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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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後日談7 球技大会(中編)

次の日………

「さて、B組との試合だな………」

次の日の初戦、この試合でA組の順位が変わる大事な試合。
プレッシャーが物凄いかかる試合だが、ライの投げる球はいつも以上にキレが増していた。

「うん!調子良い!」

自分でも手応えがあるのか、元気そう言うライ。

「よっしゃ!ライちゃんも調子が良いみたいや!このままの勢いで優勝するで!!」

はやての檄にベンチだけでなく、応援に来ているクラスメイトからも盛り上がる。

だけど勢いだけでは野球に勝てない。
昨日試合を見てたが、B組の投手は野球部のエースで、打てないことはないが、素人には結構厳しいレベルのピッチャーだ。

「よっしゃ!!なら整列するで!!」

俺の不安を余所に、試合時間になってしまった………






「ストライク、バッターアウト!!」

ライの投げたボールがミットに突き刺さり空振りを奪った。

「ナイスだライ!」

セカンドの夜美が真っ先に声をかける。その後に他の場所で守っている者、後ろで見てるギャラリーからも声援が沸いた。

「ありがとうみんな!僕がみんなを優勝させるからね!!」

と自信満々に言うライ。
不味いよなやっぱり………

「レイ………」

そんな事を思っていると星が俺を手招きしてギャラリーから少し離れた場所に呼んだ。
用件は恐らく………

「ライ、天狗になってませんか?」

やっぱり俺と同じ考えだ。

「ああ恐らくな。しかも桐谷の奴、恐らくだが気がついてる」

「えっ!?そうなんですか?」

「ああ。証拠に1回の攻撃、全員2ストライクまで振る気配がなかった。桐谷はライが投手経験無いことを知ってるし、これはちょっと荒れるかもしれない………」

「レイ………」
「レイ、打順だぞ!」

そんな事を話していると夜美が俺に教えてくれた。

「悪い夜美!星、行ってくる」

「ええ、頑張ってください!!」

星の応援を聞いて、俺は慌ててバッターボックスに向かった………






さて、打ち損じ、アウトになった俺の後にライがフォアボールで出ていた圭を2塁打で還し先制。
幸先良いスタートになったが、更に俺の不安は膨らむ。

そしてその後はテンポよく進み、回は3回に入った………

「あっ!?」

初球、甘く入ったストレートをライトに打ち返された。

「ちっ、内に入ったか………」

まあ取り敢えずシングルヒットに抑えられて助かった。

「えっ!?」
「なっ!?」

しかし、ライトを守っていた下田(初戦9番ライトの名無し)がボールを弾いた。

「よっしゃ!!」

その間にバッターは2塁に進んでしまった。

「ごめん!!」

ライトから謝る下田。ミスは誰にでもあるし仕方がない事なのだが………

「もう!しっかり守ってよ!!」

ライの厳しい声にライトは萎縮してしまった。
………不味い。

そんな空気の中、セットから投げるライ。

「行けぇ!!」

気合いの入ったストレートが俺のミットに入る。

「ストライク!」

相手の見逃しでワンストライク。
だけど見送り方が不自然過ぎる。

ライの投げたボールに全く反応が無かった。
………何か仕掛けてきそうだな。

「野中!バントあるぞ!!」

「おっ、おう!」

「ライも!」

「うん、分かってる!」

そう言ってライは再びセットから、ボールを投げた。
相手は予想通り、投げてからバントの構えをし、バントした。
セーフティバントだ。

「ライ!!」

サードの方に弱い勢いで転がるボール。
ライは素早く動き、キャッチする。

タイミング的にサードは無理だな………

「ライ、ファースト!」

しかし………

「ファースト!!」

そんな俺の指示を無視しサードの投げようとするライ。
しかしサードの野中はバント処理の為、前進している。はやても3塁ベースカバーが遅れてしまい、間に合わない。

「くっ!?」

仕方がなくファーストに送球するが、時すでに遅し。
間に合わず、ファーストもセーフになってしまった。

「あっ………」

「ライ!!何をやっている!!」

すかさず、夜美がライに厳しい声をかける。
これは完全に不味い。
悪い流れがチーム全体の雰囲気に伝染してる………

「夜美ちゃん、そない厳しい声をかけなくても………」

「レイだってファーストと言っていただろう!!貴様は一人で野球をやっているのか!?」

「夜美ちゃん!!」

怒りが収まらない夜美にはやても大声を上げる。

「僕は………僕はただ………」

「た、タイム!!」

これ以上は不味い!!

