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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第91話 それぞれの戦い



零治とクレインが話し始める少し前………

『さて、いつまで黙って見ているつもりだいバルトマン?』
「ああ?いつまでってアイツ等が万全の状態になるまでだよ。女の事が気になって負けましたなんて言わせたくねえからな」

そう言って静かに零治達のやり取りを見ているバルトマン。

『そうかい………まあ良い。私は強化したマリアージュの性能を見ておきたいだけ。だからこれ以上君には干渉しないよ。ただ私の邪魔をするようだったら………』
「好きにするがいいさ。だが何でもそう思い通りになると思うなよ」

それを聞いたクレインは少し不機嫌そうにディスプレイを閉じ、零治達の元に展開した………







「早速で悪いんだけど、あの子を助けるのに協力してくれないかしら?」

シャイデはあの浮かんでいる女の子を見てそう言った。

「もう気づいているかも知れないけどあの子は冥王イクスヴェリア本人よ。長い眠りについていたあの子を見つけ、利用するためにクレインに協力してもらって、私が母親だって洗脳したの。だからあの子は被害者なの………だから………」

「いいよ助けるんでしょ?」
「いつぞやの優理の時と同じだ」
「それにシャイデの娘でしたら私達の妹になりますからね」

そう言ってデバイスを構える3人。
そんな3人の返答に心の内で感謝しつつ、自分のデバイスを取り出した。

「ハンニバル、セットアップ」

セットアップと同時にシャイデの両腕に手袋が展開される。

「シャイデって手袋で戦うの?」

「違うわよライ。私はこうやって………」

シャイデは指を動かし、指の先から細い魔力の糸を展開した。

「でもブランクがあるだろうが、黙って任せろよ」

「元執務官をなめない方が良いわよ」

シャイデは零治に自信満々にそう言った………








「バルトマン、悪いが………」

「ああ、待ってやるぜ。あのやたらと出てくる女達を相手するよりはマシそうだしな」

すんなり俺の提案に乗ってくれるバルトマン。すんなり行くとは思わなかったが、これでバルトマンがいきなり介入することは無いだろう。後は………

「神崎………」

「俺は管理局の魔導師だ。今回の事件の主犯を捕まえる使命がある」

意外だな………
元々管理局に入ったのはなのは達の追っかけだと思っていたんだが、管理局員としてしっかりしてるんだな………

「だけどそれ以上に優先事項があるから仕方がない、俺はバルトマン確保に集中する」

訂正、神崎良い奴だ。
だけどこうなると協力してもらうわけにいかないな。

「加奈………」

「協力するわよ私も。最もあの3人みたいに戦闘向きじゃ無いから後方支援になるけど」

「ありがとう加奈」

「私だってシャイデ先生にはお世話になってるからね」

相変わらず俺と長く話したくないみたいだったが、協力してくれる事に感謝しないとな………

「よし、やろう」

俺達5人はイクスヴェリアの方に向かった………






「お母…様………」

「ごめんね………私の勝手でこんな苦しい思いばかりさせちゃって………今助けてあげるから………」

そう言ってイクスヴェリアに近づこうとするシャイデ。
しかしシャイデが近づくと………

「きゃあああああ!?」

「「「シャイデ!?」」」

すぐ近くまで来たシャイデに電流が流れる。

「バリアー………」

『そう。まだイクスヴェリアのデータが欲しいんでね、渡すわけのはいかないよ』

クレインがそう言うとマリアージュが再び出現。イクスヴェリアを囲うように立ち塞がった。

「くっ、また………」

「邪魔しないでよ!!」

ライが叫ぶが当然無反応だ。

だがそんな時、

「ボルティックブレイカー!!」

巨大な砲撃魔法がマリアージュを飲み込んだ。

「バルトマン!?」
「待つのは苦手でね。さっさと終わらせて殺し会おうぜ黒の亡霊!!」

そして残りのマリアージュ達にもスフィアで攻撃し消し去った。

『邪魔をする気かい?』

