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久遠の神話

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第四話 中田の告白その七


「見たんだな」
「それは」
「何時から見てたんだ?それで」
「途中。財布を落としてることに気付いて」
 それで戻ったというのだ。見れば上城のその手にはだ。
 黒い財布がある。それを落としたことは明らかだった。
 その財布を見ながらだ。彼は話す。
「それで戻って来て」
「見たんだな」
「あの牛の怪物が出た時から」
 その時代からだというのだ。
「見るつもりはなかったですけれど」
「いや、あんたもな」
 しかしだ。中田はだ。
 その上城にだ。こう言った。
「聞いた筈だよ。水なんだろ」
「そのことですか」
「ああ、あんたは水の剣士なんだよ」
「剣士って」
 ここでだ。あの声がだった。 
 上城に対してだ。こう言ってきたのだった。
「剣士は全員で十三人です」
「十三人!?」
「はい、それだけの剣士がいて」
 それでだとだ。さらに言うのだった。
「残るのは一人です」
「一人・・・・・・」
「つまりあれだよ」
 声と入れ替わる形でだ。中田も上城に話す。
「俺達は魔物、さっきのな」
「あの牛の化け物ですよね」
「もう他にも会ってないか?」
 中田はそのことも推察して彼に尋ねた。
「何かな。さっきのとは別に」
「実は」
 ここでだ。中田に対してあのことを話した。
「前にスフィンクスですか?」
「彼女ですね」
 声がだ。スフィンクスと聞いて上城に応えてきた。
「あの獅子の身体に女の頭と胸を持ち」
「それで翼が生えていました」
「そう、彼女ですね」
 声はだ。知っているといった感じだった。
 その声でだ。あらためて話すのだった。
「彼女と会ってですか」
「その水のことを言われました」
「そうでしょうね。しかしです」
「あれは事実だったんですか」
「事実だからこそです」
 ここでだ。声は上城にこうも話した。
「貴女は彼女と会ったのです」
「そういうことですね」
「そうなります。最初は信じられませんでしたね」
「何ていいますか」
 上城は素直にだ。声に対して答えた。
「あれですね。実際にああした魔物がいるのは」
「それ自体がですね」
「想像できないでしょ。あんな非現実的な存在」
「現実とは曖昧なものです」
 その現実についてはだ。声はこう言って上城に返した。
「実際にどうかというとです」
「ああした存在も成り立つんですか」
「そうです。現実は神々の匙加減でどうとでもなります」
「神々!?」
「そう、神々のです」
 どういった神々なのかは言わずにだ。
 声はだ。あらためてこうも話してきた。
「それでどうとでもなるものですから」
「何かよくわからないですけれど」
「つまりです。神々の裁量一つで」
「ああした魔物もですか」
「この世に存在します。そうしてです」
 声は話の本題に入った。それこそがだった。 
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