「ストップだ夜美。今は試合中だ、先ずはこのピンチをどうにかするのが先決だ」

「………分かった」
「………了解や」

渋々ながら言うことを聞いてくれた夜美。
しかしムードは最悪だ。

「僕は悪くない………」

そんな中、ふとライが呟いた。

「ライ?」

「僕は悪くないよ!!なのにみんなが足を引っ張って!!最初のヒットだってちゃんと取ってくれてればこんな事にならなかったんだ!!」

「ライの気持ちも分かる。だがミスは誰にだってある」

「僕は頑張ってた!!僕は悪くない!!」

まるで駄々をこねるガキだ。
それはまだ許せた。だけど許せない事が一つ………

バン!!
ライは自分のグラブを地面に叩きつけたのだ。

「………審判、ピッチャー交代。センターにライ、キャッチャーに小林、ピッチャーに俺が入る」

「レイ!?」

ライが反論しようとするが、睨みを聞かせて黙らせる。

「圭!!キャッチャーやってくれ!!」

「はぁ!?一体何を考えてんだ!!それに俺は………」

「………」

「はぁ………キャッチャー何てやったこと無いのに………」

文句を言いながらもこっちにやって来てくれる圭。
………悪いな、他に出来る奴が居ないんだよ。

「レイ、どうして!?どうしてなの!?」

「たまには自分で考えろ。いいからセンターに行け!!」

突き放すように言うとライは目に涙を溜めながら渋々センターに向かっていった。

「レイ流石に………」
「冷たすぎるで………」

「いいんだ。道具と仲間を大事にしない奴に野球をする資格は無い。これでも甘いくらいだと思ってるんだが………」

「それより早く再開しない注意食らうぞ零治」

良介に言われてはやてと夜美は離れていく。
さて、先ずはこのピンチを抑えないとな………








「何で………何がいけないの………?」

レイが何であんなに怒ってるのか分からない。
僕は悪くない、ミスはライトのし、し………下志田が悪いんだ。
なのにレイは………

「僕、嫌われちゃったのかな………?」

あんな感じで睨まれるのは初めてかも………
怒られたりするのはしょっちゅうだけどレイは基本的に怒らないし………

僕は………僕なりに頑張ったつもりだけど何が足りなかったんだろう………

「しまっていくぞ!!」

小林の声が響く。

「みんな、よろしく頼むな!」

その後にレイはみんなに声をかけた。

「おおーっ!!任せとき!!」
「しっかり守ってみせる!!」

「俺も自分のミスを挽回しなくちゃな………」
「打てない分、しっかり守ってやる………」

「ライ、自分のミスはしっかり返せ」
「ごめん、ライさん。俺もミスしないように頑張るから………」

レイが皆に声をかけてから皆それぞれ周りに声を回すようになった。
僕の時は声なんて掛け合ってなかったのに………

「ストライク!!」

僕より速いストレートがミッドに突き刺さる。
レイは僕に野球を教えてくれた事もあり、僕よりも上手いと思う。

だけど今日はコントロールで攻めるみたいだ。
何で空振りを取りにいかないんだろう………

「くっ!?」

レイのインコースに投げたボールがバットの根っこに当たってサードに転がる。

「野中ホーム!」

「任せて!!」

弱い打球がサードの前に転がり、ランナーもホームに突っ込んでくる。
だけど野中も素早く取って投げた。

タイミングは微妙だけど………

「アウト!!」

「よしっ!!」
「ナイスや野中君!!」
「やるではないか!」
「ナイスサード!」

「1アウト!!」

レイの掛け声に守っているみんなの声が重なる。
みんな生き生きとしている………

僕の時とは大違いだ………

「ライ、1アウト」
「う、うん、1アウト」

フェリアの確認を私も復唱する。

カン!

今度はバットの先に当たった打球。
だけどボールの上を叩いたのかバウンドが高い。

しかも深く守っていたはやての方に転がる。

「駄目だはやて、投げるな!」

レイの指示を受け、はやてはボールを投げるのを諦めた。

「くっ、スタート遅れてしもうた………」

「いや、仕方がないよ今の打球なら」

完全に打ち取った打球だったのに………
でもレイは全然怒ってなかった。

僕とはやっぱり違う………

そして、1アウト満塁。
レイ、本気で投げれば抑えられるのに何で本気で投げないの………?

カーン!!
打球が僕の方にフライが飛んできた。

3塁ランナーがタッチアップしようと構えてる。
ここで僕がランナーを刺せばダブルプレーでチェンジだ。

「ライ………」

フェリアが心配そうに僕の後ろにカバーに入った。

「GO!!」

僕がフライを取った瞬間に相手ベンチの声と共にスタート。

「行けええええ!!」

僕も負けじとバックホームにボールを投げる。
タイミングは悪くない、後は小林次第。

「……………アウト!!」

ワアアアアアア!!!とギャラリーからも歓声が湧いた。

「ナイスだライ!!」

真っ先に声をかけてくれたのはフェリア。
僕の頭をポンポン叩いて褒めてくれる。

「ライちゃん、ナイスボールや!!本当に助かったで!!」
「ああ、ナイスボールだったぞライ」

はやてと夜美も僕を迎えてくれる。

「ふぅ………間一髪だった………」
「お疲れ圭。それに凄かったよライちゃん」

中島と小林も同様に僕の事を迎えてくれた。
こんなの今まで味わった事の無い………

「ライ」

そんな中、レイが私に声をかけてきた。
………まだ怒ってるのかな?
もしかして嫌われちゃったかな………?