「俺はやりたいようにやる。誰の指図も受けるか!!」

『そうかい………残念だよ』

そう言ってディスプレイの中で何かを押すクレイン。

「ぐっ!?」

その途端、バルトマンが胸を押さえてうずくまった。

『言うことを聞かないのなら聞かせるまでさ』

しばらくして立ち上がったバルトマンの目には光がなく、無表情だった。

『ここにいる全てを殺せ』

「イエス、マスター」

クレインをマスターと呼び、素直に従うバルトマンは斧に魔力を集中させる。

「くっ!?ディストーションフィールド展開!!」
「ボルティックブレイカー」

零治がフィールド展開したと同時にバルトマンの砲撃魔法が放たれた。

「加奈!!」
「フォースフィールド!!」

零治の叫び声と共にフォースフィールドを発動し、何とか耐えきることが出来た。
しかし後少し遅かったらフィールドを破られていた………

バルトマンの様子がさっきとは違う。
何があったのかは分からないが、あの子を助けるのにバルトマンはどうしても邪魔だ。
だったら………

「みんな聞いてくれ。俺はバルトマンを食い止める。その隙にあの子を助けろ」

「レイ!?」

「無理だよ1人じゃ!!」

「別に1人で勝てるなんて思ってない。只の足止めだ。アイツの事はこの中で一番知ってるし、適任だろ?」

「ですが………」
「でも………」

星とライは煮えきらない様子で呟く。

「夜美、お前は?」

迷っていたのか何も言ってこない夜美。
そんな夜美に俺は意見を求めた。

「………我はレイに任せる」

「「夜美!?」」

夜美の反応に驚く2人。

「………そうね、ここは零治に任せるわ」

シャイデも夜美の提案に乗った。

「でも!!」
「レイは別に一人で何とかするとは言っておらん。ただ食い止めると言ったのだ」
「確かにそうかも知れませんけど………」
「兄さん、2撃目来るよ!!」

星が迷っている中、加奈の声が響く。

「させるか、ジャンプ!!」

俺はジャンプし、その場から消える。
するとバルトマンは攻撃の手を止め、回りを見回し始めた。

(狙いは俺か、なら!!)

ブラックサレナなので約3秒ほど硬直してしまうが、バルトマンが俺に気がついたのは硬直も解けてから3秒ほどたった後だった。

その隙に両手にハンドガンを展開し、魔力弾を撒き散らす。
当然バルトマンには通じない。

「兄さんその攻撃じゃ!!」
「分かってるよ、だけど狙いは倒すことじゃない!」

撒き散らしながら加奈の質問に答える。

(まだか………)

横目である方向を見る。
バルトマンは魔力弾に押されているが、こっちにまっすぐ向かってきている。

「零治!!」

俺は咄嗟にジャンプ。
それと同時にバルトマンに巨大な砲撃魔法が直撃した………









「でやっ!?」

トーレがマリアージュをコアごと斬り裂き、消えるマリアージュ。
あれからずっと戦い続けているトーレ達であったが限界が近くなっていた。

「トーレ姉、下がって!!ISヘヴィバレル!!」

ディエチのチャージした砲撃が残りのマリアージュ達を飲みこむ。

「これで少しは時間を稼げる………」

「ディエチ後何発ぐらい撃てる?」

「フルチャージで五発撃てるかどうかって所」

そんな事を話していると再び現れるマリアージュ達。

「くそっ、キリが無い!!」
「クイックバレット!!」

現れた瞬間を狙って4つの魔力弾が再生中だったマリアージュ達のコアに当たった。

「再生中は無防備だっていうのがお決まりだからね」

「ランスター!!」

「お待たせ、みんな」

魔力弾を放ったのはティーダ・ランスター。
この場所で戦っているトーレ達に気が付き、一人ながらも向かってきた魔導師。

トーレ達の戦いかたに疑問を持ちながらも市民を守っていた所を見て、協力することにしたのだった。

「ティーダ速えよ………」
「ノーヴェが遅いだけっスよ」

「私はお前達みたいに空飛べねえんだよ!!」

先ずはここで囮をし、引き付けている内にここに避難した市民を近くの管理局の部隊に保護してもらうことにし、それにティーダとティーダのすぐ後に来たノーヴェとウェンディとセインのダメっ子シスターズが受け持った。
そしてちょうど4人が帰ってきたのだ。

