スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
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第百三十二話 闇の帝王
第百三十二話 闇の帝王
「さて、と」
京四郎は補給や整備を終え横浜に向かう大空魔竜の中で一人声を出した。
「そろそろだな」
「何かあるのか?」
「わかるだろ」
そう一矢に返す。
「時間だ。出て来るぞ」
「ってまさか」
それを聞いて豹馬が顔を曇らせる。
「あのおっさんか」
「そうだ。もう出て来るぞ」
「早く来いとか言うてやな」
十三が苦い顔を見せてきた。
「騒ぎ立ててやな」
「そういえばそろそろってタイミングね」
ちずるも顔も曇らせてきた。
「嫌な話でごわす」
大作だけでなく皆がそう考えていた。
「どうにかならないものでごわすか」
「難しいですね」
小介の返事は絶望的であったが真実であった。
「三輪長官は地球の連邦軍の半分を掌握していますから」
「しかし」
それに対してエイジが言った。
「だからといって権限が強過ぎないかい?言っていることも滅茶苦茶だし」
「皆そう思ってるさ」
彼に一平が応えた。
「けれどな。本当にどうしようもないんだ」
「それはどうして」
「岡長官が退いてね」
日吉が答えた。
「その後権限を滅茶苦茶に強化しちゃったんだ」
「何故」
「やっぱりバルマーとの戦いのせいでごわす」
大二郎も説明してきた。
「それに備える為で」
「しかし」
「御前が言いたいことはわかってるさ」
健一はそれでも言おうとするエイジに言った。
「けれどな」
「皆こまってるのよ」
めぐみも言う。
「あの長官には」
「あのアズラエルさんでもそうだしね」
ナナがぼやくように述べた。
「どうしようもないって」
「アラスカでのこと覚えてるだろ」
「ああ」
エイジは豹馬の言葉に応えた。
「俺達ごと壊滅させるつもりだったしな、敵を」
「あれは本当に驚いたよ」
エイジはあらためて述べる。
「地球にもあんな人間がいたって思ったからね」
「地球にも!?」
その言葉にさやかが反応してきた。
「ねえエイジ」
「うん」
「バルマーにもやっぱりああいうのいたんだ」
「あっ、知らなかったの」
「ええ」
さやかはそう答えた。
「バルマーっていうと俺達が戦ってるのはラオデキアとかマーグだからよ」
甲児がこう言ってきた。
「冷酷だけれどああした常識外のやつはな、いなかったな」
「そうだな。ユーゼスも卑劣だったが」
鉄也も言う。
「あの長官みたいなのはいなかったな」
「やはりバルマーにもああした手合いはいるのか」
大介は問う。
「うん、考えようによってはもっと酷いのがね」
「それは誰だ?」
「ハザル=ゴッツォ」
エイジは顔を歪めてその名を出してきた。
「あの男はかなり酷いな」
「どんな男なんだい、そのハザルという男は」
「バルマーの宰相シヴァー=ゴッツォの嫡子で外銀河方面軍司令官」
「じゃあお偉いさんなのね」
マリアがそれを聞いて言った。
「ああ。けれど人間としては最低な男だ」
エイジは暗い顔をしてそう述べた。
「人の命を塵芥にしか考えていない。そんな奴だ」
「そうか」
「何かあの長官と似ているな」
ロンド=ベルの面々はその話を聞いて思った。
「考えようによってはもっと酷いかも知れない」
エイジはこうまで言う。
「そんなにか」
「ああ。バルマー人以外の命も文化も全て認めない。一般市民も平気で巻き添えにする」
「おい、それって」
神宮寺がそれを聞いて声をあげる。
「とんでもない話じゃないか。何なんだそれは」
「だから彼等は問題なんだ」
エイジはさらに言った。
「今までそうして多くの戦争とは直接関係のない人達を殺している。彼に比べたらマーグはかなり奇麗に戦っていると言えるだろうね」
「確かにそうですね」
洸がそれに頷いてきた。
「マーグは一般市民には攻撃を仕掛けようとしない」
「それが兄さんの考えなのかな」
「そうだね。けれどハザルは全然違うから」
「胸糞の悪くなる野郎みたいだな」
サンシローがそれを聞いて述べた。
「どうやら」
「しかも実行部隊までいる」
「おい、まだいるのか」
「救いようがありませんね」
リーもブンタもこれには言葉がなかった。
「それがグラドス軍なんだ。ハザルの忠実な僕と言っていい」
「待てよ」
ヤマガタケはここでふと気付いた。
「グラドスって言えば」
「エイジさんもそうじゃないですか」
麗とマリが驚きの声をあげた。
「それじゃあまさか」
「ああ、その通りだ」
エイジは苦い顔で述べた。
「僕もグラドス人さ。少なくとも半分は」
「半分ってことは」
「ハーフなんだ。地球人とのね」
猿丸にそう返した。
「グラドスはバルマーの殖民惑星の一つなんだ」
エイジはそう語った。
「十二支族の一つがその支配者なんだ」
「ポセイダルと同じなんだな」
ダバがそれを聞いて述べた。
「そうなると」
「そうだね。ルーツは同じさ。けれど」
「けれど?」
「何かあるのかい?」
レッシィとキャオがそれを聞いて尋ねてきた。
「グラドス人はその中でもかなり高慢で他人を認めない。自分達とバルマー人以外は野蛮人だと頭から決め付けているんだ」
「それは正しくはないな」
ギャブレーがそれにこう言ってきた。
「結局は誰もが同じだ。ペンタゴナの者も地球の者もな」
「いいことを言うね、ギャブレー君」
「私も学んだのだよ」
そうレッシィに返す。
「地球でな。誰もが同じなのだよ」
「そうですね。けれど彼等はそれをわかろうとしない」
「そして他の星の人間を無差別に殺していくのか」
「はい」
またダバの言葉に頷いた。
「バルマー軍の中でもとりわけそうした作戦を好みます。その国の人間も文化も破壊しようと」
「おいよ」
ディアッカがそれを聞いて露骨なまでに嫌悪感に満ちた顔を見せてきた。
「それって何!?まんま侵略者じゃねえかよ」
「彼等はそれを未開人を教化していると考えているんだ」
「ヘッ、よく言うぜ」
ディアッカはそれを聞いて声をあげてきた。
「俺達だってそんなことはしなかったぜ。一般市民に銃を向けるなんざ軍人としては最低なんだ」
「ディアッカの言う通りだ」
ミゲルもそれに応えてきた。
「よくそれで教化なんて言えるな」
「彼等はそれを嬉々としてやる」
「救いようがないな」
ジャックもそれを聞いて呆れてしまっていた。
「そこまでいくと」
「だから彼等はバルマーの中でも露骨に嫌われている。だけれど殖民とはいえバルマーの者だから」
「何もお咎めはなしというわけですね」
「何て話・・・・・・」
フィリスもエルフィも流石に言う言葉がなかった。
「ですから彼等が来たならば気をつけて下さい」
エイジはそう忠告する。
「一般市民や施設を嬉々として狙う軍だと」
「そうした人達もいるんだね」
キラはそれを聞いて俯いてしまった。
「やっぱり」
「そうだな。いい意味でも悪い意味でも色々な人間がいる」
アスランはそれを聞いてキラに対して言ってきた。
「だけれど俺達は」
「うん」
キラはアスランの言葉に頷いた。それからまた言った。
「戦うよ、僕も」
「キラ」
「皆を守る為にね。そう決めたから」
「そうか。そうだな」
「うん、そんな軍隊がいたら何があっても皆を守るよ」
「おい、甘いぞそれは」
だがそれにシンがクレームをつけてきた。
「シン」
「そんな敵は片っ端から俺が撃ち落としてやる」
「そうだ!」
カガリもそれに加わってきた。
「そんな奴等生かしておけるか。一人残らず叩き落してやる」
「何だカガリ、たまにはいいこと言うな」
「御前こそな」
二人は顔を見合わせてニヤリと笑い合ってきた。珍しくいい雰囲気だ。
「じゃあその時は」
「ああ」
二人はさらに言い合う。
「力を合わせて」
「皆を守るぞ!」
「おう!」
「何ていうかこの二人はねえ」
ルーはそんな彼等を見て苦笑いを浮かべていた。
「異様に単純ね」
「まあそれがいいんだけれどね」
エルも言ってきた。
「けれどまあだから頼りになるってのはあるよ」
イーノはそう言う。
「シンはかなり凄いしね」
「カガリもセンスあるんだよね」
モンドも話に入ってきた。
「これで案外」
「そうそう。頼りにしてるぜ、お姫様」
ビーチャが笑いながら本人に声をかける。
「これからも頑張ってくれよ」
「ああ、任せておけ」
カガリもその言葉に乗ってきた。
「今度の戦いもギッタンギッタンにしてやるからな」
「何かカガリってさ」
「ああ」
プルとプルツーがそんなカガリを見て言い合う。
「おだてに凄く弱いんだね」
「そうだな、ここまで弱いのはいないな」
「まあそれもカガリらしいけれどな」
ジュドーが笑ってこう述べてきた。
「俺もおだてるとあれだぜ」
「お兄ちゃんすぐ調子に乗るのよね」
「っておいリィナ」
妹に抗議する。
「エマさんみたいなこと言うなよ」
「いいじゃない。よく声似てるって言われるし」
「それは言うなよ」
「全くだ。私なんか声はこれっきりだぞ」
「俺もだ」
カガリとシンがまた話に乗ってきた。
「中には何人も声が似ている人いるのにな」
「何か電なんとかにはいるらしいがな」
「全く。寂しくて仕方がない」
「やれやれ。我儘ですねえ」
アズラエルはそんな二人にさも困ったように言う。
「そんな贅沢を言われては」
「御前に言われたくはない!」
「あんたは充分満足している筈だ!」
「何か今回は他人事じゃないな」
凱がそれを聞いて呟いていた。
「どうしてだろうな」
「まあそれは何だ」
ノインがそれに突っ込む。
「あまり言わない方がいいかもな」
「しかし宇宙には色々な連中がいるな」
ルネがここで言う。
「エイジの話も聞くと」
「そうした非道な連中もいるしな」
「ああ」
そして凱の言葉に頷く。
「どうにもね。まだまだ戦いは続くかもね」
「少なくともよ」
甲児が言ってきた。
「ミケーネとはこれで終わりにしたいぜ」
「そうだな」
鉄也がそれに頷いてきた。
「甲児君の言う通りだ。敵は一つずつ確実に潰しておこう」
