インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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孤独ですが何か?
「………ハハハ………ハハハハ………」
俺は今、呆然としていた。
翌日、そして朝のSHRで全学年専用機持ちタッグマッチについて説明された。その際に俺は単独で出ることが決定された。学年上層部は何があっても話さないのでディアンルグのデータを取りたいらしく、それゆえの決定らしい。
そして今は休み時間。一夏にラヴァーズが詰め寄っていた。
「一夏、当然私とだな?」
「一夏さん、わたくしとですわよね?」
「一夏、アタシと組みなさい!」
「一夏、僕と組むよね?」
「何を言っている。一夏は私と組むのだ。そうだろう?」
誰にしようかと迷っており、そしてたまたま俺と目があった。
それをどう解釈したのか、一夏はこっちに来て、
「なぁ、どうすればいい?」
その時、俺は完全にブチギレた。
「はぁ? んなもん機体相性からして篠ノ之以外にどこにいるっつうんだよ。ってかこっちは一人で戦えだぞ。当てつけか? 一人でしか戦えない俺に対する当てつけか? いいよなぁお前は。選り取りみどり選べてよぉ」
「あ、いや………その………」
「おら、とっとと席に着け」
「あ、ああ」
俺が睨むと怖気付いた一夏はさっさと自分の席に戻っていった。
■■■
そして二時間目終了後、俺は寝ようとして―――
「やっほー、織斑君、風宮君、篠ノ之さん」
二年の捏造女が現れた。
「あれ、どうしたんですか?」
「いやー、ちょっと三人に頼みがあって」
お断りだな。
「頼み? 私と一夏と風宮にですか?」
「うん、そう。あのね、私の姉って出版社で働いているんだけど、専用機持ちとして三人に独占インタビューさせてくれないかな?」
うん、三人とも。どうして俺の近くでそんな話をするんだ?
「えっと、あのー、この雑誌ISと関係なくないですか?」
一夏がそう言っていたので俺はそれを見ると、詳しいことはわからないが確かに違うな。
「ん? あれ? ふたりはこういう仕事初めて? 風宮君は?」
「アンタが最初に突撃インタビューしにきたこと以外はないな」
「……あれ? どうしてそんなに不機嫌なの?」
「気にするな。んで、IS無関係の雑誌会社に何で俺たちがインタビューされないといけないんだ?」
「えっとね、専用機持ちって普通は国家代表からその候補生のどっちかだから、タレント的なこともするのよ。国家公認アイドルっていうか、主にモデルだけど。あ、国によっては俳優業とかもするみたいだけど」
へぇ~。まぁ、俺はパスだけど。
「なによ、一夏。モデルやったことないわけ?仕方ないわね、あたしの写真を見せてあげるわよ」
突然現れた凰の「見てもらいたい」という魂胆は見え見えだったがそれを断られていた。
(簪とか、楯無とかも撮っているのだろうか?)
ふとそんな疑問も生じたが、それは向こうの都合。こっちが気にする道理はない―――んだけど、
(あ、過保護か………)
そう思っておこう。そうでもしないと、何か取り返しがつかないことを思いそうだから。
「で、風宮君。君はどうかな?」
「悪いが俺はパスだ。別にすることがあるからな」
後で整備室の用意しないとな。
「そういえば、本音は簪の機体整備か?」
「そうなるだろうね~」
じゃあ、俺は一人か………。
そう思っていると、俺は本音に頭を撫でられた。その時にいつもみたいに膝に乗せて抱きつくのは仕方ないと思う。
■■■
その日の放課後、俺は整備室でディアンルグを魔改造していた。
「あら、大々的な改造をするのね」
後ろから楯無が現れた。
「何の用だ?」
「ちょっとした偵察よ。それにしても、スラスターを大型化させるのね。燃費は大丈夫なの?」
「知りたいならおっぱい揉ませろ」
「あら、おやすい御用よ」
そう言って背中を反るが、
「俺が揉みたいのは簪のでお前のじゃない―――そしてその銃をしまえ」
ちょっとした冗談も今の楯無には通用しないのか………。
「さっきの言葉を撤回すると言うのなら、考えてもいいわよ」
「する気ないから―――待て! 撤回をする気がないんじゃない! 揉む気がないんだ!」
確かに今の解釈をしたらそうなるけどさ。もうちょっと人の話を聞いて欲しいんだよ。
「それで、今回はどう改造する気なの?」
「スラスター大型化の趣旨は間違いないんだけど、まぁそれは試合を見てくれればわかる。それよりも、お前は今回は誰と組むんだ?」
「簪ちゃんと!」
その瞬間、周りに何故かお花畑が現れて楯無を囲む。それほど嬉しいとはな。
「ああ。それを実現するために俺を孤立させたと」
「違うわよ」
「つまり、あなたのディアンルグの性能を確かめるのと、あなた自身の性能ね。今のところ1年最強は模擬戦の結果からしてあなたってことになっているから」
それで俺が孤立か。上層部も卑怯な手を使ってくるな。
「………って、言うのもあるけど」
「何だその言い方。まるでそれ以外にもあるんだけど聞いて欲しいなぁみたいなって反応だな」
「………まぁ、そうなんだけど」
ちなみに今は俺の部屋だ。防諜フィールドを展開しているため、例えどんなに高性能な盗聴機や監視カメラでも情報を取得できない。おそらく今はまったく別の映像や音楽が流れたりしているだろう。
「別に、知って欲しくなかったら話さなくてもいいぞ」
「え?」
俺の言ったことが意外だったのか、楯無が驚いた。
「どうせ人間は少なからず自分の保身のために行動するんだ。だから無所属で篠ノ之束が直接関与していない専用機のスペックが欲しいとか、今は表立って行動できないけど狙っている奴とかがいるんだろ? それくらいは予想していたしな」
それを最後にこの会合はお開きになった。
そしてしばらくディアンルグの武装とかをいじっていてから寝た。
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