とある星の力を使いし者
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第8話
前書き
2話連続投稿
美琴達と喫茶店で話を終えた麻生はまた散歩を再開していたが美琴達と話をして疲れたのか寮に戻る事にする。
寮の前につくと上条がそこに立っているのだがまわりには自転車が何台も倒れており上条はずっと上の方を見ていて何か考え事をしているようだ。
「おい、そこで何やっているんだ?」
「!?・・・・何だ、麻生か。」
麻生が声をかけると一瞬驚いた顔をしてこっちを見るが声の主が麻生だと分かると途端に上条は安心した顔をする。
麻生は上条が学生寮を見上げていたのを思い出し麻生も同じように見上げるとそこには炎でできて人の様な形をした者が二階の手すりを持ちながらこちらを見ていた。
上条はあの炎の化け物に麻生が気づいた事にどうやって説明しようか悩んでいると意外な言葉が麻生の口から出てきた。
「へぇ~「魔女狩りの王」か。
実際に見るのは初めてだな。」
「ど、どうして麻生はあれの名前を知っているんだ!?」
「理由はないな。
ただ知っている、それだけだ。」
麻生は上条にあれがいる原因を聞く。
上条はあれはステイルと言う男が魔術によって作られた物だと説明して、インデックスを追って来ていた奴らはあいつらの事という事をそしてインデックスが重傷である事を麻生に説明する。
説明を聞いた麻生は結局お前の不幸が招いた事か、と言うと興味をなくしたのか学生寮に入ろうとするので上条がそれを止める。
「ちょっと待てよ!!
お前はインデックスが重傷で死にかけているのにもしあいつらに捕まったら何をされるか分からない状況でお前はインデックスを放っておくのかよ!!!」
「そうだ、別にあいつらが何をしようとも俺に被害が及ばなかったら何をしてても俺は邪魔はしない。
それにインデックスと俺はご飯を作ってあげた仲、それだけだ。
あいつらの事情に深く関わるつもりはない。」
関わるだけで面倒だと麻生は言い放った。
その言葉を聞いた上条は麻生の胸ぐらを強く掴んだ。
「何でそんなことが言えるんだよ!!!
全くの赤の他人なら関わりたくないって気持ちはわかる、でもお前はインデックスが今どういう状況にいるのか知ってるだろう!!!」
上条は麻生があんな言葉を言った事がつらかったのだ。
なんだかんだ言いつつも自分の不幸や勝手な行動に付き合ってくれる麻生の口からそんなことを聞きたくなかったのだ。
麻生はそんな上条を見ながら思う、もし自分が星の真理を見なければこいつの手助けをしてたのだろうか?麻生はおそらく手助けするだろうな、と思いながら胸ぐらを掴んでいる上条の手を振りほどく。
「生憎これが俺の性格でな。
自分から決して動かないが誰かが助けを俺に求めない限り動かない。
俺はそういった人間だ。」
麻生は何で上条にこんな事を言ったんだろうな、と自分に疑問を持つ。
いつもの麻生ならこんな面倒事に関わろうとはしない、もしかしたら自分でも気づかない内に上条の性格に影響されているのかもしれない。
麻生の言葉を聞いて上条は少し笑いながら麻生に言った。
「麻生、一緒にインデックスを助けてくれ。」
麻生は大きくため息を吐くと上を見上げて上から落ちてきたオレンジ色にひしゃげた金属の手すりを受け止める。
「敵の注意は俺が引き付ける。
その間に上条は非常階段を登ってインデックスを確保して安全な所に避難及び治療しろ。
俺が手伝うのはここまでだ。」
麻生が一緒にインデックスを助けてくれるの事に上条は嬉しく思うがどうやって注意を引き付けるんだ?と上条は疑問に思う。
なんせ相手は魔術師とあの炎の巨神の二つを同時に相手にしないといけないのだ、上条は学生寮に入ろうとする麻生にその事を伝えると麻生は少し楽しそうな顔をして答える。
「安心しろ、俺を殺せるのは神様や天使くらいだ。」
ステイルは煙草を吸いながら学生寮から飛び出した上条が戻ってこない事について考えていた。
「魔女狩りの王」に怯えて逃げ出したのか?、と考えそれなら早くインデックスを回収して立ち去ろうとした時、後ろの方からキンコーンと音が聞こえた。
ステイルは上条が戻ってきたのか?、と思ったがそれはあり得ないと考える。