「まずはミケーネということだ」
大介もそれに続いた。
「それでいいな、皆」
「ああ」
「じゃあ行くか」
「間も無く戦闘態勢に入ります」
ミドリの放送が入った。
「総員持ち場について下さい」
「よし!」
皆それに頷く。そして横浜でのミケーネとの最後の決戦に挑むのであった。
「やっぱり凄い数だ!」
ヒメが出撃してまずこう叫んだ。
「これだけいるなんて」
「ざっと見ただけでも五千はいるわね」
「そうだな」
ユウはカナンの言葉に頷いていた。
「これはまた激しい戦いになるな」
「しかもよ」
「どうしたんだ、トッド」
「あのおっさんもいるぜ」
「あの人もか」
見れば連邦軍もいた。そして彼も。
「聞こえておるか!」
「あの人もいるのね」
「チャムそう言うな」
ショウがむくれているチャムを嗜めた。
「言っても仕方がない」
「けれどさ」
「放っておくしかないだろう。騒いでも怒鳴られるだけだ」
「ちぇっ」
「こら、やっと来おったか!」
ショウの言葉は嫌になるまでに的中した。
「今まで一体何をしておったか!戦いはもうすぐはじまるのだぞ!」
「間に合ったからいいじゃないの」
「全くだぜ」
リューネとマサキがその怒鳴り声を聞いてふてくされていた。
「早く戦え!よいな!」
「では諸君」
大河がそんな声をものともせずロンド=ベルの面々に言ってきた。
「ミケーネとの最後の戦いだ!行くぞ!」
「了解!」
彼の言葉には皆頷く。今戦意が否が応でも高まっていた。
「遂に来たかロンド=ベルよ!」
「待っておったぞ!」
見れば七大将軍達もそこにいた。やはり決戦だからこそであろうか。
「総出かよ!」
「そうだ!」
甲児にも言葉を返してきた。
「暗黒大将軍、そして地獄大元帥の無念」
「今こそここで晴らしてくれるわ!」
「面白い!そうでなくては張り合いがない!」
鉄也が彼等の言葉を受けて言った。
「甲児君鉄也君!」
そして大介も。
「これが彼等との最後の戦いだ。行くぞ!」
「わかってるぜ大介さん!」
「今こそ俺達の全力を見せましょう!」
「よし、マジンガーチームの力を今全てここに!」
「いいねえ、この雰囲気!」
ミンが彼等を見て満足そうに笑っていた。
「血が騒ぐよ!」
「おう、釘が美味えぜ!」
「お、おで今日は燃えてる」
「戦いってのはこれだから止められないんだ」
四天王も気合が充分入っていた。
「よし!ではグン=ジェム隊の力見せてやろうぞ!」
「おう!」
彼等はそれに頷く。そして戦いに向かっていた。
他の面々も。気合が普段とまるで違っていた。
「何かな」
トロワが言った。
「これまでになく精神が高揚している感じだ」
「トロワもですか」
「ああ。あの二人は特にそうだな」
「へへっ、何か周りが敵だらけだってのにいい感じだね」
「ナタク!見渡す限り敵だ!容赦することはない!」
デュオとウーヒェイはもうその目を戦場に集中させていた。それはヒイロもまた然りであった。
「感じる・・・・・・ゼロを」
「戦いに心が向いているな」
「そうだ。これまでにない感じだ」
そうミリアルドに返した。
「これなら・・・・・・いける」
「よし。それでは」
「何機来ようと恐れることはない」
ヒイロは言い切った。
「例えこれだめの敵がいようとも」
「おう!臆病風に吹かれるなよ!」
アルフレドが一同に喝を入れる。
「むしろ楽しいと思わねえか!」
「そうですね。ここまでの大軍だと」
キースがそれに応えて笑ってきた。
「かえって気持ちいいですよ」
「キース!」
アルフレドは彼にまた言う。
「いいか!エメラルドの死神の力見せてやれ!」
「了解!」
「兄さん」
セランがボーマンに通信を入れてきた。
「ああ、何だい?」
「補給物資は一杯あるからね。弾薬がなくなったらすぐに戻っていいわ」
「つまりそれだけ激しい戦いになるってことか」
「そういうこと。いいわね」
「ああ、わかったよ」
妹の言葉に頷いた。
「無理はしないよ」
「お願いね」
「では諸君!」
大河がまた総員に声をかけてきた。
「戦闘開始!よいな!」
「ラジャーーーーーーーッ!」
皆それに応えた。こうして戦いがはじまった。
まずはロンド=ベルが前に出た。ブレンやオーラバトラーが先陣である。
そこに戦闘獣の攻撃が浴びせられる。しかし彼等はそれを何なくかわし剣を抜いてきた。
「遅い!」
「やっちゃええええーーーーーーーーっ!」
ビルバインのオーラ斬りが横に一閃される。それで戦闘獣を纏めて薙ぎ払う。複数の爆発が起こりビルバインはその中を駆っていく。
「次だ!」
「甘い、ショウ=ザマ!」
「バーン!」
ここでバーンの声がした。
「ここには私もいるのだ!」
「どういうことだ!?」
「そこにいる者達はやらせてもらう!」
「ムッ!」
「ムンッ!」
ズワースが前に出てショウがやったのと同じように剣を一閃させた。それで敵が一気に薙ぎ払われたのであった。彼の腕もまたショウのそれに匹敵していた。
「どうだ!」
「腕をあげたというのか、バーン」
「私とて休んでいるわけではない」
そうショウに対して言う。
「だからこそだ」
「また強いんだね」
「私はやる!」
チャムに対しても同じであった。
「このままあくまで騎士として頂点を目指す」
「それが今の御前の目標か」
「そうだ、私はやはり騎士だ」
様々なことを経てそこに考えが至っていたのである。
「それを忘れるつもりはない」
「そうか。じゃあ今は」
「戦う。それだけだ」
「戦うのも頂点を目指すのもいいけどよ」
だがここでトッドの声が聞こえてきた。
「トッド」
「何の用だ」
「何の用もこんな用もねえよ」
いつもの軽い調子で二人に言ってきた。
「今は戦闘中だぜ。それ忘れるなよ」
「あ、ああ」
「それはわかっている」
「わかっているんならよ」
トッドのインディゴブルーのダンバインもまた剣を抜いていた。そのまま敵に向かう。
「宜しく頼むぜ。敵が山みたいにいるんだからよ」
「わかった!」
「では参る!」
「その程度の攻撃じゃあよ!」
「ガオオオオオオオオオン!」
トッドのダンバインが分身した。それで空からの集中攻撃をかわす。残像が眩いまでに輝いていた。
「俺を倒すことはできねえぜ!死にな!」
ショウやバーンと同じようにオーラ斬りを一閃させる。それで戦闘獣を纏めて叩き斬るのであった。
彼等を先端にしてロンド=ベルはミケーネ軍に斬り込んでいた。戦艦も主砲を絶え間なく放っている。
「撃て!手当たり次第でいいぞ!」
ヘンケンがラーディッシュの艦橋から指示を出していた。
「周りは敵だらけだからな!」
「了解!」
それにアドレアが応える。ラーディッシュだけでなく他の戦艦も絶え間なく攻撃を続けていた。
だが数がやはりものを言ってきていた。ミケーネ軍はそれを背景に彼等を包囲してきたのだ。
しかしそれも想定の範囲内であった。ロンド=ベルはそれを見て全方位に攻撃を浴びせてきたのであった。
「そこ・・・・・・!」
アムロがフィンファンネルを飛ばした。それでそこにいる敵を纏めて撃墜する。
「そこだ!」
マイヨがプラクティーズを後ろにレールガンを連射する。青い流星が今横浜に流れて飛んでいた。
戦闘獣が次々に撃ち抜かれ爆発していく。プラクティーズの面々もそれに続く。
「いいな!」
「ああ!」
「いける!」
カール、ウェルナー、ダンは動きを合わせる。そして今狙った敵の小隊に照準を合わせていた。
「ギガノスの栄光!」
「今はここに!」
ミサイルとレールキャノン、そしてミサイルが一斉に放たれる。彼等もまた果敢に戦っていた。
それで包囲を退けた。敵の数も半分以下にまで減っていた。
「ぬうう、まさかこれ程までとは」
ハーディアスは彼等の恐ろしいまでの戦いぶりを見て思わず呻いた。
「ロンド=ベル、またしても強くなっておるわ」
「そうだな。だが臆することはない」
バータラーがそれに言ってきた。
「そうなれば戦闘獣を全て出すまでよ!」
「よし!」
ユリシーザがそれに頷いてきた。
「では全て出すぞ!よいな!」
「うむ!」
こうしてまた夥しい数のモビルスーツが出された。戦いはさらに激しくなっていた。
ロンド=ベルだけでなく連邦軍も戦っていた。だがその司令部は混乱状態にあった。
「ええい、何たる様だ!!」
三輪が後方で叫んでいた。
「全く進んでおらんではないか!」
「数が違い過ぎるのだ」
和泉博士が彼に言った。
「それにその数もかなり」
「ええい、そんなことはわかっとる!」
三輪は彼にも叫んだ。
「だが連邦軍のふがいなさは何だ!ロンド=ベルばかりが活躍しておるではないか!」
「戦いはそれだけではない!他にもあるぞ!」
「何だ!」
「市民達を誘導するのだ!」
博士はそう彼に言う。
「今は戦うより市民の避難誘導を!」
「ならん!」
しかし彼はそれを聞き入れようとしない。
「ここが決戦だ!ならば全ての戦力を投入させる!」
「ロンド=ベルがいる!」
「民間人はどうなるんだ!」
「五月蝿い!」
また和泉博士を一喝した。
「少しぐらいの被害は目をつぶる!」
「何だと!?」
「今は攻撃あるのみだ!」
「あんた今の状況がわかっとってそんなことを言っとるのか!?」
傍にいる四ッ谷博士もあまりの横暴に呆れていた。
「今がどういう時なのか」
「黙れ!」
三輪は彼等も一喝した。
「民間人が口を出すことではない!」
「民間人とかそういう問題か!」
四ッ谷も激昂して彼に向かい合った。
「今はそういう時か!」
「黙っておれと言っているだろう!」
そんなことを言っている間に流れ弾が来た。それで司令部が大きく揺らいだ。
そこには華達もいた。彼等は逃げ惑っていたのである。
「きゃあっ!」
「ウ、ウッシー!早く逃げようよぉぉ!!」
華が叫び数納が末男に言った。
「バカヤロー!あっちもこっちも敵だらけなんだ!」
だが末男は数納に対して言い返してきた。
「何処へ逃げるってんだよ!」
「そ、それは・・・・・・」
(ま、護君)
華はその心の中に護を思い出していた。そして心の中の彼に対して語り掛ける。
(私達もう会えなくなっちゃうの!?)
