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外道戦記ワーストSEED

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五話 チーム、ケルベロス結成(前編)

 
前書き
ただ、ガンダム開発に必死になれば良かった日々は終わる。 

 
「おお〜、かっけえ……」

たくましい両腕、背中の砲身に、三角形のキャタピラ。

ジョンは自身が関わり、そして、先日の戦闘で大きな戦果を挙げたその機体、ガンタンクを誇らしげに見ていた。

昨年、コズミック・イラ69年 この世界でのザクのポジションである『ジン』が自身が所属している大西洋連邦の目下仮想敵、プラントの軍事組織ザフトからロールアウト。

というと、なんで敵側の機体の名称知ってるんだと言われるが、割とオープンチャンネルで話してんだよね、この情報。

しかも、軍事組織のザフトも作りましたよ、とかもそのチャンネルで話してるし。

嘘つけない縛りでも押し付けられてるのかな(冷汗)

で、更に年末に必需品輸出止めるわ、最後通告なという話が出る。

ごめん、敵もヤバいけど、必需品の自給率低すぎる、うちら大西洋連邦の所属する地球連邦も大概いかれてるわ。

喧嘩始める前にどうにかしとけよ。

で、今年の二月に起こったテロで地球連合の前身の国連の上層部が軒並み死亡。しかもプラントとの和平会議中に。

まあこれは正直、プラントの落ち度だろう。和平交渉中に相手の安全を担保できないなんて、交渉できない国と喧伝してるもんだし。

しかも、まだプラントの使節も一緒に死にました、なら僕らも被害者ですが言い訳として使えたのに、何故かプラント側の使節は無事。

これでプラントに疑い持たないのはただの馬鹿だろ。

で、まあこういった諍いになるとプラントも色々考える訳で。

プラント堂々と、『こっちに付けば食料配給するわ』と離間作戦。

国連の理事会の中の和平派メンバー皆殺しの後、それは一線超えてるよね?

ということで、報復措置として大西洋連邦は以下のことを行いました。

理事会のメンバーの虐殺の対価として、コロニーユニウスセブンを要求、断るなら強制執行すると宣言。

勿論、そんな事は許さない!野蛮なナチュラルめ!と防衛を固めるザフト。

大西洋連邦、最終通告の後、民間人の避難を指示。

で、2月14日、戦艦の一斉射撃をカモフラージュに核ミサイル装備飛行機部隊が腹にミサイル抱えたまま特攻。

そのうち一つが、ユニウスセブンに直撃して、木っ端微塵に破壊した。

ナチュラル以上を謳うコーディネーターとしてはプライドズタズタだろうが、この結果は当然の結果だった。

前々から言った通り、コーディネート技術は一般化されており、一年戦争のような地球VSサイド3と違い、コーディネーターVSナチュラルの戦争になれば、当然、普通に存在する地球在住のコーディネーターの肩身は狭くなる。

オーブのように、プラントに肩入れしない代わりに人道的支援としてコーディネーター保護させてくれという国もあるが、勿論、つてが無いとオーブに辿り着くのは困難だし、更にはテロ直後に国外出させてくださいとコーディネーターが言って許可するとこなんてほぼなく。

出来上がるのは、真綿で首を締めるように居場所をなくす罪のないコーディネーターである。

しかも、庇ってくれる筈のコーディネーター融和とか和平とか考えてる人は軒並み墓の下。

だから出るんだよ、こういった時には。

家族を守って貰えるように、カミカゼに志願する奴が。

でまあ、お互い食料庫に火を付けた後に起こるのは、さようならプラントに日和った奴!という地球連合の掃討戦である。

で、このガンタンク、大活躍しました。

対する相手方、つまり大洋州連合や南アメリカ合衆国などは最初プラントから支援名目で譲り受けたモビルスーツでどうにか遅延戦闘し、講和の妥協点を探っていたようだが、そうは問屋がおろさない。

自作していたガンタンク、そして開発していたガンダムの技術に、既に完成しているジンの設計図、OSを混ぜ混ぜして作ったガンダム、通称クォーターガンダムによってゴリ押しして、プラント側地上戦力を完全に駆逐した。

え、いくら喧伝しててもジンの設計図やOSが手元にあるのがおかしい?

失敬な、地上にいる親類縁者はちゃんとこちらで保護してますよとお手紙で送ったら、お礼にデータディスクくれただけだよ?

まあ、欠点として馬鹿みたいにシュミレータを稼働させてた俺と他数人のナチュラルか、コーディネーターしか扱えない代物になっているが、些細な問題である。

この御時世、居場所がない地球側のコーディネーターは、腐るほどいるのだから。

そう、思索に耽っていると、目の前の中尉はいかにガンタンクと自分が戦争で大活躍したかという武勇伝を止め、改めて自分に向き直った。
           
「ありがとう、口が悪いやつはゲテモノ扱いするが、ナチュラルでも操作しやすい操作系統といい、火力といい、最高の相棒だぜ、こいつは」

腕を組みながら、戦車隊から口説いて引き抜いた壮年の中尉、デメジエール・ソンネン中尉は、乱暴に肩を叩いた。

そう、このガンタンクの最大の強みは、そこにある。

あえて両足を捨てて戦車と同じキャタピラ操作にしたことに加え、両腕部も自由度の高い砲身として運用することで、難度の高い両足の操作と両手のマニピュレータの操作を完全排除。

また、ある程度の操作の自由度を奪う代わりに運転を補助する試作AIを積むことで、ナチュラルでも操作できる環境を整えた。

勿論、戦車を動かせるなどのある程度の運転技術は必須だが、『ナチュラルがコーディネーターの鼻をあかせる』というのは想像以上に大事な事らしく、最近ではそのために海軍、空軍からもガンタンクパイロットに立候補するやつがいるらしい。

まあ、デメジエール先輩は、制空権の取り合いになっていて戦車が蔑ろになっていたことに不満を持っていたし、感動もひとしおだろう。

「アズラエルの飼い犬って聞いてたアンちゃんも話分かるしよ。いやー、久しぶりに良い事があったぜ」

この口の悪ささえなければ、もう少し早く出世できただろうにな。

だが、新機体にワクワクする気持ちは俺も分かるよ。

そんなことを考えながら、最近新造され、並んだ『三機』を眺めた。 
 

 
後書き
下らない機体解説
クォーターガンダム→ヘッドパーツ含め、四分の一くらいしかジンと違わないガンダム。
だけど整備班と設計班が徹夜でデザインの細部と塗装を変えてくれたお陰で、割とガンダムに見えるぞ!
そもそも二本角とツインアイあれば皆ガンダムだって…… 
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