「無事送り届けたよトーレ姉、後は撃退するだけだけど………」

「それにしても本当にしつこいっスねコイツ等………」

さっきティーダが倒したのにも関わらず再召喚されるマリアージュ。

「いったいいつまで続くんだよ………」

ノーヴェはそう呟き、ガンナックルを構えた。








「あぎゃー!!」
「うぎゃー!!」

レヴィとディアーチェが変な叫び声と共に光翼斬とアロンダイトがマリアージュに直撃した。

「………ねえシュテル、あの二人変な叫び声上げてたけど………」
「大丈夫ですユーリ。まだ大丈夫です」
「まだって言ったよね今!?」
「大丈夫です、あの2人を信じましょう」

「「ぎゃーす!!」」

「大丈夫なの、あの2人………」

ユーリの心は不安で一杯だった………

「どうでもいいけど………」
「真面目に戦いなさい!!」

そんな4人の様子を見て、2人奮闘している姉妹がいたとか………










「神崎ナイス!」

アイコンタクトで俺の言いたい事を理解してくれた神崎。
見事にうまくいった。

「出力から言えばSSSランクの集束魔法だ、いくら奴でも………」

そんな神崎の言葉も虚しく、現れたバルトマンは無傷であった。

「まさか………嘘だろ!?」

「一体何で………」

いくら聖王の鎧があるからって、SSSランク程の集束魔法を耐え切れる筈がない。
他に何らかの力が備わっているのか?

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

まるで本物の獣の様な叫び声を上げるバルトマン。

「!?速っ!!」

本物の獣の様なスピードで俺に迫る。

「ラグナル、アーベント!!」

『イエスマスター!!』

ブラックサレナでは追いつけないだろうと思い、すかさずアーベントになり、空を飛ぶ。

「ヴァイスリッター!?」
「アーベントだがな!!」

神崎の驚いた声に答えつつ、パルチザンランチャーを回しながら魔力弾を連射する。
しかし当然のように弾かれる魔力弾。分かっていたけど、これは流石に………

「全く、ユーリを相手してるみたいだ………」
『でしたらまた懐に潜り込んで………』
「あの時みたいに打ち込めればだけれどな………」

スフィアを飛ばしながら向かってくるバルトマンを避けながらそう思った。
相変わらず加奈はフェアリーで援護しようとしてるが、スピードに着いてこれないみたいで、神崎は双銃で魔力弾を撒き散らしてる。
援護してるみたいで通じるのなら助かるのだが、あの聖王の鎧がある限り無駄に等しい。

「こんな時に桐谷のアルトなら………」

『レミエルに頼るのは悔しいですけど確かにあの防御力と突進力、そしてあのステークなら………』

右手の5連ビームキャノンから魔力弾を飛ばし、スフィアを落としならが手を考える。
バルトマンもいつまでも同じでいる訳がない。

『動きさえ封じられれば………』

(加奈、バルトマンの動きを封じる方法無いか?)

念話で加奈に話しかけてみる。

(あるにはあるけど、それでもあのスピードをどうにかしてくれないと無理よ)

(あのスピードをか………足止めなら………よし、俺がバルトマンを止めるから出来るだけ強いバインドを頼む!神崎、お前はまたチャージを!!もしバリアブレイク出来たらぶっぱなせ!!)

(分かった!!)