司令部は何とか無事であった。だが三輪達はそこから脱出していた。
「ぬうう、司令部がこうでは」
「幸い死者はおらん」
「そうじゃな。まずは安心じゃ」
「そんなことはどうでもいい!」
だが彼は和泉博士の言葉も四ッ谷博士の言葉も一喝した。
「どうでもいいじゃと!?」
「今度は何を言っているんだ!?」
四ッ谷博士も和泉博士も次第に彼に呆れ果ててきているのが自分でもわかっていた。
「わしがこんな目に遭っているのだぞ!あいつ等は何をしておるのか!」
「見てわからんか!」
四ッ谷博士は戦場を指差して叫んだ。
「戦っておるんだ!皆な!」
「そうだ!そして我々のするべきことは」
二人はそれでも彼に対して言う。
「ええい、黙れ!」
だがまたしても三輪が彼等を一喝してきた。
「ロンド=ベルに連絡を入れよ!」
「どういうつもりだ!?」
「今彼等は」
「連中にわし等をきゅうじょさせよ!」
彼はそう主張してきた。二人はまた呆れてしまった。
「今はそんな場合か!」
「そうだ!彼等は必死に戦っているのだぞ!」
四ッ谷博士も和泉博士も言う。実際に今コンバトラーとダイモスが獅子奮迅の戦いを見せていた。
「豹馬、今よ!」
「わかってらあ!」
豹馬はちずるに答えていた。そしてその両手にランサーを握って敵の中に飛び込む。
「ツインランサーーーーッ!」
それで敵を切り裂いていく。ダイモスもガルバーの援護の下で攻撃を繰り出そうとしていた。
「ファァァァァイブシュウタアァァァァァァッ!」
手裏剣のようにして投げそれで敵を撃ち落していく。コンバトラーもダイモスも今必死であった。
「ああやって必死に戦っているのだぞ!」
「それでそんなことを言うのか!」
「そうです」
ここで剛博士も言ってきた。彼もここにいたのだ。
「三輪長官」
「何だ!?」
「そんなことより我々にはやらなければならないことがある筈です」
「!?」
三輪はその言葉に眉を顰めさせてきた。そして問うた。
「何だそれは」
「ですから民間人の避難誘導です」
剛博士もそれを言ってきた。
「一刻も早くこの地域に取り残された人々を助けなければなりません」
「そんなことはどうでもいい!」
「なっ」
この言葉にはさしもの剛博士も言葉を失った。何を言っていいか一瞬わからなかった。
「民間人よりも極東支部の長官であるわしの救出が先だ!」
彼ははっきりとそれを言った。
「わしの身に何かあれば連邦軍にとって大きな損失になるのだぞ!」
「あ、あんた・・・・・・」
そのあまりの言葉に四ッ谷博士は唖然としていた。
「それでも軍人か!?」
「黙れ!」
三輪はまたしても彼を一喝する。
「わしに逆らうことは許さん!!」
「これはもう」
和泉博士は遂に匙を投げた。剛博士は気を取り直して言った。
「・・・・・・わかりました」
「ふん、わかったか」
その言葉に平気な顔で返す。
「では長官はここで救出をお待ち下さい」
「そうだな」
「では我々は」
「待て!」
三輪は何処かへ行こうとする三人の博士に声をかけた。
「どこへ行く!?」
「私は民間人の避難誘導を行います」
剛博士は今それをはっきりと言った。その言葉に何の迷いもなかった。
「お互い命あらばまた御会いしましょう」
「剛博士」
「和泉博士」
和泉博士もそこに来た。
「私もお付き合いします」
「有り難い。それでは」
「豹馬達が戦っておるというのに何もせんわけにはいかんからな」
そして四ッ谷博士も。彼等は彼等の責務を果たそうと今立ち上がった。
「ではそれで」
「またな」
「き、貴様等!」
一人残された三輪がまた叫んでいた。
「ええい、わしを置いていくでない!!」
だが彼は最早裸の王様であった。周りには誰も残ってはいないのだから。
戦いは包囲されながらもそれを打ち崩そうとするロンド=ベルの反撃でまた彼等に傾いていた。ここでミケーネはまたしても援軍を繰り出してきた。
「わしも来たぞ!」
「アルゴス長官!」
「ミケーネの力、今こそ見せてくれるわ!」
「ヘン、幾ら来ても同じだぜ!」
甲児は目の前にいる戦闘獣達を薙ぎ倒しながら言ってきた。
「ここで御前も倒してやらあ!」
「そうはさせてたまるか!」
「そうだ!」
ドレイドウが甲児に言ってきた。
「我等の悲願の為に!」
「今ここで決着を!」
七将軍の他の者もそれに続く。戦いはまたしても激しさを増す状況になっていた。
「またしても増援とはな」
大文字はその状況を見て呟いていた。
「やはりそう容易な戦いではないか」
「エネルギー、弾薬はまだ充分にありますが」
「皆の疲れが心配だな」
そうミドリに返す。
「ですが博士」
ここでピートが言ってきた。
「ミケーネの息の根をここで止めておかないと」
「それはわかっている。だが」
「こちらが辛い時には向こうもですよ」
今度はサコンが言う。
「それに増援はおそらくこれが最後です。ですから」
「踏ん張りどころか」
「はい」
「邪魔だ邪魔だ!」
ギュネイがファンネルを乱れ飛ばさせていた。
「どいつもこいつも纏めて叩き落してやる!」
「ギュネイ、そっちはいい?」
「ああ!」
クェスにも言葉を返す。
「クェス!御前は別の方を頼む!」
「うん!行け、ファンネル達!」
クェスのヤクトドーガからもファンネルが放たれる。それで敵を薙ぎ倒していく。
「やらせはしない!」
「いいか!」
ブライトが全軍に指示を出す。ラー=カイラムも主砲を絶え間なく放っている。
「とにかく敵を纏めて潰せ!いいな!」
「了解!つってもねえ」
カイは少しシニカルになっていた。
「これだけの数だとね」
「何、かえてやりがいがあるってもんさ」
スレッガーが笑ってこう返してきた。
「そうじゃないかい?」
「また余裕見せていたら撃墜されますよ」
「おっと、セイラさんは手厳しい」
「さっきも危なかったじゃないですか」
「あれはたまたまさ」
「けれどスレッガーさん」
ハヤトが声をかけてきた。
「どうした?」
「この数はやっぱり凄いですね」
「頼りにしてるぜ、だからよ」
「僕をですか」
「そうさ、そのインコムでな」
「もう放ってますよ」
ハヤトはもうインコムをファンネルの様に操ってミケーネの大軍の相手をしていた。
「十機は撃墜していますね」
「何だ、凄いじゃないか」
リュウがそれを聞いて言ってきた。
「俺はまだ五機だぞ」
「アムロは何十機撃墜してるかわからないってのがね」
カイは思わず苦笑いを浮かべた。
「どうにもね」
「赤い彗星もいるしな」
リュウはカイにも言った。
「戦力的にはかなりのものか」
「そういうことだな」
アポリーがそれに頷いてきた。
「だが我々もな」
そしてロベルトもそこにいた。
「真面目にやらないと」
「戦死ということになったら洒落にならないぞ」
「そうですね」
セイラがそれに真面目に頷く。
「だから」
「セイラさん、そこ!」
攻撃を仕掛けようとしたところでカミーユが動いてきた。
「カミーユ!?」
「いけええーーーーーーーっ!」
いきなりメガランチャーを放つ。それで敵を撃ち滅ぼして炎に変えていた。貫かれた敵が火の玉となって消える。
「突破口を作りました!今です!」
「有り難う、カミーユ!」
「じゃあ俺達もな!」
「行くわよ!」
そこにビルギットとアンナマリーも来た。
「よし!じゃあ役者は揃ったか!」
スレッガーは彼等の姿を見て一気にテンションを上げてきた。
「じゃあ総攻撃だ!」
「了解!」
「私達も!」
シーブックとセシリーもそこに来た。今ミケーネの軍勢に一つの穴ができた。
それは一つではなかった。ロンド=ベルの火力の前に今穴が次々に開こうとしていた。
「よし!」
ディアッカのバスターが動いていた。
「俺が突破口を開く!皆行け!」
「よし!」
派手に攻撃を仕掛けミサイルとライフルで大穴を開けたところにニコルのブリッツが向かう。すっと姿を消した。
「!?」
「ガオッ!?」
「姿が見えなくなっても」
ニコルはその中で言う。その刃が研ぎ澄まされる。
「影は迫るんです!」
そしてミケーネの戦闘獣達の前に姿を現わしビームサーベルを乱舞させた。それでまた一つ大穴を開けた。
「皆、続いて!」
「よし!」
「これで!」
ミネルバの面々がそこに雪崩れ込む。レジェンドのドラグーンの派手な援護射撃を受けながら今シンのデスティニーとアスランのジャスティスを先頭に切り込んだ。
そしてマジンガーチームもまた。三体のマジンガーを中心として彼等は正面の敵主力に突撃していた。
「どれだけいようがなあ!」
甲児が右に左に敵を両断していく。
「無駄だって言ってるだろ!」
「おのれ、またしてもマジンガーか!」
「御前達がいる限り俺達は戦う!」
鉄也がアルゴス長官に言葉を返してきた。
「何があろうとな!」
「おのれ!」
「さあ、来い!」
大介がアルゴス長官を挑発する。
「ここで御前も七将軍も倒してやる!」
「黙れ!そうはさせるか!」
アルゴスはその言葉を受けて激昂してきた。
「おのおの方!」
そのうえで七大将軍に声をかけてきた。
「今こそ我等も!」
「うむ!」
「覚悟しろロンド=ベル!」
「遂に来たわね!」
さやかがそれを見て叫んだ。
「容赦はしないから!」
「いい、皆」
ひかるが仲間達に声をかける。
「ここは皆で行くわよ」
「了解」
それにジュンが頷く。
「七大将軍を倒すのね」
「ええ」
「腕が鳴るわよ」
マリアが不敵な笑みを浮かべてきた。
「じゃあ皆」
「ちょっと待つだわさ」
「おっと」
大介はついついボスを忘れてしまっていた。
「おいらを忘れちゃ駄目よ~~~~ん」
「そうでやんすよ」
「おいら達も」
「いやいや、忘れてはいないよ」
「だったらいいだわさ」
