久遠の神話
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第三十六話 中田との戦いその七
「そうなるわ」
「なら僕はそれは」
「選ばないわね」
「嫌です」
その選択肢はだ。絶対にだというのだ。
「それはしたくないです」
「そういうことになるわね」
「そう思います」
これが今の上城の考えだった。
「ですから最初から逃げたくはありませんでした」
「それと共に戦いたくなかったのね」
「そうでした」
既にだ。言葉は過去形になっていた。彼の場合はそうだった。
「ですが今は」
「もう迷わないわね」
「そうします。絶対に」
こう聡美に答えた。
「僕はもう」
「わかったわ。それじゃあね」
「それじゃあ?」
「私も出来る限りのことをするから」
聡美も上城に対して言う。
「頑張ってね。そして」
「死ぬなっていうんですね」
「絶対に。最後まで生き残って」
そしてだというのだ。
「この戦いを終わらせてね」
「わかりました。絶対に」
「そうしてね。ただ」
「ただ?」
「まだ剣士は全員出ていないわ」
他の剣士の話をだ。聡美はしてきた。
「全部で十三人いるのは知っているわね」
「はい、そのことは」
「今出て来たのは八人よ」
「あと五人ですか」
「その五人がどういった人達なのか」
それはだ。どうかというのだ。
「気になるわよね。やっぱり」
「そのことは銀月さんは」
「わからないわ。私には」
「そうですか」
「けれど力はわかるわ」
それぞれの剣士が持っている力、それはだというのだ。
「君は水よね」
「はい、僕の力はそれです」
「十三人の剣士はそれぞれ違う力を持っているのよ」
つまり水の力を使う剣士は彼だけだというのだ。
「今は君の水に火に」
「中田さんですね」
「その二つと雷、土、木、光、闇」
「あと魔ですね」
これは加藤の力だ。
「これで八つですね」
「そう。そして後の五つは」
その力についてだ。聡美は上城に話した。
「重、重力にね」
「重力ですか」
「それと金、風」
この三つ、そしてだった。
「熱と幻よ」
「それが残りの五人の剣士のそれぞれの力ですか」
「ええ、そうよ」
聡美は上城に話した。
「この五つよ」
「その五つの力を残り五人の剣士がそれぞれ持っているんですか」
「力はそれぞれ性質があるけれど」
だがそれでもだというのだ。
「強弱はその剣士の実力によるから」
「だから木の力でもですか」
「火に勝つこともできるわ」
これもまた可能だというのだ。
「それもね」
「じゃあ僕も」
「苦手な力があってもね」
「僕の実力次第で、ですね」
「勝つことはできるから」
「わかりました。そうなんですか」
「強くなってね」
聡美の今の言葉は切実なものだった。
「そしてね。絶対にね」
「戦いをですね」
「止めてね」
これが聡美の剣士としての上城への言葉だった。そして彼に対してだけではなく樹里にも顔を向けて彼女にはこう言ったのだった。
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