「魔女狩りの王」は戦闘機に積んだ最新鋭のミサイルと同じような物で一度でもロックしたら絶対に逃げ切る事は不可能で例え隠れたとしても三〇〇〇度という炎の塊は障害物や壁、鋼鉄さえも溶かして一直線に進んでくる。
もしエレベーターのような密室に逃げれば確実に「魔女狩りの王」に殺されてしまう。
なら誰が?と思い小刻みに揺れながらステイルは振り向くとそこには上条ではなく白髪に黒一色の服を着た男、麻生恭介が立っていた。
ステイルは上条でないことに少しホッ、として麻生に話しかける。
「君は此処に住んでいる生徒なのかな?」
ステイルは必要以上に騒ぎを起こしたくないので、あくまで魔術師としての顔を伏せようとしたが麻生が次に放った言葉で意味をなくす。
「無理をしなくてもいいぜ、魔術師。」
その言葉を聞くとステイルの周りの空気が一変する。
そして「魔女狩りの王」、と呟くとステイルの元にあの炎の巨神が戻ってくる。
「もしかして君もあの子の事を知っているのか。」
「まぁ事情だけな。
本来は魔術側に関わるつもりはなかったんだがな。」
ステイルは「魔女狩りの王」に命ずる。
殺せ、と。
その命令を遂行するかのように「魔女狩りの王」は麻生に向かって突進して麻生をその三〇〇〇度の炎で包み込んだ。
ステイルは一般人相手にやりすぎたな、と少し反省しようと思った時だった、カツンと「魔女狩りの王」の中から麻生が服が少しも燃える事なくステイルに向かって歩いていた。
ステイルはその光景を見て言葉を失った。
先ほどの上条は右手だけで「魔女狩りの王」打ち消していた。
それだけでみても非常に驚く所だがあくまで上条の幻想殺し(イマジンブレイカー)は右手だけなので、さっきの様に「魔女狩りの王」に包まれれば確実に死んでしまう。
それなのに麻生は火傷一つなくステイルに向かって少し笑みを浮かべながら歩いていた。
「い、「魔女狩りの王」!!!!」
ステイルがそう叫ぶと「魔女狩りの王」は再び麻生に向かって突進する。
「邪魔だ、そこで凍ってろ」
その言葉と同時に「魔女狩りの王」の身体が一瞬にして凍りつくが、「魔女狩りの王」の炎の温度は三〇〇〇度近くあるので凍った所で、すぐにその氷を溶かし麻生に突進する筈だ、とステイルは考えていたが一向に「魔女狩りの王」は動き出さない。
「どうした、「魔女狩りの王」!!!!
さっさとその男を殺せ!!!!」
「無駄だ、そいつは動かないよ。
その氷はただの氷じゃない。
魔力を練りこんで封印の術式をかけているからな。
「魔女狩りの王」でもその氷から出る事は不可能だ。」
ステイルは麻生の言っている事が信じられなかった。
「魔女狩りの王」を凍らせ封じる魔術などステイルは聞いた事がなかったからだ。
麻生はゆっくりとステイルに向かって歩いていく。
「それとお前の「魔女狩りの王」には色々弱点が多すぎる。
特に駄目なのがこれだ。」
そう言って麻生はステイルがこの学生寮に張り付けたルーンが書かれている紙を取り出す。
「これはコピー用紙を使っているみたいだがこれじゃあ水に濡れた途端、書かれているインクがとれてしまうぞ。
後、ルーンの紙の配置が集中しすぎているから簡単に「魔女狩りの王」をこちらが操る事だってできた。」
ステイルはこの男は何者なんだと、思う。
この学園都市の人間なのにやたら魔術に詳しくこっちの魔術にダメ出しをするなど、普通の学生とは到底思えない。
ステイルは呪文を唱え炎の剣を右手に作る。
「お、お前は一体何者なんだ!!!!」
そう言いながら炎の剣を麻生に向かって振りかぶる。
その炎の剣の温度は三〇〇〇度近くあるがその炎の剣を麻生は右手で受け止めた。
「ただの通りすがりの一般人Aだ。」
右手で炎の剣を握り潰し左手で拳を作りその拳がステイルの顔面に突き刺さり向こうの壁まで吹き飛ぶとそのままステイルの意識は途切れる。
麻生は指をパチン!!と鳴らすと「魔女狩りの王」の氷が砕けステイルが気絶したのかそのまま「魔女狩りの王」は燃え尽きてしまう。
どうやらインデックスは上条がうまく回収して逃げる事が出来たようだ。
それを確認すると麻生は欠伸をしながらいつも通り自分の部屋に入りベットに寝ころびそのまま睡眠をとるのだった。
朝になって携帯の音が鳴りそれで麻生は目を覚まし携帯をとり画面を見るとその名前は上条当麻と映っていた。
