髑髏天使
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第三十話 智天その十四
「それはだ」
「闘うのだな」
「僕達と」
「そうだ」
まさにそうだと返すだけだった。今の牧村はだ。
「その通りだ。では来るがいい」
「わかったよ。それではだ」
「僕達も」
こう言ってであった。二人はそれぞれの魔神を出してきたのであった。
男は一旦目を閉じた。そうして開くとであった。
後ろからピエロが出て来た。しかしそのピエロは普通のピエロではなかった。
手に鋭い刀を持っている。片刃の鋭く曲がった刀をである。
「この道化師はだ」
「何だというのだ?」
「殺人道化師だ」
それだと答える男であった。
「これはだ」
「そうか。殺人道化師か」
「これが名前だ」
この魔物の名前だという。ピエロは化粧をしている。白地に緑と赤の派手で、それでいて実に毒々しい化粧をしている。それは衣装もである。
丸い玉があちこちに付いている。その玉がしきりに動く。魔物はその中で何処か邪な笑みを浮かべてである。そのうえで言うのであった。
「相手はこれでいいか」
「望むところだ」
これが牧村の返答だった。
「では俺の相手はこれで決まりだな」
「そうか。それではだ」
彼の相手は決まった。そうしてであった。
死神は小男と対している。小男の方から言ってきた。
「それじゃあ」
「貴様の魔物は何だ」
「鰐かな」
それだというのであった。
「鰐だよ」
「鰐か」
「オセアニアは鰐も多くてね」
魔神は笑いながら話してきた。
「鮫人の他にもいるんだよ」
「今度は鰐人だというのか」
「その通り。それじゃあ」
「出すといい」
死神から誘う言葉であった。
「早速な」
「そうさせてもらうよ。じゃあ」
「はい」
こう言ってであった。そこに魔物が出て来た。プールの中に巨大な鰐がいた。その大きさは精々三メートル程である。しかしである。
「泳げるな」
「鰐だからね」
「しかも水以外の場所もだ」
こんなことを言ってみせた死神だった。
「泳げるな」
「あれ、わかるんだ」
「勘だ」
それによりわかるというのである。
「前の鮫の時といいな」
「この鰐はただの鰐じゃないんだよ」
小男も笑いながら肯定の言葉を述べてきた。
「実際ね。水の中だけじゃなくて」
「空もか」
「そうだよ。まあ楽しめるとは思うよ」
実際に楽しげに笑いながらの今の言葉だった。
「これからね」
「それならそうさせてもらう」
魔神のその言葉を受けて返したものであった。
「今からな」
「それじゃあ」
「来い」
受けて立つ言葉だった。
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