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金木犀の許嫁

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第四十八話 プールへの誘いその八

「若しもって思ったけれど」
「実際はないわね」
「妖術使いになるか」
 そうした術を使えたければというのだ。
「仙人さんになるかだよ」
「忍者じゃないわね」
「けれど昔の漫画はそうだったんだ」
「忍術は妖術や仙術と変わらなかったのね」
「超人みたいだったんだ」
「無茶苦茶強くて」
「何でもありだったよ」 
 こう夜空に話した。
「読んでいて面白いけれどね」
「現実にはなくても」
「そうだよ、織田作さんの小説でもあったしね」
「猿飛佐助ね」
「ニコ狆先生だってね」
 こうした作品達がというのだ。
「忍術というか」
「妖術や仙術なのよね」
「読んでいて面白いけれど」
 そうであるがというのだ。
「本当の忍術か」
「それは違うわね」
「うん、忍術は現実のものだから」
 そうであるからだというのだ。
「身体や道具を使うね」
「そうしたものじゃないわね」
「そんなね」
 それこそというのだ。
「妖術じゃないから。まあ妖術も実際にあるかも知れないけれどね」
「仙術もよね」
「非科学的って否定しても」
 そうしてもというのだ。
「科学を突き詰めたら魔法と変わらないっていうし」
「科学かも知れないのね」
「妖術や仙術もね」
 そうしたものもというのだ。
「魔法もね」
「実は科学ね」
「そうかも知れないから」
「佐京君妖術は否定しないの」
「うん」
 そうだというのだ。
「お空を飛ぶことだって」
「雲に乗って」
「自分だけで飛ぶこともね」
 織田作之助の猿飛佐助ではそうしている、彼が書く忍者はそのまま昭和の忍者漫画のそれであったのだ。
「出来るかも知れないよ」
「科学を突き止めたら」
「そうしたらね」
 その時はというのだ。
「空の飛び方もわかって」
「飛べるの」
「そうかも知れないしね」
「そうなのね」
「蝦蟇に乗るのもね。今の科学で無理でも」
「未来の科学じゃわからない」
「そうだよ」
 佐京ははっきりした声で言った。
「そんなのわからないよ」
「未来のことは」
「今の科学の知識や技術で無理と言っても」
 それでもというのだ。 
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