八条学園怪異譚
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第十話 大学の博士その四
「ここはね」
「そうね。じゃあ」
丁度ここで聖花は二人の傍の駐輪場に黒と銀の配色のサイドカーを止めた大学生と思われる背が高く精悍な感じの青年に気付いた。その青年を見て愛実に言う。
「あの人に聞いてみる?」
「今サイドカーから降りた人?」
「そう。あの人にね」
こう言うのである。
「そうする?」
「そうね。あの人にね」
愛実もその青年を見ながら愛実に対して述べる。
「聞いてみよう。それにしても」
「あのサイドカーって」
サイドカー自体が珍しいがそのデザインもだった。
機械の部分が出ておらず絶対に覆いがしてある感じだ。そのサイドカーも見てそのうえで二人で話すのだった。
愛実がこう聖花に話した。
「格好いいけれど何か」
「凄く目立ってね」
「一度見たら忘れられない感じよね」
「ちょっとね」
二人でサイドカーの話もする。そしてだった。
その青年のところに来て二人で声をかけた。
「あのいいですか?」
「教えて欲しいことがあるんですけれど」
「君達は」
見れば全体的に鋭い感じだ。そして言葉遣いは無愛想な感じだ。
その青年がこう二人に話す。
「八条学園の生徒か」
「はい、高等部の商業科の一年です」
「そこにいます」
「そうだな。高等部の制服の一つだな」
「うちの学園って制服覆いですけれど」
「そのうちの一つです」
二人も制服のことについて青年に答える。
「それでなんですけれど」
「お尋ねしたいことがありまして」
「何だ」
「悪魔博士って人が大学にいるらしいですけれど」
「何処におられますか?」
「あの博士か」
青年は二人の話を聞いただけですぐに察した様だ。それで二人にこう言うのだった。
「博士に会いたいのか」
「はい、出来れば」
「そうしたいんですけれど」
その通りだと二人も答える。
「若し博士の研究室とか御存知なら教えてくれますか?」
「博士は何処におられるのか」
「丁度今から俺も行くところだ」
二人にとって好都合なことに青年はこう答えてきた。
「なら案内しようか」
「はい、お願いします」
「それじゃあ」
二人は渡りに舟といった感じで青年に答えた。
こうして二人は大学の正門から少し離れた校舎の一つに案内された。そこの一階の研究室の一つだった。
青年はその扉の前で所在を見て言った。
「いるな」
「おられるんですか、今」
「この研究室に」
「いる。ただな」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「知らない人が見ればかなり風変わりな人だ」
それが博士だというのだ。
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