魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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後日談7 球技大会(前編)
さて、季節は冬に。
今年から復活する球技大会。
学年対抗よりもクラス対抗にした方が面白いというウェンディの提案から、クラス対抗戦という形になった。
種目は野球、男女それぞれのサッカー、男子バスケ、女子バレー、ドッジボールだ。
ルールとしては各種目、経験者(その種目の部活に入っている者)は3人まで。(バスケは2人)
そしてバレーは6人制、サッカーはハーフコートでやるため、人数は9人になってる。
野球は女子を含めてもOK。
後は一人出れる種目は2つまで。
必ず2回出る必要は無いが、1回は必ず出ること。
ドッジボールはクラス全員で挑む競技だ。
ドッジのみ出ることもOKになっている。
これを3日かけて行う。
1日目はドッジボール以外の競技の予選。
2日目は各競技の本戦。
3日目はドッジボールといった形だ。
そして、全ての総合順位から総合優勝を決める事になる。
そして当日………
「ああっ!?また入っちゃった………」
なのはが残念そうに言う。
「これで6−0よ………」
まるで野球のスコアみたいな我がクラスの男子サッカーチームは前後半20分なのにも関わらず、前半10分でこうなっていた。
「まあ仕方が無いでしょう、私達のクラスにサッカー部は居ないし、インドア派の男子が多いんだから」
アリサの言う通り、2ーAはサッカー部もいなければサッカー経験者も居ない。
なのにも関わらず、対戦相手の1ーAは経験者が殆どらしい。
それに勝てってのが無理なのである。
「これはアカンな………私達で挽回せんとな!!」
確かに2ーAが優勝するには女性陣の尽力が必須と言える。
アリサ、すずかは文武両道であり、フェイト、ライの運動神経は半端じゃない。フェリアも戦闘機人ということで運動神経は良い………のだが、バレーなど少しマイナー気味の競技のルールを知らないという弱点もある。
後はかなり良いという訳では無いけど夜美も良い方だし、坂巻もボケ〜っとしてるが何気に運動神経が良い。
この面子がいれば女子は良いところまでいくだろう。
「はぁ………」
大きな溜め息を吐きながら体育座りしている星。
恐らく自分の出るサッカーのゴールキーパーでテンションが下がっているのだろう。
「足を引っ張らないようにしないと………」
対してなのはは、さっきから自分に暗示をかけているかの様にぶつぶつと呟いた。
なのはは確かに運動神経が良いと言うわけでは無いが、それでも魔導師として鍛えている影響か中のちょっと下と言った具合だ。
しかし、なのはさん。球技が大分苦手らしい。
そもそも魔導師一筋の魔王少女はひたすら魔法の訓練を集中してきた為、本格的な球技をしたことがなかった。
はやてみたいにスポーツにももっと興味を持ってれば違ったのだろうが、なのはは魔法一筋だった。
「あ〜あ」
ライの呆れ気味に呟く。
最終スコアは10ー0と全くあり得ない点差になってしまった。
「神崎………」
「いや、頑張ったぞ俺!!」
夜美のキツい突っ込みに慌てて神崎が言う。
確かに神崎はキーパーとしてそれなりにやっていた。
神崎がキーパーじゃなかったらもっと点差が開いていたかもしれない。
だけどな………
「期待はしてないから勝つとは思ってなかったけどもう少しね………」
そんなアリサのキツい一言にサッカーに出ていたSBS団の面々の表情は全員泣きそうになっている。
「次は………野球ね。零治、野球は本命なんだから負けたら許さないわよ!」
「ふん、誰に言ってるんだい?」
俺の代わりに自信満々な顔で答えるライ。
「僕が投げる試合は完全勝利しかないから安心して良いよアリサ!」
肩にかけているバックからMYグラブを取りだし、タOガースの帽子を被るライ。
「レイ、肩慣らしするから受けて」
腕を回すライはもはやチームのエースそのものだった。
「やる気満々ね………」
「ライは野球がスポーツの中で一番好きなので………」
「でも勝てそうやな」
「まあ零治もいるし、野球部のキャプテン、小林もいるのだ。問題無いだろう」
