだよ」
「馬鹿っ、誤解されるでしょ」
ゼオラは顔を真っ赤にさせてきた。
「そんなこと言ったら」
「そりゃ気にし過ぎじゃないのか?」
「何言ってるのよ。洗濯だって食器洗いだって私がしてあげてるから」
「だからそれだって」
「誤解されるじゃない。ただ私はパートナーとしてね」
「ほお、これはまた」
ミンがそれを聞いて笑ってきた。
「お嬢ちゃんも隅におけないねえ」
「いいねえ、若いってのは」
「す、凄く羨ましい」
「妬けるものだ」
ガナン、ゴル、ジンが早速ゼオラをからかってきた。
「ははは、しかし若い頃は恋の一つや二つをしておくものだ」
「そう言うおっさんは何か恋をしたことがあるのかい?」
「馬鹿を言え。わしにもかみさんがいる」
そうキースに返す。
「何と」
「嘘ですよね、それ」
キースだけでなくボーマンもこれには驚きであった。
「やっぱり」
「嘘を言うか。これが証拠だ」
「何と」
見ればやけに小さい可愛らしい感じの初老の女の人と一緒に写真に写っているグン=ジェムがいた。周りには子供達が一杯いる。
「これでわかっただろう。子供も孫も一杯いるぞ」
「全員山賊ですか?」
そう言ったシンが頭をその巨大な手で殴られた。
「あつうう・・・・・・」
「馬鹿か、御前」
「幾ら何でもいきなりその質問はねえだろうが」
ケーンとタップが頭を抱えるシンに対して言った。
「そうそう、見れば皆明るい顔をしているし」
ライトが付け加える。
「一般市民だな。軍人でもない」
マイヨも写真を見て言った。よく見ればそうした鋭い感じが写真の子供達にはなかった。
「皆村で農業の会社をやっておるわ。これでもかなり大きな畑を持っておってな」
「そうだったのか」
「田んぼだけでなく色々やっておる。余生はそこで静かに畑をやって暮らすつもりだ」
「おっさんって結構裕福なんだな」
キースはそれを聞いて何か妙に頷いていた。
「会社も持っていて」
「女房がでかくしたのよ」
グン=ジェムは笑って言ってきた。
「許婚だったがな。しっかりした女でのう」
「その前に結婚できたのかよ」
またシンが脳天を殴られた。
「あぐぐぐぐぐ・・・・・・」
「御前そのうち脳味噌破壊されるぞ」
「暫く喋らない方がいいぜ」
今度はアウルとスティングが彼に言ってきた。そんな彼をよそにグン=ジェムは話を続ける。
「わしはずっと単身赴任でビジネスをやっていた。それでもこの戦いが終わったらそれも止めだな」
「そうなのか」
マイヨがそれに応える。
「帰る場所に帰るのだな」
「そうよ、だがそれまでは」
「うむ」
マイヨがまた応える。
「頼りにさせてもらう」
「任せておけ」
「そういえば大佐は料理の方はどうですか?」
セランが彼に尋ねてきた。
「そちらは」
「かなりワイルドだよ」
ミンが笑いながら言ってきた。
「蛇に生き血に焼肉盛り合わせに」
「ゲテモノ料理か?」
宙がそれを聞いて眉を顰めさせる。
「それだと」
「いや、それは面白い」
それに反応を示してきたのはアズラエルであった。
「是非いただきたいですね」
「ふふふ、優男なのに見所があるな」
「何、どんなものでも食べてみるものです」
アズラエルはにこやかに笑って言う。
「違いますか?」
「その通りだ。では今度はわしが料理を作ってやろう」
彼が名乗りをあげてきた。
「それでよいな」
「ふうん」
「アスカは平気なの?凄いのが出そうだけれど」
「ドイツじゃ普通にアイスバインとか内臓のパイとか血のソーセージあるからね」
アスカはドイツでそうした料理を食べてきたのである。だからそれを聞いても驚きはしないのだ。
「別にね」
「そうなんだ」
「碇は怖いんか?」
「うん、ちょっとね」
そうトウジに返す。
「何か」
「安心しなさい、毒はないわよ」
アスカがシンジの背中をドンと叩いてきた。
「多分美味しいから。安心しなさいよ」
「わかったよ、じゃあ」
「ミサトやクスハの料理よりはずっと期待できるわ」
「そうだね」
「お肉食べられないけれど」