「脇役だって言ってもね」
「おいら達は別格だから」
「いや、さっきの大介さんは」
しかしカミーユにはわかっていた。
「やっぱり」
「駄目よ、カミーユ」
そこでフォウが忠告してきた。
「そうじゃないことになってるから」
「わかったよ」
「皆、一気に行くぞ」
「よし!」
甲児がその言葉に声をあげてきた。
「じゃあ大介さん、行くか!」
「そうだ、甲児君!」
「七将軍、ここが最後の時だ!」
鉄也がグレートの指で彼等を指し示してきた。
「覚悟はいいな!」
「それはこちらの台詞だ!」
「マジンガーチームよ、ここが最後の時ぞ!」
ドレイドウとハーディアスが応えてきた。
「我等七大将軍の力今こそ見せてくれる!」
「行くぞおのおの方!」
「うむ!」
バータラー、ユリシーザ、スカラベスがそれに続く。
「七大将軍の真の恐ろしさ!」
「今ここで!」
アンゴラスとライガーンもいた。だが彼等だけではなかった。
「待て、将軍達よ」
「おおっ」
「アルゴス長官」
「わしも戦わせてもらおう。マジンガーチームには怨みもあるのでな」
「それは逆恨みって言うんだよ!」
「ほざけ、兜甲児!」
アルゴス長官は甲児に言い返した。
「それ以上の言葉は許さん。貴様はわしが倒す!」
「わかったぜ!じゃあおめえは俺が倒してやらあ!」
「僕達は七大将軍に向かうぞ」
「ええ」
それに鉄也が頷く。
「わかりました」
「さて、じゃあ」
さやかが一旦大きく息を吐き出した。
「マジンガーチーム全員の力」
「今ここで見せてあげましょう」
ジュンがそれに続く。
「わかったわ」
「予定通りだけれどね、あたしにとっちゃ」
ひかるとマリアも頷く。そしてあの三人も。
「いっちょやるだわさ!」
「ボス、見せ場でやんすよ!」
「ここはビシッと」
「おうさ!やってやるわよん!」
「そういや最近のボスは」
真吾がここで思い出したように呟いた。
「ボロットには乗らないな」
「マリンスペイザー一本になってるな」
「それが何かな」
キリーに言われても今一つ釈然としないのか首を傾げていた。
「似合わないな」
「真吾駄目よ、それを言っちゃ」
「レミー、そりゃまたどうしてだい?」
「スペイザーが使えるからじゃない」
「じゃあボロットは使えないってことなのか?」
「そりゃまた随分きつい御言葉で」
どうにもキリーらしくて緊張感が感じられない。
「そこまでは言わないけれどね」
「俺としてはあの愛嬌がいいんだがな」
「同感」
レミーの言葉に真吾とキリーはこう述べる。
「マニア好みってやつだな」
「何かわかる人はわかるんだな」
バーニィは同志を得たようにその言葉に頷いていた。
「やっぱりさ。ザクだって」
「バーニィ、またそれ?」
クリスがその言葉を聞いて苦笑いを浮かべていた。
「本当にザクが好きなのね」
「だってさ、やっぱりモビルスーツって言えば」
「それじゃあザフトのザクはどうですか?」
シーブックがそれに尋ねてきた。
「あれなんかは」
「そうだね」
何か急に饒舌になってきていた。
「いいよね、あれはあれで」
「そうですか」
「けれどさ。やっぱりジオンのザクが」
「何かわかるようなわからないような」
セシリーはそれにはいささか首を傾げていた。
「ザクはどれもザクなような」
「それが違うんだよ」
バーニィはそんなセシリーに対してうんちくを述べる。
「あの独特のシルエットと動きがね、いいんだよ」
「はあ」
「汎用性も高いしね。やっぱり名機だよ」
「それじゃあバーニィ」
クリスがまた尋ねてきた。
「今のザクⅢはどう?」
「凄くいいね」
実際にそのザクに乗っているからこその言葉であった。
「ザクにしては装備が凄くてね。贅沢なモビルスーツだよ」
「そうなの」
「そうさ。やっぱりザクが一番さ」
「その言葉受け取ったわよ~~~~ん」
何とボスもバーニィの言葉を聞いていた。
「けれどここはスペイザーで、ヌケ、ムチャ」
「あいよ」
「いよいよだね、ボス」
「そうだわさ。じゃあ大介さん」
「よし。皆まずは散開だ!」
「了解!」
「いよいよね!」
さやかとジュンがそれに応える。
「ムッ」
「奴等何を仕掛けてくるつもりだ」
七将軍とアルゴス長官は彼等の動きを見てまずはいぶかしんだ。
「守りを固めよ」
長官はとりあえずはそう命じた。
「よいな」
「はい」
「ここは」
三機のスペイザーはダイザーの側に、ダイアナンエースはマジンカイザーの、ヴィーナスエースはグレートマジンガーの側にそれぞれ着いた。
「準備は整いました」
「何時でもいいぜ、大介さん」
鉄也と甲児が大介に連絡する。大介はそれを聞いて次の動きに入った。
「よし、ミサイル発射!」
「了解!」
大介の声に従いミサイルが一斉に放たれる。それはかなりの数であり七将軍とても避けられるものではなかった。
「かわしてはかえって危険だ!」
アルゴス長官はそれを見て判断を下した。
「受け止めよ!よいな!」
「はっ!」
「ではここは!」
七将軍も長官もそれを受ける。だがその間にマジンガーチームはすぐ側まで来ていた。
「ヌウッ!」
「ダイアナンエースだってねえ!」
さやかは今ライガーンのすぐ目の前にいた。そしてその腕でライガーンを捕らえた。
「パイロットの能力が大きく影響するのよ!」
「うおおおっ!」
「そこね!」
その横ではジュンがスカラベスに対して激しい接近戦を仕掛けていた。
「動きを止めたのが運の尽きだったわね!」
「何の!」
スカラベスはそれを受け止めようとする。だがジュンはそれを無理にこじ開ける形で攻撃を浴びせていくのであった。
「空は!」
ひかるがバータラーの上を押さえそこから急降下攻撃を浴びせる。
「スペイザーがあるから!」
「チイッ!」
「あたしもいるわよ!」
マリアはユリシーザに突撃を加えていた。そのドリルが光る。
「これはよけられないわよ!」
「しまった!」
「それでわしだわさ!」
「やはりわしに来たか!」
ボスは予想通りアンゴラスに向かっていた。
「覚悟!」
「おのれ!」
「さあ七大将軍!」
鉄也のグレートの腕にはマジンガーブレードがある。
「これで終わりだ!」
「そうは!」
彼はドレイドウに向かっている。既にドレイドウの機先を制し一気に戦いを終わらせようとしていた。
「やられてなるものか!」
ハーディアスの大鎌がダイザーの首を狙う。だがそれはダブルハーケンにより弾かれてしまった。
「うぬうっ!」
「言った筈だ!」
大介はそのダブルハーケンを手に言う。
「ここで御前達を倒し戦いを終わらせると!」
そしてそれで斬り掛かる。甲児がその上でアルゴス長官を追い詰めていた。
「アルゴス長官」
「兜甲児!」
「おめえとの戦いもこれで!」
カイザーブレードを思いきり投げてきた。
「終わりだあっ!」
「いかん!」
その剣をかわそうとする。だがそれは長官の予想よりも遥かに速くかわしきれるものではなかった。
ミケロスが貫かれた。それと同時に七大将軍全員が今決定的な一撃を受けてしまった。
「やったか!」
「ああ!」
それを見たロンド=ベルの面々が声をあげる。
「う、うぐぐぐ・・・・・・」
「見事だロンド=ベルの戦士達よ」
将軍達は最後の力を振り絞って言ってきた。
「良くぞ我等を倒した。それは褒めてやろう」
「おめえ等もな」
甲児がそれに応えた。
「今まで。敵ながら見事だったぜ」
「しかしだ」
だが彼等はさらに言った。
「我等が闇の帝王には勝てはしない」
「その通りだ」
アルゴス長官も最後の言葉を出してきた。
「我等が帝王にはな」
「決して勝てはせぬ」
「では我々は」
いよいよ最後の時が近付いてきていた。
「これで去ろう」
「偉大なるミケーネに栄光あれ!」
最後に八人はそう叫んで爆発した。こうして見事な最後を遂げたのであった。
「じゃあいよいよかよ」
甲児は彼等の最後を見届けてから口を開いた。
「そのミケーネの親玉の御登場か」
「そうだな。だがそれより前に」
鉄也が周囲を見回した。既に戦いは残敵掃討になっていた。
「雑魚を消しておくか」
「そうだな」
それに大介が頷く。
「今のうちにな」
「ええ」
「んっ!?」
その中で護が一機のナベリウスの動きに気付いた。そして何かを発した。
「危ない!」
それは緑の光だった。彼はまた緑の光に包まれた。
「どうしたの、護君」
「あそこに皆がいる!」
命にそう答える。
「皆って!?」
「華ちゃん達がいるんだ!僕の友達が!」
「何っ!?」
凱がその言葉に振り向いた。
「本当か、護」
「うん、早くあいつを何とかしないと」
「わかった。じゃあ!」
凱がそのナベリウスに向かう。ナベリウスは既に華達のすぐ側まで来ていた。
「わあああっ!!」
末男が声をあげる。華もまた。
「きゃあああっ!」
「凱兄ちゃん!」
緑の天使となった護も外に出ていた。そして凱に声をかける。
「皆を!」
「わかってる!」
凱はそれに答える。そして今その拳を繰り出した。
「ブロウクンマグナムッ!」
それでナベリウスを破壊した。だがそれで危機が去ったわけではない。
「僕皆を助けに行かなきゃ!!」
「護!」
「無茶よ護君!」
命も彼に対して言う。
「今は戦闘中なのよ!」
「それでも!」
だがそれでも彼は行く。行かねばならなかったからだ。
「僕華ちゃんと皆を助けに行かなくちゃ!」
緑の珠が向かう。凱はそんな護を見守って言う。
「頑張れよ、護」
「凱・・・・・・」
「御前もロンド=ベルの一員だ。自分の力で友達を守るんだ」
「ううん」
そんな凱と護を見てアズラエルはクサナギの艦橋で唸っていた。
「やはりライオンロボ君は見事ですね。僕には縁のない世界ですがああいうのを見ていると」
