久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二十四話 七人目の影その二
そのうえでだ。聡美はこう樹里に答えた。
「どんなものがありどんな味なのか」
「和菓子って独特ですけれど」
「ええと。メニューを見ますと」
席にあるそれを手に取って言う里美だった。彼女はメニューと言った。
「色々とありますけれど」
「どれがいいですか?」
「お饅頭ですね」
「お饅頭がいいですか」
「他には羊羹やあんみつというものもあるのですね」
「どれも日本にお菓子です」
樹里はスイーツと言わず和風なのでこう表現した。
「美味しいですよ」
「そうですか。どれもですか」
「私は特にですね」
「特に?」
「きな粉餅が好きでして」
「きな粉餅ですか」
「透明のぷるぷるとしたゼリーみたいなのにきな粉を付けて食べるんです」
「それがきな粉餅ですか」
「お餅っていってもお餅じゃないです」
そこは違うというのだ。
「また別のお菓子なんです」
「何か複雑ですね」
「複雑じゃないですけれど」
「いえ、お餅というのにお餅ではないのは」
「まあそれはそうなんですけれど」
「それで村山さんはそのきな粉餅がですか」
「好きなんです」
このことは微笑んで応える樹里だった。
「ですからそれどうですか?」
「きな粉餅をですか」
「はい、どうでしょうか」
「そうですね。それでは」
樹里に言われてだ。聡美もだ。
少し考える顔になりだ。こう答えたのだった。
「それを下さい」
「きな粉餅ですね」
「どういったものか興味が出ました」
それでだと言う聡美だった。
「ですからそれを」
「わかりました。じゃあ上城君は」
今度は彼に声をかける樹里だった。
「何にするの?」
「ううんと、じゃあ僕も」
「きな粉餅ね」
「うん、それにするよ」
彼もそれを選んだのだった。
「何か食べたくなったよ」
「きな粉餅って食べやすいからね」
「それにきな粉って身体にいいんだよね」
上城はきな粉のこの部分にも注目していた。
「だからそれにするよ」
「そうそう、きな粉って身体にもいいのよね」
「身体にもいいんですか」
きな粉のその話を聞いてだった。里美は樹里に対して目を少ししばたかせてから尋ねた。
「甘いからあまり摂ると糖分が」
「そうなんですけれどきな粉はそもそも大豆でして」
「だから身体にもいいんですか」
「はい、そうなんです」
「成程。甘くともですか」
「甘くても果物は身体にいいですけれど?」
「あっ、こうした甘いお菓子のことです」
それはあまり身体によくないのではというのが聡美の持論だった。
そしてその身体によくないという内容もだ。彼女は話すのだった。
「甘いものは糖分ですから」
「肥満や糖尿病の元ですよね」
「ですからあまり、と思ってもいるのですが」
「それでもきな粉はダイエットにもいいんですよ」
「大豆だからですか」
「はい、それでダイエットに使う人もいます」
「成程。それは面白いですね」
聡美から聞いてもだった。そしてだ。
彼女は興味深そうに目を動かしてだ。そのうえで言うのだった。
ページ上へ戻る