「なあ、2ーA対3ーBの試合、どっちが勝つと思う?」
「A組には野球部は小林だけだし3年じゃね?」
野球グラウンド、桐谷はクラスメイトの2人と零治の試合を見に来ていた。
「加藤はどっちが勝つと思う?」
2人の内の1人質問される。
2人は普通に3年生が勝つと思っていた。
しかし、桐谷は、
「A組」
と、即答した。
「は?でもどうして?運動得意な奴少ないはずだけど………」
それに彼らが3年と思った理由は他にも半分が女子だと言うことも含めてそう思っていた。
しかし桐谷が答えは逆。
意味が分からなかった。
「まあ見ててな」
と桐谷はそう言って彼らは試合に注目した………
「じゃあメンバー発表するで。1番、センター小林君!」
「はい」
「2番セカンド夜美ちゃん!」
「ああ」
「3番キャッチャー零治君!」
「うい〜」
「4番ピッチャーライちゃん!」
「はいはーい!!」
「5番ファースト中島君」
「はい」
「6番ショート………私や!!」
「はやてちゃん、無駄な間なの」
「7番レフトフェリアちゃん」
「うむ」
「8番サード………………野中君?」
「何で疑問形?」
「9番ライト、………………誰やっけ?」
「八神さん!?」
………最後の奴、ドンマイ。
まあこれが我が2ーAのスターティングメンバーだ。
運動神経が良い奴と、野球経験者を集めた完璧な布陣。
これなら負けないだろう。
因みになのはが途中突っ込んだが、試合には出ないぞ。
「さて、みんな集まりいや」
やりたいと駄々をこねた八神監督がみんなを集めた。
「取り敢えず相手は3年、野球部の人もいると小林くんからの情報で分かっとる。しかし、他の面子は烏合の衆や!!ならばやることは1つ………」
そう言って間を取るはやて。
もう試合始まるんだけど………
「みんな、作戦は『ガンガンいこうぜ』や!!」
抽象的過ぎるし、野球と何の関係も無い………
「先ずは細かな作戦は気にせず、力一杯実力を出せって事だね?」
と思っていたのだが、ライには通じたようだ。
「流石ライちゃんや。………さて、そろそろ試合やし並ぶで!」
はやてに全て仕切られ、俺達は試合に望むのだった………
「しまっていこうぜー!!」
皆の気の抜けた返事を聞き、野球部から借りているマスクを付ける。
相手は3年生、しかも野球経験者も多い。
中々の強敵だろう………
「おい、確かあの子って………」
「ああ、有栖ライだよ。あの大きい胸最高だよな………」
おい、人の彼女を何エロい目で見てんだよ………
「レイ、行くよ〜!!」
そんな俺の心配も虚しく、振りかぶるとやっぱり目立つ二つの山。
恐らく、ベンチ以外のギャラリーも注目するだろう。
「ナイスボール!」
しかし投げるボール自体はバッチリ。
キレの良いボールがミットに吸い込む。
球自体は女の子ってのもあり、速球って訳では無いが、それでも中学レベルでは速い部類に入ると思うし、そして何よりライには………
「ナイスボール!」
綺麗なフォームから投げられたボールは一瞬、暴投かと思うほど、すっぽ抜けた様に上に抜けたボールが、そのまま俺のミットに落ちていくような軌道でボールが吸い込まれた。
この大きな縦カーブがライの武器である。
………というのも俺が教えたカーブなんだが。
まあ、キレは断然ライの方が良いんだけど。
「………」
ライの投球を見て、1番バッターの先輩が真面目に素振りをし始めた。
流石に手ごわいと思ったのかもしれない。
最後の投球練習が終わり、俺はサイン確認の為に、マウンドに向かった。
「よし。ライ、サイン確認だけど………」
「レイ………」
マウンドに行くと、さっきと投球とは裏腹に不安そうな顔で俺を迎えたライ。
「レイ、僕のボール良い?」
………そう言えばライってちゃんとした試合で人に投げるのって初めてか。
いつもはストライクアウトや、キャッチボールで投げていただけだったからな。
不安なのは当たり前か………
「ライ、お前のボールは最高だよ。見てみろ相手の1番バッターを一生懸命素振りしてるだろ?」
「うん………」
「俺がついてるし大丈夫だ、俺を信じて俺のミッドにボールを投げろ。そうすれば抑えられるよ。だから2人で勝とう」
「レイ………うん!!」
何とか不安も取り除けたかな?
