久遠の神話
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第七話 中田の言葉その四
「そのことは上城君と同じです」
「前に仰った様にですね」
「上城君を支えます」
彼の顔を見て。そうしての言葉だった。
「絶対に」
「では。私達三人で」
こう話してだった。上城と樹里だ。
お互いにだ。顔を見合わせて再びだった。
「それじゃあこれからもね」
「宜しくね」
樹里は剣を持っていないがそれでもだった。上城と共にだ。
戦うことをだ。あらためて決意したのだった。
この日はこれで終わりだ。三人はそれぞれ帰路についた。そして中田も。
ワルキューレを飛ばし自宅に戻っていた。そうして家に来るとだ。
玄関にだ。彼女がいたのだった。
「あんたかよ」
「はい」
聡美だった。その彼女がだ。彼の家の玄関のところに立っていた。
そうしてだ。そのうえでだ。バイクから降りヘルメットを脱いだ彼にだ。声をかけてきたのだ。
「御聞きしたいことがありまして」
「しかし。あんた足速いね」
中田が聡美に言うことはまずはこのことだった。
「あそこから家まで結構あったよな」
「そうだったでしょうか」
「あったよ。バイクかい?車かい?」
「それは」
「まあいいさ。レディーに細かい詮索は抜きにしてな」
そういうことは問う主義ではない彼だった。それでだ。
あらためてだ。彼はだ。聡美に尋ねたのだった。
「で、何の用だい?」
「はい、それですが」
「飲むのならビールでいいよな」
「ビールではなく」
「じゃあワインかい?」
「ワインは好きです。しかし」
それでもだとだ。聡美は言ってだ。
そうしてだ。彼女もだ。
あらためてだ。こう中田に言ってきたのだった。
「今はお酒の話ではなく」
「じゃあ戦いの話かい?」
「そうです。あの時貴方は上城君を斬れましたね」
率直にだ。このことを尋ねたのだった。
「そうですね」
「向こうは丸腰になったしな」
「それでも斬られなかったのですね」
再度だ。彼に問うたのだった。
「そうされた理由は」
「あの時言ったよな」
こう返す中田だった。
「俺が戦うのはな」
「あくまで、ですね」
「武器を持っている相手だけさ」
「刀を手にしているからこそ」
「武器を持たない相手を斬るなんてな」
言いながらだ。中田はその顔に嫌悪を浮かべる。
そのうえでだ。こう言ったのである。
「俺がこの前やっつけた暴力教師と同じだ」
「あの剣道をやっていた」
「ああいう奴にはなりたくないからな」
それでだというのだ。
「俺はそういうことはしないんだよ」
「だからですか」
「相手が武器を持っていたら別さ」
あくまでだ。その場合はだというのだ。
「けれどな。丸腰だとな」
「闘われませんか」
「絶対にな」
少し笑ってだ。彼は答えた。
「それはしないさ」
「それが中田さんの主義ですね」
「ああ、ポリシーさ」
実際にそうだともいうのだった。
「俺のな」
「ではその主義をです」
「このまま守れっていうんだな」
「そうされて下さい」
聡美は彼にもだ。微笑んで告げた。
「是非共」
「最初からそのつもりさ。けれどな」
「それでも?」
「何ていうかな。上城君はな」
彼についてはだ。気さくな感じの笑みになってだ。
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