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久遠の神話

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第二十四話 七人目の影その一


                       久遠の神話
                    第二十四話  七人目の影
 上城は樹里と共にだ。聡美と話していた。場所は大学の喫茶店だ。この喫茶店は和風の喫茶店であり内装も全て和風だ。見ればメニューもお品書きとなっている。
 その店の中でだ。上城は抹茶を飲みながら言うのだった。
「七人目がですか」
「はい、工藤さんから聞きました」
「その剣士が。高橋さんと広瀬さんの闘いに介入してきた」
「しかし姿を見せなかったんですね」
「そうです」
 まさにそうだというのだ。
「姿は見せないのです」
「しかし力を出してきたのは確かですね」
「はい、そしてその力は」
「闇、ですか」
「剣士の力はあらゆるものが存在します」
 闇と言って顔を曇らせた上城にだ。聡美は話す。
「そしてその中にはです」
「闇もあるのですか」
「上城君の水や中田さんの火の様にです」
「それぞれの力がありますか」
「そうです。それと同じです」
 まさに上城や中田のそれの様にだ。闇もまただというのだ。
 そしてその闇についてだ。さらに話す聡美だった。
「ですから闇といってもです」
「驚くことはありませんか」
「そしてもっと言えばです」
 聡美は上城にさらに話していく。
「力の属性によってその剣士の人間性が決まるものでもありません」
「闇だからといってもですか」
「闇というといいイメージはありませんね」
「はい」
 その通りだとだ。上城は聡美に答えた。そしてこう言うのだった。
「どうしても。それは」
「人は古来より闇を恐れるものですから」
「だからですね」
「はい、ですから」
 それ故にだというのだった。
「闇が問題ではなくです」
「その剣士が問題ですか」
「そうです。その闇を使う七人目の剣士は」 
 聡美は眉を潜ませて話す。
「誰なのか。私にはわかりません」
「そうなのですか」
「勿論工藤さん達もです」
「それに広瀬さんもですね」
「はい、わからないです」
 聡美も他の剣士達もだ。それはだというのだ。
「まだ。ですがそれでもです」
「やがてはですね」
「剣士同士は闘うものですから」
「やがて僕達の前にも」
「姿を現します。その時にその人の考えも人間性もです」
 全てわかるというのだ。あらゆることが。
 そしてそのうえでとだ。聡美は話していく。
「ですから今はです」
「この今はですね」
「上城君に申し上げられるのはここまでです」
 実際に聡美が知っているのはここまでだった。今は隠していることはなかった。ただし上城はそもそも彼女が何かを隠していることも知りはしない。
 その聡美がだ。上城に話すのだった。
「ですから今は」
「今はですね」
「お茶だけでは物足りませんか」
 聡美はこう上城に切り出した。
「ですからここは」
「あっ、そうですね」
 これまで沈黙を守っていた樹里がだ。ここでだ。
 上城の隣からだ。こう聡美に応えたのだった。
「銀月さんまだ和菓子は召し上がっていませんよね」
「はい。ですから興味があります」
 戦いのことを話す神妙な顔から一変してだ。 
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