金木犀の許嫁

「将来はね」
「わからないから」
「そうした妖術も」
「出来る様になるかも知れないのね」
「それを今の技術や知識で決め付けて」
　そうしてというのだ。
「駄目だ無理だってね」
「言ったらそれまでね」
「そうだよ、だからね」　
　佐京は話を続けた。
「昔の漫画の忍者の術も」
「将来は出来る様になるかも知れないわね」
「水蜘蛛だってね」
　出来ないと思われるこの術もというのだ。
「ムササビの術だってそうだよ」
「出来る様になるかも知れないのね」
「少なくとも大凧に乗ることは」
　これはというのだ。
「今はやろうと思ったら結構出来るよ」
「簡単に？」
「安全管理をしたうえでね」
　それでというのだ。
「出来るから」
「安全に」
「比較的にね、お空を飛ぶから安全は確実じゃないけれど」
「出来ることは事実も」
「昔もそうでね」
「今は昔よりずっとやりやすいのね」
「そうだよ」
　その通りだというのだ。
「そうしたこともね」
「今は出来て」
「他の漫画の術もだよ」
「出来るのね」
「忍術でも無理だ、出来ないって言ったら」
「そこでおありね」
「何か母さんが言うには」
　佐京は自分の母の話もした。
「そう言って他人を馬鹿にしてばかりの人がどうなったか」
「碌でもない人になったのね」
「何年か前にたまたまその人と道で擦れ違ったそうだけれど」
「その時にわかったの」
「相手の人は母さんに気付かなかったけれど」
　それでもというのだ。
「母さんその人の両手首にタトゥーあって驚いたらしいんだ」
「手首にタトゥーって」
　夜空はそう聞いてすぐにわかった。
「日本だとね」
「半グレみたいだね」
「すぐに見えるから」
「タトゥーなんて入れてるとね」
「普通の会社では働けないでしょ」
「だからそこで母さんもわかったんだ」　
　その人についてというのだ。
「絶対にまともな人になってないって」
「半グレとかね」
「うん、まともなお仕事にはね」
　そう言っていいものにはというのだ。
「もうね」
「就いていないのね」
「そのことがわかったって。そんな何でも無理だ出来ないって」　
　そう言ってというのだ。
「人を馬鹿にしてコケにして嘲笑ってばかりの人は」
「そんな人になるのね」
「道を踏み外した」
　人のそれをというのだ。
「表にいられない人になるってね」
「佐京君にお話してくれたのね」
「白華にもね」
　彼女にもというのだ。
「兄妹揃ってだよ」
「お話してもらったの」
「そうなんだ」
　こう話した。