「そうだったら野菜もあるよ」
ミンがレイに言った。
「だから安心しな」
「わかりました」
「さて、あらかた食べたし」
ムウが言った時には巨大な席の上の料理はもうなくなってしまっていた。皆かなりの健啖家であった。
「昼寝でもすっか」
「食ってすぐ寝たら牛になるぞ」
それにアルフレッドが言う。
「いいのか?」
「じゃ遊びにでも。ベトナムって言えばアオザイで」
急にその顔がにこやかになっていく。
「美人が盛り沢山。いい国だよなあ」
「今アオザイ買いに言ってるメンバーもいますよ」
セランが言ってきた。
「そろそろ戻って来る頃です」
「じゃあ皆でアオザイでも来て、か」
アイビスがそれを聞いて呟く。
「あたしには関係ないかな」
「私もだな」
スレイもそう述べる。
「ああした服は少し」
「スレイは似合うと思うわよ」
ツグミがそこで言う。
「だから安心して」
「そうか?」
「そうよ。胸もあるし」
「あたしはそれはね」
アイビスはここで苦笑いを浮かべてきた。
「ないからね」
「アイビスはそれでいいのよ」
ツグミは彼女にも言う。
「何かとやりがいがあるわ」
「そうなのか」
「そうよ。服のことも任せて」
「わかった。それじゃあ」
「まあ皆で遊びに行くか」
アルフレッドは食器を片付けさせながら皆に対して言ってきた。
「気分よくな」
「そうですね」
「じゃあ皆でホーチミン探索に」
しかしそうはならなかった。警戒警報が艦内に鳴り響いたのだ。
「これは」
「敵か!?」
「そうです」
ルリがモニターに出て来た。
「皆さん、すぐに出撃して下さい。デスアーミーが出ました」
「デスアーミーってことは」
「まさか」
「多分」
ルリは一同に答える。
「ですから」
「よし、腹ごなしだ!派手に暴れてやるぜ!」
甲児が叫ぶ。
「いいな皆!」
「おう!」
「言われなくてもな!」
皆彼に続く。こうして彼等はすぐに出撃するのであった。
ロンド=ベルの動きは素早かった。すぐに兵を整えていた。
「さて、と」
布陣したところで敵を見据える。
「デスアーミーばっかりだな、これはまた」
フォッカーが前面のデスアーミーの大軍を見て言う。
「相変わらず数で来るか」
「あと二機ですね」
輝がここで言う。
「あそこに」
「ああ、あれだな」
フォッカーはそれに応える。見ればやけに巨大な獣じみたガンダムと鳥の様な形のガンダムがそこにいた。
「何か強そうだな」
「集中攻撃を仕掛けるべきですね」
ミスティが言ってきた。
「ここは」
「いや、俺達はデスアーミーへの攻撃に回るぞ」
しかしフォッカーはバルキリー隊にこう述べた。
「また何でですか?」
「お考えが」
イサムとガルドがそれに問う。
「いや、デスアーミーつったらあいつ等に任せたい」
「シャッフル同盟ですね」
レトラーデはそれを聞いてわかった。
「ここは」
「そうだ。わかったな」
「了解」
彼等はそれに頷く。
「じゃあここは機動力を生かして」
霧生が言う。
「片っ端からな」
「やっていくわよ」
ヒビキとシルビーがそれに続く。
「じゃあ行くぞ!」
フォッカーがまた声をかける。
「攻撃開始だ!」
「了解!」
その声と共に戦いがはじまった。ホーチミンでの激しい戦いが。
「おらおらあっ!」
ヂボデーはデスアーミー達に接近してその拳を繰り出していく。次から次に吹き飛ばしていく。
「邪魔だぜ!」
「ハイハイハイハイハイハイッ!」
その横ではサイシーが蹴りを浴びせている。
「さっさと帰りんだね!」
「しかしですね」
ジョルジュは剣を振るいながら言う。
「どうしてまたマスターアジアが私達の前に」
「地球をデビルガンダムで支配する為だろう」
アルゴがそれに応えてきた。
「その為に障害となる俺達を消す。だからだ」
「わかりやすいねえ」
ヂボデーはそれを聞いて言う。
「それでここにも出向いてくれたってわけか」
「しっかりしてるよ」
サイシーがそれに続く。
「わざわざ来てくれるなんて」
「そうですね。ですが」
ジョルジュは言う。