「そもそも貴方の少年時代ってどんなのだったのですか?」
キサカが彼に問う。
「気になりますか?」
「ええ。どんなのだったのか」
「まあ今とあまり変わりませんよ」
「そうなのですか」
「ごく普通の子供でしたよ」
「どんなひねたガキだったんだか」
「・・・・・・あのね、シン君」
突込みを入れてきたシンに対して返す。
「幾ら何でもそれはないんじゃないですか?」
「どうせどこぞの緑色の仮面ライダーみたいなガキだったんだろ」
「そこまで言いますか」
「そうじゃないのか?」
「緑色の仮面ライダーならティターンズにいますよ。あれですか?」
「いや、あれじゃない」
「ああ、あっちですか」
「朝がどうとかいうのだ」
「全く。僕をああした人間と一緒にするとは」
「そっくりじゃないのか?」
「そうですよねえ」
「言われてみれば」
「まんまみたいな」
カガリとオーブ三人娘がそれを聞いて妙に納得する。
「悲しいことです」
「凱さんとは全く逆だ」
「それは認めますがね」
自分でもそれは嫌になる程わかるからあえて言わない。
「しかし何か僕のイメージは」
「じゃあベルト持って変身のポーズする時咄嗟に誰のポーズする?」
「そりゃやっぱりあの大きな目の緑の」
「見ろ。それじゃないか」
「ううん」
「もっとも俺は何故か狼の五番だがな」
「いや、御前のそれは似てないぞ」
「違うか?」
今度はシンがカガリの突っ込みに答えた。
「御前はどっちかっていうと赤い三番目だ」
「それかよ」
「そうだ。イメージだ」
「じゃあ御前は何だ?」
「あ、それはだな」
ここでカガリは何故か顔を赤くさせてきた。それから言ってきた。
「白鳥じゃ・・・・・・駄目か」
「イメージじゃないな」
シンはきっぱりと言い切った。
「犀なんかどうだ?」
「悪役は好きじゃない」
意外とライダーにこだわりがあるようである。
「そうか」
「デザインは好きなんだがな」
「難しいな、そこは」
「それでカガリ」
ユウナがそこで通信を入れてきた。
「どうした?」
「三輪長官が困っているんだ。ちょっと行ってくれないかな」
「放っておけばいいだろう?」
カガリはすぐにそう返した。
「あんな奴がどうなっても」
「そうはいかないよ。やっぱりここはだね」
「ああわかった、じゃあ行く」
「いや、もうコスモクラッシャーが行ってくれましたよ」
しかしここでアズラエルが言ってきた。
「あっ、もうか」
「ああだこうだと話しているうちに。僕も迂闊でした」
「ううむ」
カガリはそれを聞いて思わず唸った。
「あのな、アズラエル」
そのうえでアズラエルに声をかける。
「はい」
「御前前から思っていたが凱には何か妙にこだわるな」
「何故かね。そうなんですよ」
彼自身もそれに気付いていた。
「どうにもね」
「何でだ?」
「何かこう。同じものを感じるというか」
「またそれか」
カガリにとっては縁のない話なので顔を顰めさせた。
「全く。どいつもこいつも」
「ははは、まあそういうことで」
「ああわかった。じゃあな」
「うおおっ!わしの所に!!」
コスモクラッシャーより前に戦闘獣は動いていた。だが突如として爆発してしまった。
「!?」
「早くこちらへ避難を!」
「君達は!?」
側に来ていた剛博士達がその声に顔を向けた。だが声はそんな彼等に対している。
「説明は後で。今は一刻も早くここから脱出を!」
「わかった」
剛博士がそれに頷いた。
「では今のうちに」
彼等の前にも誰かが姿を現わしていた。戦いはその中でようやく終わりを迎えていた。
「敵部隊の全滅を確認!」
「よっしゃあ!」
ゴルディマーグが命の言葉に声をあげる。
「俺達の完全勝利だぜ!」
「いや、それにはまだ早いぜ」
「そうだな」
京四郎の言葉に一矢が頷いた。
「敵はまだいる!」
「来るか、闇の帝王!!」
鉄也がそう言った時。突如として地中から炎の柱が噴き出した。
「ムッ!」
「まさか!?」
「フフフフフフフ・・・・・・フハハハハハハ」
笑い声が何処からともなく聞こえてきた。
「フハハハハハハハ!!」
さらに炎の柱が起こる。その中で大地が揺れる。
「な、な、何が起きるんだわさ!?」
「各機衝撃に備えろ!!」
ボスが辺りを見回しアムロが指示を出した。その時だった。
落雷まで落ちた。そして遂に今それが姿を現わした。
巨大な炎であった。そこに顔が浮かんでいた。
「まさか!」
「あいつがミケーネの!」
ナナと一矢がその禍々しい姿を見て叫ぶ。すると炎はそこから言ってきた。
「そうだ」
彼は二人に応えた。
「わしはミケーネの支配者闇の帝王。遥かな過去より地球の闇に存在し生きとし生ける者全てを絶望の底へ誘う暗黒の支配者だ」
「な、何なんだ、あいつ!?」
勝平も流石に言葉がない。
「エネルギーの塊!?いや、そうじゃない」
勇にも何が何なのかわからなかった。こう言うしかなかった。
「悪意という想念がそのまま形を成しているのか!?」
「しかし」
大介がアムロに応えて言う。
「僕達は相手が何であろうと俺達は負けるわけには!!」
「フフフ、愚か者共が」
しかし闇の帝王は彼等のその言葉をせせら笑う。そして横浜中に落雷を落としてきた。
「!!」
「あ、あれが」
「闇の帝王の力かよ!」
健一も豹馬もその力を見て呆然としていた。そこにまた闇の帝王の声が響く。
「どうやらわしの力が少しは理解出来たようだな」
「これがかよ!」
甲児が言う。
「だがもう遅い。わしが姿を現したからにはあらゆる希望が失われたと思え」
「何っ!?」
「地上と太陽を取り戻し、この大地を我がものとする前に邪魔者共を滅ぼしてくれる!」
しかしその時だった。三つの雷が降臨した。
「またか!」
「いや、違う」
ゼンガーが最初にそれに気付いた。
「これは」
「この感触」
そして次に気付いたのはクスハであった。その三つの光は彼等であった。
「また出て来たか」
「俺達の味方なのか?」
獅子と鮫、そして鷲であった。彼等がまたロンド=ベルの前に姿を現わしたのである。
「・・・・・・・・・」
その中で何故かイルイは不思議な光に包まれていた。だがそれに気付く者は何処にもいなかった。
「フフフ、クストースか」
闇の帝王は彼等を見てそう呼んだ。
「クストース!?」
「まあよい。ならば貴様等も人間共々滅ぼしてくれる」
三匹はそんな闇の帝王に対して威嚇的な様子を見せていた。そして近付いていく。
「来い、今ここで全てを終わらせてくれる」
「そうはさせない!」
鉄也が彼に対して言う。
「闇の帝王!」
「ほほう、貴様は」
闇の帝王も彼に気付いた。それで顔を向けてきた。
「剣鉄也か」
「俺を知っているのか」
「無論だ。ミケーネに歯向かう愚か者としてな」
「俺は貴様を倒す為に今まで生きてきた!」
彼は言う。
「そして今それを果たす!覚悟しろ!」6
「人間がわしを倒すというのか」
そのこと自体が彼にとっては笑止千万なことであった。
「面白いことを言う」
「何っ」
「鉄也君」
何時になく熱くなる彼に大介が声をかけてきた。
「落ち着くんだ、今は」
「え、ええ」
それを言われて彼も落ち着きを取り戻した。
「そうですね」
「そうだ。それはいいな」
「やい闇の帝王!」
今度は甲児が言う。
「手前一人で何ができるってんだ!俺達相手によ!」
「いや、甲児君」
大介は今度は甲児に対して声をかける。
「闇の帝王はかなり強い。おそらくそれだけの自身が彼にはあるのだ」
「まさか・・・・・・」
「ふふふふふ、そのまさかだ」
闇の帝王は甲児に応える形で言い返してきた。
「わし一人で貴様達を倒すのには充分なのだよ」
「何だと!」
「さあ来るがいい人間共よ」
彼は言う。
「ここで貴様等に真の絶望を与えてやろうぞ」
「じゃあやってやらあ!」
甲児が叫ぶ。
「俺達の力、甘く見るな!」
「さあ来い!」
闇の帝王も逃げも隠れもしない。
「今ここで決着をつけようぞ!」
「総員攻撃!」
大文字がそれを受けて指示を出す。
「攻撃目標闇の帝王!ここで勝負をつけるぞ!」
「了解!」
こうしてロンド=ベルと闇の帝王の決戦がはじまった。それを受けて三匹の神獣達も動きを見せてきた。
「ムッ!?」
そのまま闇の帝王に向かおうとする。だがここで鉄也が彼等に対して言った。
「下がれ、クストース!」
クストース達はその言葉を受けて動きを止めた。
「闇の帝王は俺達の手で倒す!!」
鉄也はまた言った。甲児もそれに続く。
「そうだ!奴との決着は俺達につけさせてくれ!」
「そうだな」
「これは俺達の戦いだ」
他の者達も二人の言葉に続く。
「人間とミケーネの戦いだ。だから」
「ここは俺達だけで。やらせてくれ」
「・・・・・・・・・」
三匹の獣はそれを聞くと静かに咆哮した。そして何処かへと消えてしまった。
「クストースが下がった」
「俺達の意志が伝わったのか?」
「どうやらそうみたいだな」
真吾が凱と甲児に対して答える。
「ま、ここに来て他力本願ってのもカッコつかないしね」
「そういうことだな」
レミーとキリーもそれに続く。
「その通りだ」
そして万丈も言った。
「この戦いは僕達自身の力で勝たなきゃ意味がない」
「万丈さん」
勝平がその言葉に顔を向ける。
「人間である僕達の力で!」
そこには星が違うといった問題やサイボーグ、コーディネイターも何もなかった。全てを同じ人間とみなしたうえでの言葉であったのだ。
「よし!」
「今ここで!」
「愚かな」
しかし闇の帝王の余裕は微塵も揺らがなかった。
「傷ついた人間ごときにこのわしが倒せると思っているのか?」
「やれる!」
「俺達の力、甘く見るな!」
