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久遠の神話

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第十四話 水と木その七


「そうして下さい」
「そうさせてもらいます」
 上城はとりあえずは決意する顔で頷きだ。聡美と別れた。そうし樹里と二人で帰路についた。そうしてその中でだ。二人は夜道を歩いていた。
 そうしてだ。こう話をしていた。
「ねえ、銀月さんのお話だけれど」
「生きろってことだよね」
「生きるわよね、やっぱり」
「僕だって死ぬのは嫌だよ」
 それはその通りだとだ。上城も否定しない。
 だからこそ切実な顔で答えだ。そうしてだった。
「だからね。ここはね」
「剣士の人達との戦いは避けるの?」
「避けたいよ」
 実際にそうだとも話す。
「けれどそれでもね」
「逃げたくはないのね」
「敵に背を向けるっていうのかな」
 こうした場合の逃げるとはそうではないかというのだ。
「やっぱりそういうことは」
「無理?」
「嫌だね」
 夜道の灯りの中で顔を少し俯けさせてだった。彼は話す。
「剣道ではないから」
「けれど戦うことは」
「うん、しないから」
 パラドックスだった。相反する二つがそこにあった。
「剣士とはね」
「じゃあやっぱり」 
 そのパラドックスをどう解決するか。樹里はその答えを述べた。
「怪物と戦ってよね」
「そうだね。そうして力をつけて」
「どんな剣士でも圧倒する力を備えて」
 そうしてなのだった。
「どんな剣士にも戦わずして勝って」
「そうして戦いを終わらせていくんだね」
「それしかないと思うわ」
「剣士とは戦わないで」
 そうしてなのだった。
「戦いを終わらせたいから、僕は」
「じゃあやっぱり。まずは上城君が強くなって」
「そうだね。そうしてね」
「うん、じゃあ怪物が出て来たら」
「勝って。一つずつ」
「わかってるよ。僕は勝つよ」
 確かな声になっていた。相手が怪物ならばだ。
 それでだ。彼はその声で樹里に述べた。
「何があっても。勝つから」
「そうしてね。本当に」
 そんな話をしてだった。二人はだ。
 夜道を歩き帰路についていた。そこにだった。
 目の前にだ。それがいたのだった。それを見てだ。
 上城はその目を鋭くさせてだ。こう樹里に述べた。
「話をすればだね」
「そうね。早速ね」
 樹里も彼のその言葉に頷く。
「出て来たわね」
「じゃあやっぱり」
「戦うしかないわね」
 樹里も答える。
「それじゃあ今から」
「まずは一つずつ戦い勝って」
「強くなって」
 樹里は上城を見ていた。切実な言葉だった。
 そうしてだった。彼女のその言葉を受けて。
 上城は剣を出した。その青い水の剣をだ。
 そのうえでだ。彼の前にいる黄金の禍々しい獅子を見るのだった。
 その獅子を見てだ。彼はこう樹里に尋ねた。一歩前に出たうえで。
「このライオンもやっぱり」
「怪物よね」
「それはわかるけれど」
 だが、だとだ。彼は言うのだった。 
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