「だからといって私達も退くわけにはいきません」
「おう」
「負けたら後がないしね」
「まずはあの二機のガンダムだ」
アルゴは言う。
「あいつ等を何とかしなければな」
「ひゃっははははははははは!」
そのうちの一機、翼を持つガンダムから嫌な笑い声が聞こえてきた。
「むっ!?」
「御前等が相手とはなあ!」
「その声は」
ドモンはその声の主にすぐに気付いた。
「ネオ=イタリア、ミケロ=チャリオットか」
「そうさ!元気そうだなドモン!」
「貴様、まだいたのか」
「そうさ!戦う為になあ!」
彼は言う。
「御前等はここで倒してやるぜえ!」
「やれるものならやってみろ!」
ドモンは彼に対して叫ぶ。
「このキングオブハートが御前を倒す!」
「じゃあ来やがれ!」
ミケロはそんなドモンを挑発してきた。
「俺の方こそ御前をここで倒してやるぜ!」
「そして私もいる」
「なっ・・・・・・」
その声を聞いてジョルジュは絶句した。
「貴方は」
その声は巨大なガンダムから聞こえてきていた。
「どうして貴方がそこに」
「私は蘇ったのだ、デビルガンダムの力によって」
口髭を生やした中年の男は言う。
「そして今、デビルガンダムの為に戦う」
「馬鹿な、死んだ筈だというのに」
「おい、あれ何なんだよ」
デュオもその男を見て思わず声をあげた。
「あのおっさん死んだよな」
「ああ」
それにウーヒェイが頷く。
「確かに死んだ。ネオ=イギリス代表ジェントル=チャップマン」
「あの人は確かドモンさんとの戦いの後で」
カトルがそれを述べる。
「なのにどうして」
「それがDG細胞の力なのだろうな」
トロワはそう述べる。
「それによって蘇ったのだ」
「おい、マジかよ」
「だからなのか」
「そんな・・・・・・じゃあ」
「あの誇り高いジェントル=チャップマンはもういない」
トロワは三人にこう述べる。
チャップマンはかつては英雄であった。ガンダムファイトで空前絶後の三連覇を達成している。そして栄光に包まれて死んだ筈なのだ。しかし今の彼はそのチャップマンではなかったのだ。
「あそこにいるのは餓えた戦士だ」
「そうだな」
ヒイロがそれに頷く。
「ならば俺達は倒すだけだ」
「いえ」
それにジョルジュが応えてきた。
「倒すのは私達です」
「そうか」
「そうだ、ここは任せておいてくれ」
アルゴも言う。
「何があっても倒す」
「シャッフル同盟の名にかけてな」
「やってやるってね!」
ヂボデーとサイシーもそこにいた。
「そういうことだ。デビルガンダムの因果は俺達が断ち切る!」
「ふはははははははははははははははははははは!」
ドモンがそう宣言したところであの笑い声が聞こえてきた。
「言うのう小童よ!」
「あっ、やっぱり出て来た」
シンジがそれを見て呟く。
「何時か出て来るとは思ったけれど」
「・・・・・・何かねえ」
エクセレンが彼を見て苦笑いを浮かべている。
「また気照れるな登場ね」
「その限界超えてますよ」
アクアがそれに応える。
「あれは」
「確かにな」
アクアの言葉にヒューゴが頷く。
「少しな」
「いや、少しじゃないし」
それにエクセレンが突っ込みを入れる。
「あれはかなり」
「だがそれで勝てるのか!ドォモォン!」
マスターアジアはドモンに対して言う。今彼はテレビ塔の先頭に立っていたのだ。
「このわしに!」
「ほざけ、マスターアジア!」
だがドモンも負けてはいない。
「今日こそは御前を!」
「ここはドモンに任せるぞ」
キョウスケはそれを見てすぐに判断を下した。
「デスアーミーに向かう。いいな」
「それが妥当ね」
エクセレンもそれに頷く。
「やっぱり」
「では見せてやろう!わしの最終奥義を!」
「何だとっ!」
ドモンはその言葉に驚きの顔を見せる。
「まだあるというのか!」
「忘れたのか!」
師は今弟子に対して言う。
「あの時を!」
「あの時・・・・・・」
「そうだ!」
「何か話が見えないわね」
ミカはそんな彼等を見て呟く。
「詳しいことが」