「何だ、こんな朝っぱらから。」
「その調子だとそっちは何とか撃退したみたいだな。」
声の主は間違いなく上条でどうやら麻生の無事を確認する為に電話をしてきたようだ。
「こっちは小萌先生の家に居候している。
そっちは敵が待ち構えているかもしれないからな、あとインデックスは怪我も治したし大丈夫だ。」
麻生はそんな状況の報告に一体何の意味があるのかよく分からなかったが上条が一方的に話しているだけなので適当に相槌を打つ。
「なぁ麻生に聞きたい事があるんだけど、どうしてお前は魔術の事とか知っているんだ?」
「別に昨日も言ったが俺はただ知っているだけだ。
実は俺も魔術師でした、なんてそんな落ちはない。」
「そうか・・・・けど、昨日は助かった。
また何かあったら助けてくれるか?」
「さぁな、俺はお前の様に困っていたら誰でも助けるような事はしないからな。」
麻生は上条にそう言い携帯のボタンを押して通話を切る。
そのまま立ち上がりいつもの服を着ると麻生はいつもの散歩に出かける。
学生寮から麻生が出ていくところを六〇〇メートル離れた所からステイルは双眼鏡で麻生を観察していた。
「禁書目録に同伴していた少年の身元を探りました。
・・・・禁書目録は?」
ステイルはすぐ後ろまで歩いてきた女の方も振り返らずに答える。
「生きているよ。
だが生きているとなると向こうにも魔術の使い手がいるはずだ。」
ステイルはあの男が治療したのでは、と考えている。
女の方は無言だったが誰も死ななかった事に安堵しているようだ。
女の歳は十八だが十四のステイルよりも頭一つ分も身長が低いが、ステイルの身長が二メートルを超す長身なので女の方も日本人の女性の平均からすればやはり高い。
腰まで届く長い黒髪をポニーテールにまとめ、腰には「令刀」と呼ばれる日本神道の雨乞いの儀式などで使われる、長さ二メートル以上もある日本刀が鞘に収まっている。
服装は着古したジーンズに白い半袖のTシャツで、ジーンズは左脚の方だけ何故か太股の根元からばっさり斬られTシャツは脇腹の方で余分な布を縛ってヘソが見えるようにしてあり、脚には膝まであるブーツ、日本刀も拳銃みたいな革のベルト(ホルスター)に挟むようにぶら下げてある。
彼女を「日本美人」と呼ぶのは少し抵抗があるだろう。
ステイルと同様まともな格好とは思えなかった。
「それで、神裂。
アレは一体何なんだ?」
「それですか、少年の情報は特に集まっては「そっちの方じゃない。」・・・・両方とも情報は集まっていません。
少なくとも魔術師や異能者といった類ではない、という事になるでしょうか。」
「何だ、もしかしたらアレらがただの高校生とでも言うのかい?
やめてくれよ。
僕はこれでも現存するルーン二四字を完全に解析し、新たに力のある六文字を開発した魔術師だ。
何の力持たない素人・・・・・・」
ステイルは言葉を続けようとしたが出来なかった。
最初にステイルと対峙した男、上条は確かに異常な能力を持っていたが魔術戦においては素人、神裂から見れば「ただのケンカっ早いダメ学生」という分類に入る。
しかし二人目の男、麻生は違った。
ステイルの「魔女狩りの王」を封じその弱点を一瞬で見抜き、ステイルを殴り飛ばした時も神裂から見れば何かしらの武術、それもかなりのレベルまで習得している事が分かった。
二人が注意しているのは上条ではなく麻生の方だった。
「神裂、本当にあの男はどこの組織の者か分からないのか?」
「ええ、何より貴方の「魔女狩りの王」を封じ込めるほどの者が魔術側に居たら確実に何か情報があるはずです。」
しかし彼の情報はほとんど見つからず学園都市からも目立った情報が手に入らなかったのでステイルと神裂と呼ばれる女は麻生を観察しているのだ。
すると麻生は足を止めとあるビルの屋上を見る。
その視線の先にはステイルと神裂がこちらを見ていた。
「っ!?・・・・気づかれている。」
「ステイル、場所を変えましょう。」
神裂がそう言うと二人はビルの屋上から移動する。
(視線を感じたから誰が見ていると思って目を変えて見たら昨日の奴らか。)
一人見慣れない女がいたが麻生は気にすることなく散歩を再開するのだった。
後書き
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