しかし彼等ももう負けてはいない。毅然としてこう言い返す。
するとそこに。また三匹の神獣の咆哮が聞こえてきた。
「!?」
「また」
するとロンド=ベルの戦士達の身体に白い光が宿った。それを受けた時彼等の全身にさらなる力がみなぎってきた。
「な、何なんだ今のは!?」
「クストースが俺達に力を貸してくれたのか」
豹馬と健一がそれぞれ言う。
「この力・・・・・・何て暖かいんだ」
「これが彼等の返答ですね」
タケルにもルリにもそれが宿っていた。今彼等はその光の中にいた。
今のが彼らなりの返答か。そして」
万丈はまた言う。
「置き土産ということか」
「じゃあ今度は自力本願ね」
エクセレンが上機嫌で言ってきた。
「ああ」
その言葉にキョウスケが応える。
「これで充分に戦える」
「行くぞ!闇の帝王!!」
鉄也が最後に言う。それでも闇の帝王はやはり闇の帝王であった。逃げも隠れもしない。
「来るがいい!」
彼はなおも叫ぶ」
「御前達を倒しこの大地をわしのものとしてくれるわ!!」
「やってやるぜ!」
忍も咆哮した。
「ここが正念場だ!皆行くぜ!」
「了解!」
今ここにミケーネとの最後の戦いが幕を開けた。ロンド=ベルは総力を挙げて立ち向かう。だがそれを見て相変わらずな者もいた。
「ロンド=ベルの役立たず共め!」
それはやはり三輪であった。彼はまだ喚いていた。
「敵は一体だけなのだ!早く片付けんか!」
「あんた戦っておる連中に対してそれはないじゃろうが!!」
四ツ谷博士がそんな彼に言う。
「黙れ!刺し違えてでも敵を倒すことが奴らの務めなのだ!!」
「あんたはどうしてそうなのじゃ!」
四ツ谷博士もいい加減かなり頭にきていた。
「豹馬達のあの姿を見て何とも思わんのか!」
「グワッ!」
今その場でコンバトラーが闇の帝王の炎を受けていた。激しい炎がその全身を焼く。
「ま、まだだ!」
しかし豹馬はそれに負けたりはしない。まだ戦場に立っていた。
「この位で!」
「そうよ!」
ちずるも言う。
「ここで負けたら何にもならないわ!」
「だからこんなことで!」
冷静な小介も何時になくエキサイトしている。
「負けはしません!」
「豹馬!」
「豹馬どん!」
十三と大作が彼に声をかける。
「やるで!」
「やるでごわす!」
「ああ!こんな傷で!」
そう叫んでツインランサーを手に闇の帝王に向かう。どれだけダメージを受けていても彼等は退いてはいなかった。
「あれを見ても!」
「三輪長官」
彼等の前に現れたのはエリカであった。彼女も三輪に対して言う。
「彼等は必ず勝利し、人々を救ってくれます。そう信じましょう」
「異星人にそんなことを言われる覚えはない!!」
「!!」
この言葉にはさしものエリカも言葉を失った。あまりのことに剛博士が言ってきた。
「三輪長官、貴方という人は!」
「黙れと言っておる!」
しかし三輪はそれでも言う。
「それよりも、早くこの区域から脱出するぞ!!」
「いえ」
だがエリカはその言葉に首を横に振る。そのうえで言った。
「私はここで避難民の誘導を続けます」
「な、何!?貴様正気か!?」
「はい」
エリカはそれに答えて言った。
「それが私の戦いです。私もロンド=ベルと一緒に戦っているのです」
三輪「命が惜しくないのか!?」
「彼等を、そして一矢を信じていますから」
「くっ・・・・・・」
その言葉に三輪も圧倒された。これこそが本当の強さであったからだ。
「わしもロンド=ベルを信じるぞ」
四ツ谷博士も言ってきた。
「彼等なら必ずやってくれる」
「私もです」
そして剛博士も。彼等はロンド=ベルを信じていた。
「では避難民の誘導を続けましょう」
「はい」
エリカが和泉博士の言葉に頷く。彼等は今ロンド=ベルと共に戦っていた。残されたのは何もわからない愚か者だけであった。
「この力」
闇の帝王は今ゲッターと闘っていた。その中で言う。
「報告に聞くゲッター線を使ったロボットか」
「その通りだ!」
竜馬がそれに応える。
「ゲッターロボの力、そして人間の力を御前にもたっぷりと味わってもらうぞ!」
「リョウ、やるぞ!」
隼人が言ってきた。
「ゲッタービームだ!」
「よし!」
「決めろ、リョウ!」
弁慶も言う。
「俺達の、人間の力を!」
「今だ!ゲッター!」
竜馬は今高らかに叫んだ。
「ゲッタアアァァァァァァビイイィィィィィィム!」
今光を闇の帝王に対して放つ。だがそれを受けても彼はまだ倒れない。
「今度は俺だ!」
鋼鉄ジーグが出てきた。
「地獄の帝王、いや闇の帝王!」
彼は闇の帝王に対して言う。
「御前に受けた借り、ここで返すぜ!」
「ほう、貴様は」
闇の帝王は彼の姿を見て言う。
「わしの封印を解く鍵を守っていたロボットか」
「そうだ!」
ジーグはそれに応えて叫ぶ。
「それがこの俺だ!」
「残念だが御前の努力は無駄だったようだな」
帝王はジーグをせせら笑って言ってきた。
「今こうしてわしがここにいるのだからな」
「ああ、そうさ」
ジーグはそれを認める。だがそれでも逃げはしなかった。
「だから俺の手で御前を倒してその借りを返してやる!」
「面白い。では見せてみよ!」
闇の帝王はその言葉を受けて言ってきた。
「貴様のその力をな!」
「ミッチー!」
ジーグは後ろに顔を向けて美和に声をかける。
「あれだ!マッハドリルだ!」
「わかったわ、宙さん!」
美和はそれを受けてマッハドリルを放った。そしてジーグはそれと合体した。
「これでどうだ!」
「何の!」
マッハドリルで突撃する。二つのドリルが闇の帝王を直撃した。だがそれでも帝王は倒れはしない。
「くっ、まだか!」
「甘いわ!」
闇の帝王は高らかに笑ってきた。
「この程度ではわしは倒せはせぬわ!」
「何て奴だ」6
それを見て流石に鋼鉄ジーグも言葉がなかった。
「こいつは。そうそう容易じゃないな」
「しかしよ!」
今度は甲児が出て来た。
「どんな化け物だってなあ!何百回も攻撃浴びせてりゃ倒せるんだよ!」
マジンカイザーが前に出る。その前にドクーガ艦から攻撃があった。
「やれ!やってしまえ!」
今回の担当はケルナグールであった。
「そのまま倒してしまえ!」
「ケルナグール!弾薬の残りには注意しろよ!」
「そんなもの今はどうでもいいわ!」
そうカットナルに返す。
「今はそれよりもあの闇の帝王を倒すことが重要だ!やれい!」
「うぬう、しかしだ」
カットナルも今の状況を見て考えをあらためた。
「その通りかも知れんな」
「そうだな」
それにブンドルが頷く。
「今は。その方がいい」
「これで!」
その横からセラーナのゼータがメガランチャーを放っていた。ブンドルはその動きを見てふと思った。
「美しい。だが」
「どうしたブンドル」
「あの動き・・・・・・キュベレイに似ている」
「そうか?」
「うむ。何かあるのかもな」
「はて」
「そうかのう」
カットナルにもケルナグールにもわからなかった。だがブンドルはわかっていたのであった。
「若しかするとな」
彼等は戦いを続ける。そして今甲児も闇の帝王に向かう。
「やい、覚悟しやがれ!」
「兜甲児・・・・・・」
闇の帝王は彼の姿を認めて言ってきた。
「貴様の名は聞いているぞ」
「そうかい、それは光栄だな」
甲児はまずはこう返した。闇の帝王はさらに言う。
「代々我等に刃向かう兜家の男め。その血、ここで根絶やしにしてくれる!」
「やれるもんならやってみやがれ!」
甲児はそれに対して言い返す。
「だがな、一つ間違いを教えてやるぜ!」
「何だと?」
「俺もお父さん達も手前を倒すために戦ってきたんじゃない。全ての悪を倒す為に生きてきたんだ!」
「ほう」
「御前なんか俺達にとって単なる通過点だってことを見せてやるぜ!」
「では見せてもらおうか」
闇の帝王はそれに応えて言ってきた。
「貴様のその力をな」
「やってやるぜ!食らいやがれ!」
その胸に今渾身の力を込める。そこに赤い光が宿る。
「これが魔神皇帝の力だ!うおおおおおおーーーーーーーーっ!」
その赤い光を今放った。それは恐るべき炎となって闇の帝王に襲い掛かる。
「ファイアーーーーブラスタァーーーーーーッ!!」
赤い炎で焼き尽くさんとする。だがそれを受けても闇の帝王はまだそこに立っていた。
「何だとっ!?今の攻撃で」
「確かに効いた」
闇の帝王はそれに応えて言う。
「しかしだ。まだわしは倒れんのだ」
「チイッ!」
「この程度ではな」
「では今度は俺が相手だ!」
「鉄也さん!」
「甲児君」
鉄也は甲児に顔を向けてきた。そして言う。
「最後は俺に任せてくれ。俺の今までの戦いの一つの総決算だ」
「ああ、そうだったな」
甲児もその言葉に頷いた。
「鉄也さんはこいつを倒す為に」
「そうだ。だからこそ」
彼はまた言う。
「俺に任せてくれ。いいな」
「ああ、わかったぜ」
甲児もそれを快諾してきた。
「じゃあここは一発でかいの頼むぜ」
「わかっている。じゃあな」
「ああ!」
「鉄也」
その後ろにはジュンがいた。彼女もまた彼に声をかけてきた。
「いよいよね」
「ああ、だが安心しろ」
ジュンに対しても言う。
「俺はやる」
「ええ、期待しているわ」
「わかった」
そして今闇の帝王と対峙してきた。まずはその名を呼んだ。
「闇の帝王!」
闇の帝王を睨み据えていた。今最後の闘いがはじまろうとしていた。
「俺はミケーネの野望を阻止する為に幼い頃から今日まで戦ってきた!」
「ほう」
闇の帝王はそんな鉄也を見て目を細める。そのまま笑って彼に言ってきた。
「ならばその苦労を御前の死という形で終わらせてやろう!」
「お断りだぜ!」
だが鉄也もまた甲児と同じものを見ていた。今それをここではっきりと宣言してきたのだ。