「どうだ?みんなに迎えられるのは?」

「えっ!?」

「どんな気持ちだ?」

「………嬉しかった。心からみんなの為に役に立てたって思えた」

「そうだよな。………ライ、俺が許せなかったのは2つ。1つは自分のおかげでチームは成り立ってるんだって言う勘違いで、周りが見えなくなっていたこと。2つ目は道具を大事にしなかった事。野球をやってる者として………いや、スポーツマンとして道具を大事にしない奴はスポーツをやる必要ない」

そうだ、僕は投げることに精一杯でみんなの事を見てなかった………
プロ野球選手だってみんな道具を大事にしている。

「………ごめんなさい」

レイに謝った後、僕のグラブを見ると、グラブは叩きつけた時に付いた砂で白くなっていた………

「ごめんね………」

試合が終わったら綺麗にしてあげるからね………











「桐谷、駄目だったな………」

「ああ、上手く内部分裂するかと思ったけど………」

結局点も入らず、相手を勢いづけるきっかけを与えてしまった………
これは不味いな………

「神田、気を引き締めて行けよ。相手は勢いに乗ると止まらなくなるぞ」

「ああ、分かってる」

野球部のエースなだけに、負けん気はあるだろう。
だが、果たして勢いを止められるか………

「ここは正念場だな………」








さて、その次の攻撃は相手ピッチャーの気迫に押され、フェリアがヒットで出ただけで終わってしまった。

「みんな、良いの………?」

「やっぱりA組のエースはライちゃんやからな」
「我も1人でやるような事が無ければ文句は無い」
「俺は実はキャッチャーなんてやったこと無くてさ………零治が抑えて投げてくれたおかげで何とか出来たけど………」
「それにライちゃんの方が華があるしね」
「坂巻〜!!良介がナンパを…「してないしてない!!」」

「だが、今度はしっかりと周りを見てな」

「みんな………レイ、僕は………」

「行こうぜライ。今度は皆で勝つぞ」

「………うん!!」

元気よく走り出すライ。
もうこれなら心配無いだろう。

「よし、行こうみんな!!」

そう言って俺達は走りだした………










その回のライは前のライとは全く違っていた。
みんなに声を掛け、ミスがあってもドンマイと気にせず、集中する。

また一つ大人になれたなライ………

「1アウト〜!」

ランナーを2塁に置いても元気よく、みんなに声を掛けるライ。
チーム全体の雰囲気も良い。

「全く………内で勝手に崩れるかと思ったが、逆効果だったな………」

「桐谷にしては珍しいな、こんな手で来るなんて」

「勝つには自滅してもらうしか無かったからな。お前もいて、ライがいて、野球部キャプテンの小林がいて………戦力的にはこっちが不利だからな」

「残念だったな」

「ああ。………だが、このチャンス、必ずものにさせてもらう!!」

そう言って構える桐谷。
時間的にもこの回で終わる可能性が高い。
ならここで桐谷を抑えれば、勝利は確実になる。

先ずはインハイに真っ直ぐを投げて、打ち気を逸らして………
サインを出し、ライが頷く。

そしてライから投げられたキレのあるボールが桐谷の胸元近くに投げられた。
よし、ナイスボール………

ガコッ!!

「なっ!?」

初球から桐谷はボール気味のインハイを無理やり引っ張りやがった!
ふわふわっと上がったボールはサードの頭を超える。

「くっ!?下がりすぎた!!」

慌てて前に走ってくるフェリア。
しかしボールはそのままフェリアの前に落ちた。

「フェリアちゃん、バックホームや!!」

フェリアがボールを掴む前に2塁にいたランナーは3塁を回った。

「グラブで掴んでからでは間に合わん!!零治!!」

フェリアはバウンドするボールを右手で掴み、そのままバックホームした。
ボールは少し右に逸れる。

タイミング的にはこのままじゃセーフだ!!
俺は左足を壁にしてホームベースを塞ぐ。

「神田!!回り込んで滑り込め!!」

走りながら叫ぶ桐谷の声が聞こえる。
させてたまるか!!