だけどチームプレイで2人で勝とうってのはちょっと良くなかったかな?
まあ気持ち的にも楽になったみたいだしよしとするか。
「よし、それじゃあ頼むぞ」
「うん、頑張るよ!!」
ライの返事を聞き、俺はホームベースへ向かった………
「よっしゃあ!!一回はライちゃんの活躍で無失点に抑えられたんや!!後は点を取って完全勝利や!!」
結果的にはライはカーブとストレートを上手く混ぜ、3人でキッチリと抑えた。
3人目でもう緊張も解けたのか固さも完全に解け、球のキレも投球練習の時よりも随分良くなっていた。
これなら滅多な相手じゃなきゃ打たれないだろう。
「それじゃあ小林君、頼むで!」
「ああ、行ってくる」
そう言って威風堂々とバッターボックスに向かう圭。
流石、野球部キャプテン。
「お疲れ様です、レイ、ライ」
「ああ星サンキュー」
俺とライにタオルをくれる星。
ベンチには居ないが、すぐ後ろで見ていたのか、ベンチに戻ると真っ先に声をかけてきた。
「ライもナイスピッチングでしたよ」
「ありがとう星!僕とレイのコンビは無敵だよ!!」
嬉しそうに大きな声で言うライ。
何か恥ずかしいぞ全く………
「よっしゃ!!ヒットや!!」
はやても騒がしい事………
だけど圭は見事にヒットみたいだ。
「続けー!!夜美ー!!」
「我はそれほど野球が得意と言う訳では無いのだが………」
そう言って右バッターボックスに入る夜美。
夜美も結構ライに付き合い野球をやっているのでそれなりに出来たりする。
「せめてランナーを進めるか………」
「夜美ちゃん、ガンガン行こうぜやで!!」
はやての大きな指示が聞こえたのかベンチを振り返る夜美。
………あの様子だとバントでもしようと思ったのかもな。
「ガンガンか………なら打たせてもらうか!!」
投手が振りかぶり、ボールを投げる。
夜美が振るバットは綺麗な軌道でボールをしっかり捉え、サードの左を抜けていった。
「ナイスバッティングやー!!」
大きな拍手と声で夜美を称えるはやて。
それと同時にベンチも盛り上がる。
「レイ、頑張って」
「打ってね!!」
「ああ、行ってくる」
3番の俺は直ぐ様右バッターボックスに向かった………
「さて、初球から狙っていくか」
相手のピッチャーはそんなにレベルの高い訳じゃない。
ましてや、一日で何試合もするこの球技大会でなるべくライの投げる球数を増やしたくない。
なら………
「大量得点で試合時間を終わらせる」
ぶっちゃけ面子的に出来るか微妙だが、このピッチャーなら出来るだろう。
「よし、甘い!!」
相手ピッチャーの投げた球はど真ん中より少し低いストレート。
絶好球だ。
俺が打った打球はレフトの頭を超え、そのまま抜ける。
「よっしゃ!!」
これで先ずは2点だ。
「頼むぞライ」
まあライなら問題無いだろうがな………
「ゲームセット!!A組の勝利です!!」
結果は12−0と完全勝利で終わった。
連打のショックか、ピッチャーが崩れ始め、コントロールが悪くなり、フォアボールを連発。
他に投手が出来る人がいなかったのか、それでも変わること無く、グダグダな感じで試合は流れていき、結局試合は2回に行くことなく、試合は終わってしまった。