「俺の倒すべき敵は御前で終わりではない!」
「そうだ!」
それに大介も頷く。
「その通りだ、鉄也君!」
「そうだ、大介さんもまたそうだ」
鉄也はその言葉を受けてさらに言葉を続ける。
「この世の悪の全てを倒すまで俺は戦い続ける気だ!」
「面白い。ならばわしを倒してみよ!」
闇の帝王はそう言いながら炎を放ってきた。
「今ここでな!さもなければ死ぬがいい!」
「何の!」
だが彼も怯んではいない。遂に最大の切り札を出してきたのだ。
「今ここに!」
炎を受けたがそれは最早鉄也にもグレートマジンガーにもどうということはなかった。灼熱の炎をものともせず今全ての力を凝縮させてきていた。
「グレートマジンガーの力、俺の力」
空に暗雲が漂う。それはグレートが呼んだ神の怒りであった。
「今ここに見せてやる!落ちろ雷!」
その声に応えて無数の雷が今グレートに降り注ぐ。そして今鉄也はその雷は両手に貯めてきた。
「サンダーーーーーブレイク!」
それは只のサンダーブレイクではなかった。普段のそれとは比較にならない絶対的な破壊力を持つ神の雷であった。
その神の雷が今闇の帝王に凄まじい轟音をあげて向かう。そしてそのまま刺し貫いたのであった。
「やったか!」
それを見て甲児と大介が同時に叫んだ。
「ば、馬鹿な!」
闇の帝王は今断末魔の声をあげていた。
「数万年の時を生きたこのわしが人間ごときに敗れようとは!!」
「闇の帝王!」
鉄也は彼に対して言う。
「暗黒の支配者ならば闇へ帰れ!」
「地球は御前のものじゃねえ!」
甲児も言う。
「平和を愛する人間一人一人のものなんだ!」
「そうだ!僕もまた!」
大介も今地球を心から愛していた。だからこそ言えた。
「平和と地球を愛する!貴様に対して言おう!」
「くっ、だが忘れるな!」
闇の帝王は最後に今言うのであった。その苦悶の声で。
「わしはこの世に闇ある限り」
苦悶の声が次第に崩壊していく。それが彼の最後を現わしていた。
「か・・・・・・なら・・・・・・ずや・・・・・・!!」
そして今巨大な爆発となって消え去った。遂にミケーネ帝国も闇の帝王も倒れたのであった。
「鉄也・・・・・・」
ジュンがそれを見る鉄也に声をかけてきた。
「私達の青春を懸けたミケーネとの戦い、それも終わりを迎えるのね」
「安心するのは早いぞ、ジュン」
しかし鉄也はジュンに対して言った。
「闇の帝王は倒れたがまだ全ての敵がいなくなったわけじゃない」
彼は闘いの時に言った言葉を今ジュンにも言っていた。
「地球に平和が戻る日まで俺達の戦いは続くんだ」
「ええ」
ジュンはまずはそれに頷く。だがここでまた言う。
「でもその日に一歩近付いたのは間違いないでしょ?」
「そうだな」
鉄也もそれには頷いた。
「まだまだ先だがな」
「そうね」
ミケーネとの戦いはこれで終わった。こうして地上を脅かす最大の脅威の一つが遂に消え去ったのであった。
その頃華達はまだその命を脅かされていた。必死に逃げようとする。
「は、早くここから逃げようよォ!!」
数納が泣いていた。そこに爆発が起こった。
「きゃあっ!」
「や、やべえぞ!!」
末男が顔を青くさせた。
「タワーが崩れるんじゃねえか!?」
「わあああっ!!」
皆頭を抱える。しかしここで誰かの声がした。
「華ちゃん、皆!」
その声は彼等を導いていた。
「こっちだ!」
「この声は」
華にはその声が誰のものかわかった。するとそこに護がいた。
「急いで!今なら脱出できるから!」
「ま、護君!!」
「護!どうして御前がここに!?」
「皆御免!説明している時間はないんだ!」
だが護は皆に対してこう言うしかなかった。言えなかった。
「とにかく急いで!」
「う、うん!」
「御免ね、華ちゃん」
護はまずは華に謝った。
「助けに来るのが遅くなっちゃって」
「ううん。ありがと、護君」
「助かったぜ、護」
「でも、どうして僕達がタワーにいるってわかったの?」
華と末男が礼を述べ数納が尋ねてきた。
「え、ええっと・・・・・・」
護は何と言っていいかわからなかったがとりあえず誤魔化すことにした。
「ぼ、僕もちょうどここに来てたんだ」
「なぁんだ、そうだったのか」
末男はそれで納得した。続いて華が言う。
「じゃあ護君、宇宙体験教室の授業が終わったのね?」
「じ、実はその、今はちょっとお休みで」
「えっ?」
「だからすぐに戻らなくちゃいけないんだ」
「そうなの」
「でも心配することないよ」
護はそう言って悲しい顔になった華を宥めた。
「僕必ず帰ってくるから」
「ホントに?」
「うん、約束するよ」
それは笑顔で答えた。
「だから待っててね、華ちゃん」
「うんわかったわ」
華も笑顔で返す。
「私、護君を信じてるから」
「華ちゃん・・・・・・」
「だからお仕事、頑張ってね」
「仕事?」
末男がそれを聞いて首を傾げる。
「勉強の間違いだろ?」
「ううん」
だが華はその言葉に首を横に振る。数納にもよくわからない。全ては護と華だけのことであった。
「わかったよ、華ちゃん」
護はまた笑顔で頷く。そして皆に対して言った。
「それじゃ皆、またね!」
皆を安全な場所にまで避難させてからその場を後にした。彼もまた勇者であった。
「ええい、ロンド=ベルは何をしておるのだ!」
三輪は相変わらず喚いていた。
「戦闘が終わったらさっさとわしを迎えにこんか!」
「エリカ様」
「はい」
バームの兵士達がエリカに声をかける。エリカはそれに応えていた。
「避難民の誘導は終了しました。以後我々は負傷者の救護に回ります」
「はい、お願いします」
「待て!」
だが彼女達に三輪の矛先が向かった。10
「勝手なことをするな!異星人の情けなど受けんわ!!」
「生まれた星の違いなど関係ありません」
エリカはそんな彼に毅然として述べてきた。
「今は一人でも多くの人々を救わねばならないのです」
「黙れ!」
だがそんな言葉を聞き入れる三輪ではない。そうでなければどうしてこうなるであろうか。
「わしは極東支部の長官だぞ!市民の安全を守るわしこそが最初に保護されてしかるべきだ!」
「三輪長官」
エリカはその言葉に呆れながらも言ってきた。
「人々を救うことは貴方の務めではないのですか?」
「黙れ!大体何故貴様がここにいるのだ!」
彼はエリカに詰め寄る。
「我々の動きを探りに来たのか!?」
「それは違います」
しかしここにやって来る者がいた。ヨーロッパの貴族風の白い服に身を包んだ少女であった。
「貴様は」
「三輪長官、エリカさんは平和解放機構の代表として来られているのです」
「バームと講和した為か」
「そうです」
リリーナはそれに答える。
「今では地球とバームは共に手を携え合う友人同士ではありませんか」
「フン、夢想家の小娘が異星人に丸め込まれおって」
しかし三輪はそれでも聞き入れない。
「貴様達が世界中で市民を扇動していることは知っておるぞ!」
「このおっさんはまだわかんねえんだな」
「馬の耳に念仏だね」
ヂボデーとサイシーもそんな彼を見て完全に呆れていた。
「このわしの前に姿を現したのが運の尽きだ!極東支部長官の権限で貴様らを逮捕する!」
「三輪長官!」
あまりの有様に見かねた和泉博士が彼に言う。
「彼女等が何の罪を犯しのだ!?」
「スパイ罪と騒乱罪!」
「また随分勝手ね」
「この様な御仁がまことにいるとは」
アレンビーもキメルも言葉がない。
「罪状は幾らでも叩けば出てくる!!」
「凄いな」
「ここまで言う方は私もはじめてです」
アルゴもジョルジュも呆れ果てることこの上ないといった有様である。
「私達はスパイなどではありません!」
「五月蝿い!」
三輪はエリカの言葉を聞かない。
「この異星人めが!!」
それどころか銃を向けてきた。しかしエリカ達の前にデュオ達がやって来た。
「おいおっさん、いい加減にしろよ!」
「エリカさん達は武器も持っていないんですよ」
デュオとカトルがまず言った。
「一般市民に銃を向けるとは」
「それでも軍人あのか」
続いてトロワとウーヒェイが述べた。
「そこをどけ!」
「どけって言われてどく馬鹿がいるかよ!」
「撃つなら撃て。その瞬間に御前を倒す!」
デュオとウーヒェイは本当に身構えていた。本気で三輪を倒するもりであった。
「おのれ!」
「わ、私をかばって!?」
「エリカさんだったな」
今度はドモンが出て来た。
「は、はい」
「貴方もまた戦っている。だから俺達もまた貴方に手を貸そう」
「俺もな」
「おいらも」
「俺もいる」
「では私も」
シャッフル同盟も出て来た。彼等もまた身構えている。
「これはまた凄いことになってきましたね」
アズラエルがそれを見て笑っていた。
「あの人もこれで手出しは出来ないでしょう」
「だといいのですがね」
心配性のユウナがここで言う。
「あの人の無茶苦茶さはあんまりですから」
「そちらの無茶苦茶な子達は何処ですか?」
「キサカ一佐とトダカ艦長が保護しています」
「成程、保護ですか」
「はい」
「離せ!私も行く!」
「俺も行く!だから!」
「ですからカガリ様」
キサカがカガリを後ろから抑えて声をかけていた。
「少しは一国の元首として」
「じゃあ俺はいい筈だ!」
「シン君もザフトの士官なのだろう?」
彼にはトダカが言う。
「だからだね」
「くっそおおおお!」
「何で俺達が!」
「ねえアスラン」
そんな二人を見てキラがアスランに囁く。
「あの二人本当は兄弟なんじゃないかな」
「そうかもな」
アスランもキラのその言葉に頷く。
「性格が殆どコピーだ」
「そうだよね、性別が違うだけで」