「拳で語り合う人達だからね」
「わかる筈もないな」
アキラとナオトはこう述べる。
「しかし何かあるな」
ケンジは冷静に見ていた。
「これは」
「すっごいオーラだよ、あの人」
ナミダはマスターアジアを指差して言う。
「ドモンさんも」
「ここは離れるべきか」
ケンジは判断を下した。
「そうした方がいいみたいですね」
タケルがそれに頷く。
「周りに敵も多いし」
「よし、ではデスアーミーに攻撃を集中させる」
ケンジは判断を下した。
「それでいいな」
「了解」
ゴッドマーズとコスモクラッシャー隊はそれに頷く。そのまま敵への攻撃に向かうのであった。
「では行くぞ!ガンダァァァァァァァァァァァム!」
叫ぶ。するとあのガンダムが姿を現わした。
「また出たよ、おい」
武蔵がそれを見て言う。
「滅茶苦茶なガンダムが」
「HAHAHA!何度見ても見慣れまセーーーーーン!」
「私も」
メリーもそれに同意であった。皆マスターガンダムにはえも言われぬ感情を抱いていたのだ。
「とおっ!」
マスターは飛ぶ。そしてマスターガンダムの中に入った。
「では行くぞドモン!」
「それはこちらの台詞だ!」
ドモンは対峙するマスターを睨み付ける。
「今日こそは貴様を!」
「なら来るがいい!」
「よし!ガンダムファイト!」
ドモンが叫ぶ。
「レェェェェェェェェェエデイィ!」
「ゴォォォォォォォ!」
今二人の戦いがはじまった。他のシャッフル同盟のメンバーは二機のガンダムに向かっていた。
「ドモン!あいつ等は俺達に任せな!」
ヂボデーがドモンに声をかける。
「相手にとって不足はありません」
ジョルジュはチャップマンに向かっていた。
「かなり派手な戦いになりそうだけれどね」
しかしサイシーは決して怯えてはいない。
「倒す。ただそれだけだ」
「わかった」
ドモンはアルゴの言葉にも応えた。
「では俺は!マスターアジアを!いいな!」
「ふははははははははは!この馬鹿弟子があ!」
マスターアジアは相変わらずの高笑いであった。
「わしを倒すなぞ笑止千万!まだわからぬか!」
「わからないのは貴様だ!」
ドモンは彼に言い返す。
「だからこそこの俺の手で!」
「では来るがいい!」
「言われずとも!トゥッ!」
「ムンッ!」
二人は跳んだ。そして空中で激突した。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
「ヌオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
空中でコブシを激しく出し合う。その動きは光を超えていた。
「相変わらず凄いや」
シンジは彼等の戦いを見て呆然となっていた。他のシャッフル同盟の面々も今二機のガンダムと戦っている。その戦いもまた熾烈なものになっていた。
「どうなるのかな」
「どうなってもいいんだけれどね」
アスカは相変わらずの様子であった。
「けれど」
「けれど!?」
「まずいわ」
アスカは言った。
「まずいって!?」
「ドモンの足元よ」
アスカは言う。
「来てるわ」
「あっ、このままだと」
そこにはデスアーミーがいた。着地したところを狙っていた。
「けれどドモンさんだし」
「あんたねえ」
シンジの言葉にかなり呆れていた。
「身も蓋もないことを」
「だってさ」
それでも彼は言う。
「あの人だから」
「何でそんなに説得力があるのよ」
アスカとしてもほぼ同感であった。だから言うに言えなかったのだ。
「けれどこのままじゃあの変態爺さんの相手だし」
「まずいね」
「クッ、こんな時に!」
それはドモンもわかっていた。苦い声を出す。
「だが!ならば!」
それはそれで潰すつもりであった。着地と同時に蹴りを出そうとする。
「やってやる!」
「待てドモン!」
しかしマスターアジアは彼に対して言う。
「何だ!」
「何を呆けておるかっ!」
彼はいきなりドモンを叱ってきた。
「何だとっ!?」
「あれ程近くまで敵の接近を許すとは未熟千万!」
