久遠の神話
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第十三話 想いの為にその一
久遠の神話
第十三話 想いの為に
工藤と高橋はその日は昼に戦った。今丁度それを終えてだ。
怪物が消えその後に残った金塊を見てだ。二人で言うのだった。
「今回は何かあっさりとでしたね」
「終わったな」
「ええ、本当に」
高橋は少し拍子抜けした様に共に戦った工藤に述べた。
「いつもこうならいいんですけれどね」
「他の剣士も来なかったしな」
「これが中田君や上城君ならどうってことはないですけれど」
既に二人への信頼ができていていた。彼等の中でも。
「それでもですね」
「もう一人だな」
「広瀬君でしたっけ」
高橋は彼の名前をここで出した。
「彼でしたね」
「あくまで戦うというな」
「彼が今ここに来たらやっぱり」
「戦うことになっていたな」
そうなっていたとだ。実際に工藤も述べる。
「そうした剣士がいるのも当然だが」
「困ったことですね。俺達は戦いを止めることが目的で」
「剣士を倒すことは目的ではない」
「ええ。ですから彼が出て来たら」
「それでだが」
高橋が浮かない顔になっているのを見てだ。工藤が彼に提案した。
「一度彼と会ってみるか」
「広瀬君とですね」
「そうだ。確か八条大学の生徒だったな、彼も」
「でしたね。中田君と同じく」
「それなら話が早い。行ってみよう」
「行ってそうして」
「話をしよう。それでどうだ」
八条学園に赴きだ。彼と話をしようというのである。
「それでどうだ」
「そこで戦いになるかも知れませんよ」
高橋は鋭い目になり工藤に述べた。
「それでもいいんですね」
「それも覚悟のうえだ。それにだ」
「彼は一人、それに対して」
「俺達は二人だ」
強い声でだ。工藤は述べたのである。
「彼を止めることは可能だ」
「だからですか」
「安心していこう。八条大学にな」
「わかりました。それじゃあ」
二人はそのことを止めてだ。金塊を拾いだ。まずはその金塊を兵庫県警本部にまで持って行った。そしてそれが終わってからだった。
彼等は八条大学に向かった。車を駐車場に止めてキャンバスに入ってだ。碧の多いそのキャンバスの中でだ。まず高橋がこう言った。
「凄い広さですね」
「マンモス大学とは聞いていたが」
「ええ、それでもですね」
「広いな」
こうだ。工藤も言ったのだった。
「それに人も多い」
「学生さんの数が凄いですね」
「これが大学なんだな」
「ですね。俺は高校までしか知らないですけれど」
これは工藤も同じだ。二人共高卒ですぐに就職したのだ。
その彼等にとってだ。この大学の広さはまさに未知のものだった。それでだ。
高橋は戸惑いさえ見せてだ。工藤に尋ねた。
「ええと。それでなんですけれど」
「何だ」
「広瀬君は何学部でしたっけ」
彼は尋ねたのはこのことだった。
「文学部でしょうか。それとも法学部でしょうか」
「何処だろうな」
それはだ。工藤も知らなかった。それでこの返事だった。
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