なるべくホームから離れないように左腕を伸ばし、ボールを掴み、そして………

「だあああああ!!!」

回り込んで滑ってくる神田をタッチした。

周りは静かになり、静寂が俺達を包む。
そんな空気を絶ち切ったのは審判の判定。

「……………アウト!!」

何とか、ベースに触れさせる前にタッチ出来た………

「レイ!!」

「2アウトだライ。フェリア、ナイスボール!!」

「フェリア、ありがとう!!」

「ライ、油断するなよ」

本当に助かったぜフェリア………
だがこれで………

「勝ったな………」

次のバッターじゃライを打つことは出来ない。
いや………

「ライ、油断せずに行こう」

「フェリアにも言われたよレイ。大丈夫、僕には皆がいるから」

そう言ったライはとても頼もしかった………










「1−0でA組の勝ち」

色々とあったけど何とかA組はB組に勝った。
これで、何とか望みを繋げる事が出来た。
後は………

「私達がB組をやっつければクラス優勝は確実ね!!」
「いやアリサちゃん、野球とサッカーで優勝して、ドッジでB組に勝ったらだよ………」
「わ、分かってるわよすずか………」

少し照れながら言うアリサ。

「でも疲れたわ………さっきみたいなピンチな試合は勘弁やで………」
「確かにな………」
「まあ我等には星が居るからな………早々点は取られんよ………」

「えっ!?私次第なんですか!?」
「そうだよ、僕達も頑張って点を取るけど星が1点も取られなかったら負けないから」

「レイ………」

いや、そんな助けを求める顔をされても………

「頑張れ星………」

「レイぃ………」

弱々しいな………
まあ何か小動物みたいで可愛いけど………










試合の方は結構な膠着状態に。
B組は加奈を中心に連携の取れたパス回しにA組は大苦戦していた。

そして0−0のまま、後半に入りもう後5分を切っていた………

「くっ、すずか!」
「えっ、こっち!?ごめんフェイトちゃん!!」
「任せて………ってあれ?なのは、そっちに!!」
「ええっー!?夜美ちゃん!!」
「少しは粘れなのは!」

そう叫びながら、パスをインターセプトする夜美。
さっきからこのやり取りばかりが続いている。

こっちがボールを持っても、パスをカットされ、再びB組のパス回しに。

「星、行った!!」

「ええっ!?きゃ!?」

目の前に来たボールを弾く星。
しかし………

「シュートしても止められるならギリギリまで近づいて蹴れば!!」

加奈が直ぐにボールを拾い、そのままゴールにドリブル。

「させん!!」
「夜美!!」

夜美がゴール前に立ちふさがり、ゴールを守る。

「ぐっ!?」
「きゃ!?」

そのまま2人は激突し、二人共後ろに倒れた。

「ぼ、ボールは………」
「何処に………」

ぶつかってもなお、ボールの位置を確認する2人。
しかしそのボールは………

「入ちゃった………」

すずかの呟き通り、ボールは星の後ろのゴールに。

「「「「やったあああああ!!」」」」
「ナイス加奈!!」

B組の祝福に飲まれる加奈。
時間的にも厳しくなってきた………

「まだよ!!先ずは同点に!!」

ドリブルをして相手のエリアを進むアリサ。
しかし相手のチェックが速い。

「アリサ!!」
「お願い!!」

咄嗟にフォローに来たフェイトにボールを渡し、今度はフェイトがドリブルで突き進む。

「行かせない!!」
「加奈!?だけど!!」

そう言ってフェイトは後ろにパスを送った。

「わ、私だって………!!」

そのボールをなのはが受け取り、加奈を追い抜く。

「くっ、守りは………」

Bクラスの選手達はなのはのドリブルについていけず、その場に止まり肩で息をしている。

「スタミナ切れ!?不味い!!」

全員で攻撃し、全員で守る。時間が短いにしてもB組のメンバーは限界の者が多くなっていた。

「な、渚ちゃん!!」

相手のDFが近づいてきて慌てて近くにいる坂巻にパスを送るなのは。
そんな状態だったが、ちゃんとパスは通った。

「絶対に止めて見せる!」

大きく腕を伸ばし構える相手のゴールキーパー。

だが、こっちはライ、すずか、坂巻の3人がゴール前に来ていた。

時間ももう後僅か。
これがラストプレイになるかもしれない………

「行くよ〜!」

坂巻が先ずはシュートすると見せかけ、ライにパスを出した。
フェイントだ。

「なっ!?」

「貰ったよ!!」

ライは坂巻のパスをそのままダイレクトにシュートする。

しかし、

ガン!!

「あっ!?」

不運にもゴールのポストにボールは当たる。

「まだ!!」

直ぐにすずかがボールと取りに向かうが………

「させない!!」

加奈が取らせまいとすずかに並ぶ。

「すずか、私達の勝ちよ!!」
「負けるもんですか!!」

2人共、諦めずにボールに食らいつく。

そしてボールに触れそうになった瞬間だった。

「あっ!?」

加奈が足をつまずかせ、勢いが落ちた。

「チャンス!!」

すずかはすかさず転がるボールを止め、味方へとパスを出した。

「アリサちゃん、お願い!!」
「よくやったわすずか。後は私に任せなさい!!」

パスを受け。再びドリブルで相手のゴールに向かうアリサ。

ゴールを阻むものは居ない。

「もらった!!」

シュートを蹴ろうとしたその時………

ピッピッピーッ!!!