そう叱る。叱ると共にダークネスフィンガーをデスアーミー達に放った。
「散れぃっ!」
それで彼等を一掃する。有無を言わさぬ攻撃であった。
「どういうことだ」
ドモンは着地してからマスターアジアに対して問うた。
「東方不敗、何故俺を助けた」
「知れたこと」
マスターアジアもまた着地していた。腕を組み立ち不敵に笑って言う。
「御前を倒すのはこのわしだからだ!」
「デスアーミー程度!」
「聞け!」
だがマスターアジアは彼に対して言う。
「覚えているか、ドモン」
そしてさらに言葉を続ける。
「以前にもこんなことがあった。・・・・・・そう、そしてあの時も」
彼は言う。
「この流派東方不敗最終奥義を放ったはず!」
「流派東方不敗・・・・・・」
ドモンもその言葉を呟く。
「最終奥義・・・・・・そうだ、その名を!」
「石破天驚拳!」
マスターアジアはその技の名を出した。
「知っている筈だ!」
「知っている!だが何故今それを!」
「遂にこの技だけは御前に伝えられなかった」
「それがどうした!」
「御前はあの頃からまるで変わっておらん」
マスターはさらに言う。ドモンを見据えながら。
「目先のことに捕らわれすぐに心を乱し、そして一番大切なことを見失う・」
「覚えている、覚えているぞ」
ドモンはその言葉を聞くうちにあの遠い日々のことを思い出していた。
「修行の旅の途中、師匠とはぐれた俺は狼の大群に囲まれてしまった」
彼の修行時代には様々なことがあった。その中の一つであった。
「あの時俺は狼に恐怖し何もできなかった」
今となればそれも遠い昔である。だがその時。
「そしてその時俺を救ってくれたのが・・・・・・石破天驚拳!」
「武闘家たる者一時たりとも拳から気を抜くでないわ」
マスターは彼に語り掛ける。今二人はあの時の師弟に戻っていた。
「でなければこの石破天驚拳、習得するなど夢のまた夢!」
「師匠・・・・・・」
「ドモン、今の地球を何と見る?」
彼はドモンに問うてきた。
「今の荒廃した地球を」
「何とって、戦争で被害にあった結果でしょう」
「その通り、地球はかつてはまでは緑の美しい星だった」
今更のような言葉である。だがそこに何も言わせない強さがあった。
「それが今ではこの有様だ。地球のどこもかしこも破滅は確実にせまっている!」
「何を」
ドモンはそれを聞いてマスターに問う。
「何を仰りたいのですか、師匠!」
「それでも人間は戦争を止めずやれアースノイドだ、スペースノイドだ、コーディネイターだ、ナチュラルだ、ニュータイプだ」
言葉には何故か悲しみが感じられる。そんな言葉であった。
「人間とは救いようのない生き物だとは思わんか?」
「・・・・・・・・・」
ドモンはその言葉をじっと聞いている。何も言えないものが彼の言葉にあるからだ。
「人間など最早この地球には無用の存在。だからこそ、だからこそこのわしは・・・・・・ムッ」
ここで新たな敵に気付いた。またデスーアーミーがやって来たのだ。
「まだいるか!」
「こいつ等!」
「ドモン!」
マスターは彼に言う。
「石破天驚拳、今こそ撃ってみせい!」
「えっ!?」
「石破天驚拳、撃ってみせいと言うておる!」
彼はまた言った。
「それともギアナ高地でわしに勝てたのは単なるまぐれか!」
「クッ・・・・・・」
「なら見せてみよ!よいな!」
「よし・・・・・・」
ドモンはその言葉に覚悟を決めた。デスアーミー達に対して身構える。
「なら・・・・・・撃ってやる!」
「見せてみよ!」
「行くぞ!流派!東方不敗の名の下に!」
その身体が黄金色に輝く。そしてそれだけではなかった。
「俺のこの手が真っ赤に燃える!」
その黄金色の拳がさらに輝く。光が増していく。
「勝利を掴めと轟き叫ぶ!」
さらに。その光が眩いまでに輝いた。そして。
「ばぁぁぁぁぁくれつ!ゴッドフィンガァァァァァッ!」
拳から光を放つ。それがデスアーミー達を撃つ。
「石破っ!天驚けぇぇぇぇぇぇんっ!」
