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久遠の神話

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第七話 中田の言葉その十一


 彼等はだ。こう話していた。
「ではですね」
「はい」
「いよいよこれから」
「はじめますか」
 お互いに話していた。
「そしてですね」
「警察と自衛隊が共同して終わらせる」
「無意味な戦いを」
 こうだ。お互いに言い合ってだ。
 あらためてだ。自衛官の方から警官に言った。
「ですがこれも奇妙なことですね」
「そうですね。十三人のうち」
 そのうちだと。警官が言った。
「二人がそれぞれ警察と自衛隊にいるのですから」
「思えば奇妙なことです。しかしですね」
「はい、しかしです」
 警官は自衛官の言葉に応え。
 そしてだ。こうも言ったのだった。
「これは我々で戦いを終わらせる好機ですね」
「神戸には今多くの剣士が集ろうとしています」
「それにより人命が損なわれるのを止める」
「その為にもです」
 国家権力の立場から人命を守らなければならない義務のある彼等は。
「戦いを終わらせましょう」
「必ず」
「しかし」
 それでもだと言ったのは。今度は自衛官だった。
「今わかっていることは少ないですね」
「はい、全部で十三にいてです」
「怪物、ギリシア神話に出て来る怪物と闘い黄金と力を手に入れる」
「そうして十三人同士で戦い」
「最後の一人がその望みを適えられる」
 自衛官は警官とこう話していく。
「我々が剣を持った時にあの声に教えられたことですが」
「あの声は何なのかもわかっていません」
「何者でしょうか」
「調べたいことは山程あります」
 自衛官はいぶかしみながら話していく。
「ですがさしあたってはですね」
「我々は協力して動きましょう」
「はい、戦いを終わらせ無意味な流血を止めましょう」
「そんなことをしても何にもなりません」
 治安、人命を守る立場の人間の考えがそのまま出ていた。
 その考えからだった。彼等は今話してだ。
「では。この神戸に着きましたし」
「御互い最後までやり遂げましょう」
「無意味な戦いを終わらせましょう」
 こう話す彼等だった。それからだ。
 自衛官は一旦兵庫県警本部を後にしてだ。自衛隊の地方連絡部の兵庫本部に入った。そしてその一室においてであった。
 緑の制服、つまり陸上自衛隊の制服組、階級は見たところ二佐だ。尚この海上自衛官は制服の袖に太い金モールを一本、そして細い金モールを一本巻いている。二尉のものだ。
 海上自衛隊の折り畳んだ敬礼をしてからだ。彼は自分の前の席に座るその陸上自衛隊の二佐に対してだ。こう話したのだった。
「警察との連絡は終わりました」
「向こうは何と言っている」
「全面的に協力し合おうと」
 それが答えだというのだ。あちらのだ。
「無論私もです」
「こちらの考えを述べたな」
「はい、全面協力です」
 まさにそれだとだ。二尉も述べた。
「伝えました」
「わかった」
 二佐はだ。二尉の話を聞いてだ。
 まずは頷いた。それからだ。
 きびきびとした口調でだ。こう言ったのだった。 
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