やることが決まり、俺も覚悟を決める。

「行くぞラグナル、フルドライブ!!」

アーベントの赤い線が青くなった………











「くっ!?これでも駄目か………」

夜美の放ったアロンダイトはイクスヴェリアには届かず、イクスヴェリアを包み込むバリアーによって阻まれた。

「夜美!!」

夜美に迫ってきたマリアージュをライのハーケンで一閃。
その場に崩れ落ちた。

「すまぬ、助かった」

「フープバインド!!」

シャイデの紐の魔力により輪っかになった紐で縛られるマリアージュ。
身動きが取れなくなり、地面に転がり落ちた。

「凄いです………」
「私もやるもんでしょ。………だけどこれも時間稼ぎにしかならないわよね………」

星の賞賛にサムズアップして答えるシャイデ。
それに負けじと星はイクスヴェリアにルシフェリオンを構えた。

「ディザスターヒート!!」

星の放った3連弾の砲撃魔法もバリアーの前に無残に消え去る。

「こうなったら我の最大の攻撃で………」

そう思った瞬間、後ろから何かを感じた夜美はエルシニアクロイツを構えながら後ろを見ると、何かによって吹き飛ばされた。

「ぐっ!?」

「「夜美!!」」

すかさず星とライが受け止めた。

「一体誰が………」

そこまで言って夜美はその先の言葉がでなくなった。
何故なら………

「何でレイのブラックサレナが………?」

ブラックサレナに良く似た黒いロボットとブラックサレナに似た飛行型のロボットが複数現れたからだ………











「ヴァイスリッターが元の色になった………?」

まあアーベントはヴァイスリッターに似ているけど違うからな。

「行くぞ!!」

大きく、背中にある翼を広げ、魔力によるブーストと共に、超高速で動く俺。

「E、Bモードエクスキューションシフト!!」

高速移動しながらのEとBによる、集中砲火。
かなり動くため、出来れば使いたく無かったが………

「出し惜しみなしだ!!」

ダメージを受けなくとも衝撃により、足が止まるバルトマン。

「加奈!!」
「エンジェルリング!!」

バルトマンを中心に大きな光の輪が現れ、一気に縮小した。
それにより完全に動けなくなるバルトマン。

「狙うはあそこ!!」

さっきから怪しく光っている左胸にある赤い玉。
あれがバルトマンをおかしくしてるのではないかっていうのが俺の推測。

フルドライブのスピードそのままに、バルトマンの懐に突撃し、

「Gインパクトステーク、行け!!」

右腕にステークを展開して一気に貫いた。











「何なんだよこれ!!」

バリアーを張りながら突撃してくるブラックサレナ達。
光翼斬などの魔力弾で攻撃するが、関係無しに突っ込んで来る。

「ルベライト!!」

星がバインドで足を止めようとするも、零治と同じ様に展開するフィールドに、バインドも弾かれる。

「アロンダイト!!」

夜美のアロンダイトでようやくバリアーを貫き、足を止められたが、ダメージが薄い。

「くそっ、このままじゃ………」

バインドが主な戦い方のシャイデにはどうすることも出来ず、未だに動けるマリアージュを止めることしか出来なかった。

『どうだいシャイデ・ミナート、黒の亡霊との戦いで得たデータを元に、作り出した兵器は?』

「くっ、あの時襲ったのも………」

『最初は別さ。ただ単に出来た戦闘機人のデータを取ろうとして送っただけだよ。ただし2回目は別さ。あの時は魔力吸収の機能をテストすると同時に黒の亡霊のデータも目的の一つだったのさ。ただしあの時はなってくれなかったがね………まあ管理局のデータにあったから問題なかったがね………』

「管理局のデータ!?………あなたが閲覧できるって事は………まさか!!」

『そう、今回の事件も起こしたのは管理局の一人さ。昔の君の叔父の様にね』

「くっ………」

悔しそうに唇を噛み締めるシャイデ。

『まあそろそろ第二段階に進む。不死身のマリアージュ達で管理局の魔導師達も戦闘不能者が続出だろう………全てが彼の想定内で進んでいる』

「誰なのよ、それは………」

『おっと、つい喋りそうになってしまったね。まあそういう事だから計画の要であるマリアージュにはまだ働いてもらわなくてはならない。なのでイクス君には手を出さないで欲しいね』

「嫌よ、あの子は私が助ける」

『娘でも無いのにかい?』

「血の繋がりなんて関係無いわ。短い間だったけどあの子は私の娘だった。だったら最後まで面倒見るのが母親の役目よ」

『………そうかい、なら精々頑張ればいいさ。イクス、マリアージュ03の準備』

「い……や…………イエス………マス……ター」

「03………?」

『よく知ってるだろシャイデ・ミナート?君と黒の亡霊とウォーレン・アレストの3人には縁がある物さ………』

そう言われ、シャイデは一番考えたく無い推測が頭に浮かんだ。

「まさか………」

『ベヒモス………01は普通に爆発するマリアージュ。02は瞬間再生するマリアージュ。03はベヒモスまでにはいかないにしてもそれに匹敵するマリアージュ。もう少しだ、もう少しで準備が完了する………』

ディスプレイからクレインの笑い声が響き渡った。










「酷い………」

ミッドの上空、なのははあちこちから上がっている爆炎の煙を見て呟いた。

「本局と連絡が取れなくなってる………」

端末を閉じ、静かに言うフェイト。

「私の方は連絡取れたで。どうやら陸の方は市民の安全確保を優先して、空の魔導師が犯人と戦闘してるみたいや。だけど元々本局に人員を動員しすぎて、ミッドの街まで人が回って無いみたいやね………」