試合の終わりを告げる笛の音が鳴り響いた………











「ああーっ!!く・や・し・いーーー!!」

大きく大絶叫するはやて。
気持ちは分かるがやかましい………

「もう少しだったんだけどね………」
「私があの時にもっと早くシュートしてたら………」
「アリサちゃんのせいじゃないよ。私だって全然役に立たなかったし………」
「私も結局何度もパスを止められちゃったし………」
「フェイトだけじゃないよ。僕もダメダメだったし………」
「我も………」
「私もだ………」
「夜美とフェリアは一生懸命守ってくれました。本当に大事な時に守れなかった私が駄目だったんです………」

「キリが無いから止めろ。みんな凄かったよ、本当に欲しかった………」

これで総合優勝は完全に無くなった。
だけどあの接戦で負けたのなら仕方がない。

「こうなったら野球で優勝してドッジでB組を倒して学年優勝しようぜ!!」

「そうやな………まだ学年優勝があるんや。今度のドッジでは絶対にB組に勝つで!!」

はやての激を聞いて、この場にいる者以外のクラスメイトの目にも火がつく。
さて、気合入れて、準決、決勝と勝ちますか………









「ゲームセット!、3−2でA組の勝ち」

準決勝。
相手は3−Dと結構な強敵だったが、一丸となった俺達は何とか逃げ切り、勝ちを掴んだ。

「これで後は1勝すれば優勝だな」

とうとうここまで来た。クラスのみんなも俺達に期待している。

「ライ、後1試合投げられるか?」

「うん、いけるよ。だから僕に任せて!」

「ああ信頼してるよ。我らのエースはライ、お前だ」

そんな夜美の言葉に皆が頷いた。

「や、夜美、みんな〜!」

感動からか涙を目に一杯貯めて、夜美に抱きつくライ。
そんな様子を微笑ましく見ていると………

「ふっ、ふっ、ふっ………やっぱりレイ兄達が決勝に上がってきたんスね………」

「その声は………誰や!?」

「はやて、ボケんでいいから………で、何しにきたウェンディ?」

「何って偵察に来てて、レイ兄達が勝ったから一応挨拶にと思ったんスよ。次の対決は2−A組対1−Bなんスから」

「えっ!?ウェンディ達がですか!?」

「星姉、私とノーヴェは頑張ったんスよ。姉の中には熱狂的なタOガースファンがいたんスから………」

そう言ってウェンディは後ろの方を向く。
そこにはライと同じくタOガースの帽子を被った女の子が………って、

「セインか………」

確かにいた、ライ並の熱狂的なタOガースファンが………

「あの地獄のような野球漬けの日々。その内にノーヴェはドOゴンズファン、私はホOクスファンになっちゃったんスけど………」

「お父さん犬?」

「最高に面白いっス!!」

やっぱりコイツずれてるな………

「まあとにかく、ここまで来たんでいくら相手がレイ兄や姉御達でも手加減しないっスよ!!」

「まあ俺達も負ける気は無いがな」

「ふふっ、決勝戦が楽しみっス………」

そう言ってセインの所へ戻るウェンディ。
セインは投球練習をしているみたいだ。

しかし………

「サイドスロー………」

「しかも極端なクロスファイヤー………」

俺の所に来て圭が呟いた。
そう、セインは右のサイドから極端に斜めに踏み込み、角度を付けて投げていた。

「あれは経験者でも打つの難しいぞ………」

「中学生であんなの投げる投手なんていないって………本当に零治の知り合いには普通の人間がいない………」

まああながち間違いじゃないんだけど………

「でもB組以上の強敵ではあるのは間違い無いな………」
「ああ………だけど、必ず勝つぞ。せめて1種目位優勝しないとな」
「ああ、そうだな………」

そんな話をした後、俺達は決勝戦の準備を始めた………












「ストライク、バッターアウト!!」

試合が始まると予想通りの投手戦に。
セインのクロスファイヤーに誰一人ヒットを打てなかった。

それだけではなく………

カーン!!

「夜美!!」

「くっ!?」

一生懸命手を伸ばすがボールは夜美を越し、センターに転がっていく。

「またストレートか………」

奴等、ライのカーブを捨ててストレート狙いで勝負に来てる。

まあそれならカーブ中心に真っ直ぐを見せ球にすれば良いのだが………

「ごめんレイ。中に入っちゃった」

ボールを要求したのだが、中に入ってきた真っ直ぐを打ち返されてしまった。

「いや、仕方がない。切り替えろ」

「うん!」

実際ライはよく投げている。
完全にボールだと分かるボールを投げても仕方がないのだ。
いかに際どいボールを投げられるか。

本当にライはよくやっている。
頑張れ………ライ。








ランナーを2人出したが、無失点に抑え、四回表。
打順も1番に戻る。

「圭!」

「分かってる!この回が勝負だろ?」

時間的にはまだ20分ほど残っているが、また一回りするか微妙だ。ここで勝負をつけなければ………

「ストライク!!」

角度のあるストレートが外角ギリギリに決まる。
スピードはそんなに速くない。しかし、ボールの角度とコントロールに俺達は手が出ない。

カン!

