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久遠の神話

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第三十三話 八人目の剣士その十一


 聡美もコーヒーを飲みだ。そのうえでだった。
 彼等はお互いに別れた。コーヒーはセルフサービスで返す場所に置いた。そのうえでだ。
 聡美は一人になった。だがその彼女にだった。あの声が声が声をかけてきた。
「闇の剣士とも話をしたのですか」
「あの方の方から来られました」
「そうですね。ですが」
「あの方にも述べさせてもらいました」
「そうですか。貴女はやはり」
「何時まで続けられるのですか?」
 聡美は悲しい顔になり声に問うた。
「この戦いを。何時まで」
「間も無くです」
「貴女の愛しいあの人がですか」
「目覚めることができます。ようやくそこまでの力が集りました」
「あの人が目覚めてそうして」
「再び私に笑顔を向けてくれるのです」
 声は期待していた。それがその声の色にも入っていた。
「ですから」
「あの人が本当に目覚めると」
「思っているかというのですね」
「そう思っておられるのですか?」
「間違いないです」 
 思い込みの様にだ。声は聡美に返した。
「ですから」
「貴女は。そう信じておられる様ですが」
「それはできないというのですか」
「そう思われたことはないのですか?」
「思う筈がありません」
 こう言うのだった。声はあくまで。
「私もまた」
「私と同じく、ですね」
「ならば貴女にはわかる筈です」
 聡美の否定を否定する、そうした感じだった。声は意固地なまでにそうしようとしていた。そして聡美もそのことを感じ取っていた。
 そのうえでだ。声に言うのだった。
「私は絶対に貴女を」
「どうしてそこまでするのですか」
 声は悲しいものになり聡美に問うた。
「私に対して」
「貴女だからです」
「私だから」
「そうです。ずっと、今も」
「今もなのですか」
「私は貴女を姉と思っています」
 こうだ。声に言うのだった。
「実の姉と」
「血はつながっていないですよ」
「血ではありません。心からです」
 そう思うというというのだ。姉と。
「他ならない姉だからです」
「そうなのですか。けれど」
「けれど?」
「私もです」
 声は聡美にこうも言った。
「私も貴女のことを」
「妹ですか」
「貴女は。私の、血はつながっていなくとも」
 どう思っているか。声も股聡美に言う。
「妹です」
「私達は。姉妹なのです」
「だからですか」
「そうです。私は貴女を愛しく思っています」
 聡美の声は誰に対してよりも切実なものになっていた。
 そしてその切実な声でだ。声に言っていく。
「誰よりもです」
「それ故に私を」
「止めます。もう罪を犯すのは止めて下さい」
 その切実な声でだ。聡美はさらに言う。
「絶対にです。止めて下さい」
「止められません」
 しかしそれはだとだ。声は聡美に言うのだった。 
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