インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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始まるタグマッチ
とうとうタッグマッチの日がやってきた。
「それでは、開会の挨拶を更識楯無生徒会長からしていただきます」
虚先輩がそう言って一歩下がると、楯無が前に出た。
「どうも、皆さん。今日は専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、試合内容は生徒の皆さんにとってとても勉強になると思います。しっかりと見ていてください」
珍しく真面目なことを言うが、むしろ逆に怪しかった。
(絶対に何かを企んでいるな)
『そうね』
またあの時みたいに俺を賞品にするのだろうかとか考えていた。
「まあ、それはそれとして!」
楯無は自分の扇子を開いた。そこには「博徒」の文字―――まさか………
「今日は生徒全員に楽しんでもらうために、生徒会である企画を考えました。名付けて『優勝ペア予想応援・食券争奪戦』!」
さすがは楯無。完全に法律違反を普通にやる。まぁIS学園はその特殊上は治外法権だが、教育上はよろしくない。
「って、それ賭けじゃないですか!」
「織斑副会長、安心しなさい」
「え?」
「根回しはすでに終わっているから」
そういえば、教師陣の誰も反対していない。織斑先生は頭を抑えているが。
「それに賭けじゃありません。あくまで応援です。自分の所見を使ってそのレベルを示すだけです。そして見事優勝ペアを当てたら配当されるだけです」
「そ、それを賭けって言うんです!」
でもよかった。俺が犠牲にならなくて。
「では対戦表を発表します!」
そう言うと楯無の後ろに空中投影ディスプレイが楯無さんの後ろに現れた。
『第一試合 織斑一夏&篠ノ之箒VS更識楯無&更識簪
第二試合 シャルロット・デュノア&ラウラ・ボーデヴィッヒVSダリル・ケイシー&フォルテ・サファイア
第三試合 セシリア・オルコット&凰鈴音VS風宮祐人』
ふーん。最初はオルコットと凰が相手か。
『私に代わりなさい』
(いや、ダメだろ………)
まぁ、改良されたディアンルグなら倒すぐらい造作もないだろうけど、それに―――ちょうどいいと思ったりする。
■■■
今回は時間調整もあり、第三アリーナで試合をするらしい。
「かざみん、かざみん」
「本音か」
着替えるために移動していると、本音が俺の方にやってきた。その後ろには相川と鷹月、それに谷本や鏡もだ。
「どうしたんだ? 最初は一夏の試合だぞ」
すると五人は一斉にチケットを見せた。………売買なんてやっていたのかよ。
「違うよ~。私のコネで配ったんだよ~」
いいのかよ、それ………。
そう思っていると、
「でも、大丈夫なの? 最初の相手はセシリアに凰さんだよ?」
相川がそう聞いてくるが、俺は問題ないと答えた。
「デュノアとボーデヴィッヒなら苦戦は間違いなかっただろうけど、あの二人なら策はある」
「……その笑からしてろくな策じゃないのはわかったわ」
真面目の塊の鷹月がはぁとため息をついた。
「とにかく、ほら、本音を抱いてみて」
「ん? わかった」
意図はわからないが谷本の言う通り本音を抱きかかえると、
「にぱ~」
「………」
「あれ? コメントは?」
「………キス、していい?」
「ふぇッ!? ………いい、よ?」
と、何故か至極真面目に返してきた。
「あ~、甘い甘い。ちょっと私、コーヒー飲んでくるわ」
そう言って鏡がどこかに行こうとするが、
『大変よ! あの鉄屑がこっちに向かって―――』
―――ズドォオオオンッ!!!
急に地面が揺れ、俺たちはその場に屈んだ。
『ヤバいわ。8機の内、こっちに3機向かってきてる!』
それを聞くと同時に俺は五人を抱えた。
「え、ちょ―――」
「言い訳は後で聞く! 今は校舎地下のシェルターに移動する!」
そう言うと同時にハデスに悪鬼回廊を開かせてその場から校舎に移動した。
「うぇええ……」
「気持ち悪い」
「気付けに飲んどけ」
五人に栄養ドリンクを渡すと、そのまま校舎に向かわせた。
「祐人!」
俺の姿を見つけた虚先輩がこっちに向かってきた。
「避難状況は?」
「ほとんどの生徒がシェルターに避難したわ。さぁ、あなたも早く―――」
虚先輩は言葉を切った。その理由は姿形は違うが無人機が1機こちらに飛来した。
その無人機は俺を見て、虚先輩を見ると同時にそっちに向かって熱線を発射した。
急いでディアンルグを展開してその場に割って入る。
「祐人!」
「大丈夫! だからあなたは早く―――グハッ!!」
よそ見をしていると無人機が俺を蹴り、校舎に叩きつけられた。そのせいで校舎は半壊。
(セバス。被害は?)
『布仏虚は健全。怪我なし―――そして校舎内にいる生徒・教員ともに健在。たまたま誰もいない場所でした。―――ですが、無人機の腕部から未知のエネルギーが放出され、シールドバリアー展開に障害が発生しています。今は解析中ですが、これによって絶対防御機能が発揮できません』
なるほど、それで今はディアンルグはただ空を飛べる鎧でしかない状況か。
それを納得すると俺は《斬魂》を右手に《スワロー》一丁を左手に展開すると、その後に同型の無人機が2機降りてきた。
「―――ウッ!!」
途端に俺に頭痛が襲った。
―――○様、あなたは逃げてください
―――……でも、祐人を置いて……なんて……
そして頭に銃声が鳴り響いた。
―――もう、うんざりなんだよ。お前みたいな弱虫を守るなんて
―――あ、ああ……
―――ほら、とっとと失せろ。邪魔だ
その言葉を最後に、俺は気を失った。
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