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八条学園怪異譚

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第十話 大学の博士その三


 だが今そのことを知ってこう言うのだった。
「成程ね」
「そう。試験に受かればいいから」
「そういえばあの博士もよね」
「そう。専門分野が何かは知らないけれど」
「博士号を一杯持ってるのよね」
「どの学部を出たかが問題じゃないの」
 では何が問題なのか、聖花は愛実にこう話す。
「どういった勉強をしたのかなのよ」
「それでどうなるかなのね」
「そう、それが大事なの」
「ううん、何かここまで考えたことって」
 なかったとだ。愛実はしみじみとした口調で話した。
「じゃあ私が商学部出ても公務員になれるのね」
「なろうと思えばね」
「そういうものなのね」
「そう、何なら一緒に弁護士になる?」
「あr、それはいいから」
 愛実は聖花のその誘いは笑っていいとした。
「別にね」
「弁護士にはならないのね」
「今のところ興味はないから」
 それでだというのだ。愛実はとりあえずは聖花の今の誘いは断った。
 だが大学に行き博士と会うことについてはこう答えた。
「けれど大学は」
「そう、行こう」
 こう答えるのだった。そうして。
 昼休みに大学に行く。しかしだった。
 愛実は大学に入りまずはこう聖花に言ったのだった。
「あのね」
「大学のことよね」
「広過ぎない?」 
 森さえあるキャンバスを前にしての言葉である。
「ちょっとこれは」
「確かにね。これはね」
「でしょ?噂には聞いてたけれど」
「牧場もあるからね、この大学」
「そういえば農学部もあるのよね」
「そう。何でも広さでは世界屈指らしいから」
 聖花は衝撃の事実を語る。
「迷路みたいよね」
「そうね。何か」
 あちこちに校舎が見えるが尋常な数ではない。森の中にさえ見える。
 そのキャンバスの入り口で彼は愛実はまた聖花に言う。
「ちょっと。これは」
「何処が何処なのか」
「というか広過ぎるわよ」
 愛実は唸る顔で言った。
「ここを探せって言われても」
「ちょっとね」
 二人でぼやいてしまう。このことはどうしてもだった。
「お昼休みで博士のところに辿り着けると思う?」
「無理よね」
 誰がどう見てもだった。
「これは困ったわね」
「どうしたものかしら」
 二人で大学の入り口で悩む。しかし二人はすぐに解決案を見出した、それはどういったものかというと。
「人に聞く?」
「大学の人によね」
 愛実が提案し聖花が応える。
「そうしようっていうのね」
「うん、私達じゃお昼休みに博士のところまで行くのは無理だから」
 場所がわからないうえに広い、それではだ。
「ここはね」
「ちゃんと見つけてよね」
「そう、そうしよう」 
 愛実はこう聖花に提案する。 
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