「シグナム達は?」

「聖王教会の防衛に出回っていてヴォルケンリッターはこっちにこれそうにあらへん………」

「厳しいね………」

「だけどやらなくちゃ………一人でも助けないと………」

「そうやなぁ………バルトマンの方は神崎のアホが行ってるみたいだから問題無いとしてもこれ以上被害を広げる訳にはいかヘん」

「うん、行こう2人共」

地球の魔導師、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやては爆発のあった方へ向かった………












「くっ………」

零治が放った高速移動による突撃からのインパクトステーク。
見事に左胸の赤い玉に当てる事は出来た。


しかしステークはバリアを貫通するまでで、赤い玉には触れる程度にしかならなかった………

「あああああああああ!!!」

バインドを引きちぎると同時に体内に貯めていた電気を一気に放出するバルトマン。

「ぐあああああ!!」

『マスター!!』

アーベントのまま、下へ落ちていく零治。
そんな零治に追撃に出る為、斧を構えるバルトマン。

「マズイ!!」

神崎はチャージしていたオメガブラスターを発射。
しかし易々と避けられてしまう。

「クソっ!!」

焦って発射してしまった自分に怒りながらもバルトマンを止めるためにソニックムーブで飛ぶ神崎。
しかしチャージの為、離れすぎてしまった為に、間に合わない。

「兄さん!!」

フォースフィールドを張るにしてもフォースフィールドはフィールド外からの攻撃は守るが、中からの攻撃は防げない。
バルトマンは何もせず、ただ純粋な攻撃で零治を斬り付けようとする。

「零治!!」

神崎の叫び声も零治には聞こえず、為すがまま斧が降り下ろされるが………

「レイに何をしているのですか………?」

斧を受け止めたのは金色の髪をした少女でその側には赤い装甲を纏った男と小さな妖精がいた………











「イクス!!」

クレインとの話が終わった途端、再び苦しみ出すイクスヴェリア。
マリアージュシステムを使うこと自体は自身に影響を及ぼす事が無いのはクレインが調査している時に既に分かっていた。