「ファール!」

強めの打球がファーストの左へ転がる。
そう、クロスファイヤーを打ち返すには逆らわずに右に流すのが1番だ。

………バン!!

「ストライクアウト!!」

右バッターに入った圭のインコースに角度のあるストレートが投げられた。

「くそっ!!分かっているのに………」

角度があるため右バッターにはデットボールに見えるインコースのボール。
A組には良介以外は右バッターなので効果抜群だった。

攻略するにはインコースに投げられる前に外に来たボールを打ち返すか、インコースを逃げずに打ち返すか………

圭はインコースを打ち返そうとして失敗した。

「レイ、我が必ず繋ぐ。だかた頼むぞ!」

そう言って打席に向かう夜美。
かっこいいな、本当に………

打席に入る夜美。
そしてその初球を………

カーン!!

打ち返した。

バットの先に当たったボールは不規則なバウンドをし、ピッチャーの前に転がる。

「夜美、厄介なボールを………」

セインは直ぐに取りに行くが………

「あっ!?」

右手で掴もうとしたが弾いてしまった。

「よし、出た!!」
「ラッキー、夜美!日頃の行いが良いからだよ!!」

ライ、少し的外れな事を言ってる気がするが、まあ良い。
これで念願のランナーが出た。

「レイ、頼むよ!」

「ああ、行ってくる!」

ここでゲッツーだけは何としても避けなければいけない。

ここは外のボールを狙って………

「くっ!?」

そんな俺の考え外れ、体に向かってストレートが来る。

「ストライク!」

デットボールかと思ってしまうこのストレートについ逃げてしまう。
………完全に裏をかかれた。

「レイ!逃げれば絶対に打てんぞ!!」

夜美の檄が俺に飛ぶ。
分かっているが、どうしても反射的に避けてしまう。
だからといってバッターボックスの後ろ側に構えても今度は外角の球が届かない。

「ストライクツー!!」

外角ギリギリにストレートが決まる。
これで後はない。

「これで終わりだよレイ!!」

セットからクイックモーションで投げるセイン。
俺が狙う球は………

「インロー!!来た!!」

咄嗟に左足を開き、体を開いてインコースの球を捉える。
本来なら力が流れて打球が飛ばないのだが………

「行けー!!」

球は左中間に落ち、レフトとセンターの間を抜ける。

「ノーヴェ!!」

「くそっ、零治の奴!!」

センターを守っていたノーヴェがダッシュでボールを取りに行く。

「ウェンディ!!」

すかさずショートを守っていたウェンディに投げた。

「おっと」

ウェンディが受け取ったのを確認して3塁を回るのを止める夜美。

これで1アウトランナー2,3塁だ。

「ライちゃん、頼むで………」
「決めてくれライ………」

はやてやフェリア、みんなの思いを背負ってライが打席に立つ。

「みんな………絶対に打つよ!!」

バットを構え、気合い十分に投げるのを待つライ。

「………流石だね、レイもみんなも………だったら私も秘密兵器を使うよ!」

そう言ってセインはセットからボールを投げる。

「真ん中!?貰った!!」

真ん中に来たボールにライはバットを振るが………

ボールは斜め下に曲がり、バットの下を通りすぎた………

「スライダー………」

「私の本当の決め球だよ」

まさか変化球もちゃんと投げられるなんて………

しかも厄介なのが、外角ストレートと同じ軌道で投げられるのに、そこから斜め下に落ちる事。

この状況で3パターンだなんて………

「ストライクツー!」

今度はインコースの球に手も足も出ないライ。
追い込まれた………

「ライちゃん………」
「ライちゃん、頑張れー!」
「絶対に打てるわよー!」
「ライ、頑張ってー!」

ベンチからもギャラリーからも祈るようにライへの声援が送られる………ん?今、夜美を見たような………まさか!?