「何だか物足り無かったな」
「まあ楽して勝てたんやから良かったやないか?」
フェリアの言葉も分かるが、俺ははやてに賛成だったりする。
というより、野球ってのは無理があったかな………
他のクラスの試合を見ていると、結構初心者が多く、珍プレーが目立っていた。
ちゃんとしたクラスもあるにはあるが、俺達含めて4クラス位か………
「ソフトボールの方が良かったかな………」
ソフトボールなら授業でやっていたし、野球のボールより大きいから初心者でもボールに当てられそうだったしな………
「まあそれは次回の時に話し合えば良いか………」
これからも試行錯誤していこう。
まあ先ずは、サッカーで落としてるんだ、ここで稼がしてもらおう。
「さて、次は私達ね!!」
次の野球の試合の前に俺達のクラスの女子サッカーがあった。
「ええ、頑張りましょう!」
すずかもアリサもやる気満々だ。
「………女子のサッカーってさ、ある意味格闘技だよな………」
そんな様子を隣で見ていた良介がふと呟いた。
自分の彼女の坂巻がサッカーに出るので応援のためだろうが、どういう事だろう?
「どういう意味だ?、野球では全打席凡フライの中島君」
「………過ぎた事を気にしても仕方がないだろ」
だけどな………
相手の守備が下手だったから良いものの、あのピッチャーで凡フライってのはな………
野球経験者だって言ってたのに。
「つ、次は絶対に打つよ!!」
「分かった分かった………でどういう意味だ?」
「簡単さ。最近はサッカー人気ではあるけど、未だにサッカーする女の子は多くない。オフサイドトラップも無いルールでなることは………?」
「………ゴール前の蹴り合い?」
「正解」
要するに無理やりボールをねじ込むって事か………
そうなると自然と足がぶつかりあって………
「………地獄だな」
「………地獄だよね」
とそんな事を話ながら今に始まる女子サッカーを見ていた。
「わ、私で大丈夫なのでしょうか………」
「大丈夫!星のその能力があれば、絶対に勝てるから!!」
皆さん、有栖星です。
レイ達、野球組が勝ち、いよいよ女子サッカーの試合です。
本当は球技は全て拒否させてもらいたかったんですけど、渋々レイに言われ、サッカーに出ることにしたのですが………
「本当に私にキーパーが務まるのでしょうか………?」
「何言ってんの、僕もレイの意見に賛成だよ。星がキーパーをやってれば星の所にシュートが集まるんだから」
野球同様にサッカーにも出るライがそう言います。
………だけどやっぱり不安はありますね。
だってゴール前の攻防は足の削り合いですから………
「心配するな、星とゴールは我とフェリアで守る」
「ああ、だから星は安心してゴールを守れ」
………ああ、なんてフェリアと夜美が頼もしいのでしょう。
「わ、私も頑張るから………」
「だから星も頑張ろ」
なのはもフェイトも頼もしいです。
「分かりました、私も精一杯頑張ります!」
「点は私達で取るから守りは頼むで!」
「ライ、しっかりパスしてね」
「アリサもね」
「すずかちゃん〜私達も頑張ろ〜」
「うん、渚ちゃん」
皆で必ず勝ちます!!