なのに苦しんでいる所から見ると………

「自分と戦っているのねイクス………」

近づいてきたマリアージュを魔力の糸で縛りながらそう呟く。
相変わらず、星達3人はブラックサレナ達に苦戦している。

私がどうにかしなければ………

「ならば一点に攻撃を集中すれば良い」

「えっ!?」

振り向くと同時にシャイデを凄いスピードで抜く人影が。

「そこだ!!」

その人影は自身の持っている槍でバリアーを突く。

「メガーヌ!!」
「行ってガリュー!!」

槍はバリアーに取り付き、そのまま突き刺さったままで固定された。

「!!」

メガーヌによって召喚されたガリューはその槍を思いっきり殴り、更にめり込ませる。

「よし、皆あの槍に魔力をぶつけろ!!」

槍を刺した張本人、ゼスト・グランガイツが叫ぶ。

「ゼストさん!?メガーヌさん!?くっ、ディザスターヒート!!」

ブラックサレナの攻撃を躱しながら。星の砲撃魔法が3連弾槍に直撃する。

「邪魔だよ偽者!!行って、光翼連斬!!」

近くに来たブラックサレナを斬り裂き、槍に向かって複数の斬撃の魔力弾が飛ぶ。

「よし、これで!!アロンダイト!!」

最後に夜美の砲撃魔法が槍に直撃した。

「どう!?」

「くっ、まだ足りん、もう少し出力を………」

ゼストは3人に言おうとしたが、再びブラックサレナ達と戦闘を始めてしまい、こっちに撃つ余裕がない。

「こうなったら………」
「ゼストさん、それは!?」

「分かっているメガーヌ、だがやるしかない」

そう言って自身の左胸に手を触れようとする瞬間。

「ブラストレイ!!」

大きな火球が槍に直撃した。
驚いたゼストは火球が飛んできた方向を見るとそこには大きな竜とその背中には2人の子供がいた。

「「「「キャロ!?ルー!?」」」」

2人の登場に驚く4人。

「何であなた達が!?」
「あれほど危険だと言っただろうが!!」

ゼストとメガーヌは2人が来たことに、怒り口調で話す。

「分かってます、危険だって事も、足手まといになるかも知れないって事も………だけど!!」
「私たちだって出来ることがあるもん!!だから………」

ルーテシアはそう言って集中する。

「おいで、地雷王!」

イクスヴェリアの頭上に巨大な甲虫があらわれ、そのまま落下していく。
そんな光景に驚いていたシャイデと星達3人だったが、シャイデが重要な事に気が付き我に返った。

「ってそれじゃイクスが潰れちゃうわよ!!」

シャイデが気が付いたが時すでに遅し。地雷王はそのまま乗っかった。
しかし、地雷王が乗っかってもバリアーには問題なかった。

「地雷王、放電」

ルーテシア の命令で地雷王が震え始める。
それと同時に放電が槍に注ぎ込まれる。

「………まあいい、よくやった。このエネルギーなら………ルー!そのでかい虫を下がらせろ!!」

ゼストさんの指示で地雷王を元の場所に転送すルーテシア。

「よし、これで条件は揃った。スカリエッティ、いくぞ!!」

ゼストはそう言って手元にあるボタンを押した。












「くっ………」

「零治、大丈夫か!?」

「アギト………?」

「兄さんしゃべらないで………ナース!」

加奈の魔法により俺と神崎が光に包まれる。
傷が塞がり、疲労も取れた気がする。

これならまたアーベントでフルドライブ行けそうだ。

「サンキュー加奈。………それでバルトマンは?」

「優理と桐谷が戦っているよ」

そう言って加奈が指差した先にはバルトマンと戦っている優理と赤い装甲の神崎が。
優理の攻撃をもろともせずに桐谷に襲いかかってる。

「な、な、なんでアルトが!?それにあの子は誰だ!?」

そんな神崎をスルーして戦いを見る。
桐谷はクレイモアを発射するも、やはり聖王の鎧を貫く事が出来ないみたいだ。
実弾であるのにも関わらず防ぐ辺り、鎧は万能みたいだ。

「だったら!!」

桐谷は右腕のリボルリングステークを構え、突っ込む。
しかし桐谷のアルトにあるのは突貫力。真っ直ぐ進むスピードには特化しているがそれ以外ではスピードはそれほど速くない。