「これで終わりだよライ!」

そう言ってモーションに入るセイン。
その瞬間、

「夜美姉、走った!!」

「うそっ!?」

まさかの追い込まれてからのスクイズ。ライはバントの構え、夜美はそのままホームに突っ込んでいく。

「ライの奴!!」

ライは基本真っ向勝負が好きなため、スクイズみたいな戦略的な事は嫌いだとよく話していた。
そんなライが………

「させない!!」

咄嗟に外角に外すセイン。
投げたと同時にホームに走る。

「絶対に当てる!!」

角度とコントロールで勝負してきたセイン。
球のスピードはお世辞にも速い訳ではない。

「届く!!」

外に外したセインだったが、ライが懸命に伸ばしたバットにボールが当たった。

「間に合って!!」

ファースト側に転がったボールをセインはグラブでキャッチャーにトスした。
難しいプレーだったが、セインは完璧にこなした。

「夜美ーぃ!!」

「はあああああ!!」

夜美は絶叫と共にホームに滑り込む。
それと同時にキャッチャーも夜美にタッチする。

ギリギリのタイミング。
制したのは………

「セーフ!!」

足がホームベースに届いていた夜美だった。

「よし!!」

ガッツポーズする夜美。
あんな思いっきりのガッツポーズしたのは初めて見た。

「ライ!」

「!」

夜美はファーストベースにいるライにガッツポーズして、ライも返した。

サインなど無く、アイコンタクトで決行したスクイズ。
これは見事にうまくいった。

「………」

「セイン、立つっス。まだ終わってないっスよ」

「………うん」

ショックを受けていたセインを我に返らせるウェンディ。
そう、勝負はまだ終わってない。

「アウト!!スリーアウトチェンジ!!」

次の良介がピッチャーゴロに倒れてゲッツー。
1点止まりだが、時間的にもこの回がラストだろう。

だが、この回は………

「取られた分は取り返す!」

ノーヴェがそう言って気合いを入れて打席に入る。

そう、この回はダメっ子の3人、ノーヴェ、セイン、ウェンディなのだ。

この3人はストレートもカーブも見切っている。
現に、ノーヴェにはカーブをレフト前に落とされたし、セインはアウトだったが、しっかりストレートを捉えていた。
そしてウェンディは圭がアウトにしたが、長打級の打球をセンターに打ち返していた。

「手強いよな………」

これは俺のリード次第でもある。
下手な事は出来ない。

「レイ、ちょっと………」

とそんな事を思っているとライが手招きしてきた。

「タイム!」

審判にそう言いライの所へ向かう。
………何かトラブルでもあったか?

「どうした………?」

「レイ、試したい事があるんだ………」

ライの提案は博打ではあったが、成功すれば効果抜群な提案だった。

「ライ、出来るのか?」

「まだちゃんと練習したことないけど出来る気がするんだ………」

ライの思い付きではあるのだが、何故かとても信頼出来た。

「分かった。やろうライ!お前なら出来る!!」

「うん!レイ、しっかり受け止めてね!」

ライの言葉を聞いて俺は元の場所に戻る。
………ん?何かおかしくね?

「作戦会議は良いのか零治?」

「ん?ああ、良い作戦が決まったよ」

「じゃあ楽しみにしてるよ」

そう言って構えるノーヴェ。
さて、やるぞライ!







「ファール!!」

サード線強い当たりは何とかファールになった。
これでカウントは2ー2。

(ライ、行くぞ!!)

ライの所へ行ったときに決めたサインを出す。
それを見てライの顔も一層引き締まった。

俺はミットを真ん中に構える。
細かいコントロールは良い、上手くいってくれ………

ライが振りかぶり、ボールを投げた。

「真ん中!?貰った!!」

ノーヴェがボールめがけてバットを振る。

しかし、ミートする手前でボールが右斜め下に急降下した。

「ぐっ!?」

グラブの前でバウンドしたボールを体で止め、なんとか後ろに逸らさずに止めた。

「今のは………」

その場で呆然とするノーヴェに俺は慌ててボールを拾い、タッチした。

「バッターアウト!」

「よし!」
「ナイスやライちゃん!!」

仲間からの声援に手を振って答えるライ。
これで1アウトだ。

ぶっつけ本番だったが、予想以上にキレの良い縦のスライダーだった。

「まさかそっちにも切り札があったなんてね………」

そんな事を言いながら打席に立つセイン。
ぶっつけ本番の球を切り札と言っている所から、あの球が頭から離れないだろう。

俺達の作戦は成功だな。

「うっ!?」

やはりスライダーが頭に離れなかったのか、追い込まれてからストレートに詰まるセイン。
サードに転がった打球を野中はちゃんと処理した。

「ナイス野中!」

「うん、ライちゃん2アウト!後1人!」

これで後1人だ。

「だけど最後の1人が曲者なんスけどね………」

バットをぶんぶん振りながら打席に入るウェンディ。
確かにコイツが一番何を考えてるのか分からない。

まるで来た球をただ単に打つと言う感じに。

「さあ、来いっス!!」

左バッターボックスに入り、バットを構えて、ライに向けて言うウェンディ。
いくらウェンディでもスライダーが頭の中にあるだろう。

先ずはストレートで………

サインを出し、ライも頷く。
インコースに投げられたストレート。キレもコースも悪くない。

しかし………

「どっせ〜い!!」

変な掛け声と共に思いっきり引っ張った打球はライト線へ。

「ファール!」

ギリギリ外れた。
まさか初球から思いっきり振ってくるとは………

「さあドンドン来るっス!!」

ならば次はカーブを外から内に入ってくる様に………

「でやあ!!」

外から入ってきたカーブを無理やり引っ張るウェンディ。またも外れるが、2球とも長打コースだ。

「うわぁ、またファールっスか………次こそ決めるっス」

そう自信満々に呟くウェンディ。
本当にコイツは読めない………

どうする………
そう思い、ライの方を見ると、ライが俺をじっと見つめていた。

ライ………?
まさか………

そう思い、スライダーのサインを出すと………

コクン。
縦に頷いた。

確かにノーヴェの時みたいに、ストレートと同じ軌道で落ちれば、いくらウェンディでも空振りするだろう………
だけど変化しなかったら………

(大丈夫、僕を信じて………)

ライの顔を見るとそう言っている様に感じた。
………よし、俺も覚悟を決めた!!

