久遠の神話
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第十三話 想いの為にその二
「俺もそれはだ」
「御存知ないですか」
「中田君と連絡は取れるか」
工藤はここでこう高橋に問うた。
「彼には。どうだ」
「ええ、携帯で」
高橋はその携帯を取り出して答えた。それですぐに中田にメールを入れた。返信は一瞬だった。
その着信音を聞いてだ。工藤は高橋に尋ねた。
「教えてくれたか」
「ええ、経済学部だそうです」
「あそこか」
「それじゃあですね」
「経済学部に行くか」
「そうしよう」
こう話してだった。二人はだ。
その八条大学経済学部に向かった。その校舎に行くとだ。
ばったりとだ。彼と会ったのだった。
広瀬はだ。こう二人に言ってきた。
「貴方達もなんだな」
「はじめまして」
工藤と高橋が敬礼をしてだ。二人に言う。その敬礼を見てだ。
広瀬はだ。まずは工藤に言った。
「海自の人ですか」
「わかるか」
「はい、敬礼で」
それでわかったというのだ。彼の敬礼でだ。
「折り畳んでますから」
「そうだ。海上自衛隊の敬礼は折り畳む」
実際にだ。工藤もそのことを話す。
「船の中で狭いからだ」
「そうでしたね。祖父が海軍にいたんで聞いています」
「それでか」
「そうです。そして」
広瀬は今度はだ。高橋を見て言った。
「貴方は陸自か空自か」
「それかだね、俺の場合は」
「警察ですか」
「警察だよ。それも敬礼でわかるんだね」
「広い敬礼ですから」
肘を折り畳まないだ。その敬礼だからだというのだ。
「わかりました」
「そうか。そしてだ」
「俺達はね」
「剣士ですね」
校舎の入り口のところでだ。彼等は向かい合っていた。
そこでだ。広瀬は言ったのである。
「貴方達も」
「そうだ。そしてだ」
「君と話したいことがあるんだけれどね」
「相手の情報はこちらも知りたいです」
だからだとだ。広瀬は述べてだった。
そのうえでだ。こう二人に言った。
「それなら」
「それなら?」
「どうするっていうのかな」
「戦いますか?」
鋭い目でだ。二人に問うた広瀬だった。
「ここで」
「それなら場所を変えるか」
「ここじゃ人目につくしね」
「はい。もっともそちらは戦うことは本意ではないようですが」
「話をしにきた」
「そのつもりだよ」
そうだとだ。二人も答える。
「君と。細かくね」
「君自身と話したいのだけれどね」
「俺は剣士構えに出たら」
どうするかというのだ。広瀬は。
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