「そうだよな」
「こら、アスラン!」
それを聞いたシンがアスランに対して言う。
「それが戦友に対する言葉か!」
「キラ!見ていないで何とかしろ!」
「とりあえず一番厄介なのは大丈夫だね」
「そうだな」
トールの言葉にサイが頷く。こうして二人は抑えられていた。
「猿芝居はやめろ!」
三輪はまだ叫んでいた。
「わしはだまされんぞ、スパイ共め!!」
「お止めなさい!」
しかしそんな彼をリリーナが一喝する。強い声だった。
「偏見と独善に満ちた人間が銃を持ったおかげで今日までの戦いが生まれたのです!」
「何だと!?」
「撃ちたいのでしたらどうぞご遠慮なく」
堂々と前に出て来た。そしてまた言う。
「覚悟は出来ています」
「いい度胸だ」
三輪はそれを聞いてリリーナを睨み据えてきた。
「反逆罪で即刻処刑してやる!!」
銃声が轟く。だがそれは三輪のものではなかった。
「ぐわっ!!」
「そこまでだ」
「ヒイロ・・・・・・!」
「おっ、真打ち登場か」
「やはりこうなったな」
デュオとウーヒェイが彼の姿を見て述べた。
「御前に銃を向ける者の相手は俺がする」
「おのれ!こうなれば異星人だけでも!!」
逆上した三輪はエリカに銃を向ける。しかしそこに一矢が来た。
「エリカ!!」
「一矢!!」
「俺は君が守る!そう言った筈だ!」
「けれど一矢、貴方は」
「構わない!君を死なせはしない!」
今それをはっきりと言う。
「だからここは!」
「竜崎一矢!」
三輪は今度は彼を見据えてきた。銃も彼に向けている。
「貴様スパイを庇うというのか!」
「あんたは星の隔たりなく人を助けようとする人間をスパイだと言うのか!」
「異星人は敵だ!敵を撃って何が悪い!」
しかし三輪は三輪だった。それでわかる男ではない。
「三輪ァッ!」
その言葉に遂に一矢が切れた。
「手前って奴はそれでも人間かァッ!!」
三輪を殴る。それを受けて三輪は倒れ一矢に対して言ってきた。
「き、貴様殴ったな!長官であるわしを殴りおったな!!」
「黙れ!長官の肩書きなんか関係あるか!」
一矢は彼に対して言う。
「手前は宇宙一の最低野郎だ!!立てっ、俺が御前に痛みを教えてやる!!」
さらに殴る。だが一矢の怒りは収まらない。
「まだだ!この程度で許されると思うな!」
「やめろ、一矢!」
健一が彼を止める。
「こんな男殴る価値はない!!」
「止めるな!!」
しかし一矢は止めない。三輪はまた叫んだ。
「き、貴様らは全員逮捕だ!」
「それがどうした!」
そんなことで一矢の怒りが収まる筈もない。だが三輪はまだ言う。
「このわしに逆らったことを後悔させてやる!」
「やれるものならやってみろ!」
一矢は叫ぶ。
「貴様なんかに屈してたまるか!」
「そうだ!」
健一も遂にそれに続いた。
「俺達はあんたに逮捕されても構うものか!それよりも自分の信じるものの為に戦う!」
「そうか!では全員逮捕だ!」
三輪はまた叫んだ。
「ロンド=ベルは全員逮捕だ!軍法会議だ!」
「いや、それは違う」
そこに誰かがまた来た。
「三輪長官、いや三輪防人」
彼は三輪に声をかけてきた。
「逮捕されるのは君の方だ」
「あ、貴方は」
「お父様!」
「久し振りだな、めぐみ」
それは岡長官であった。彼は健一とめぐみに微笑を返していた。
「岡!いつ日本に戻って来たのだ」
「つい先程だ。三輪防人、君の逮捕状を持ってな」
「何だと!?」
「三輪防人!私的な判断による軍の運用、並びに捕虜虐待、そして民間人の人権無視により」
彼は三輪に対して言う。
「ここに極東支部の長官職を解任し連邦軍本部での軍事裁判に出頭を命じる!」
「ば、馬鹿な」
この言葉を聞いても三輪は信じられなかった。岡はそんな彼に対してさらに言う。
「申し開きは法廷でしたまえ」
「このわしが・・・・・・終わりだというのか」
「そうでごわすな」
それを見て大次郎が述べた。
「そうだね」
「これで三輪も終わりだな」
日吉と一平もそれに頷く。今目の前で三輪が崩れ落ちていた。
「因果応報をいう奴だ」
最後に京四郎が述べた。
「小悪党には相応しい結末だぜ」
ミケーネが倒れ三輪も失脚した。これで地球の脅威はかなりがなくなった。
「済まなかったな、君達には」
アデアウヤー次官がラー=カイラムのモニターに出ていた。そしてブライト達と話をしていた。
「私では彼を抑えることができなかった」
「いえ」
だがブライトはそれには構わなかった。
「ミケーネが倒れ、日本に無理に集結させていた戦力を各地の防衛に回せたことが大きいです」
「そうか。そう言ってくれるか」
「はい」
ブライトは頷いてきた。これで終わりであった。
「それで次官」
だがブライトはまた問うてきた。
「何だね?」
「次の作戦は何でしょうか」
「うむ、しかしその前にだ」
「はい」
「君達は連戦で疲れているだろう。一週間程休暇を取り給え」
「宜しいのですか?」
「何、補給や整備も兼ねてだ。沖縄では」
「わかりました、沖縄ですね」
「その後でオーブに向かって欲しい」
「オーブにですか」
「うむ、そこから宇宙に行ってもらいたいのだ」
「ということは」
「そうだ。ザフト、ネオ=ジオン、ティターンズ」
次官は三つの勢力の名前をあげ連ねた。
「彼等との戦いも終わらせたい。いいかな」
「遂にですか」
「地球はこれで脅威がなくなる」
次官はまた言う。
「オーブを解放さえできれば。だからだ」
「わかりました。それでは」
「だがまずはゆっくり休息をだね」
流石に三輪よりはずっと話がわかる。そもそも彼が無茶苦茶過ぎたのであるが。24
「そういうことで頼むよ。ああ、あと」
「何でしょうか」
「クェスはどうしているかな」
「彼女ですか」
「そうだ。何でもエースになっているそうだが」
その話は彼も聞いていた。父親としてやはり気になるのである。
「そこはどうなのかなと思ってね」
「ええ。友人も多いですし」
「そうか。それは何よりだ」
さらに父親として笑顔になった。
「いや、それは何よりだ。昔から友人がいなくてね」
「はい。それは御安心下さい」
「わかった。ではクェスにも宜しくな」
彼はそう言って別れの挨拶としてきた。
「無理はしないようにと」
「わかりました」
こうしてロンド=ベルは沖縄でオフに入ることになった。彼等はそこで連戦で疲れた身体を癒すのであった。
「イルイよ」
何かが彼女を呼んでいた。
「我に選ばれし巫女イルイよ」
「・・・・・・・・・」
イルイは無限の光と闇の中にいた。そこでその何かの声を聞いていた。
「汝の見定めし剣がまた一つの災いを滅ぼした」
「ロンド=ベルが」
「そうだ、あの者達がだ」
何かが語る。
「おかげで脅威は残り僅かとなりました」
若い男の声もした。
「喜ばしいことです」
「彼等が」
「よいことだ」
何かは男の声を聞いて喜んでいるようであった。
「しかしだ」
だがここで言ってきた。
「未だ多くの災いがこの星を蝕んでいる」
「わ・・・・・・ざわ・・・・・・い・・・・・・」
「我等は地球の守護者」
何かは語る。
「この星に生きる我が子等を災いから」
さらに言う。
「天と地と海から来る災いから護らねばならぬ」
「その通りです」
男はまたその言葉に答えた。
「そうですね、イルイ様」
「護る・・・・・・この星を」
イルイはその言葉を聞いて呟く。
「クスハ達を」
「目覚めよ、イルイ」
何かはイルイに声をかける。
「その強念を解き放て」
「強念を」
「そうだ」
声は彼女に対して言う。
「この星を護るために。汝が愛する者達を護る為に」
「皆を私が護る・・・・・・」
「イルイよ」
何かはイルイに対して語り続ける。
「約束の地、パラルの主、マシアフ。この星の守護者となれ」
「私がこの星を護る」
「そうなのです」
男も言ってきた。
「だからこそ」
「私が・・・・・・私は・・・・・・」
その時闇が消えた。光しかなくなりそこに美しく背の高い女が姿を現わした。
「私はイルイ」
彼女は自分をイルイだという。しかしその姿は彼女の本来のものとは全く異なっていた。
「パラルの主であり、マシアフ」
自らをそう位置付けていた。
「私はイルイ=ガンエデン」
そう名乗る。それが今の彼女であるようだった。
その側に三匹の獣が姿を現わした。彼等であった。
「優しいカナフ」
鷲を見て言う。
「気丈なケレン」
次に鮫を。
「無邪気なザナヴ」
最後に豹を。彼等を見て微笑んできた。
「私の可愛い下僕達。今まで寂しい想いをさせて御免なさい」
そう彼等に謝る。
「私は今マシアフとして目覚めました」
「遂にですね」
「はい」
男にも答える。
「アクラブ、貴方にも」
「何、僕のことは構いませんよ」
男はそう返す。
「私は地球の守護者」
今それを宣言した。
「幾多の剣よ、私の下へ集いなさい」
「そして」
男がそれに問う。
「そう、そして」
彼女もそれに応える。
「この星に住む者達にガンエデンの守護を」
「それこそがこの地球を守る方法」
「そうです。私はイルイ=ガンエデン」
また自身の名を言う。
「地球の守護者」
「その守護者が定めし剣とは」
男が待っているかのように問い続ける。
「私の見定めし剣ロンド=ベルよ。そして」
「そして?」
「戦士達よ、私の下へ集いなさい。全てはこの星を護るために」
それこそが彼女の心であった。
「私は貴方達の主になります」
今神が目覚めた。地球の神が。だがそれは人にとってよいことなのであろうか。それは誰も知らなかった。
第百三十二話完
2006・12・28
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