「頼むぞ、ライ………」

サインを出さずに俺はミットを構える。
その動きでライは分かったのか、コクンと頷いて振りかぶる。

そうして投げたボールは真ん中に投げられた。

「貰ったっス!!」

ノーヴェと同様にストレートと思い、バットを出した。
ここから落ちれば………落ちない!?

カキーン!!

ジャストミートした打球はライトへと飛んでいく。

「ライト!!」

打球はぐんぐん伸びていく。
それと同時にライトの下田が後ろにダッシュする。

そして柵として準備してあったネットにたどり着くと打球を確認する。
だが、打球はまだ伸びている………

不味い、このままじゃホームランに………

そう思った所で下田はネットに寄りかかり、めい一杯左手を伸ばす。

「頼む、神様………」

ライが打球を見て、そう呟いた。
そんな中、ウェンディの打球は落ちてきて………

パス!

グラブの中に入った。

「やった!!とっ………!?」

しかし寄りかかり過ぎてネットの後ろに落ちそうになる下田。

「落ちるな!!落ちるとホームランだぞ!!」

夜美の言う通り、取ったとしてもネットを超えてしまうとホームランになってしまう。

「あっ、ヤバイ………」

そんな夜美の叫びも虚しく、下田の体はネットの後ろに………

「間に合った………」

事は無く、センターの圭が何とか体を支え、後ろに倒れずに済んだ。

「ナイス、下田………」

「やっと貢献出来たよ………」

「アウト!!、ゲームセット!!」

この瞬間、A組が野球での優勝が決まった瞬間だった………

「レイ!!やった、やったよ!!」

アウトの瞬間、ライが飛ぶように俺に抱きついてきた。

「ああ、よくやった、よくやったよ………」

そんなライをしっかり抱きしめ、感動をお互いに噛み締める………

「あの………整列して欲しいんですけど………」
「いつまで抱きしめあっているのだ!!」

いつまでもしていても良かったのだが、審判と夜美に言われ、慌てて離れる俺達。
俺はともかく、ライの顔は真っ赤だった。

「何か僕のファインプレー目立ってないね………」

「いや、下田君が捕ってくれなかったら、分からんかったよ、本当にかっこよかったで!」

はやてにそう言われて、顔が真っ赤になる下田。
色々あったけど本当に下田が居てくれて良かった………









「みんなおめでとうございます!」
「かっこよかったよ!!」
「下田もナイスキャッチ!」
「目立たないと思ったけど役にたったわね」
「アリサちゃん流石に………」

「えへへ………」

挨拶後、クラスのみんなの所へ行くと多くの拍手で迎えられた。
特に下田は多くの人に祝福されていた。
しかし、SBS団の下田はこんな女の子にまとまって褒められたことが無く、気持ち悪い位、終始、顔がニヤリとしている。

「粛清………」
「粛清………」
「粛清………」

そんな下田をSBS団のメンツが黙ってみている事は無く………

「えへへ………」

SBS団に連れ去られている事に気がつかないまま、何処かへ連れて行かれてしまった。

「で、リーダーは行かなくて良いのか?」

「………最近団員の皆が冷たいんだよ」

そんなSBS団を懐かしむかの様に遠い目で見る神崎。
やはり自分で始めた事でもあるので思い入れがあるのだろう………

「どうでもいいけどこれで学年優勝は見えてきたわね」

「うん、B組は男子サッカーは2回戦で負けているし、女子バレーも私達の次に当たったクラスに負けてるし、女子サッカーは準決勝で負けてるから。ただ、男子バスケは圧倒的な強さで優勝したから、やっぱちドッジボールでB組を倒して上位に食い込めればだね………」

そんなすずかの考察にみんなの顔が渋る。
B組はバスケで優勝、女子サッカーでベスト4と俺達のクラスより総合成績は良い。
これを逆転するにはB組に勝って、なおかつ上位に食い込まなくちゃいけなくなった。

「でも頑張ろ、皆で」

「うん、なのはの言う通りだよ。野球のみんなみたいに一丸になれば絶対に勝てるよ!!」

なのはとフェイトの言葉に皆もそれぞれやる気を出したようだ。

「よっしゃー!!みんなガンガンぶつけて絶対に勝つで!!」

そんなはやての言葉に皆のやる気もMAXになった。

「………でも私は役に立ちませんよね………」

ああ、そうか………星、ドンマイ……… 
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