「壮絶だな………」
良介の言う通り、ゴール前では足の蹴り合いに………
アリサ達は結構パスを出したり、ライ何かはフェイント何かを入れたりして躱していたが、相手のチームの女の子は取り敢えずボールを蹴ろうととにかく蹴る蹴る蹴る。
「痛っ!?ここは本当に地獄だな!!」
夜美の文句がここまで聞こえてくるのも珍しい。
それほど荒々しい。
それも2−Cの出ているメンバーが結構体つきがたくましい女子が多いのも関係あるだろう。
それに何だろう………何か結構恐い顔でアリサ達に向かっている。
「イロモノクラスに負けてたまりますか!!」
「イロモノ!?」
ああ、妬みな………
まあ分からんでも無いけど。
「つっ!?しまった!!」
夜美に当たったボールが上手く星が守るゴール前にいた相手チームの女子の前に転がる。
「もらった!!」
転がって来たボールを1回止め、大きく足を上げて思いっきり蹴った。
「き、来た!!」
星は両手を前に出し、何とかボールを弾く。
「まだ!!」
またしても不運な事に相手の方に転がるボール。
相手の女子は今度は直接蹴った。
「くっ!?」
星は今度も真っ正面に来たボールを弾く。
「今度こそ!!」
最初に蹴った女の子がボールをフェリアよりも早くキープし、シュート。
しかし………
「また!?」
またも星に向かって飛んでいくボール。
今度はちゃんとキャッチした。
「ナイス、星!」
「は、はい。本当に怖かったですけど………」
そう言いながら近くに誰も居ない左サイドのなのはの方にボールを投げた。
「えっ、えっ、えっ!?」
「なのは!?」
あたふたし、来たボールを直接蹴ろうとしたなのはだったが、そんなレベルの高いことを出来るわけもなく、ボールは外に出てしまった。
「………なのは」
「高町さん、運動得意だと思ったんだけどな………」
流石の良介もこれにはビックリみたいだった………
「お、終わりました〜」
「お疲れ星」
サッカーも終わり、我がクラスは見頃3ー0で勝利を納めた。
「あっ、ありがとうございますレイ」
野球の時にやってもらった時のようにタオルと飲み物を渡してやった。
「良かったぞ星、ナイスセーブ」
「はい、怖かったですけど点が入らなくてよかったです」
「レイ!!ぶい〜!!」
指でVの字を作り走ってくるライ。
ライは見事にシュートを決め、点を取っていた。
「ああ、良かったぞライ。夜美もフェリアもお疲れ様」
「ああ、壮絶な戦いだった………」
「相手も容赦無かったな………」
それに対して夜美とフェリアのテンションは低い。
よほど堪えたのだろう。
「良ちゃ〜ん、点取ったよ〜」
「………本当にビックリだったよ」
良介の言う通り、坂巻の放ったシュート。
ゴールの柱に当たったかと思いきや、そのまま跳ね返ってきたボールをゴールに押し込んだ坂巻。
わざと柱にぶつけ、シュートをした?
そう思えるほど狙って動いていた様に俺は見えた。
それを坂巻に言うと………
「え〜、たまたまだよ〜。私にそんな事出来ないよ零治君〜」
と相変わらずののんびりした口調で言われた。
本当にたまたまだったのか………?
「ふぅ、何とか勝ったわね」
「サッカーはしんどいわ………」
「でも本当に勝てて良かったね」
アリサ、はやて、すずかも疲れた顔をしてヨロヨロと歩いてくる。
「お疲れ、あんなに気合い入れてたのに良いとこ無しだったなアリサ」
「なっ!?そんな事無いわよ!!」
「そうやそうや!私は野球との連戦やったから仕方がないにしても、本当に目立たなかったアリサちゃんが惨めやろ!」
「は〜や〜て!」
疲れていると言っていたのに追いかけっこを始めるアリサとはやて。
さっきの疲れは何処へ行った?
「そう言えば零治君、次はバスケだよね?」
すずかが俺に聞いてきた所でなのはとフェイトがこちらにやって来た。
なのは、フェイトと手を繋いで来る必要は無いと思うんだけど………
「ああ、でも多分勝てないから期待するなよ………」
「そうなの?相手は………桐谷君のクラス?」
「桐谷バスケ上手いの?」
「ああ、見てれば分かるよ………」
なのはとフェイトにそう答えて俺は体育館へと向かった。
「神崎!!」
「分かって………うおっ!?」
桐谷のドリブルに神崎はついて行けず、簡単に躱されてしまう。
「圭!!」
「くそっ!?」
バスケに入ってる圭に頼むが桐谷の勢いを止めることは出来ず、
ダン!!