巨大な光が今敵を撃った。凄まじい爆発と共にそこにあるものは何もかもがなくなってしまっていた。今ドモンはこの最終奥義を身に着けたのであった。
「で、できた」
「ドモンよ」
マスターはその彼に対して言った。
「流派東方不敗最終奥義石破天驚拳、確かに伝授したぞ」
「はい!」
ドモンはそれに応える。
「そして廃墟と化した地球を、人類の黄昏の光景を胸に刻んでおけっ!」
「師匠!?」
「最後にひとつだけ忠告しておいてやる」
彼はさらに言った。
「ウォンには気をつけろ」
「ウォン!?ネオ=ホンコンの」
「多くは言わぬ。ではさらばだ!」
マスターアジアもマスターガンダムも姿を消した。まるで嵐のように。
何時の間にか他のデスアーミーもミケロ、チャップマンも撤退していた。戦いは終わっていた。
「終わったことは終わったけれどよ」
「何か釈然としねえな」
「さっきのマスターアジアの言葉か?」
ライトはケーンとタップに問うてきた。
「ああ、それさ」
ケーンはそれに応える。
「よくある言葉だけどよ」
「あのおっさんが言うと響くよな」
「そうだな」
ライトもそれには同意であった。
「どうにもな」
「まあそれはともかくとしてだ」
タップが言ってきた。
「ドモンはまた新しい力を身に着けたぜ」
「ああ、石破天驚拳」
ケーンがその技の名を口にする。
「凄い技だな」
「あの技なら若しかするとな」
ライトが述べる。
「マスターアジアにも勝てるかもな」
「あのおっさんも使うのにかい?」
タップがそれに問う。
「難しいんじゃねえのか?」
「いや」
だがライトはそれには首を横に振る。
「要は気の持ちようさ」
「心ってことかよ」
「そうさ、ドモンのな」
彼は言う。
「何をするかなんだ、大事なのは」
「何か根性とかそんなもんか?」
ケーンがそれに尋ねてきた。
「っていうとよ」
「精神力が大事だろうな、やっぱり」
ライトは彼にも応える。
「ドモンとマスターアジア、どっちが精神力が勝っているかだ」
「あのおっさんとかよ」
タップは少し引いた。
「またえらく高いハードルだな」
「人間じゃねえからな、あれは」
ケーンはあらためて述べる。
「勝てるのかね」
「勝つって信じようじゃない」
ライトは明るい調子になってきた。
「ここはドモンをさ」
「そうか」
「そうだな」
「ああ、そういうことだ」
他の二人もこれで明るくなった。
「明るくドモンを見守るとしようぜ」
「了解」
彼等はこうしてドモンを見守ることにした。何はともあれホーチミンでの戦いは終わった。そして遂に香港へ向かうことになったのであった。
アレンビーは香港へ向かう前日街に出ていた。そこでゲームセンターで派手に遊んでいた。
「アレンビーそれ好きね」
「全く」
ちずるとめぐみが格闘ゲームに熱中するアレンビーに少し呆れていた。彼女は一心不乱にゲームに興じていた。
「だってあたしこういうの大好きなんだもん」
彼女は異様なまでの強さで相手を倒しながら仲間達に応える。
「格闘なら何でもね」
「ふうん」
「けれどここまでいったら凄いわよ」
恵子とマリアも言う。
「格闘馬鹿っていうか」
「馬鹿でも何でもいいわ」
しかしアレンビーは平気であった。
「あたしはこれが好きなの」
「そうなの」
「そうよ。さて」
さらにゲームに打ち込む。
「ちょっとクリアーするね」
「やれやれ」
「じゃあちょっと私達はUFOキャッチャーのところにいるから」
「ええ」
そのままアレンビーは一人になる。そして彼女が気付いた時目の前にジュースがある。元々彼女が買っていたものである。だからそれは不思議にはならなかった。
「さてと」
それを口にする。だがここで異変が起こった。
これ以後アレンビーを見た者はいない。行方を捜したが結局見つかりはしなかった。これがまた大きな事件と戦いの序章となるのであった。

第百三十四話完

2007・1・7


 
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