「ぐっ!?」

装甲の厚さで攻撃をしのいでいるが、スピードでは完全に押されていた。

「くそっ、当たれ!!」

優理がフェイトの魔法、サンダーレイジで攻撃するも、降り注ぐ雷をもろともせずに桐谷に攻撃を集中するバルトマン。

「私は眼中に無いってこと………!!紫天の盟主を舐めないで!!」

怒りを込めて大きな槍を作りだす優理。
しかしそんな優理には目もくれず桐谷を攻めるバルトマン。

「優理」

「レイ!?何で………」

「優理、ここは俺達に任せて星達の援護に行ってくれ」

「えっ!?でも………」

「優理ちゃん………だっけ?」

そんな時、神崎が声をかけてきた。

「あっちの方だと更に敵が増えてきたみたいだ………ってフリード!?しかもあのでかい甲虫ってどこかで見たことあるぞ!?」

ああ、キャロ達もやっぱり来ちゃったか………
まあ何か来るような気はしたんだよな。

後で当然神崎から質問攻めされるだろうなぁ………

「まあそれは全て終わってからだ。それにあの黒いのは当然ブラックサレナだよな………」

俺のブラックサレナフォームより似ている。
見たまんまブラックサレナと高機動ブラックサレナだ。

たまたまなのかもしや………

「それも今考える事じゃない」

再びアーベントを展開し、パルチザンランチャーを構える俺。

「優理」

「………分かった!!だけどレイが大怪我したら管理局を灰にするからね!!」

そう言って飛び去っていく優理。

「なあ零治、管理局何もしてねえよな………?」
「大怪我だけはしないようにしないとな………」

「何でアギトが!?」

もうしつこい。













「これは………」

ゼストがバリアーに差した槍が、突然電磁波の様なものをバリアー全体に流し、バリアーを消し去った。

「一体何が起きたのだ!?」

『さしずめブレイクランスと言った所かな。急造したものだがうまくいって助かったよ』

「スカさん!!」

夜美の驚きに答えたのはスカリエッティだった。
ライは嬉しそうにスカリエッティの名前を呼ぶ。

『みな無事で良かったよ。それより速くイクス君の確保をシャイデ・ミナート』

「!!」

スカリエッティに言われ、急ぎイクスヴェリアに向かうシャイデ。
しかしイクスヴェリアを守るようにブラックサレナ達が再び現れた。

「邪魔はさせん!!」

ゼストが槍のデバイスで道をこじ開ける。

「フリード!!ブラストフレア!!」

キャロがフリードを使い、火球を放つ。

「ガリュー、お願い!!」
「インセクト、協力して!!」

ガリューがメガーヌの命令と共に、ブラックサレナに向かう。
ルーテシアは新たに虫たちを召喚する。

「ライ、夜美、私達も!!」
「うん!!」
「分かっておる!!」

戦っていたブラックサレナ達を一点に誘導し、3人による多重バインド。
固まって動けなくなったブラックサレナ達にデバイスを向ける。

「行きます!!」
「家族の為に!!」
「全てを飲み込め!!」

デバイスの先を合せ、それぞれの魔力を集束させていく。

「「「マテリアルブレイカー!!」」」

オレンジ、青、紫の3色の砲撃魔法は固まったブラックサレナとその先にいるブラックサレナもろとも飲み込んだ………











「あれって………」

なのは達の視線の先には小さい星達が写った。
無限に湧いてくるマリアージュ達に囲まれ、全員肩で息をしている。

「なのは!!」

「うん、行こう2人共!!」








「ぜえぜえ………一体何人いるのだ………」
「もうヘトヘトだよ………」
「ユーリ、大丈夫ですか?」
「シュテルこそ………」

「姉さん、一体何人倒した………?」
「50過ぎてから数えてない。王様達はもっと倒してると思うよ………」

キリエとアミタからも疲労からか声に元気が無い。
既にこの6人は満身創痍だった。

「だけど負けられません、今まさにレイ達も戦っているんです」
「ううっ………ライ達大丈夫かな?」
「ふん、大きい我もいるのだ。大丈夫に決まっている!!」
「むしろ私達が助けにいかなくちゃいけませんね………」

下ろしていた腕に再び力を入れ、戦う準備をする4人。

「あの子達………」
「チビッ子達が頑張ってるのに、先にダウンなんて出来ないわね………」
「当然です!私達も気合入れて頑張りましょう!!」

そんな4人に感化され、気合を入れ直すキリエとアミタ。
この場にいた6人の目には諦めの色は無かった。

「ディバイン………バスター!!」

そんな中。マリアージュ達に桜色の砲撃魔法が直撃した………












「ランスター!!」

「リフレクバレット!!」

トーレの声に反応して、ディーダは魔力弾を建物に向かって放った。魔力弾はビルに当たると跳ね返ってティーダを襲おうとしていたマリアージュに直撃する。

「ランブルデトネイター!!」

空中に展開していたナイフが一斉に爆発する。

「であっ!!」

ノーヴェのガンナックルがマリアージュを吹っ飛ばす。

「カットバック、ドロップターン!!」

波に乗るように上がっていったウェンディ、そのまま真っ直ぐ下に落ちていき、マリアージュに突撃した。

「ショットカノン!!」

ディエチは自身のイノーメスカノンからショットガンの様に散弾するエネルギー弾を発射した。

「油断するなランスター!!」

「ありがとうトーレさん」

背中を合わせ、向かってくるマリアージュの攻撃をさばく。

「くっ、まだ来るか………」
「このままじゃジリ貧ですね………本当に取り返しのつかない事になる………」

零距離から魔力弾を放ちながらティーダは呟いた………










「星、ライ、夜美、みんな………」

シャイデは真っ直ぐイクスヴェリアの居る所に向かう。
ブラックサレナだけでは無く、マリアージュも攻撃してくるが、止まらず、突き進む。

しかしその前にマリアージュが固まって武器を持って待ち構えている。

「くっ!?」

流石に止まろうとしたが、後ろにブラックサレナの1機が現れ、向かってきている。

「こんな時に!!」

ハンニバルから魔力の糸を伸ばし、何とか道を作ろうとした時、


マリアージュ達に魔力の槍が降り注いだ。

「シャイデ、行って!!」

「優理!!」

マリアージュ達を何とかした優理はシャイデの後ろにいたブラックサレナにエターナルソードを投げつけ、突撃を止める。

「ここは私が抑えるから!!」

「ありがとう!!」

シャイデはお礼を行って、先に進む。
そして………

「イクス………」

とうとうその場所にたどり着いた……… 
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