久遠の神話
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第十三話 想いの為にその三
「戦い。そしてです」
「勝ってか」
「最後の一人まで生き残るというんだね」
「やりたいことがありますから」
だからだとだ。広瀬は答えてだ。そのうえでだった。
二人にだ。こう告げた。
「場所を変えましょう」
「では何処だ」
「何処で戦うつもりなのかな」
「テニスコートに行きましょう」
広瀬が提案する場所はそこだった。
「この学園には幾つかテニスコートがありますが」
「広いキャンバスだからな」
「テニスコートも幾つもあるんだね」
「その中で学園の端にあり今日は閉められているコートがあります」
そこに移りだというのだ。
「ではそこで」
「戦うか」
「話をせずに」
「話し合いなら戦いながらにしましょう」
まずは戦う、広瀬の考えではまずそれからだった。
「それでどうでしょうか」
「覚悟はしていたのだがな」
難しい顔でだ。工藤は言った。
「だがそれでもこうなることはな」
「あまり気分のいいものじゃないですね」
「全くだ」
その顔でだ。工藤は自分と同じ顔になっている高橋に述べた。
「だが、だ」
「向こうがその気なら」
「戦いそうしてだ」
「抑えるしかないですね」
「抑える、ですか」
それを聞いてだ。また言う広瀬だった。
「俺をお二人で抑えてですか」
「戦うことを止めてもらう」
「そうしてもらうよ」
「若し俺が負けたら」
どうするか。それは広瀬も言った。
「それでいいです」
「戦いから退くか」
「そうするというんだね」
「敗北は死」
広瀬の口調がこれまで以上にきついものになる。そのうえでの言葉だった。
「だからそれが道理ですね」
「命が助かってもか」
「そう言うんだね」
「剣士だからです」
それでだとだ。広瀬は二人に答える。
「では。はじめますか」
「わかった。それならだ」
「君を止めてみせるよ」
二人も応えてだ。そのうえでだ。
彼等はその今は誰もいないテニスコートに向かった。そこは確かに学園の、広いそこの端にあった。そこは木々の中に置かれていた。
だがコート自体は奇麗に整えられている。そのコートを見て高橋が言った。
「いいプレイができるコートですね」
「テニスがか」
「ええ、いいコートですよ」
こうだ。彼は高橋に言うのだった。
「久し振りにテニスがしたくなりましたよ」
「そういえば君はテニスも」
「はい、好きです」
笑顔でだ。彼は工藤に話した。
「最近全然していませんけれどね」
「できないと言うべきか」
「忙しいですからね」
「俺もな。最近はどうも」
「陸上とかそういうのがですね」
「できていないからな」
「社会人になればというよりは」
それとは別の問題だった。二人がそうしたそれぞれが好きなスポーツをできない状況になっている理由は。
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