久遠の神話
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第七話 中田の言葉その五
中田はだ。こう話した。
「闘うのがはばかれるな」
「彼が剣を持っていてもですか」
「ああした真っ直ぐな子ってのはそうはいないからな」
「そうですね。確かに」
「ああした子ならな」
彼ならばだ。どうかというのだ。
「この戦い終わらせられるかもな」
「剣士同士の戦いをですか」
「俺にしてみれば家族が助けられたらいい」
ここでは真剣な目になって話す。
「けれどできればな」
「人間同士の戦いはですか」
「避けたいな」
こうだ。人間として話すのだった。
「まあそうも言っていられないのが剣士同士の戦いだけれどな」
「そうです。それは」
「だよな。あんたも知ってるんだな」
「文献で読みました」
聡美は中田に対してもこう述べた。
「そのことは」
「文献ねえ」
「古代ギリシアの文献です」
上城達に話したことはここでも述べる。真実として。
「そこにありました」
「ということにしてるんだな」
だが、だった。ふとだ。
中田は悪戯っぽい笑みになってだ。こう聡美に言ってきた。
言われてだ。聡美は。
狼狽した顔になる。その顔を見て余計にだ。
彼は悪戯っぽい笑みになってだ。言うのだった。
「ほら、出たぜ」
「何が何処にですか!?」
「本音がな。顔にな」
まさにだ。そこにだというのだ。
「出てるぜ」
「そんな筈がありません」
「けれど出てるんだよ。あんた嘘吐くの下手だろ」
中田は既にこのことも見抜いていた。
それでだ。さらにだった。
「だからな。そういうのはな」
「隠せないというのですか」
「無理するなって。とにかくな」
「とにかく?」
「あんたはこの戦いのことを知ってるんだな」
「それはそうです」
嘘を吐けないと言われ怯んでいるその中での言葉だ。
「やはり」
「だよな。それならな」
「その都度ですね」
「教えてもらうな」
こう聡美に言ったのである。
「戦いのことも。それと」
「それとですか」
「あんたのこともな」
彼女自身のこともだ。そうしてもらうというのだ。
「あんたは只者じゃないな」
「それもおわかりですか」
「何となくな。銀色の髪に緑の目」
それにだ。高い背もだ。中田は見た。
それでだ。こう述べたのだった。
「曰くありげではあるしな」
「そこからですか」
「ああ、それにな」
「それに?」
「剣士になってからか」
それからだと言ってであった。
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