久遠の神話
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第四話 中田の告白その八
「剣士もまたです」
「いるんですか。十三人も」
「貴方も含めて」
「それでだ」
また中田が上城に話してきた。
「願いを適えたければな。お互いに戦ってだ」
「願いをですか?」
「願いは。まあ何でもいいみたいだな」
そのこと自体についてはだ。無頓着な感じだった。
「けれど。願いを適えたいとな」
「あの、願いが特になかったら」
その場合はどうなのか。上城はいぶかしむ顔になりその場合について尋ねた。
「別に戦わないでいいですよね
「そうはいきません」
しかしだった。このことはだ。
どうかとだ。声はすぐに言ってきた。
「剣士になるのは運命ですから」
「運命って」
「はい、運命だからです」
それでだ。どうかというのだ。
「必ず戦わなければならないのです」
「そんな、無茶苦茶じゃないですか」
「まあそうだよな」
中田もだ。その何が何でも戦わないといけないことについては同意だった。
だがそれと共にだった。彼はこうも言った。
「けれど願いがない人間なんているか?」
「そのことですか」
「ああ。そんな奴いるか?」
問うのはこのことだった。
「何もない奴なんてな」
「それは」
「そうだろ。誰だって大なり小なりな」
「願いはあるからですね」
「それを適える為に戦ってだよ」
「最後の一人になって」
「ああ、願いを適えるんだよ」
そのことをだ。上城に話した。
「どうだよ。願いがなくてもな」
「戦わないといけなくて」
「最後の一人になればな」
戦った結果だ。そうなればというのだ。
「願いが適うんだよ」
「僕の願いが」
「で、どうするんだ?」
中田はあらためて上城に尋ねた。
「あんたはな」
「僕は」
「一つ言っとくけれど戦うことからは逃げられないぜ」
それはだ。絶対だというのだ。
「その選択肢は絶対なんだよ」
「じゃあ後は」
「願うかどうかだよ」
それだというのだ。
「どうするんだ、それで」
「それは」
「水の剣士よ」
声もだ。また彼に言う。
「剣ですが」
「あっ、それですか」
「それは出ろと思えばです」
「出て来るんですか」
「貴方の手の中に」
そこにだ。出て来るというのだ。
「そうなります」
「どんな形の剣でもな。あんたがイメージすればな」
どうかとだ。ここでも話す中田だった。
「手の中に出て来るんだよ」
「それでその剣で」
「戦うんだよ。俺だってな」
「中田さんもですか」
「ほら、こうしてな」
実際にだ。彼はここで刀が出ろと念じた。するとだ。
その両手にだ。二本の刀が出たのだった。
その赤い燃え盛る炎を思わせる刀をだ。上城に見せながらだった。
そのうえでだ。また上城に言うのである。
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