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髑髏天使

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第三十話 智天その十三


「では行くとしよう」
「それじゃあね」
 目玉はその牧村に対して告げてきた。
「健闘を祈るよ」
「生きるか死ぬか」
「それが魔物との闘いだ」
「俺は生きる」
 牧村は静かに述べた。
「それだけだ」
「生きるのだな」
「何があろうともだ」
 こうまで言うのであった。
「俺は生きる」
「その言葉実現することも祈るよ」
 目玉の今回の言葉は牧村に対して実に好意的なものであった。
「本当にね」
「受け取っておく」
「どうも」
「ではだ」
「またね」
 こう話してであった。目玉は一旦消えた。後に残ったのは死神だけであった。
 その彼はだ。牧村に対して静かに言ってきた。
「いいか」
「闘いか」
「そうだ。それだ」
 そのこと以外には有り得なかった。
「闘いはあのプールの中だ」
「あの場所で闘うことになるか」
「場所はそれでいいな」
「場所は何処でもいい」
 それはいいと返す彼であった。
「倒す。それだけだ」
「そうか。相変わらずだな」
「では相手は誰だ?」
 今度はそのことを問うのであった。
「今回の相手は」
「中に入ればわかる」
 それはだというのだ。
「それはだ」
「そうか。それではだ」
「行くとしよう」 
 自分から前に出たうえでの言葉である。
「ではな」
「いいだろう。それではだ」
 死神がプールとこちらを隔てているそのガラスに目をやるとであった。ガラスの中央がゆっくりと溶けてである。丸い大きな穴が開いたのだった。
 そしてその穴を見ながら。さらに言う彼であった。
「入るとしよう」
「ガラスに穴を開けたのか」
「閉じることもできる」
 こうも言う死神だった。
「開けるのも開くのもだ」
「便利な術だな」
「身に着けておいて損はない」
 死神は術についても話す。
「こういう術もだ」
「そうか。それではだ」
「行くとしよう」
 二人はその穴を潜りであった。プールの中に入った。中に入るとである。プールサイドの向こう側にもう二人の魔神が立っているのであった。
「今回はだ」
「僕達が相手だよ」
 男と小男であった。その二人がそこにいた。
 そうしてそのうえで。牧村と死神に対して声をかけてきたのであった。
「いいな、それで」
「嫌なら別の仲間が来るのだけれど」
「俺の考えはもうわかっている筈だ」
 牧村は鋭い声で彼等の言葉に返した。 
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