そのままリングにボールをぶち込んだ。
「すげー!!またダンクだよ桐谷先輩!!」
「先輩カッコイイ………」
もはや注目は桐谷オンリーな状態になっている。
桐谷と同じチームのバスケ部も桐谷を中心に動いている。
「スリー!!」
駄目押しとばかりクイックシュートでの3P。
狂いもなく、リングの中に吸い込まれていった。
「これは………無理」
「神崎、お前のチートな能力で何とかならないのかよ………」
「魔力強化していいならなんとかなるかもしれないけど………」
「2人共!!固まってないで、動け!!」
圭に怒鳴られ、慌てて動く、俺と神崎。
しかしもう逆転をどう考えても無理であり………
「試合終了、56ー18で2−Bが勝利!!」
大差で負けてしまった。
「「「「「きゃー!!!」」」」」
神崎ファンか?歓声が凄いなぁ………
「うるさいメス共………」
「夜美、流石にそれは言い過ぎ………」
「レイ、残念でしたね………」
「それにしても桐谷君凄かったや〜」
「そうだね、プロのバスケット選手みたいだった」
はやてとすずかの視線の先にはクラスメイトにもみくちゃにされた桐谷が困った顔でされるがままになっていた。
「でもこれで私達は女子バレーと女子サッカーと野球で優勝しないと総合優勝おろか、クラス優勝も厳しくなったわね………」
「2−Bだね………」
「そう………」
アリサの言うとおり、B組は女子サッカーが初戦敗退してしまったものの、野球、男子サッカー、男子バスケと勝ち残っていた。
「じゃあ次のバレーで………」
「ええ、負けたらクラス優勝は絶望的かもしれない」
フェイトの質問にアリサが険しい表情で言う。
男子が不甲斐なくて本当に申し訳無い。
「後は最後のドッジボールでどうなるかだな」
フェリアの言う通り、一番読めないよなドッジボール。
「ま、取り敢えず目の前の試合を負けずに進める事だな。頑張れよアリサ、すずか、フェイト、坂巻。………そして足を引っ張るなよなのは」
「引っ張らないもん!!」
そんななのはを先頭に女子バレーに挑む6人がいた………
「私は結局忘れられてると………」
もう一人の6人目の女の子が一人寂しく呟いたのだった………
さて、その後も危なげなく勝利していく2−Aだったが………
「あっ!?」
「フェイトちゃん!」
加奈の放ったアタックがコートに突き刺さった。
「3−1で2−B組の勝利!!」
本日バレー最後の3回戦目で2−Bと激突した俺達。結果はA組の惨敗。
何とか奮闘したものの、加奈の指揮の元、素晴らしい連携のB組を止めることは出来ず、A組は負けてしまった。
今現在、2年で上位に食い込んでいるクラスは俺達A組と桐谷達B組だけだ。後のクラスは3年のクラスにぶつかり負けていた。
ちなみに1年だと総合では上位に上がってるクラスは無いのだが、個別だと勝ち残ってるクラスもあったりする。
ウェンディ達、B組は野球のみ勝ち残っていた。
「くそ………これで野球とサッカーで優勝しなければB組の優勝を止めることは出来なくなったな」
「うっ、私に最後までキーパーが務まるのでしょうか………?」
「大丈夫、僕が抑えて、シュートを決めるよ!!」
「それだけでは勝てないだろう………」
「フェリアの言う通りだ。ライだけでなく、皆で協力してじゃないとな。だから頑張ろうぜみんな」
先ずは野球で桐谷のクラスとの対決だな………
絶対に負けられない。
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